バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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天気が悪いので外出する気にもなれずのんびり執筆活動、気分的にも良いシーンなので乗ってかけてます。


第十五話

「よお、明久」

僕と里中さんがジュネスについた頃には既に雄二は来ていた。

「雄二、早かったね」

「駅にいると万が一の場合すぐに気付かれるからな……」

なんか遠い目でしみじみと言う。コイツに何があったんだろう。

「へー、彼が吉井くんの前の学校の友達?」

「な、なんだと!?」

突然驚愕の表情を浮かべる雄二。

「え? なに? あたしがどうかした?」

「バカな!? 明久に女友達がいるだと!?」

「僕だって女の子の友達くらいいるよ! 前の学校だって秀吉がいたじゃないか!」

「冗談だ、俺は坂本雄二、こいつとは問題児仲間ってとこだ」

「あ、うん、あたしは里中千枝、ところで女友達で秀吉ってどういうこと?」

「気にするな、このバカの言うことだ」

「あー……うん、わかった」

「ちょっと!? なんで里中さんはそれで納得するの!」

まるで僕がバカということで納得してるみたいじゃないか!

「まあ、吉井くんならそういうこともあるかなあって……」

「なんだ、明久、もうバカということが知られてるのか」

「ところで雄二、随分と早い時間についたけど学校はどうしたの?」

自分に不利な話題になったら話をそらすに限る!

「最後まで残っていると待ち伏せされて逃げれないからな……担任が鉄人だからHRを抜け出すことも難しいし……」

要はサボって途中で抜け出したということか。しかし去年に引き続き今年も鉄人が担任なんてついてない奴だ。

「それで、明久こんなところに呼び出した理由はなんだ?」

「あ、そうだ、花村くんが待ってるんだ、とりあえずついてきてよ」

 

 

「お、来てくれたのか……って、え、誰?」

花村くんが雄二の顔を見て疑問の声を上げる。

「うん、こいつは前の学校の友達で坂本雄二、たまたま連絡してきたんだ。頭は悪いけど腕力はあるからいざというとき役に立つと思って連れてきたんだ」

「そうなの? あ、俺は花村陽介、なんか面倒事に巻き込んでわりいな」

「ああ、坂本雄二だ、おい、明久、どういうことだ、簡潔に説明しろ」

「えっと、テレビの中に犯人が投げ込んで事件が起きた」

「さっぱりわからん、すまん、花村とやら俺は事情が全くわからないんだ、説明してくれないか?」

「お前何も言わずに連れてきたのかよ、まあ信じられないかもしれないが……」

花村くんが事情をうまくまとめて説明する。

「ふむ、テレビの中か……」

「信じるのか?」

「まあ、確かに信じられないような話だがこれから向かうんだろう。ならとりあえず真実と仮定して進めたほうが早い」

「それで、雄二は協力してくれるの?」

「テレビの中の世界とか興味あるしな、一緒に行ってやるよ」

コイツが興味を持ったのは頼もしい。興味があることに関してはすごい力を発揮する奴だし。

「そこなら追いかけてこられることもないしな」

最後に小声でなにか呟いたけど気にしないことにしよう。

「で、里中お前どうするんだ?」

「あたしはバカを止めるつもりだったけど……もうそんな雰囲気じゃないね」

「まあ、前と同じところから入るしな、またクマと会えて話聞けるかもしれないしな」

「とりあえず僕たち3人で行ってくるから、大丈夫だよ、いざという時は非常食として塩と砂糖は持ってきたから、あとは水を確保できれば充分生き残れるし」

「それ非常食って言わないし!」

「それで生き残れるのは明久だけだな」

「まあ、そんなことがないように考えがあるんだ、里中、これを頼む」

花村くんはロープを取り出す。ってそれは!?

「ダメだよ、花村くん、いくらテレビの中に輪っかがあったからって君まで吊るされてたら」

「んなわけねーだろ!」

「なるほど、命綱か」

僕を無視して雄二が言う。

「命綱?」

「本来高所での作業の安全を守るためにあるものだがそこから転じて生命や生活の危機を救ってくれるものを言う」

「命綱の言葉の意味を聞いたんじゃないよ! それくらい僕だって知ってるよ!」

「つまりこいつをこっちで持っててもらえれば帰り道を確保できるってわけだ」

花村くんがわかりやすく説明してくれる。

「あと、これな、素手だと不安だからないよりマシかと思って」

花村くんが僕に渡してくれたのは木刀。

「うん、ありがとう、使わせてもらうよ」

「あ、坂本に渡したほうがよかった?」

「大丈夫だよ、コイツは原始的だから武器なんて使わな……って痛あ!?」

雄二がそのまま僕の腕をひねり上げる。

「俺は必要ない、実際俺は武器を使うより素手の方がなれているからな」

間違ってないなら僕に暴力を振るうのはやめて欲しい。

「そ、そうか、なら行こうぜ、ぐずぐずしててもしょうがないし、里中、ロープ離すなよ!」

そして僕たち3人はテレビに飛び込んだ。

 

