バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第四話

叔父さんの家に到着した。そこには僕の大好きなカロリーがお寿司の形で準備されていた。

「じゃ、歓迎の一杯といくか」

叔父さんが用意してくれていたのはリボンシトロン。地方限定のジュースだ。しっかりとカロリーのあるジュース、前の学校の悪友は嫌がらせで差し入れは必ずノンカロリーを買ってきたものだった。それに比べてなんて優しいんだろう。

乾杯をしてジュースを飲む。

「しっかし、お前も大変だな、義兄さんと姉貴が海外だからって成績向上のためにこんな田舎に送られるなんてな。ま、ウチは俺と菜々子の二人きりだし、お前みたいなのがいてくれると助かる。これからしばらくは家族同士だ。自分ちだと思って気楽にやってくれ」

実の家族といるよりも気楽に過ごせそうな気がする。あの母や姉と暮らすことを考えると叔父さんと菜々子ちゃんとの生活なんて天国に思えるし。

「はい、きちんと家事はやります」

といっても僕の身分は居候、家族の中で一番立場の低いところに入るわけだ。ということは家事は僕の役目だろう。

「おいおい、別にお前に押し付けるつもりは……」

「でも居候は一番立場が低いし……」

「家族の中でそんなこと気にしても……ああ、姉貴のせいか」

なぜかおじさんは僕を憐れみの目で見ている。

「まあ、俺は料理とかできないし……菜々子と一緒にやってくれると助かる。けど勉強もあるし無理しない範囲でな。あと慣れない敬語とか使わなくていいぞ」

あの母の弟とは思えないくらい優しい言葉だ。一人暮らしできないことが悲しかったけど思ったよりこっちの生活は希望持てそうだ。

「さて、じゃあメシにするか」

よし!カロリー摂取の時間だ!

「いただき……」

 

ピリリリ、ピリリリリ

 

