バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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今回は書くのに苦戦しました……


第二十六話

「やっと視界がましになった」

明久たちを送り出し、翔子のアイアンクローから逃れ、メガネをかけることにより霧に包まれていた視界がクリアになる。

「そして……」

目の前にいるのは翔子本人と翔子の影、ご丁寧に翔子の影は俺の影と同じで小学生のあの頃と同じ服装だ。

『……あなたは雄二を幸せにしたいんじゃない、束縛しようとしてるだけ』

「……違う、こうすることで雄二は幸せになる」

……なんか影の味方をしたほうが身の安全のためには良い気がしてくる。

『……ここまで来たのも束縛の一つ、あなたは吉井に嫉妬している』

「……違う、一人で周りに誰も寄せ付けなかった雄二を変えた吉井には感謝している」

『……そう、吉井が雄二を変えた。あなたではなく吉井が』

ちっ……その話かよ、たしかに中学時代、高校で明久達とつるむ様になる前は、俺に話しかけてくる奴は翔子くらいで、その翔子も俺は避けていた。

「あのなあ、翔子……」

とりあえず影のことを話して受け入れる体勢を作らせよう……

「……雄二……見ないで」

「うお!?」

自分の影を見られたくない、身近な人間には特に、その気持ちはわかるが目潰しはないと思うんだが……メガネがなければ危なかった。もっとも、翔子はそんな俺の様子に構う余裕などないようだ……俺の様子を見る余裕がなくすほどこいつは焦っている。

『……そうやって私から目をそらす、見せないようにする、そんなに自分の悪いところを雄二に見られたくないの?』

「……違う、あなたは誰?」

『……私はあなた』

でも結局のところこいつが影を抱えてしまったのは俺の責任か。

「……何を言っているの?」

『……私はあなたであなたは私、だから私は全部知っている』

こいつの影は小学校の頃のバカだった俺のせいで生まれたものだ。だから俺がこいつのためにしてやれることは一度自分の影を見つめ直し、受け入れる手伝いをしてやることだ。

『……あなたが雄二に依存しているだけなのも知っている、雄二の周りに女性がいるだけで嫉妬してしまう醜い心も』

「……違う」

否定させて……俺の話を聞く余裕を取り戻させてから話をすれば良い。

「……あなたなんて私じゃない」

『……そう、あなたは私じゃない、私は私』

翔子の影が変化する。

拘束具を握り……その先にいるのは俺っぽい人、陽介のシャドウにカエルがついていたように付属品扱いで俺っぽいものがついてるのかよ……そしてシャドウが着ているの……あれは陣羽織か? は、桃太郎気取りで鬼である俺を退治に来たってところか。

「鬼がいつも負けると思ってんじゃねえぞ」

 

 

『……我は影……真なる我……都合が良いから雄二、このままここで一生捕まえといてあげる』

ペルソナ、ウラ……そしてあいてが吉備津彦なら伝承で俺の負けだ、だが

「勝てない戦いで勝つから面白いんだろうが」

Aクラスと戦う前、勝てない戦いに挑んだ時の闘志が俺の中に戻ってきていた。

「いくぞ、翔子、ペルソナ!」

あのバカのペルソナが魔法を使えて、俺のペルソナが現在力押ししかできないってのは気に入らないが……勉強サボって油断して、それが原因で敗北した俺にはふさわしいとも言える。

俺の呼びかけに応じてペルソナ、ウラが翔子のシャドウに殴りかかる。

『……殴るだけ? それじゃ、私には勝てない』

シャドウが俺に向かって炎を放ってくる。

「は、さすが優等生のシャドウだな、魔法が得意ってわけか?」

だが俺のペルソナは魔法が使えないが打撃が得意でタフさもある。

「てめえこそこんなちゃちな火で俺を倒せると思ってるんじゃねえだろうな!」

炎を喰らいながらも俺は攻撃を続ける。

『……これじゃない? ならこっち?』

続いて放ってくるのは氷結魔法……ちっ、まさかこいつ複数の属性の魔法が使えるのかよ!?

