バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第三十四話

4/29 金 雨

 

 

連日雨が降り続いたのでマヨナカテレビをチェックしていたが何も映らず過ごしていた。今日も雨なので三日連続……天気予報では今夜には雨には霧が出るという話だけどテレビに誰も入っていないはずだから大丈夫だと思うけど。

そして今日は夕飯を叔父さんも含めた3人で摂りのんびり過ごしていた。

『ジュネスはGWも休まず営業します』

「ジュネス、おやすみしないって」

菜々子ちゃんは連休に遊びに行きたいのか叔父さんにそうねだる。

「はは、連休どこか行きたいのか」

「いけるの?」

「お前、どうだ? 予定空いているか?」

「うん、今のところ予定は入ってないよ」

せいぜい陽介とかと遊ぶくらいの予定しか入らないだろうし、それなら叔父さんや菜々子ちゃんと過ごすのも楽しいと思う。

「だったらみんなでどこか行きたい!」

「菜々子ちゃんどこか行きたいところあるの?」

「菜々子ね、ジュネスがいい」

僕の問いに菜々子ちゃんは即答する。よほどジュネスが好きなんだなあ。

「ほんとにジュネスでいいのか? そんなのいつでも行けるだろ……ほら、もう遅いから寝なさい」

「はーい」

叔父さんに諭され菜々子ちゃんは楽しそうに寝る準備をする。

普段忙しい叔父さんが家族サービスをしてくれるんだから楽しみにする気持ちはわかる。

その夜、霧が出ていたのでマヨナカテレビを見たけど何も映らなかった。

明日には天城さんも学校に来れそうだと里中さんも言ってたし、雄二たちも呼んで相談しないといけないかな。

 

 

4/30 晴

 

 

「あ、おはよ」

朝、登校すると校門のところで天城さんと会った。

「おはよう、天城さん、もう身体は大丈夫?」

「うん……今日から学校に来るから……よ、よろしくね」

「うん、こちらこそよろしく」

「なんか、みんなにすごく迷惑かけちゃったよね、ごめんね」

「迷惑なんかじゃないよ、天城さんは被害者なんだし気にすることないからさ」

今回の事件で天城さんはただの被害者、謝って貰う必要はない。

「う、うん、そうだね、なら助けてくれてありがとう」

「どういたしまして」

天城さんの表情は前より明るい

「お母さんね、もう仕事に復帰したの。中居さんたちも協力してくれてすごくうまく回り始めたみたい」

あ、そういえば天城さんのお母さんが倒れたせいで事件の前は天城さんが忙しく働いていたんだっけ……

「私、自分でなんでもやらないといけないと思ってたけど……あれから、自分のこととか少し冷静に考えられうようになったと思う」

「そっか、僕なんて自分のこと考えようと思っても無理だし、すぐにその場の感情で動いちゃうから天城さんはすごいと思うよ」

あんなことがあったのに自分を見つめられるのはすごいと思う。

「でも恥ずかしいな、自分でも見られたくないと思ってたとこ、みんなに見られちゃったし」

「見られたくないとこ? 里中さんを王子様と呼んでいたそういう趣味のとこ?」

「あ、あれはそう言う意味じゃないから、私そんな趣味ないから!」

「あはは、うん、わかっているよ」

「もう……」

僕の冗談にも笑って返せるということはもう天城さんは大丈夫だと思う。

「雪子ー」

「あ、千枝」

「里中さん、おはよう」

「うん、おはよ」

そのまま僕たちは三人で雑談をしながら教室に入った。

 

 