 

「ここは……見ろよ、前と同じ場所じゃないか!? ちゃんと場所と場所で繋がってるんだ!」

「本当にテレビの中に入れるとはな……」

「キ、キミたち、なんでまた来たクマ! しかもこの前の女の子がごつい男の子に変わってるクマ!?」

テレビの中に入って辺りを見渡している僕たちに昨日あったクマくんが話しかけてきた。

「わーかった! 犯人はチミ達クマ!」

「お前、こないだの、ってかなんつった!? 犯人!?」

「そうだったのか、明久、自首しておけ」

「貴様! わかってて言ってるだろ!」

「もちろんだ、で、着ぐるみ、どういうことだ?」

人を犯人扱いしておきながら何事もなかったように言う、いつものようにこいつが友人ということに疑問を覚える。

「クマは着ぐるみじゃないクマ! 最近、誰かがこの中に人を放り込んでる気配がするクマ。そのせいでこっちの世界はどんどんおかしくなってるクマ……君たちはココにこれる、他人に入れられた感じじゃないクマ。よって一番怪しいのは君たちクマ! 君たちこそ、ここに人を入れてる奴に違いないクマァ!」

「違うよ、僕たちは昨日始めてテレビに入れる事知ったんだし」

「そうだ、こんなところに人入れたら出れずに死んじまうかもしれねーだろ! そんなあぶねーことするわけ……ってまてよ……なあ、今思ったんだけど誰かがここに人を入れたって話……まさか、先輩や山野アナのことか? その誰かってのが二人をここに放り込んだてことか?」

「つじつまは合うな」

花村くんの話に雄二が頷く。

「つまりどういうこと?」

「お前はまた話についてこれないのか……つまりクマの言う人を放り込んだという話と殺人事件が繋がってる可能性があるということだ」

「ああ、誰かが殺す気でここに人を放り込んだとしたら……」

「意図的に放り込んだと断定はできないがな」

花村くんと雄二は意見を言い合っている、どうしようなかなか会話に追いつけない……

「ごちゃごちゃうるさいクマねー! 君らは何しにきたクマか!? ここは一方通行、入ったら出られないの! クマがだしてあげないと出られないの味わったでしょーが!」

クマくんが会話を遮ってくれる。

「うるせー、関係ねーだろ! それにお前の力を借りなくても……」

花村くんは気づいてないのか……

「花村くん、命綱切れてるよ」

「あああっ!」

「これはあとでこのクマから出してもらうしかねーな」

「そ、そうだな、調べが済んだらこっから出してもらうからな!」

「ムキー調べたいのはこっちクマよ! クマずっとここに住んでるけどこんなに騒がしいこと今までなかったクマ! 証拠あるクマか? 放り込んでるのが君らじゃないっていう証拠!」

「え!?そんなこと言われても証拠なんて……」

「ほら、やっぱり君らクマ」

「証拠があれば俺たちを信用してくれるのか?」

「ちょっと!? 雄二、証拠なんてあるの!」

「まあ、任せておけ」

「お、おい、大丈夫なのかよ」

「と、とりあえず証拠見せてから言うクマ!」

「簡単なことだ、このバカにテレビに入れて殺人を犯し、それを隠し通すなんてことができる知恵などない」

「ただ僕をバカにしたかっただけなの!?」

「なんの証拠にもなってないのに説得力があるのはなんでなんだろうな……」

「花村くんまで!? なんですでに僕がバカということが共通認識になってるの!?」

「ムムム……なんか納得しそうになってしまったクマ」

「ほとんど話したことのないクマくんにまで!?」

「でもそれじゃなんの証拠にもなってないクマ」

「違うっての! そもそもお前に証明してやる義理はねえ! それよりこっちの質問に答えてもらうぞ、昨日と違って今日はマジなんだ! いいか、俺らの世界じゃ人が死んでるんだよ……霧が出るたびに死体が上がってる。知ってることを話せ! ぜってーここと関係があるはずだ!」

「霧が出る度に死体? そっちで霧が出る日はこっちでは霧が晴れるクマよ。霧が晴れるとシャドウが暴れるからすっごく危ないクマ」

車道が暴れる? つまりこっちの晴れた日は道路状況が悪くて車に乗るのが危険ということ?