「舐めんなよ、翔子、雷を使う明久は風、逆に風を使う陽介の弱点は雷、魔法が使えないが対応属性のない俺のペルソナに弱点はねえ!」

そう言ってるがこれはハッタリだ。俺は召喚獣を扱っているといっても観察処分者でもなければこの前の試召戦争でも指揮官をやっていて召喚していない。そのため召喚技術はそれほど高くない。よってペルソナを操る技術も明久に比べたら劣るだろう。弱点を突かれたらかなりやばい。

『……そう? なら……物理で攻める』

よし! 乗ってくれた!!

物理の殴り合いなら俺のペルソナの得意分野だ。

『……と言っておいて雄二は嘘をついているから魔法で攻める』

「ぐぁああ!? フェイントかよ!?」

『……雄二の考えてることくらいわかる』

幸い今回は疾風属性だったから良かったが……

『……雄二、諦めたほうがいい、雄二では私に勝てないことがこの前の試召戦争でわかってるはず』

「うるせえ」

去年の俺に殴られながらも諦めなかったバカはこんな気持ちだったのかもな、負けられないって思えば意外とやれるもんだ。

あいつが魔法を使っている間も俺のペルソナの拳もあたっている、あいつの体力もかなり減っているはずだ。

「やられる前にやってやる」

俺とウラが同時に拳を構える

『……こちらこそやられる前にやるだけ、これが弱点というのはもうわかってる』

「上等だ、どっちが先にやるか勝負してやる!」

翔子のシャドウが電撃は放つ。それを俺は……

『……ガード!?』

「扱いが下手でも来るとわかってれば防げるんだよ!」

こいつが俺を知っているかのように俺だってこいつのことは知っている。

「いくぜ、ペルソナァ!!」

俺を仕留めたと思って気を抜いたところを俺とウラが同時に仕掛け翔子のシャドウを殴りつける。

『……』

そしてそのまま翔子のシャドウは消滅する。

「この前は俺が油断して負けたが今回はお前が油断したみたいだな」

と言っても倒したのは翔子の影、俺の目標はあくまで完全な翔子を倒すことだ。

 

 

「……雄二?」

シャドウの暴走の反動で倒れていた翔子が起き上がる。

「よっ、目覚ましたか?」

「……私は……」

俺は翔子に何を言うべきか、どうすれば翔子が自分を乗り越えられるか考えても思いつかない。だがこういう時はあのバカを見習って……何も考えずに思いつくまま話してみよう。

「翔子、あれは間違いなくお前だ、だがそれがどうした」

「……雄二?」

「誰だってそういう部分はあるもんだ、俺だって昨日同じように目をそらしていた自分を見せつけられた」

「……」

「だがそんなものも含めてお前は俺の幼馴染だ、関係が変わるわけじゃねえ」

「……雄二……」

「ま、無理やり拉致したりするのは勘弁して欲しいとも思うがその程度でお前と縁を切るとか嫌うってことはねえよ」

「……うん」

翔子が自分の影と向き会う。

「……あなたは私で私はあなた」

その言葉に翔子の影は頷き……

 

ペルソナへと変化する

 

「ま、これで俺に対する気持ちとも向き直ってみるんだな、そもそもその気持ちは勘違いだと前々から……」

「……ううん、雄二が好きだという気持ちは変わらない。だけど吉井相手に浮気とかの考えは改める」

「そもそも俺と明久じゃ男同士ということを考えて欲しいんだけどな」

「……うん、それにもう強引に束縛しようとも思わない、だから私は雄二に振り向いてもらうように努力する」

「お、おう、それは良いこと……」

「……力技に訴えても」

「待て、それじゃ今までと変わんねえじゃねえか!」

「……それも私だから、それに今は私と雄二が付き合っているというのは事実」

「妙な方向に開き直ってるんじゃねえよ!」

「……だから私は雄二と一緒にいるし雄二は私と一緒にいるべき」

「だからそれじゃ今までと……」

「……だから雄二がここで何かをしようとしてるなら私も手伝う」

「……は?」

「……雄二、これからもよろしく」

「あ、ああ……」

 

 

 

 

