バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第四十六話

『あはは、なに今更女の子ぶってるのよ』

その声に僕と美波は振り向き、そこに見る。

今までに見たことのない服装の美波……ドイツで着てたものかな?

「なんなのよ! アンタ!」

美波が相手……美波の影に怒鳴る。しかし……どうなってるんだろう、ドイツに霧が出ているだけじゃなくシャドウや美波の影まで出るなんて……

『こんな時だけ女の子みたいに振舞っても無駄だってわかってるんでしょ、普段から男の子みたいに扱われてるあんたが!』

「突然来て何言ってるのよ!」

「美波、落ち着いて聞くんだ。あれはもうひとりの美波」

僕ひとりでシャドウと戦うのは厳しい。ここはなんとしても美波を説得しないと

「見るんだ! あの平たい胸を、あれが本物のあか……腕が引きちぎられるように痛いィィィ!?」

「ウチの胸はあんなに小さくないわよ!」

や、やばい、自分を受け入れてくれない!?

『胸はない、優しくもない、素直でもない、そして胸もない、そんなウチがアキに好かれてると思ってるの?』

え? 僕? 僕がなんで関係してるんだろう……

「ちょ、ちょっとあんたなんなのよ! そしてなんで胸がないことを二回言うのよ!?」

よほど気にしてるということなんだろうか……とりあえず僕の腕を解放して欲しい……

『本当、最低の人間、アキが転校したあとまた日本にいたくないと思っているものね』

そういえば去年の初め頃は授業についてこれなくてすごく辛そうだった、それでも僕たちと仲良くなっているうちに日本に慣れたと思ってたのに……

「そんなことない! 葉月だっているんだし……」

『葉月はウチと違って社交性が高いし日本に慣れて日本語に慣れるのも早い。一年も経ったんだからもう友達も多い、自分がドイツに帰っても大丈夫、そう考えたことはあるはずよ』

「ないわよ! あんた誰よ!」

『ウチはあなたよ』

「な、何言ってるのよ……」

「み、美波、否定しちゃダメだよ」

このままではシャドウは暴走してしまう……

「ア、アキ、違う、ウチはこんなんじゃ……」

動揺のあまり僕を関節技から開放し後ずさる。

『そうやってウチをまた否定するのよね。嫌われたくないのに暴力を振るうような女、好きな相手に好きと言えないような素直じゃない、最低な自分、そのくせにヤキモチは焼く、妹を放り出そうとする、こんなウチが好かれるわけないわよね』

「やめて……あんたなんか……」

「美波! やめるんだ!」

「あんたなんかウチじゃない!」

そして美波は否定してしまった……

「あはは、そうよ、もうあんたなんかウチじゃない、ウチは……ウチよ!」

美波の影が変化する。

 

 

巨大な蛇のような下半身に人の上半身、でも胸の部分はウロコのようになってて平らだ。

『我は影、真なる我……あはは、アキ、ホンモノをかばうなら、覚悟してもらうわよ』

「いつも本物にはやられっぱなしだけど……こういう状況なら僕だってやられっぱなしではいない!」

さっきの関節技のせいで右腕が痛いんだけど……

『利き腕なしで戦うつもり? 良い度胸じゃない』

美波は知らない。

「残念だったね、僕は……左利きなんだ!」

そう言って僕はペルソナを召喚する。

「ベリス!」

天城さんのシャドウとの戦いで決め手になった刑死者のペルソナ『ベリス』を召喚する。

『それ利き手関係ないじゃないの!?』

ベリスの放つシングルショットを喰らいながら美波のシャドウがツッコミを入れてくる。

確かに僕の右手が負傷していてもペルソナが右手を使えないわけではない。

「こ、これから意味が出てくるんだ!」

僕は木刀を左手で握って構えるが……

『どちらにしろアキには満足に行動させる気はないわ』

そう言って一言、『ランダマイザ』と魔法を唱える。

「え……」

その瞬間体が重くなり、力も抜ける。

『こうして抵抗する力を奪ってからゆっくりと痛めつけてあげる!』

そうして体当たりを仕掛けてくる……いつもならこのくらいなら避けれるのに!?