そのタイミングで電子音が鳴り響く。叔父さんの携帯みたいだけど……

「たく……だれだ、こんな時に」

叔父さんは渋々電話に出る。

「……堂島だ」

叔父さん話を聞きながら立ち上がる。どうしたんだろう。

「……ああ……ああ、わかった、場所は?……わかった、すぐ行く」

叔父さんは電話を切る。

「酒飲まなくてアタリかよ……仕事でちょっと出てくる。急で悪いが、飯は二人で食ってくれ」

叔父さんはそう行って外出の準備をする。

「帰りは……ちょっとわからん。菜々子、あとは頼むぞ」

「……うん」

菜々子ちゃんはちょっと寂しそうだ。こういうことがよくあったのかな。うん、これなら僕が来てよかった。小さい子が夜ひとりでいるとか寂しいもんね。

「菜々子、外雨だ、洗濯物どうした?」

「入れたー」

「……そうか、じゃあ行ってくる」

菜々子ちゃん僕よりしっかりしてるかも。僕は洗濯してうっかり入れ忘れたってこともたまに…三回に二回くらいあるし。

叔父さんがいなくなると菜々子ちゃんがテレビをつける。ニュースみたい。これは退屈しないように僕が話しかけないと。

「おとうさん、仕事何やってるの?」

「しごと……じけんのそうさとか……」

「事件の操作? え!? 何かの黒幕!?」

「ちがうよ、お父さん刑事だよ」

あ、なんだ、安心した。操作じゃなくて捜査か。

テレビではニュースが流れている。議員秘書の不倫騒動についてだけど僕もあまりニュースは見ないからなあ……

「ニュースつまんないね」

「チャンネル変えて好きなのを見ると良いよ」

子供はアニメとかのほうが良いよね、僕も久しぶりに一緒に見てもいいし。

「うん」

菜々子ちゃんは頷いてチャンネルを変える。

『ジュネスは毎日がお客様感謝デー。来て、見て、触れてください』

僕のいた街では流れていないお店のCMが流れている。

『エブリデイ・ヤングライフ! ジュネス!』

「エブリデイ・ヤングライフ! ジュネス!」

そのCMソングに合わせて菜々子ちゃんも歌っている。

「これってここの近くにあるの?」

買い物に便利なお店なら知っておきたいしね。

「うん、今度一緒に行く?」

菜々子ちゃんは嬉しそうに言う。

「そうだね、今度場所教えてよ」

ジュネスのおかげでそのあとのご飯は和やかに進んだ。

それでもまだ菜々子ちゃんはちょっと緊張してるみたい。う~ん、一緒に暮らすから早く仲良くなりたいけどあまり急いで進めるのも良くないよね。そんなふうに考えていると

「ふぁ~」

今日はいろいろあったせいかちょっと眠い。

「ねむいの?」

「あ、うん、ちょっと移動の疲れがあるみたい」

「お部屋、案内するね、疲れてるなら休んだほうがいいよ」

「うん、ありがとう」

うん、今日は休もう。

部屋に行くとまだ荷解きが終わってない荷物がいっぱいあったけど明日に回そう。

 

 

 

「ここ……どこ?」

深い霧のせいでよく見えないけどなんか変な雰囲気の道にいた。

「とりあえず歩いてみるかな」

ここにいても仕方ないし、とりあえず進んでみよう、一本道だからこんな霧でも迷わないと思うしね。

『真実が知りたいって?』

「ほぇ?」

何の話? 辺りを見渡すが誰もいない。普段から身を守るために周囲の気配には敏感なつもりだけど辺りには誰もいなそう。

「気のせいかな?」

キョロキョロとあたりを見渡したあと僕は先に進む。

『それなら……捕まえてごらんよ』

それはあれかな?僕の頭には海辺で『ははは、つかまえてごらーん』『まてー』と戯れる図が思い浮かんだ。

声の主が男か女かもわからないからちょっと躊躇うけど……他に道ないし声が聞こえる方向らしき奥に進んでみる。

「なにこれ?」

扉なのかな? 人の気配するし……

「うわっ」

それに触るとなんか回転して開いた。

気がつくと僕は霧の中木刀を手にしている。これって僕の召喚獣の武器? せめて夢の中くらいまともな武器なら良いのに……

『追いかけてくるのは……君か……ふふふ、やってごらんよ』

よく見えないけど……霧の中に人影が見える。

その人影の方に近寄ってみるけど相変わらず相手の姿は見えない。

けどなんとなくそうするべきだと思いその木刀で殴りかかる。

『へえ……この霧の中なのに、少しは見えるみたいだね』

相変わらずその声が男なのか女なのかわからない。

『なるほど……たしかに……面白い素養だ』

僕は続けて殴りかかる。でも手応えはあるのに相手の声の調子は変わらない。

『でも……簡単には捕まえられないよ……求めているのが真実なら尚更ね……』

声の主がそう言うと突如霧がさらに濃くなり相手の姿が一切見えなくなる。

僕は闇雲に木刀を振り回すけど当たりそうにない。

『誰だって、見たいものだけを見たいように見る……そして霧はどこまでも深くなる……』

相手の声がだんだん遠くなっていく。

『いつか……また、会えるかな……こことは別の場所で……フフ、楽しみにしているよ……』

そして意識がだんだん遠くなっていく……

 

 

 




明久なら即菜々子コミュが築けそうだなあと思いつつもまだ我慢です。
まだコミュの話すら出ていないですしね……
ちなみにバカテスキャラが武器を扱うとしたら基本的に召喚獣の持ってる武器を基準にしようと思います。もちろんずっと木刀というわけにいかないので明久は刀系というくくりですね。
姫路の両手剣とかは無理がありますが今のとこ出すかどうかすら決まってないですし、出すとしたらその時考えよう程度です。
でもこの雰囲気に明久単体は難しいです。不自然な点があったかもしれませんが見逃してください。
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