放課後、雄二や霧島さんも含めてジュネスに集まっていた。

「で、なんで集まってるんだけ? えっと……」

「……雪子に事情を聞く」

「ん? 翔子、お前いつの間に天城のこと名前で呼ぶようしたんだ?」

そういえば前にテレビの中では天城って呼んでた気がする。

「あ、翔子は千枝と一緒にお見舞いに来てくれてたんだ、それで仲良くなって」

天城さんが補足する。何気に天城さんの方からも名前で呼ぶようになっている。

「そうか、お前が名前で呼ぶなんて珍しいと思ったがそういう事情か」

「お、さすが幼馴染、霧島のこと詳しいな」

陽介が雄二をからかうように言う。

「つ、付き合いが長いから知りたくなくても知ってしまうだけだ!」

雄二が照れ隠しにそう言う。

「……付き合いが長いから雄二のことは身体の隅から隅まで知ってる」

「か、身体の隅から隅まで……?」

「雄二、お前まさか大人の階段を……」

里中さんと陽介が驚いた顔で見る。ふむ、身体の隅から隅まで……つまり二人の中はそこまで進んでいると……

「くたばれ! ペルソナァァ!!」

「落ち着け、バカ、ここはテレビの中じゃない、ペルソナは出てこないぞ!」

手元に武器は無し……ここがジュネスのフードコートということは暴れるのもまずいというのか……一度警察に連れられてるし……なら

「雄二、クマも交えて話をするためにテレビの中に入ろうよ」

「お前絶対に目的違うだろ!? 翔子も誤解招く言い方すんな! 小学生の頃一緒に風呂に入ったくらいで……」

「死ね!」

僕は椅子を振り上げ雄二に叩きつける。

「お、落ち着けって、明久、お前雄二の恋愛が絡むと人が変わって襲いかかるよな……」

だけど残念なことに陽介に取り押さえられる。

「離せ、陽介、他の人はともかく異端審問会所属のこいつは掟に従って処刑しないといけないんだ!」

「まったく、そもそも、俺が異端審問会に所属している理由はカップルがにくいからじゃないんだぞ」

自分が処刑されるのは心外とばかりに雄二は肩をすくめる。

「そうなの?」

「ああ、俺はただ純粋にお前の幸せを妨害するために異端審問会に協力しただけだ」

「こいつ最悪だ!?」

「う……ぷふ……」

今まで黙って見ていた天城さんが口元を抑える。

「あはは、あははっはっはっは!」

そして突然爆笑をはじめる。

「あ、天城?」

「……どうしたの?」

「二人ともおかしい! 互いに幸せを阻むためにとか……」」

そしてお腹を抑えて苦しそうに笑い続ける……

「うわ……出たよ、雪子の大爆笑、あたしの前以外ではないと思ったのに……」

里中さんだけがこの天城さんの爆笑を知っているのか冷静に意見をする。

「ま、まあ良いじゃないかな、僕たちの前で見せてくれるってことはそれなりに心許してくれてるってことだし……」

これも意外な天城さんの一面だけど……良いよね、楽しそうだし。

 

 

ひとしきり笑い続いて落ち着き天城さんから事情を聞くことにする。

「それで、天城、さらわれた時の状況はやはり思い出せないままか?」

雄二が天城さんに問いかける。

「うん……落ち着けば思い出すかなって思ったけど、時間が経つほどよくわからなくなって……ただ、玄関のチャイムが鳴って誰かに呼ばれたような気はする……けど、その後はもうあのお城の中で……ごめんね」

「謝らなくていいってば」

「……その状況じゃ覚えていなくても仕方がない」

里中さんと霧島さんがフォローする。

「でもその来客が犯人ってことかな?」

「だとしたら相当大胆だぜ、玄関からピンポーンなんて……」

僕の言葉に陽介が言う。

「確かにな……その状況だと天城が出るとは限らないというのに……」

雄二は真剣に考えごとをしている。

「何を考えているの?」

「ああ、いや、犯人像を考えてみたんだがさすがに情報が少なすぎて思いつかなくてな……」

雄二が考えてもわからないということは僕が考えても無駄だろう。

「目撃者がないか警察が洗っているけど……あまり期待できないだろうな」

「……旅館だと人の出入りは多い」

他にも意見を交わすが有効な手段は思いつかない。

「なんでこんな事すんだろ?」

「そこまでは犯人に聞かなきゃわからねーな、けどひとつ大事な事がはっきりした……人が次々と向こうに行っているのは偶然じゃない。こっちにいる誰かがさらってテレビの放り投げているんだ」

