バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第四十四話

5/18 水 晴

 

 

 

放課後の学校、美波が来るようになってしまったから安心して相談ができるのはここだけだ。

「今までのこと考えると完二はもうあの中じゃねーかな」

「うん、はっきり映ったってことはそういうことだと思う」

陽介の言葉に僕は頷く。

「マヨナカテレビって結局なんなんだろ……」

天城さんが根本的な疑問を上げる。

「最初は、心霊現象的なものかなって噂を試したら見えたんだよね。そしたらもうひとつの世界なんて大事に関係してて……」

「噂んなってるってことは実際に見てる奴も大勢いるってことだよな」

里中さんが答え陽介が続ける。

「確か最初は雨の夜の0時についてないテレビをじっと見つめる……だっけ、最初の内容」

「うん、それで映ってる人が運命の相手って噂だったけど結局みんな同じもの見てたんだよね」

天城さんの答えに僕が補足を入れる。

「んなの、何かきっかけがないとフツー試さないじゃん、あほらしくて。でも実際やれば誰でも見られるんだ。それも、何度でも。もしこれが広まってみんなが見だしたら……」

「エラい、騒ぎになりそうだね……」

陽介の言葉に里中さんも嫌そうな顔をする。

「クマの話を元にすると、あの映像は失踪者自身が生み出しているとかなんとか……ようはなんとなく見えてるんじゃなくて失踪者のせいで見えてるって事らしいけど……」

「ハァ……てか雪子んときも見えたけど、当の雪子はそんなんに関わった覚えないわけじゃん?」

向こうの世界とシャドウが関わっていることは間違いないけど、本人とシャドウなんて向こうの世界を知らないとわからないことだ。

「あのさ、ちょっと話が逸れるんだけど」

天城さんが考え込む僕たちに向かって言う。

「あの映像、犯人も見てるんだよね?」

「多分ね……きっとどこかで面白がっ……まさか、楽しんでるって事?」

それに里中さんが答えて驚きの表情を浮かべる。

「人を放り込んで、そのあとに映る番組を楽しんでるって事!?」

「えっと、そういうのをなんで言うんだっけ、誘拐犯?」

「それじゃ変わってねえだろ! 愉快犯だ! まあ、確かにその可能性はあるな」

動機に関しては雄二もわからなかったところだ。

「うわ、頭の中の犯人像が一気に変態属性になった! 君の中の全てが見たいよ、雪子たーん!」

「うっわ、うわ、うっわーー!」

陽介の妙な犯人の演技に里中さんがすごく嫌そうな顔をする。

「その想像でいうなら完二くんにもそういう態度?」

「君の全てが見たいよ完二たーんってか? うえ……自分で言ってて気持ち悪くなった」

天城さんを完二くんに変えただけで急に気持ち悪くなる。

「ってか、あたしと翔子も見られたことになるじゃないの!」

「俺と雄二もな……」

「僕も雄二と霧島さんのは見てないんだけどね」

「犯人だけが全員分見てるってことだね……」

最初からずっと参加している僕、陽介、雄二ですら全員分は見ていないというのに犯人には見られたって事だ。

「犯人、絶対許さん! 顔中靴跡だらけにしてやる!」

見知らぬ他人に自分の影が見られたのがよほど頭に来るらしく里中さんが怒りに燃えている。

「やろーども! 1完二を助ける! 2犯人潰す! 3犯人ぶっ潰す!! OK?」

「「オー!」」

里中さんの気迫に押されて僕と陽介は返事をするけど……

「プ……ぷぷ……」

天城さんが……

「ち、千枝……2と3、同じだったよ?」

ツボに入ったらしく……

「や、分かってるから……」

爆笑モードに入ってしまった……

 

 

放課後、いつものようにジュネスのフードコードで雄二と霧島さんを待っていた。

「なあ、明久、大丈夫なのか?」

「大丈夫って何が?」

待っているあいだに陽介が僕に声をかけてくる。

「昨日みたいに島田が来たらどうするんだ?」

「雄二だって状況は分かってるし連れてくるわけないよ、だから来るとしてもバラバラ、その場合は待ち合わせを知ってる雄二たちの方が先に来るはずだよ」

「へえ、吉井くんにしてはまともな予想じゃん」

里中さんは僕をどんな目で見ているんだろう。でも今回の美波対策は完璧、外れるわけが……

「見つけたわよ、アキー!!」

「なんでここにいるってわかったの!?」

「直感よ!」

クマをも上回る美波の嗅覚を侮っていたのかもしれない。

「それじゃ、僕はこのへんで!」

「はぁ……俺たちは中で待ってるからな」

陽介が僕に向かって言う。そっか、先にテレビの中に入ってれば安全だったのか。まさに盲点ってやつだね。

僕は全力で逃げることにした。

 

 

とりあえずジュネスから出て少し入り組んでいる町中で美波を振り切ろうとする。

いっそのことここから移動してテレビの中に逃げ込もうかな? そう考えるが道端にテレビが落ちてるわけが……

「って落ちてるー!!」

そこには大型粗大ゴミの回収用の紙が貼られたアナログテレビが落ちていた。

「あ……そういえば」

前に陽介が言っていた。今テレビの買い替えが多いと。

原因は当然あと2ヶ月ほどでアナログテレビの放送が終わるからだ。

「ここに逃げ込んでしまおうかな……」

しかし飛び込もうとする直前に前にクマに言われたことを思い出す。テレビは場所と場所で繋がっている。だからいつものジュネスのテレビ以外から飛び込むのは危険ということだ。

「うん、やっぱりここからはやめておこう」

僕はそう考え直しテレビから離れようとした。

「見つけたわよ、アキ!」

「くっ、ここで考え込んだのがミスだったか!?」

「逃がさないわよ!!」

そこに美波が走りってきて僕を掴む。

「ち、ちょっと待って、美波、危ないから!?」

逃げようとしたところで掴まれてバランスを崩したせいで……

「うわ!?」

そのまま縺れるように美波と一緒にテレビの中に落ちてしまう。




ペルソナ4は時期的にアナログ放送終了時なんですよね。ゲーム期間中ジュネスのテレビ売れなくてよかったなあ……
ということでオリジナル展開の方に進めましたがちょっと強引な気もします。
あと更新ペースはちょっと忙しくなっているので今後もこのくらいの速度になります。
では次回もよろしくお願いします。
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