「それなら大丈夫だよ、僕たちまだ車に乗れる年じゃないから」

「え? 何の話クマ?」

なにか違った?

「相変わらずお前の思考回路は常人には理解できないな」

「とにかく君らが犯人なのはわかってるクマ! 今すぐやめてもらうクマ」

「だから違うって言ってんだろ!! いい加減切れそうだぜ、なんで人の話聞かねーんだ」

「は、犯人かもって言ってるだけクマ……た、ただ確認してるだけで……」

「ああ、明久は変態で性的犯罪は犯すかもしれないが殺人を犯すような奴ではないな」

「雄二、弁護してくれてありがと……って弁護するふりして人を変態呼ばわりするな!」

「しかしここはどうしてこんなスタジオみたいな構造してるんだ?」

「雄二、無視して会話進めないでよ!」

「言われてみれば……まさかあのおかしな番組ってここで撮影してるのか?」

「おかしな番組? 撮影? なんのことクマ?」

「なにって放り込まれた人間を誰かがここで撮影してるのかって訊いてるんだ」

「……? わかんないこと言うクマね。ここはもともとそういう世界クマ、だれかがここで撮ってるとかはないクマよ」

「何言ってるのかさっぱりわかないんだけど……」

話が難しいというよりこの世界がなんなのかがわからない。

「ここにはクマとシャドウしかいないクマよ」

「あのな、こっちにはお前もシャドウもなんだかわかんないんだよ、そもそも俺らが怪しいとか言う前にお前がなんだかよくわかんねーじゃねーか!」

「確かにね、ずっと着ぐるみ着てるし、暑くないの?」

もう春で結構暖かい、着ぐるみだと暑いだろう。

「これは着ぐるみじゃないクマよ!」

「ふむ、なら確かめてみるか、明久取り押さえろ」

「OK」

僕が取り押さえて雄二がクマくんの頭を外す。

 

スポ

 

「うおぁ!」

「え!? 中身が空っぽ?」

「明久以外に頭の中が空っぽの奴がいるとは……」

こいつはいちいち僕を罵倒しないと会話ができないのか……

中身のないままクマくんが頭を拾ってそれを取り付ける。

「クマはただここで静かに暮らしたいだけクマ……」

そっか、静かに暮らしていたところ事件に巻き込まれたから解決しようと焦っていただけなんだ。

「君らが犯人じゃないって信じていいクマよ、でもその代わり、本当の犯人を探して捕まえて欲しいクマ。約束してくれないならこっちにも考えがあるクマ」

「考え?」

「ここから出してあーげない」

そ、それは困る! 雄二と一緒に暮らすなんて冗談じゃない。

「明久ならともかく俺や花村はここで暮らすなんて冗談じゃないな」

「僕だって嫌だよ!」

「このままじゃクマの暮らすとこ無茶苦茶になっちゃうクマ……そしたらクマは……よよよ……」

「な、何急に泣いてるんだよ……」

「わかったよ、クマくん、僕たちもそのために……」

『貴方はこれから向かう地にて禍を被り、大きな謎を解くことを課せられるようだ……』

脳裏に夢で見たイゴールという鼻のおじさんの言葉が蘇る……これが彼の言っていた謎? そして彼の言っていた契約ってのはこの約束のことなの?

でも僕は

「僕たちもそのために来たんだ。一緒に犯人をみつけようよ」

「ま、しゃーないな」

「仕方ないから手伝ってやる」

花村くんと雄二も同意する。

「よかったクマ!」

こうして僕たちはクマくんを加えてここの探索をすることになった。

 




雄二が入ると日常の会話が大幅に変わった気がします。テレビ突入からクマとの会話なだけなのに今までの二倍以上の長さに……それでも雄二が入ると書いてて楽しいんですよね。
そして現時点でも雄二のアルカナ予想、大量に書いてもらえてすごく嬉しいです。ありがとうございます。
さすが坂本雄二、バカテスキャラの中でも一番多くの面を持つキャラだけあってすごく色んな意見が寄せられています。実際私もすごく悩みましたしね。
では次回もよろしくお願いします。
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