「あ、そうか、天城さんが落ちたのは偶然じゃないってことはこれではっきりしたんだ」

陽介に言われてこれが事故という可能性が消えたということに気付いた。

「そして相手が複数犯じゃない限り明久と同じように最初からテレビに入る力を持っているということになるな……そもそも何で明久には影が出なかったんだ?」

「あたしたちも前に話したけど裏表がないからかなって……」

「ああ、確かに明久は裏ができるほどの知能ないもんな」

「……吉井は純粋」

「これは褒められてるんだよね」

「他はともかく俺は馬鹿だと言っている」

「お前ら、また天城を爆笑モードにさせる気か……」

また喧嘩をはじめようとする僕たちを事前に陽介が止める。

「ああ、そうだ、天城、言ってなかったけど俺たちで犯人をあげようってことにしてるんだ、この事件警察には無理そうだし俺らには力があるからな」

本当は最初に説明しておくべきだったけど言い忘れてたので今更ながら天城さんに説明する。

「うん、だから……危険かもしれないけど天城さんもペルソナを手に入れているはずだから、よかったら力を貸してくれないかな?」

女の子を危険にさらすことになるけど……里中さんや霧島さんもいるんだし天城さんだけ仲間はずれにはできない。

「あたしもやるからね」

「……うん」

里中さんと霧島さんも声をかける。

「わかった……私もやらせて、どうしてこんなことが起きているか知りたい。それに……もし自分が殺したいほど誰かに恨まれているならそれを知りたいと思う、もう自分から逃げたくないの」

「うん、それじゃあ改めてよろしく、天城さん」

「でも、これからどうするの?」

「狙われてるのって私で最後なのかな? もし次に狙われている人が検討つくなら先回りできないかな?」

「でもマヨナカテレビ以外に予想の材料ないよね?」

天城さんの考えに僕が言う。

「ふむ……マヨナカテレビも重要だが今までの被害者の共通点も考えてみるか」

それに対して雄二が今できる手段を上げる。

山野アナ、小西早紀、天城雪子……三人の共通点は

「全員4文字?」

「山野アナは名前じゃない、本名は山野真由美で五文字だ」

あれ?

「……全員女性で稲羽市在住」

そして共通点は霧島さんが答える。

「あと、二人目以降の被害者は一人目に関係しているってのは?」

陽介が続いて共通点を上げる。

「女性というのは偶然の可能性は捨てきれないが稲羽に住んでいるのと被害者の関係者という線で考えてみるのはありだな」

その言葉を受けて雄二が言う。

「女性は偶然って可能性あるの?」

たしか偶然も3度続くと必然と考えてもいいと聞いたことがある気がする。

「ああ、この場合は1/2が三回続いただけだからな、コインを投げて三回連続で表が出たのと同じようなものだ、明久、確率的にいくつだと思う?」

えっと……1/2が三回だから……

「1/6?」

「1/8だ、バカ、この程度ならまだ確定情報にするには早い、まあ調べる優先順位は女性を高めにしても良いけどな」

「なるほどな、つまりそれらを踏まえてマヨナカテレビを見るってわけか」

「ああ、誘拐前にぼんやりとだけど見えていたんだろう? それを手がかりに先回りができたらやってみよう」

 

 

 




雪子爆笑モード発動。雄二と明久が引き起こしたせいでクマのシーンがカットに……ついでに推理パートが長引いたせいで足立の出番までカットに……でも推理パートはペルソナ4の大事な部分ですからね。
日常編はまだ続きます。明久が転校してきてから初のテストも控えてますしね。
では次回もよろしくお願いします。
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