「明久、ここはやめよう」
葉月ちゃんに案内されたのはAクラスの教室、メイド喫茶『ご主人様とお呼び』だった。
「何照れてんだよ、雄二、霧島の晴れ姿見たいんだろ」
「そうだよ雄二、せっかく来たのに帰るなんてバカなこと言ってないでいくよ」
照れて入ろうとしない雄二を僕と陽介が無理やり引きずり込む。
パシャパシャパシャ
「「「…………」」」
中に入ろうとすると指がすりきれんばかりにカメラのシャッターを切る男が見えた。
「何やってるの、ムッツリーニ?」
「…………人違い」
そう言えば教室にいなかったっけ。
「どこからどう見ても土屋でしょ」
「誤魔化せると思っているのがスゲーな……」
美波のツッコミに陽介が感心したように言う。
「…………敵情視察」
「ムッツリーニ、そう言って盗撮とかしてたら駄目じゃないか、そんなことしたら女の子が可哀相だと……」
「…………一枚200円」
「2ダース買おう……思わないのかい!」
「買うのかよ! あ、俺もどんなものかちょっと見たい」
「いや、花村先輩、突っ込んでおいてそれは説得力ないっス……」
「そう言うなって、完二だって見たいだろ?」
「み、見たくねーよ、そんなもん」
「ちょっと、これは僕が買ったんだから……」
陽介が僕の買った写真を覗き込もうとする。
「お兄ちゃん、何を買ったの?」
「で、アキはその写真をどうするつもり?」
「吉井くん、そういうのはいけないと思います!」
いけない、ここでは菜々子ちゃんや美波、姫路さんの目があったんだ。
「や、やだな~、もちろん処分するよ……」
「いや、吉井くんそう言いながらしっかりポケットに入れてるし」
ちっ、美波たちは誤魔化せたが里中さんがしっかり見ているとは……
「まあ、いいじゃん、これくらい」
陽介がそい言いつつ僕からとってそれに目を通す。
「なんだこりゃ! 男の足しか写ってねえじゃねえか!?」
「だ、騙された!?」
「見なくてよかった……」
僕と陽介が嘆き完二が安心したように言う。
「いや、友達同士でなんで騙し合ってるのよ」
「千枝、気にしないほうが良いわよ、これがこいつらの日常だから」
そして呆れたように美波たちは店に入っていく。
「……おかえりなさいませ、お嬢様」
あの声は霧島さんかな?
僕たちも女の子達に続いて店に入る。
「こんなにいれば俺はいなくても良いだろ?」
「雄二、往生際が悪いよ」
もちろん雄二も引きずって連れて行く。
「……おかえりなさいませ、ご主人様」
「な、なんか照れるっスね」
「はは、向こうにはこういう店ないからな」
そこにいたメイド服姿の霧島さんに完二は照れながら、陽介は割と平気な顔で入る。
「……ちっ」
そして雄二は渋々と入ってくる。
「……おかえりなさいませ、今夜は帰らせません、ダーリン」
そして雄二は特別扱いの挨拶をもらっていた。
「雄二お兄ちゃんは翔子お姉ちゃんと結婚してるんだよね」
「ちょっと待て、菜々子、まだその嘘を信じていたのか!?」
そういえば前に霧島さんがそうやって自己紹介してたっけ。
「お姉さん結婚してたんですか!? すごいです!」
そして葉月ちゃんも信じたようだ。
「違うからな!」
「……仲良し夫婦」
「羨ましいです! 葉月も早く結婚できる年齢になりたいです!」
「平然と嘘つくなよ!?」
「坂本、騒いでないで早く席につかないとお店に迷惑よ」
「そうだよ、雄二、僕たちが迷惑な客になってどうするのさ」
懸命に訴えてた雄二を僕と美波が席に引きずっていく。
そして席について僕たちは注文する。なぜか雄二の注文が『メイドとの婚姻届』になっていたが雄二のだし問題はない。
「いや、問題あるからな!?」
「あー……なんていうかおめでとうございます」
「完二、お前だけはまともだと思ってたのにそれかよ!?」
雄二はここに来てから落ち着きがなさすぎだと思う。
「お待たせしました!」
そして注文したものが届く……ってこの声は!
