妖精の尻尾
テーブルに座る俺にエルザが依頼書を持って来た。
「アレス、一緒に仕事に行かないか!」
「悪い、先客が居る」
俺の隣に座るリサーナを指差す。
エルザは渋々と諦めた。
「アレスってモテるね?」
「? そうなのか?」
首を傾げて問うと、リサーナに溜息を吐かれた。
何か傷付くな。
「おぉ~い、帰ったぞぉ~い」
マカロフが帰って来た。
あの爺さん、二日位帰って来なかったな?
何処に行ってたんだろう。
よく見れば、爺さんの横に桜色の髪と白銀の鱗模様のマフラーが特徴の少年が居た。
「マカロフ、ソイツ誰だ?」
「おぉアレス、紹介しよう、名前は「アレス、俺と勝負しろ!」これ!」
何か行き成り戦闘を申し込まれた。
「おい、何馬鹿な事を言ってんだ死ぬぞ!?」
「そうだ、お前がどれだけの力の持ち主か知らんがアレスは別格だ! 下手すれば死ぬぞ貴様!?」
「グレイ位で妥協しろ! 死ぬぞ!?」
上からグレイ、エルザ、ミラと少年を止める。
つか何でみんな『死ぬ』って言うんだ? 俺は加減するから死ぬ事ないのにな?
「勝負をするのは構わないが‥‥何故俺だ?」
少年に問う。
すると笑い答えた。
「じっちゃんが言ってた! アレスって奴が強いって! だからだ!」
俺はマカロフを見る。
即行で目を逸らした。
「はぁ‥‥お前名前は?」
「ナツ‼ ナツ・ドラグニルだ!」
俺とナツは表に出て軽く準備運動する。
その間に観客では『アレスに傷を負わせれるか、負わせれないか』の賭けがされて居た。
比率は傷を負わせれないが殆どだが‥‥ラクサスとミラが傷を負わせれると賭けている。
「新人、ちょいとは期待してるぞ」
「同じく、まぁかすり傷位なら行けるだろ」
「何ぉ~! ボコボコにしてやる!」
火を噴きながら怒る。
成る程此奴は炎使いか、なら打倒に水で戦って遣るか。
「それでは‥‥ナツ対アレス‥‥始めぃ!」
マカロフの合図と共に速攻で攻撃を仕掛ける。
「水竜弾ウォータードラゴンブレット」
両手の指先から水の弾を撃ち出す。
「よっ! ほっ!」
素早い身の熟しで弾を躱す。
「火竜の‥‥」
息を吸い込む。
「咆哮!」
炎のブレスが飛んで来た。
此奴‥‥滅竜魔導士だったのか!
「反射リフレクション!」
ブレスを跳ね返す。
「うおっ! 遣るじゃねぇか!」
「‥‥‥悪いがまだ一割も出してないぞ?」
「んだと!?」
何か驚いているが‥‥現に全然出してない。
「良し、こうしよう、お前の全力を俺に見せろ、それが俺に通用するなら俺は本気を出す」
「? 良く解んねぇけど、本気で行きゃ良いんだな!」
ナツは何やら構える。
「滅竜奥義―――紅蓮爆炎刃ぐれんばくえんじん!!!」
螺旋状炎を纏い、突っ込んで来た。
それを片手で受け止める‥‥が。
(熱っ!?)
皮膚が焼け始めた。
俺は慌ててナツを地面に叩き付ける。
「おがっ!?」
地面に罅が入る。
少し強く叩き付けてしまった。
「いてぇ~! 火竜の咆哮!」
叩き付けられた状態から咆哮を放ち、俺を燃やす。
「「「アレス!?」」」
グレイ達が叫ぶ。
「だぁ~はっはっ! 如何だ! これが俺の実力だぁ!」
「‥‥‥成る程、こんなもんか」
俺はナツの炎を食べ、全身から炎を出す。
その炎は熱気だけで草木を燃やし始めた。
「あ‥‥あぁ‥‥」
ナツは腰を抜かし俺を見る。
今のナツには俺の魔力は重すぎるだろう。
「ナツ、お前は滅竜魔導士だ、俺と同じ魔法が使えるなら‥‥これ位出来ないとな」
炎を消し、ナツに歩み寄り、手を差し伸べる。
「まだまだ強くなれるだろ? 誇り高き竜の子供、ナツ・ドラグニル」
先程の恐怖は消え、何処か憧れに似た眼差しで俺を見てナツは手を握り立ち上がる。
「アレス! 何時か必ず、お前を超えるぞ!」
「その日が来ると良いな」
「おぉ~! 燃えて来たぁ~!」
体から炎を出して叫ぶ。
「おい、勝負は如何すんだ?」
ワカバがそう言うとナツは我に返る。
「そうだった! 火竜の「遅い」へばっ!?」
ナツの脇腹を蹴る。するとギルドの壁にめり込み、気を失った。
「勝者・アレス!」
マカロフの声で試合は終わった。
「良しっ! 無傷だな!」
「これで今回は酒が呑める!」
俺が無傷だと勘違いして居る奴等が叫ぶ。
俺はそいつ等に手を見せた。
手には火傷の跡が残っている。
「「「「なっ!?」」」」
「へぇ~少しは遣るな、彼奴」
ミラが腕を組んでそう言う。
「アレス、お前気ぃ抜いてただろ?」
少し呆れ顔でラクサスはそう呟く。
「気は抜いてねぇよ、案外熱かった」
「だそうだ、おいおっさん達、酒代分寄越しな」
大半の奴等が泣きながらラクサスとミラに金を渡していた。
何か、俺が悪いみたいな感じだな。
その後、勝った金でミラが食事に誘ってくれた。