「ここで一年間過ごすのかあ……」
危なく寝てて通り過ぎるところだったけど僕は無事八十稲羽駅についた。
「確か叔父さんが迎えに来てくれているはず」
「おーい、こっちだ」
キョロキョロと辺りを見渡す僕に声をかけられる。
そこにはネクタイを緩めたおじさんと小さい女の子がいた。あれが遼太郎叔父さんかな。
「あー……写真と違ってまともな服装だな」
「ちょっと待って、どんな僕の写真が送られていたの!?」
叔父さんの第一声にいきなりツッコミを入れるなんて……
「ま、まあ、気にするな」
「目を逸らさないでこっちを見てよ!?」
叔父さんの手にしている写真を奪い取ってみてみる。
「お前の趣味には口出さないが……家では控えて欲しい」
そこには女装した僕の写真(睡眠中)が……
「違うからね、趣味じゃないからね! これは家族が勝手に!」
「そ、そうか、まあ、そのほうが俺も助かる。菜々子の教育にも良くないしな」
なんでいきなりこんな写真を……犯人は母さんか、それとも姉さん……はっ、まさか雄二という可能性も!?
「ああ、挨拶が遅れたな、ようこそ稲羽市へ、お前を預かる堂島遼太郎だ。ええと、お前のお袋さんの弟だ。一応挨拶しておかないとな」
叔父さんはあの母さんの弟なのに常識人っぽい。
「はじめまして、吉井明久です」
最初の挨拶は肝心だよね。あの写真が僕の本当の姿だと思われたくない。
「はは、オムツ変えたこともあるんだけどな」
「ええ!? まさか寝てるあいだにこっそりと!?」
やはりあの母さんの弟、油断できないか!
「そんなわけ無いだろ……お前が赤ん坊のころだ。お前どんな生活送ってるんだ……」
ああ、そうなんだ。居候先の家でも油断ができないかと警戒してしまった。
「で、こっちは娘の菜々子だ。ほれ、挨拶しろ」
「……にちは」
この子内気なのかな、なら年上として僕から歩み寄らないとね。
「こんにちは、菜々子ちゃん」
僕は菜々子ちゃんに笑顔で挨拶をするが菜々子ちゃんは叔父さんの後ろに隠れてしまう。
「まさか、叔父さん、僕の写真を菜々子ちゃんに……」
「安心しろ、気まずくなると思って見せてない。照れてるんだろ」
その言葉に菜々子ちゃんはちょっと怒ったのか叔父さんを叩く。
「いてっ、はは」
それにたいして叔父さんは笑って流す。仲の良い親子だな。これなら居心地も良さそう。
「さぁて、じゃ、行くか。車、こっちだ」
僕は叔父さんの車に乗って堂島家に向かうことになった。
「お父さん、トイレに行きたい」
「わかった、明久、ちょっとスタンドによるぞ」
「あ、はい」
商店街らしきところにあるガソリンスタンドに叔父さんは車を停める。
「らっしゃっせー」
アルバイトかな?店員さんが明るく声をかけてくる。
「トイレ、一人でいけるか?」
「うん」
「奥を左だよ、左ってわかる?お箸持たない方ね」
「わかるってば……」
店員さんが菜々子ちゃんにトイレの場所を教える。親切なんだけど余計な一言付け加える人だなあ。
「どこか、お出かけで?」
「いや、こいつを迎えに来ただけだ。都会から今日越してきてな」
「へえ、都会からっすか」
店員さんは叔父さんと会話をはじめる。
「ついでに満たん頼む、あ、レギュラーでな」
「ハイ、ありがとうございまーす」
「一服してくるか」
叔父さんはタバコを吸いに席を外す。そうしたら今度は店員さんは僕の方に来る。
「君、高校生?」
「うん、そうだけど」
もしかして暇なのかな、お客さんと話さないとやってられないくらいに。
「都会からくると、なーんもなくてびっくりでっしょ?実際退屈すると思うよ。高校の頃っつったら友達の家に行くかバイトくらいだから。でウチ今バイト募集してるんだ」
たしかに、ゲームショップくらいないと暇だよね。中古ショップがなくて新品だけだとお金もかかるし。
「ぜひ、考えておいてよ、学生でも大丈夫だからさ」
そうなるとバイトを見つけておいたほうが良いかな、店員さんは僕に手を差し出してくる。ここはバイト候補なら愛想よくしておいたほうが良いよね。僕は店員さんの手を握り返す。
「おっと、仕事しないと」
店員さんは叔父さんの車にガソリンを入れるために行ってしまう。
そこに戻ってきた菜々子ちゃんが僕の方を見ていた。
僕が声をかけようとすると……
「あれ……」
ちょっと足元がふらついた。
「……だいじょうぶ?」
菜々子ちゃんが心配そうに声をかけてくれる。ここ数年風邪なんてひいてないんだけど……
「車酔い?具合、悪いみたい」
「大丈夫だよ、体は丈夫だから」
ちょっと目眩がしたけど小さい子に心配かけたくないし、そう答えておいた。
そうやってるうちにガソリンも入れ終わり叔父さんも戻ってきたので出発することにした。
バカテスキャラの非常識さに堂島さんが今後苦労しそうな気がしますね。
そしてゲーム画面見ながら書いてても未だ最初のセーブポイントにたどり着かずに書くときに最初からやり直しています。
では次回もよろしくお願いします。