「うわ!?」

身体が重くなったせいで避け損ないそのまま吹き飛ばされる……しかもいつも吹き飛ばされる時より痛い……

『あはは、このまま倒してあげるわよ』

「まだだ……」

力が入らなくても弱点さえ見つければ……戦いを有利に進めることができる。これは今までのシャドウ戦で学んでいる。

「オロバス!」

魔術師のペルソナ『オロバス』がアギを放つ。

『その能力が低下した身体で何ができるのよ!』

けどその炎は大した効果を上げられず、美波のシャドウは余裕の表情のままだ……待てよ。能力の低下……?

僕は自分の心の中を探る。そこには新たに芽生えた……バスケ部の絆の中に可能性を見つける。

「ティターン!」

剛毅のアルカナ……ここ数日で育んだ一条くんや長瀬くんとの絆で力を増した『ティターン』を呼び出し……

「デクンダ!」

魔法を使う。その瞬間、僕の体が軽くなり力も戻る。

そしてそのままティターンが武器を振りかぶり攻撃を仕掛ける。

『キャア!? やってくれるじゃないの、アキ……でもその程度で勝った気になってるんじゃないわよ!!』

そして再びランダマイザで僕の能力を低下させ、攻撃を仕掛けてくる。

さっきはデクンダで動揺させて隙を突いたけど二度目は無理か……

『アハハ、もう諦めたら?』

そのまま僕に攻撃をしかけてくる……やっぱり弱点を見つけないと……火はダメだった、氷? 電撃? 疾風? それとも光とか闇かもしれない……全部試すまで僕の体力と気力が持てば良いけど……

そしてふと思いつく、さっきシャドウと戦ったときを……

「どうせなら……やってやる」

僕はペルソナを変える……

「ヨモツシコメ!」

さっき美波が見て怯えて悲鳴を上げたペルソナへと……

『キャアアア!?』

思った通りだ。影とは言ってもペルソナも美波自身、弱点は……見た目が怖いペルソナだ!

「グール! オバリヨン!!」

シャドウが怯えて動けないうちにペルソナを次々と変えて攻撃を重ねる。『ヨモツシコメ』と同じで先ほど悲鳴を挙げられた『グール』日本の妖怪である『オバリヨン』そして時間が経ったおかげで僕にかけられたランダマイザも切れて身体が軽くなる。

「これで……終わりだ!」

僕は木刀を全力で振りかぶる、利き手である左手で……

『ウソ、ウチがアキに!? キャアアアア』

そして美波のシャドウは消滅する……

 

 

「美波、大丈夫?」

僕は美波に駆け寄り放心している美波に声をかける。

「ア、アキ……」

そしてまた人間サイズに戻った美波自身の影の方を見て……

「ウ、ウチは……」

「誰だってそういうところはあるよ。ダメだとわかっていても考えてしまうこととかね」

僕だって苦手なだけで嘘をついて誤魔化そうとすることくらいはあるし。

「それに好かれるわけがないって思ってるみたいだけど美波は美波で魅力的なところあると思うよ」

文月学園で密かに同性から人気あるみたいだし。

「アキ……」

そして美波は自分に向き合う。

「認めたくなかったけど……あんたはウチでウチはあんたなわけね」

その言葉に美波の影は頷く。

 

そしてシャドウはペルソナに変化する。

 

「けどさ、美波」

僕は美波に話しかける。

「さっきのシャドウの会話から聞いてるともしかして……」

僕の勘違いかもしれないけど

「美波って誰か好きな人いるの?」

「え!? えっと、それは……」

この反応、やっぱり誰か好きな人がいるのか。

「う、うん、ウチは……」

「それなら友達として応援しないとね」

美波に彼氏ができるのは寂しいけど陽介も自分の悲しみを超えて僕を応援しても良いといったんだ、僕もいつまでもFFF団の一員として妨害してないで友達の恋くらいは応援しないと(ただし雄二は除く)。

