バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第二十七話

家に帰ると珍しく叔父さんが先に帰宅していた。

「ただいま、すぐにご飯の準備するね」

昨日、菜々子ちゃん達と買い物に行ったときに今日の分の食材も買っておいたのですぐに食事の支度に取り掛かれる。

「ああ、待て、ちょっと聞いておきたいんだが……」

「ほえ?」

「お前、妙なことに首突っ込んでないか?」

首を突っ込む? マヨナカテレビに顔が入ったときは突っ込んだんじゃなくて吸い込まれたんだし……

「別に何もしてないけど?」

「そうか、なら良いが……昼間の署のことがちょっと引っかかってな」

昼に連れて行かれたこととなにかに首を突っ込むのと何が関係あるんだろうか。

「お前のことだから小西早紀の時みたいに天城雪子の話を聞いて突っ走ったんじゃないかと気になってな……」

「いや、天城さんのことは足立さんから聞いて初めて知ったし……」

「そうか……こっちはお前を預かっている身なんだ、おかしなことに首を突っ込むなよ」

「お兄ちゃん、お腹すいた」

叔父さんと話していると菜々子ちゃんが会話に入ってくる。

「お、そうか、夕食の準備の邪魔をして悪かったな、明久」

「それじゃ、菜々子ちゃん、もうちょっと待ってね」

 

 

『明久、首を突っ込むというのはそう言う意味じゃない』

「ええ!?」

夕食後、僕はさっきの出来事について雄二と電話で話していた。

『お前の叔父さんが言うのは事件のことに関わろうとするなという意味だ』

「え!? もうすでに関わってるよ!」

『ま、説明できないんだから今後も誤魔化すしかないんだがな……』

「え? 説明して協力を頼めば良いんじゃないの?」

考えてみれば叔父さんは刑事だ。実際にテレビに入れるところを見せれば信じて協力してくれるかもしれない。僕がそのことを雄二に話すと

『それはやめておいたほうが良い』

「なんでさ?」

『お前ちょっとは考えたのか?』

「全然」

『明日会ったらグーで殴る』

「どうせ考えてもわからないんだから仕方ないじゃないか!」

『開き直るなバカ、良いか、お前の叔父さんは……保護者としては当然だがお前が危険なことをするのは止めようとするだろう』

「うん、さっきも僕に注意をしたわけだし」

『その叔父さんが向こうの世界のことを知ったら俺たちには行かせず自分で調べようとするだろうな、さらにもっと悪い可能性として同僚も呼ぶことだ』

「人数増えるのがなんでダメなの?」

『考えてみろ、俺達の時はたまたまお前がペルソナに目覚めたから助かったが、お前の叔父さんの時もうまくいくとは限らない、その上お前の叔父さんの相棒は昼間に警察であったあの頼りなさそうな人だぞ』

雄二に言われて僕は足立さんを思い浮かべる。

『あれが自分の影を乗り越えられると思うか?』

「無理だね」

『ま、そうじゃなくてもクマとの約束もあるからな、俺たちで解決できなくなるようなことは避けたい』

イゴールさんの話だとあれは『契約』、自分でやらなくては責任を果たしたことにならないだろう。

「うん、わかった、なら僕も叔父さんにバレないように気をつけるよ」

『ああ、そうしろ』

 

 

4/18 月 晴

 

 

「里中のやつ大丈夫かな。昨日は色々ありすぎたし元気になってりゃいいけど……」

「うん、心配だよね、霧島さんの方は雄二に任せるしかないけど……」

朝、教室で僕は陽介と話をしていた。里中さんはまだ登校してきていない。

ガラッ

そうして二人で里中さんの席を見ていると教室の戸が開いて里中さんが登校してきた。

「あ、おはよ」

「おはよう、体調は大丈夫?」

「うん、ゆっくり休んでもう平気……あのさ、昨日はありがと」

「へ? なにが?」

別にお礼を言われるようなことはしてないと思うけど……

「なんか、恥ずかしいっていうか……よく考えたら二人には本音とか見られちゃったわけだし……」

「気にすんな」

「たしか花村もあたしみたいになったんだよね? 花村んときはどんなんだったわけ?」

気になるとは思うけど……陽介的には言いたくないことだよね。

僕は話すかどうかの判断は陽介に任せることにする。

「え? あーなんていうか……そういや、お前の時は何もなかったよな」

陽介が誤魔化すように僕に話題を振る。

「うん、僕は別に隠すようなことはないからね」

「まー確かに裏表はなさそうだけど……まあ、性格っていうより……なあ……」

「え? なに? どういうこと?」

陽介の言い方に僕は意味が分からず聞き返す。けど里中さんにはわかったらしく……

「あー、うん、隠し事が苦手そうっていうか……本音で生きてるっていうか……」

「根が単純って感じだよな、明久の場合」

「それは褒められてると受け取っていいよね」

「あー……褒めてる、褒めてる、なあ、里中」

「う、うん、吉井くんは素直で良いやつだってことだし」

なぜか二人は口ごもって言う。

「っと、俺ちょっとトイレ」

「また? この前の漏らした時といい花村って随分トイレに縁があるよね」

「漏らしてねーよ!」

そう言い捨てて陽介はトイレに走る。

「ね、あのさ、えっと……ありがとね、助けてもらって」

二人になると里中さんはお礼を言ってくる。

「別に良いよ、友達を助けるのは当たり前だし」

「う、うん、花村も頼れるんだけど吉井くんも意外とやるときはやるって感じがして頼れるんだよね」

こうやって褒められると照れる……今までは罵倒されることや毎日のようにあったけど褒められたことは少ないし……

「あ、そうだ、それよりさ、これから調査に必要だから電話番号とか交換しない?」

褒められ慣れていないからこういう空気はちょっと苦手なので僕は話題を切り替えるためにそう提案する。

「あ、そういえば必要だね」

「雄二の方にも確認とっておくよ、霧島さんの連絡先は僕も知らないし……」

雄二にメールを送ってそちらの方の番号とアドレスも登録する。

放課後会うけど早いほうが良いしね。

そこで始業のチャイムが鳴ったので里中さんも席に戻って授業を受けることにした。

ここでの新生活では少しは真面目に勉強をしようと思ってるので今日の目標は授業の一割以上理解することだ。

 

 

『我は汝……汝は我

汝新たな絆を見出したり……

 

絆はすなわちまことを知る一歩なり……

 

汝、戦車のペルソナを使いしとき

我ら、更なる力の祝福を与えん』

 

 

 

 

文月学園Fクラス教室、昼休み

「……雄二、いつの間にか女の子のメールアドレスが増えてる」

「昨日の件だ、必要だからってことで朝にメールが来たんだよ」

「……そう、今度からは私に相談してからにして欲しい」

「あ、ああ、わかった」

「なんじゃ、今日の霧島は随分大人しいのう」

「そうよね、いつもはこの時点で坂本が処刑されてるのに……」

「…………雄二も即座に逃げてない」

「お二人が仲良くなったんじゃないでしょうか?」

「…………それはそれで許されない」

「霧島に狙われなくともクラスの連中に狙われるわけじゃな」




現在プレイ中のゲームがないのでその隙に書き溜めモードに入ってます。今あまり忙しい時期でもないですし。
ずっと先の方の展開を妄想してて書き進めるのが楽しいっていうのも当然あります。

さてみなさんご意見ありがとうございました。明久からの千枝と雪子への呼び方は苗字にさん付けにすることにします。逆に明久が呼ばれるのは吉井くんです。

今回の話は日付が変わったところの間、前の二つで戦闘が続いたのでのんびり書けた気がします。最後の文月の方はおまけですね。
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