「天城さん!?」
そこにいたのはメイド服を着た天城さん。
「あはは、どう? 似合う?」
「うお、すげえ似合うな」
「うん、雪子、バッチリ似合ってるよ」
「わあ、雪子おねえちゃん綺麗!」
みんなが天城さんを絶賛する。
「
「明久、本音が透けてるぞ……」
しまった、クラスメイトの珍しい姿に思わず……
「アキはメイド服が好きなのかしら……」
「そ、そんなことよりここでFクラスについて話していたこと聞かないと……」
服装に関しての嗜好に行く前に僕は話を逸らす。
「あ、それって……」
天城さんが答えようとした時に店に見覚えのあるソフトモヒカンと坊主頭が入ってくる。
「それにしてもこの店は綺麗でいいよな」
「さっき行ったFクラスは酷かったもんな」
「テーブルなんて腐った箱使っていて虫まで湧いていたしな」
その言葉を聞いて僕と完二が立ち上がる。
「落ち着け、明久、完二、こんなところで殴り倒せばますます悪評が広まるだけだ、それに明久はともかく他校の完二が暴力を振るうのはまずい」
それを雄二が止める。
「僕はともかくってどういうこと!」
「明久なら鉄人が数発どつく程度で済みそうだからな」
悔しいけど雄二の言うとおり。僕なら鉄人に顔を覚えられているからその場の体罰で終わりそうだ。
「わかった、バレないようにやれば良いんだね」
そう言って僕は八十神高校のトイレで拾った呪殺ペーパーを取り出す。
「明久、それはテレビの中でしか効果がないし仮に効果があってもムドは外道に効かない場合が多い」
くっ……ならばどうすれば……
「頭を使うんだよ、おーい、翔子」
「……なに?」
「メイド服を一着貸してくれ」
こいつは躊躇や恥らいがないのだろうか。
「……わかった」
霧島さんが雄二の頼みなら躊躇なく頷くことはもうわかっている。
霧島さんが予備を取りに行ったところで雄二が作戦を説明する。
「これを着て店員を装ってセクハラされたことにして攻撃をする」
「あーなるほど、確かに里中と島田なら殺れそうだな」
陽介が納得したように言う。
「あたし? 別にやっても良いけど……」
「いや、さすがに女子に危険なことはやらせるわけにいかない、ということで明久、頼んだぞ」
「明久先輩の女装なら騙せそうっスね」
く……だが女子に危険なことをさせられないという意見には賛成だ。僕たちは秀吉を呼んで着付けとメイクをやってもらった。
「お兄ちゃん綺麗」
「バカなお兄ちゃん似合ってるです」
「吉井くん、すごく綺麗ですよ!」
僕の女装を始めてみる菜々子ちゃん、葉月ちゃん、姫路さんから何故か絶賛を受ける……
「うむ、上出来じゃな」
秀吉も満足気だ。
「この人、私の胸に触りました!」
この格好で近づくと坊主とモヒカンのコンビは見事に騙されて接触したところで僕はこの二人に痴漢の容疑を着せる。
「この変態が!」
「男として許せないっスね」
そして雄二と完二が飛び込んできて二人に殴る掛かる。
「先輩、ここは俺たちに任せてください、そろそろ召喚大会の時間っスよね」
雄二と完二がいれば荒事は問題ない。
「わかった、行こう、姫路さん」
「は、はい」
僕は召喚大会に向かうことにした。
まあ、原作と変わらないところは短めに……しかしこう人数多いと進みがスローだなあ……更新速度もちょっと遅れがちですが気長にお待ちください。
では次回もよろしくお願いします。