「あれ? 美波?」

しかし僕の言葉に美波の反応はなく……目の色が攻撃色に……

「はぁ……仕方ないか、アキだし」

けど僕が攻撃を喰らうのを覚悟したとき、呆れたような声で言われる。

「へ? どういうこと?」

なぜ呆れられたのかが分からず聞き返したけど

「アキはバカだから仕方ないって言ったのよ」

そう言って美波は攻撃ではなく微笑んでいた。

「アキヒサー、無事クマー?」

僕がよくわからないで悩んでいると向こうからクマを先頭にみんなが駆け寄ってきた。

「え!? みんながどうしてドイツに!?」

「んなわけねーだろ、ここはテレビの中だよ、先輩と同じように島田の心が反映したってとこだろ」

陽介に言われる。なるほど、小西先輩が馴染み深い商店街を反映したように美波の馴染み深いドイツが反映されたってことか。

「この霧でわからなかったの?」

天城さんに問いかけられる。くっ、ここでなにか言い訳を考えないとただでさえ最近バカ扱いされているのにさらにバカに思われてしまう。

「ほ、ほら、ロンドンは霧の都って言うじゃない」

「ロンドンはイギリスだ、バカ」

雄二に即座に突っ込まれる。

「…………」

みんなの目が冷たい。

「そ、それより、美波もペルソナ使いになったんだよ」

僕は誤魔化すように話題を変える。

「おお~、ここで新戦力クマか?」

「えっと……これは何?」

美波がクマに対して言う。

「クマはクマクマ、それで、どうしてここに落ちてきたクマ?」

僕は経緯を説明する。

「明久のドジが原因か、しかしこうなったら事情を話さないわけにいかないか、とりあえず一度戻って話すことにしよう」

雄二に言われて僕たちは一度引き返すことにして、その後美波に事情を話した。

「そういうことならウチも協力するわ、アキに助けてもらった借りもできたし」

「別に借りとかはそういうのは気にしないでいいけど……」

もともとテレビに落ちたのが僕のせいだし……

「なによ、アキはウチが仲間になるのが嫌なの?」

「そんなことはないけど」

「なら決定ね、これからよろしく!」

 

島田美波

アルカナ 塔

ペルソナ キヨヒメ

学力 Fクラス

 

ペルソナ解説 キヨヒメ

清姫、美形の僧に恋をしたが相手のその場しのぎの嘘に騙される。

その後騙されたことを知って激怒し蛇へと姿を変えて僧を焼き殺したという伝承を持つ女性。外見としてはウロコのような模様の着物を着た炎を纏う女性。

 

ペルソナ能力

耐性・火 弱点・風

 

スキル

アギ マハラギ タルンダ ラクンダ

 

 

能力値は万能型、全体的にまんべんなく伸びる、耐久値がやや低め、火炎属性の魔法と低下系の魔法、物理技を覚える。ただし火炎属性では雪子にはかなり劣る。

低下系を覚えるのはバカテス女子キャラの処刑の徹底さを示してます。

タイプとしては電撃が火炎に変わり回復の代わりに物理技も覚えるがペルソナ3の真田明彦に近い。

 




今回はクイズの回答編まで時間がかかってしまいました。
美波は塔、これはアルカナとしては正位置も逆位置もかなり酷いカードです。
でも予期せぬトラブル、これは明久にとっての意味と突然日本に来ることになったと美波にとってのいうことを示しています。
ですが個人的な決定打は「真実が明らかになるが救いがある」というキーワードです。
日本に来ることになったが明久という救いがあったということを暗示させました。
ただし、酷い意味ということは変わりません。ペルソナも清姫というわりと酷いもの、ただしペルソナ4では仲間のペルソナも変化します。これは美波自身も変化して成長して欲しいという意味を込めてそうしました。アルカナは変わりませんけどね。
では正解者は
めーろんさん No.6さん 葱定さん 
おめでとうございます。
さて、では次回から再びペルソナシナリオに戻ります。
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