「雄二、霧島さん!」

僕たちが戻るとすでに霧島さんの影はいなくなっていた。

「おう、明久そっちも無事だったみたいだな」

「一人で初ペルソナ召喚でよく戦えたな、俺は結構苦戦したんだが……」

陽介も安心したように声をかける。

「明久にできて俺にできないわけがないだろう」

「無事だったなら早く雪子の方に……」

「ダメだよ、里中さん、シャドウが出て疲れてるでしょ? 無理はしないで休まなきゃ」

「……言われてみれば体が重い」

霧島さんも里中さんも疲れている。無理させるわけにいかない。

「シャドウは普段一般人を襲わないクマ、シャドウが暴れるのは霧が晴れる時だからそれまでは大丈夫クマよ、だから無理しちゃいやクマ」

「確かにこの前より疲れてるけど……」

「お前メガネしてないしな、相当しんどいだろ」

あ、言われてみれば里中さんメガネつけてないや。

「ちゃーんとあるクマよ、はい、チエチャンとショウチャン」

「持ってるなら早く出せよ」

「いま準備したクマよ。突然来たから焦りグマ」

霧島さんと里中さんもメガネをかける。

「……それで、霧が晴れるというのは?」

「そっちで霧がかかるときこっちでは霧が晴れるクマ、その時までは大丈夫クマ」

「ふむ……なら行動ペースは明久に中心になって決めてもらうか」

「え? 僕にリーダーやれって事? やっぱ僕が優秀だから?」

「勘違いするなバカ、両方の都合を把握するのにお前が一番いいってだけだ。お前に管理させるのは不安だがそこは俺と陽介でフォローしてやる」

「おう、任せてくれ」

もしかしてこれってただの雑用係?

「……大丈夫、雄二はこう言っておいて吉井を頼りにしている」

「そうそう、それに吉井くん頼りになるし、あたしは吉井くんがリーダーでいいと思うよ」

女の子たちのフォローがすごく嬉しい。

「それじゃあ今日のところは引き上げるか」

「うん、そうだね、里中さんの体調が良ければ明日改めて探索しよう」

「……吉井、私も手伝う」

「へ? 霧島さんも手伝ってくれるの?」

「……うん」

僕は雄二に確認するために視線を向ける。

「翔子もペルソナ手に入れたし、止めても聞きそうにねえからな」

肩をすくめてやれやれという動作をするが反対ではないようだ。

「状況は後で俺の方から教えておく」

「それじゃ、改めてよろしくね」

「……よろしく」

「絶対に天城を助け出そうぜ」

「おう!」

 

 

『我は汝……汝は我

汝新たな絆を見出したり……

 

絆はすなわちまことを知る一歩なり……

 

汝、愚者のペルソナを使いしとき

我ら、更なる力の祝福を与えん』

 

 

僕たちはテレビの外に出てきた。

「さて、雄二、改めて霧島さんとの関係を聞こうか?」

「忘れてなかったか、このバカ……」

「おいおい、明久、雄二が誰と付き合ってようと俺達が口出すもんじゃないだろ」

わかってないな……

「甘いよ、陽介、我ら異端審問会は他人の幸せは許さない!」

「おいおい、異端審問会って……」

「はぁ……翔子、駅で待ってろ、とりあえずこのバカと少し話をしておく」

「……わかった」

「あたしも先帰るね、疲れててシンドいし……」

霧島さんが駅に向かい里中さんは家に帰る。

「二人きりで帰るつもり! 貴様青春を謳歌する気だな!」

「モロキンが感染ってるぞ、お前……」

「事情を説明する必要があるからだ、そもそもお前が思ってるような状況じゃねえんだよ」

雄二が言うにはスタンガンで黙らされて映画を見に行ったりとか拉致されて部屋に閉じ込められそうになったりとかそういう話……随分変わった交際だね

「それで雄二を追いかけてここまで来たってこと?」

「ま、そういうことだ、でも翔子もここで自分と向き合って何か変わったかもな」

「そっか、霧島さんも自分を乗り越えられたんだ……」

「一応お前のおかげでもある、感謝していないこともない……」

「え? 僕何もしてないけど」

「そうだな、やっぱりお前は役立たずだ、さっきの言葉は撤回する」

「なんだと、貴様!」

 

