バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第四十話

5/15 日 雨/曇

 

 

「え、それでは稲羽市連続誘拐殺人事件、特別捜査会議を始めます」

「ながっ!」

ジュネスのフードコート、いつものように集まった僕たちに陽介が告げる。

「あ、じゃあここは特別捜査本部?」

「お、それそれ、天城うまいこと言うな」

「トクベツそーさ本部……んー、そう聞くとなんか惹かれるものが……」

「うん、なんか格好良いよね」

里中さんの言葉に僕は同意する。

「名称とかはどうでも良い、とりあえず昨日のマヨナカテレビの内容を教えてくれ」

雄二が呆れた声で言う。

「なんだよ、ノリ悪いな」

「それで士気が上がるのは良いんだが遊ぶ気分になっても困るしな」

「……大丈夫、みんな真面目にやってる」

雄二は名称で気分が緩むのを警戒したのかな?

「ま、それじゃ真面目に昨日のマヨナカテレビの話だが……お前ら、ちゃんと見たよな?」

陽介が里中さんと天城さんに確認を取る。

「見た見た、顔はわからなかったけどあれは男だよね?」

「うん、雄二くらいごつい体格をしていたから間違いないと思うよ、多分高校生くらいじゃないかな?」

「天城と陽介も同意見か?」

「うん、私にも男に見えた」

「間違いないと思う」

雄二が二人にも確認を取ると頷いて僕たちに同意する。

「ふむ……ならとりあえず男と考えて話を進めよう」

「ということは女だけっていうのは外れてたってことよね?」

「……前は偶然が続いただけ」

前に雄二が説明してた通り、三人女性が続いたのはただの偶然だったということみたいだ。

「それでもまだはっきり映ってないんだよな」

「確か私の時は、行方不明になった夜からマヨナカテレビの内容が変わったんだよね?」

「うん、画像が鮮明になって内容もバラエティ風味になったよね」

「カメラアングルも凝っていたな、胸元がアップになったりして明久が鼻血を吹き出していた」

天城さんの言葉に僕は同意し雄二も頷く……って、え!?

「なぜそれを知っている!? 」

「お前部屋に戻ってきたとき鼻抑えてただろ」

しまった、油断してた……

「……雄二、鼻血を出すような映像を見てたの?」

「お、落ち着け翔子、こいつが鼻血出しやすいだけで別にそんな過激じゃ……ぐぁぁぁあ!?」

もう雄二がアイアンクローされるのも見慣れたなあ。みんなもいつものことなので気にせず話を続ける。

「そ、そんなに過激だったの?」

「いや、まあ、過激っちゃあ過激だけどそこまでのことじゃ……吉井くんって意外と純情?」

「明久らしいって言えば明久らしいけどな」

「お、お前ら、和やかに話してないで助け……」

「ぼ、僕の鼻血のことは今は置いておこうよ」

「そうだね、それでさ、昨日の男の人ははっきり映らなかったでしょ? もしかしたら今はまだあっちに入ってないんじゃ?」

「……その可能性は高い」

「翔子、お前も技かけながらそっちの会話に混ざるな!」

「……なら技に集中する」

「そうじゃなくて離してくれと……」

「翔子、別にそこまで過激なものじゃなかったし、離してあげたら?」

「……雪子がそう言うなら」

天城さんに説得されて雄二が解放される。

「まったく、この程度で攻撃してくるなよ……で、中に人がいるかどうかはあとでクマに聞いておけば良いだろ」

雄二はかなりのダメージのはずなのに平然と会話に戻ってくる。

「うん、これでまだ攫われてないなら、誰かわかりさえすれば先回りできるんじゃないかな?」

「確かにな、上手くすれば犯人もわかるかもしれない」

天城さんの言葉に陽介が頷く。

「そうだな……しかし手がかりはあるのか?」

「う……悔しいけどわかんねー……もう一晩くらい様子見したほうが良いかも……」

「ならマヨナカテレビを一応録画しておいてくれ、俺と翔子も確認しておきたい」

「泊まっていけば良いんじゃない?」

「そうしたいが明日も学校だからな、明日俺と翔子が二人揃って学校休むか遅刻するかしたらどうなるか想像してみろ、外泊という情報付きで」

ふむ……他の人、FFF団は事情を知らないわけだから……

「山の中か海の底……」

「死体の処理方法まで考えなくても良いがそういうことだ、ということで録画の方は頼むぞ」

「うん、了解」

「ま、超常現象のモノが録画できる保証はないけどな、念のためだ」

帰りにクマのところで確認したけどあっちの世界に人が入った気配はないみたいだった。

今夜も雨が降りそうなのでマヨナカテレビを確認することにして僕たちは解散した。

 

