バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第五話

4/12 火 雨/曇

 

「朝ご飯出来てるよー」

声が聞こえて僕の意識は覚醒した。

……ここどこだっけ?

辺りを見渡すといつもの僕の部屋とは違う……

あ、そういえば昨日から叔父さんの家にお世話になってるんだった。

って朝ごはん!? しまった僕がのんびり寝てたから菜々子ちゃんに作らせちゃったのかも……

なにか夢を見てた気がするけど……まあ良いや、とりあえず急いで着替えて下に降りよう。

 

 

「おはよ」

「おはよう、菜々子ちゃん」

そこには目玉焼きとトーストが準備されていた。

「すごいね、これ菜々子ちゃんが作ったの?」

「あさはパンを焼いて……あとは目玉焼き」

菜々子ちゃんこの歳ですでに料理の腕は母さんや姉さんをはるかに超えてるよ。

「でもほかは作れないから夜は買ってくるの、お父さんも作れないから」

「そっか、なら夜は僕が作るよ」

こんな小さな子に作ってもらうばかりというわけにはいかないしね。それに料理は得意だし。

「ご飯作れるの?」

「うん、家では僕が作ってたしね」

「すごい!」

「あはは、大したものは作れないけど」

となると帰りに買い物してきたほうがいいかな、叔父さんも料理しないなら食材とかなさそうだし。

「今日から学校でしょ? 途中までおんなじ道だから一緒に行こ」

考え事していたら菜々子ちゃんに声をかけられる。

「ありがとう、それじゃあご飯食べちゃおうか」

学校への道調べるの忘れてたし、菜々子ちゃんに言われなかったら初日から道に迷って遅刻するところだったよ。

 

 

「あと、この道真っ直ぐだから。わたしこっち、じゃあね」

「うん、ありがとう、また家でね」

菜々子ちゃんに案内してもらって途中まで連れてきてもらっていた。分かるところまで連れてきてもらったあと菜々子ちゃんは引き返していく。雨の中なのに遠回りまでしてくれるなんて本当に良い子だなあ。

 

 

交差点もあるけどまっすぐって言ってたよね。それに同じ学校っぽい人たちもそっち向かってるし。

「よ……っと……ととっ」

僕の横を自転車に乗って傘をさしている人が走ってきた。危ないなあ……って

 

ガシャア

 

電柱にぶつかったよ!?

「う……おごごごご……」

しかも股間を抑えて……ぶつけたの!? すごく痛そうなんだけど!?

「だ、大丈夫?」

とりあえず傘を拾って差し出しておく、濡れて風邪ひくかもしれないし。

「さ、サンキュ……って、あれ?おまえ転校生?」

ひと目で僕を転校生って見抜くなんてさすが田舎の学校、全員顔と名前分かってるとかかな。

「まだ制服届いてないの?」

彼が来ているのは学ラン、僕が来ているのは文月学園のブレザー。

……いつもの癖でこっち着てきちゃった……

「あ、あはは、実はそうなんだよね」

「へえ、そうなんだ、何年? あ、俺二年の花村陽介」

「僕も二年生だよ、僕は吉井明久、同じクラスかもしれないね」

「っと転校生だったら早めに行かないといけないんじゃないか? 時間大丈夫か?」

「あ、そうだった、それじゃ、僕行くね」

「おう、それじゃあな」

ちょっと走ったほうがよさそう、僕は花村君と別れて学校に向かって走ることにした。

 

 

「なんだ、貴様、まだ制服届いてないのか」

職員室で僕の担任になる諸岡先生にも言われた。うう、失敗したなあ……

「一人だけ違う服装で目立とうという魂胆ではないだろうな!」

僕だって転校初日から目立ちたくはないんだけど……

「服装の乱れは心の乱れだ……」

何故か説教がはじまる……明日からは間違えないようにしないと……

それからホームルームの時間まで説教され続けた……これなら花村くんと一緒に登校すれば良かったよ……

 

 

「静かにしろー」

教室に入るなり一括する諸岡先生。

「今日から貴様らの担任になる諸岡だ。いいか、春だからといって恋愛だ、異性交遊だとか言って浮つくんじゃないぞ! ワシの目の黒いうちは、貴様らには特に清く正しい学生生活を送ってもらうからな!」

って最初の挨拶がそれ!? でも僕みたいなモテない人間にとって異性交遊禁止は気持ちがわかる。前の学校ではクラスメイトが自主的に他人の異性交遊を妨害してたけど、この学校では先生も同じみたい。

「あー、それからね、不本意ながら転校生を紹介する。ただれた都会から辺鄙な地方都市に飛ばされてきた哀れなやつだ。いわば落ち武者だ、わかるな? 女子は間違っても色目などを使わないように!」

「落ち武者って表現ひどくないですか!? 僕は成績が悪くてひとり暮らしさせられないからこっちに送られただけですよ!」

「それを落ち武者というのだ!」

なんて失礼な先生なんだ。

「まあいい、挨拶をしろ!」

くっ、反論したいけど確かにクラスメートへの挨拶が先だ。ここはインパクトが大事だよね。

「吉井明久です。気軽にダーリンと呼んでください」

「貴様! 何を色目を使っている! 貴様のことは腐ったミカン帳に記録しておくぞ!」

しまった!? 異性交遊禁止の先生の前でこの自己紹介はなかった!?

また諸岡先生の説教が始まってしまったけど……

「センセー、転校生の席、ここでいいですかー?」

それを遮ってなぜかジャージを着ている髪の短い可愛い女の子が声をかけてきてくれる。

「あ、そうか。よし、じゃあ貴様の席はあそこだ。さっさと着席しろ」

よかった。とりあえずお説教は止まったみたい。よく見ると僕の後ろの席には花村くんが座ってるし。朝のダメージが抜けてないのかぐったりしててあまりこっち見てないみたいだけど。

「あいつ最悪でしょ。まー、このクラスになったのが運の尽き……一年間頑張ろ」

さっき諸岡先生の話を遮った子が声をかけてくれる。

うん、元の学校でFクラスだったら女の子がいたかもわからないし、それを考えると初日からこの状況はむしろ良くなったかもね。

 




モロキンの異性交遊禁止発言程度FFF団に比べたら……怒られはするけど命までは狙いませんからね。
陽介との出会いは早まりました。明久の性格上最初から放置はしないと考えました。
では次回もよろしくお願いします。
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