バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第十七話

目の前にいるのは二体に浮かぶ丸い球体に口がついたもの。

「雄二、今のうちに花村くんを!」

「お、おう」

既に相手の狙いは僕に変わっている。僕はイザナギの方を見て固まっていた雄二に言って二人を安全圏まで避難させる。

「まずは操作感覚かな」

イザナギを動かしその手に持った太刀を振るわせる。

ズバッ

「よし、思い通りに動く!」

感覚的に召喚獣と似たようなものだけどこちらのほうが手足が長く人の構造に近い分動かしやすい。

「ボケっとしてちゃダメクマ、もう一体が来てるクマよ!」

クマくんに言われて見ると僕が一体を相手しているうちにもう一体が本体の僕に接近してきている。

「そっか、召喚獣バトルと違って本体を攻撃してこないという保証ないんだ……」

気づいていれば敵の動きはそこまでは速くない。襲われ慣れている僕なら回避することはできる。

「くたばれー!」

そのまま木刀で殴りかかろうとしたけど……

「今度はペルソナの方が狙われているクマよ!」

「え!? う、うわ、避けろ、イザナギ!」

慌ててイザナギに回避行動を取らせる。さっき斬ったのにもう体制を立て直したのか……

それにしても本体に注意を払いながらペルソナを操って戦うのは思ったより難しい……相手が2体いると敵も連携してくるというのに……僕は一度ペルソナを手元に戻して相手の隙を伺う。

「シャドウには弱点があるクマ、弱点をついて体勢を崩させれば隙ができるクマよ!」

弱点? 僕は自分の中にあるイザナギの力を確認する……

「いけ! イザナギ!」

イザナギの持つ力……電撃の力を持つ魔法『ジオ』を放つ!

バチッ

雷を受け地に落ちて体制を崩すシャドウ。

「敵がダウンしたクマ、チャンスクマよ!」

それを見てもう一体のシャドウも怯んで隙ができる!

「今度こそ……くたばれーーー!!」

そこに僕はダッシュで倒れているシャドウに近づいて全力で木刀を叩きつける!

手応えがありシャドウが空気に溶けるように消滅する。

「よし! あと一体!」

残りのシャドウが仲間の仇と襲いかかってくる!

「イザナギ!」

僕とシャドウのあいだにイザナギを配置してそれを受け止めさせる。

「いたっ!?」

敵の突撃を受けてイザナギがダメージを受ける。それと同時に僕自身にも痛みが走る。これは召喚獣のフィードバックと同じ!? いや、違う……フィードバックと違ってペルソナの受けたダメージの一部ではなくすべてが僕に返ってきている……

「でも……お前の弱点はわかってる!」

イザナギにもう一度ジオを放たせる。そして体制を崩したシャドウに

「いけ! イザナギ、そのままトドメだ!」

そのままイザナギが手に持った太刀をシャドウに叩きつけ消滅させる。

 

 

「ふう……なんとかなった」

もう一人の自分……イザナギ、それが自分の心の中に生まれたのがわかった。

「すっげ……なんだよ、今の」

少し離れたところで見ていた花村くんが駆け寄ってきた。

「うん、僕にもよくわからないけど……なんか心の中からもう一人の僕が語りかけてきて力になってくれたみたい」

なんでこんなことができるようになったかは僕にも分からない。でもなぜか使い方が理解できた。

「ペルソナだっけ? どういうものなんだよ。な、俺にも出せるのかな?」

花村くんが興奮気味に話しかけてくるけど……自分でもよくわからないんだよね。

「落ち着けヨースケ、いや、けど驚いたクマね! さっきまでアキヒサのことはただのバカだと思ってたらそんなことができるなんて! クマはまったくもって感動した!」

「ちょっと待って! バカだと思ってたって、それ褒めてないよね!?」

「褒めてるクマよ。こんなすごい力を隠し持ってるなんて、シャドウが怯えるのもわかるクマよ。間抜けそうな顔に似合わずすごいクマね」

どうしよう、褒められている気が全くしない……

「もしかして、この世界に入って来れたのもアキヒサの力クマか?」

「あ、うん、一応テレビに入れるのは僕がいるからみたいだけど……」

「ふむー、そうクマか、これはすごいクマね、人間何かひとつくらい特技があるものクマね」

なんで僕は知り合って間もないクマくんにここまで言われてるんだろう……

「な、ヨースケとユージもそう思うだろ?」

「なんで突然タメ口なんだよ!」

あれ? そういえばさっきから雄二が全く会話に参加してきてないな。

目を向けてみると変わらず離れた場所で何か考え事をしている。

「あれ、雄二、どうかしたの?」

その場で言い合いを始めたクマくんと花村くんを放っておいて雄二の様子を見る。

「ん? ああ、なんでもねえ」

そうは言うけど雄二はどことなく落ち込んで見える。

「雄二がそう言うなら良いんだけど……」

「おーい、吉井、坂本、調査再開しようぜ」

クマくんとの言い合いが終わったのか花村くんが声をかけてくる。

「ほら、明久ボーっとするな、さっさと行くぞ」

「そうだね」

ここで問いただしてもこいつは答えないだろう。さっさと歩き出した雄二と一緒に僕も酒屋の方に向かうことにした。




ちょっと短いけど区切りのいいところで一度投稿します。
初戦闘ということで割と楽勝ムード、戦闘シーンはとりあえずペルソナ出しつつも本体も一応攻撃はするという感じです。バカテスキャラの攻撃性も活かしたいですしね。
クマから明久への呼び方はアキヒサに、コメントでも何度かいただきましたが明久にセンセイは似合いませんしね。ここに来るまでにさんざんバカをやった明久は既にクマにそういう目で見られています。
次の展開はバカテスらしからぬシリアスな雰囲気になる……と思います、多分。
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