 

深夜12時、僕を準備してマヨナカテレビの時間を待っていた。

そして人影がぼんやりと映り出す。僕は録画ボタンを押してマヨナカテレビの映像を見る。

画像はまだぼやけていてはっきりしないけど昨日と比べると鮮明に見えている気がする。

「この人、どこかで見たような気が……」

考え込んでいるうちに画像は消えてしまう。

Prrrr Prrrr

「あ、陽介か、もしもし」

『見たか?』

「うん、どこかで見たことある気がするんだよね……」

『あれ、巽完二じゃないか?』

たつみかんじ……

「あーっ、あの特番の、確かに言われてみれば!」

『そうそう、あのカメラにコラァとか言ってて超怖いやつ』

「でもあれで結構いいとこあるみたいだよ」

『そうなのか? まあ、でもこれで目星は付いた、明日またみんなで話そうぜ』

「うん、そうだね」

『あ、ところで話全然変わるけど、電話ついでに聞いて良いか?』

「え? なに?」

『お前さ……天城と里中の事どう思う? ぶっちゃけどっちがタイプ? それともこないだお前に会いに来てた島田が好みとか?』

「ええ!? よ、陽介、突然何を聞いてくるのさ!?」

『男同士でこういう話くらい普通だろ? で、どうなんだよ』

こ、好みを聞かれても、天城さんも里中さんも同じくらい可愛いし、それに美波も胸はないけどあれでたまに女の子らしいとこを見せるとすごく可愛いというか……

「いや、三人ともすごく可愛いから、僕なんかがどう思っても相手にされるわけないからさ!」

『はは、そんなことないと思うけどな、雄二に嫉妬とかしてないでお前も彼女とか作っちまえよ』

陽介こそ……そう言いそうになって僕は言葉を飲み込む、陽介は小西先輩が好きだったんだから……

「でも僕はモテないからそう上手くいくわけないよ」

『ま、もしお前が誰か狙いに行くなら俺は応援するからな。それにしても三人ともありってお前って結構守備範囲広い? ま、この話は当然内緒にしておくから安心しろよ。んじゃ、明日な』

陽介は笑いながら電話を切る。自分にあんなことがあったのに友達の恋愛を応援するとか……そう考えるとFFF団にいた自分が情けなく思える。

Prrrr Prrrr

今度は雄二か

『やっと繋がったか』

「あ、ごめん、陽介と話していてさ」

『いや、それは構わない、それでどうだった?』

「うん、陽介と話してわかったけど映ってたのは巽完二だと思う」

『巽完二?』

あの番組、稲羽だけのローカルなのかな? 雄二は知らないみたいだったから僕は説明した。

『映った相手を特定できたのは大きいな、それで、ビデオは録れているか?』

雄二に言われて僕は確認をする。

「あれ? 録れてない」

ビデオを再生しても砂嵐のみが映るだけだ。

『やはり録画は無理か、まあ、次のことはまた明日話そう』

「うん、それじゃ、また明日」

雄二との通話も終わる。

明日からまた事件解決のために頑張ろう。

 

 

 

 

5/16 月 曇 放課後 文月学園Fクラス 坂本雄二視点

 

 

「……雄二、行こう」

「最近よく一緒にいるのう? 観念して付き合っておるのか?」

「馬鹿言うな、秀吉。俺の命が危なくなる」

秀吉の発言で教室中が殺気に包まれる。ただでさえ翔子と行動する機会が多いのにそんな噂を立てられたら危険すぎる。

「…………デート?」

「スタンガン構えながら言うな、ムッツリーニ! ちょっと明久のところに行くだけだ、翔子は里中や天城と仲良いからな、目的地が一緒なんだ」

嘘ではない。ただ明久と里中たちが一緒にいるだけだ。

「あら? 坂本、アキのところに行くの? テストも終わって暇だからウチも行こうかな」

「げ!? いや、島田、別にお前が来る必要は……」

「ウチが行ったら不都合? 実はアキのところに行くというのは口実でデートとか? それなら遠慮するけど……」

「そんなことはない!!」

思わず即答してしまった……さて、どうやって島田を振り切るか、いざとなったら明久を犠牲にするしかないな……




今回は推理パート、次回こそ彼が登場するかな。
ではアルカナクイズ
前話までの展開から予想されている方もいらっしゃるでしょうが今回のバカテスキャラは島田美波です。
残っているアルカナは
『女帝』『法王』『隠者』『節制』『悪魔』『塔』『月』
アルカナも相当少なくなってきました。
毎度のごとくこの中から一つ選びお答えください。
では次回もよろしくお願いします。
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