バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第三十三話

「ここかな……」

八十神高校実習棟、特別教室が多く並ぶ場所に僕は来ていた。

今まで授業で実習とかはなかったから来るのは始めてだ。

何かの部活がやっているのか調理室からは良い匂いがするし、被服室からはミシンの音がする。

放課後のこの時間、ここは色々な文化部の活動場所になる。

「たしか……ここだったよね」

『会議室』

そう書かれている部屋につく。諸岡先生に聞いたらここを部室代わりに使っているはず。

「すいませーん。演劇部ってここですか?」

「あ、入部希望?」

「あれ……君たしか転校生の……」

「あ、うん、転校生の吉井明久です、ここに来た理由は……」

「そっかそっか、ようこそ演劇部へ」

「男子部員少ないから助かるわ」

「いや、入部希望じゃなくて……」

「うん、それじゃあ一緒に基礎練習やってみようか」

「だからそうじゃなくて……」

僕は演劇部に入りに来たわけではない。ここに来たのは昨夜かかってきた一本の電話が原因だ。

 

 

Prrr Prrr

夜、雨も降っていないのでマヨナカテレビの確認も必要ないのでのんびりと部屋でゲームをやっていたら携帯が音を立てる。

「誰だろう」

ゲームが良いところだったので相手が雄二だったら無視してやろうと思って着信通知を確認する。

『木下秀吉』

「もしもし、秀吉?」

その名前を確認した瞬間、電話を取る。

『もしもし、久しぶりじゃな、明久』

電話の相手は木下秀吉、自分が男だと勘違いしている友人だ。

「うん、久しぶりだね」

『うむ、お主が転校してまだ一ヶ月経っておらぬがえらく懐かしく感じるのう』

そうか、色々あったからすごく久しぶりな気がするけど引っ越してからまだ一ヶ月経ってないんだ。

『ところで明久、お主に頼みたいことがあるのじゃが』

「え、なに?」

『うむ、お主が転校したのは八十神高校じゃったな?』

「うん、そうだけど……」

『そこの演劇部の生徒とかに知り合いはおらぬか?』

「え? いや、知ってる人はいないけど……演劇部がどうかしたの?」

『うむ、去年コンクールで見たのじゃが八十神高校の演劇部にはなかなか良い演技をする役者がおってのう、できれば交流を持って互いに切磋琢磨したいと思っておったのじゃ』

切磋琢磨の意味はわからないけど、交流、つまり秀吉が定期的に僕に会いに来るということだ。

「そういうことなら僕が演劇部に話をしてみるよ」

『さすが明久じゃ、頼りになるのう』

 

 

「それじゃ、発声練習から」

そして今、僕は演劇部で発声練習と滑舌の練習をしていた。

「あーーー、はい、やって見て」

「あーーーー」

「滑舌の方もやってみようか、あめんぼあかいなあいうえお」

僕に熱心に指導してくれているのは同じ二年の小沢結実さん、彼女が秀吉の言っていた良い演技をする子かな。

「あめんぼあきゃッ……」

「大丈夫、最初はそんなものだよ。練習すれば上手くなるから大丈夫」

噛んでしまった僕をフォローしてくれる。よし、このまま僕も練習して一流の役者に……

「って違うよ!? 僕は入部に来たんじゃないんだって!」

「え? 違うの!? ならなんで練習に?」

「気がついたら練習に参加していたよ……恐ろしい罠だった……」

危ない、思わず乗せられて役者を目指すところだった……

「そっか、入部希望じゃないんだ……男子の部員少ないから残念だな」

ちょっと悪いことをしたかもしれないけど、もともと僕に演技なんて向いてないし……

「それで、吉井くんの用事はなんだったの?」

「あ、うん、前の学校にいた友達が演劇部なんだけどその友達がここの演劇部と交流したいって言うから僕が話をしに来たんだ」

「吉井くんの前の学校ってどこ?」

「うん、文月学園だけど……」

「文月!? 君の友達の名前は?」

「え? 木下秀吉だけど……」

僕が秀吉の名前を口にした瞬間他の部員たちもざわめき始める。

「木下秀吉というとあの七色の声を持つ……」

「男性役と女性役を両方できるといわれている……」

「あえて秀吉という男性名を名乗り普段から男性という演技をしている女の子という噂も……」

すごいな……秀吉ってこんな有名人なんだ……確かに前から秀吉の演技力はすごいと思っていたけど……

「部長、この申し出は受けるべきです!」

小沢さんが部長に交流を強く申し立てる。

「う~ん、そうだね、僕たちの方にも良い影響ありそうだし良いんじゃないかな」

「それじゃ今から電話してみるから」

僕はこの場で秀吉に連絡をした。そしてその場の話し合いで互いに学校の都合を話し合い日時を決めた。

「それじゃ、当日は僕が文月の演劇部員たちを連れてくるね」

「え、そこまでしてくれるの?」

「うん、僕も久しぶりに秀吉に会いたいしね」

 

 

そして二つの演劇部の交流会当日、秀吉たちを案内してきたあと僕は演劇部の練習を見学することにした。

こうして見ると秀吉の演技がすごく輝いて見える。普段は僕たちと一緒にバカをやっていたけど演劇をしている時の秀吉は一生懸命ですごく頑張っていることがわかる。

そして両校とも満足する結果で交流会は終わった。

「明久、今回の交流会はお主のおかげじゃ、おかげで有意義な時間を過ごすことことができた。感謝するぞい」

「僕はこっちの演劇部にお願いしただけだから大したことはしてないよ」

「いや、それでもこういう機会を儲けることができたのはお主のおかげじゃ」

「うんうん、ね、どうせだったら、このまま演劇部に入らない? そうすればまたこういうことできそうだし」

話を聞いていたのか小沢さんも話に入ってくる。

「いや、僕一応バスケ部にも入っちゃったから演劇部には入れないけど……でもまた何かやるんなら僕に声をかけてもらえれば仲介役くらいするよ」

「まあ、実際にはワシらも携帯番号を交換したしお主の世話にはならぬが……それでも明久とも演劇の話ができるようになるかもと思ったのに、ちょっと残念じゃな」

 

 

『我は汝……汝は我

汝新たな絆を見出したり……

 

絆はすなわちまことを知る一歩なり……

 

汝、太陽のペルソナを使いしとき

我ら、更なる力の祝福を与えん』

 

伝達力

伝え下手→少しはある




秀吉コミュ発生のはずなのに秀吉の出番が少なく小沢結実の方が出番多かったです。
原作だと入部タイミングでの文化部コミュ、せっかく演劇部という選択肢があるんですからここで秀吉を関わらせようと思いました。頭の中で話は出来ていたのに妙に書くのに苦労してしまいました。
ということで秀吉のアルカナはもともと演劇部ポジションの太陽、偶然的な要素もありますが某先輩の秀吉へと捧げられた詩も頭にありました。
意味的にも幸福とか活力とか秀吉に合う気もしますしスムーズに決まったところです。
ではクイズの正解者発表。

リョタさん、佐藤よしあきさん、へもそなさん、QVさん
以上4名様は登場キャラ、アルカナ両方当てられました。おめでとうございます。

他には未登場のバカテスキャラも含めてアルカナを予想してくださった999さんの秀吉は正解、Dummy Ratさんは秀吉が登場というところは正解です。
関わるキャラは直斗予想が多かったですね。今回のところは演劇部つながりです。まだ秀吉は事件に関わりませんので。
では次回もよろしくお願いします。
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