 

『我は汝……汝は我

汝新たな絆を見出したり……

 

絆はすなわちまことを知る一歩なり……

 

汝、刑死者のペルソナを使いしとき

我ら、更なる力の祝福を与えん』

 

坂本雄二は戦いの決意を固め……自分がピンチのとき明久を盾にするようになった。

 

 

「ちょっと待て、雄二、なにさらっと僕を盾にすること考えている!」

「なんでわかった!? シール……明久」

「今僕のことシールドって言いそうになった! やはり今ここで葬ってやる!」

「落ち着けって明久、雄二、今のうちにさっさと帰れ」

陽介が僕を押さえつける。

「感謝するぞ、陽介、じゃ、また明日な」

「くそう、僕がいなくなっても第二、第三のFFF団の刺客が……」

「どこの悪役だよ、お前」

 

 

 

 

霧島翔子

アルカナ 死神

ペルソナ キビツヒコ

学力 Aクラス代表

 

ペルソナ解説 キビツヒコ

漢字で書くと吉備津彦、雄二のペルソナの温羅を退治したと言われ桃太郎の伝承のもとになったと言われる人物。

現代の一般的な桃太郎姿として陣羽織を羽織って日の丸ハチマキをした姿が語られるがこれは明治以降の変化のものである。

また翔子のペルソナも現代の桃太郎伝承に従い陣羽織にハチマキをした女性型の若武者姿をしている。

 

ペルソナ能力

耐性・弱点、ともになし

 

スキル

アギ ジオ

 

万能な霧島翔子の特性を持っているためアギ・ジオ・ブフ・ガル4属性の魔法すべてを習得する。ただし特化型には劣りブースター、ハイブースター、マハ○○ダイン等は習得しない。




ようやく書き終わったという感じです。なんかすごく苦戦しました、駄文になっていないかが不安です。
最後の雄二のアキちゃんバリアーはふと思いついてしまいました。

さて、今回は話題が少し多いです。
まずクイズの答えですが、答えは『死神』今回は半ば意図してのフェイク、女帝という回答が多いと予想しての選択です。
正解者は0でした。流石にひねくれ過ぎかなあと少し反省。
では意味を解説します。
死神が象徴するものは無感動とか停止とかの悪い意味が目立ちますが逆説的な死と再生、仕切り直しといった意味合いもあります。
割と雄二に引きずられているところもありますが原作にもその兆候が見られる関係の仕切り直し、それを象徴させています。
また刑死者の一歩進んだ先に死神のアルカナがあります。これは原作における雄二が試召戦争の勝利で翔子に追いつこうとしているということも示してみました。
個人的見解が強いのですが雄二ありきの翔子というこの二人を組み合わせで考えて翔子のアルカナは決めました。
その結果がペルソナのキビツヒコともなっています。こちらは見事当てた方がいました。
決して雄二が死刑されるとかじゃないですよ。
では次の話題、翔子が自分を見つめ直した結果ですが、まあ、嫉妬する自分も自分ということで受け入れたんで雄二が他の女の子に対して浮気は許しません。この辺は原作のノリを大事にしたいという思いもあります。
ただ反省はして同性に対する浮気は誤解しない程度にはしたいと思います。
秀吉? 秀吉は性別秀吉だから異性ですよ、一緒に着替えとかお風呂は処刑の対象です。友人としては認める方向にしたいですけど。

さて、最後にひとつご意見を伺いたいのですがコミュ発生後の明久から千枝、雪子への呼び方を呼ばれ方に倒して少し悩んでいます。
「里中さん」「天城さん」が自然だと思いますが名前呼びに変えたほうが文月に行ったとき面白そうだとも思ってしまいしました。よろしければ参考程度にご意見を聞かせてください。アンケートというわけではないのでご意見を伺ったあとに自分で決めます。
一年生sはまた考えていますので二年生の女の子たちの方で。

それでは長文をここまで読んでいただきありがとうございました。
また次回もよろしくお願いします。
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