バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

63 / 101
第六十二話

「今回から一般のお客さんも見ているし頑張ろうね」

四回戦、ここからは一般公開の試合、姫路さんの転校を阻止するためにもここからの試合はしっかりやらないと。

「次の試合は美波ちゃんたちですよね?」

「うん、美波と里中さんだね」

「里中さんはどのくらいの点数を持っているんですか?」

「里中さんは得意教科なら平均以上、それ以外なら低いね、だから総合的にはEクラス並だよ」

それより用心しないといけないのは操作能力だろう。美波も里中さんもテレビの中で実戦をこなしている。決して油断はできない。

「それじゃ……行こうか」

僕達は試合会場に向かった。

 

 

「それじゃ、美波、里中さん、勝負!」

「はぁ……」

なぜか美波のテンションが低い。

「どうしたの?」

「うん、、昔のだったらアキの召喚獣はフィードバックあったけど今回はないでしょ? それがちょっと残念で……」

「ちょっと待って! それって僕を痛めつけるってことだよね!? 試験召喚大会はそんな物騒なものじゃないよ!?」

「じゃあさ、ついでに本体も狙うってのはどう?」

「里中さんもこっちに慣れすぎじゃない!? それは反則だからね!?」

美波の攻撃の上に里中さんにドーンとされたら僕の命はない。

「あはは、冗談だって」

そう言って里中さんは笑う。

「ウチは本気よ」

美波一人でも僕の命は奪えるかも……

「許可されたら美春も観客席から援護します!」

「殺気!」

観客席から殺気を感じて振り向くとさっきのヨモツシコメ(仮称)が文房具を構えている。なんてことだ、敵は目の前だけじゃないというのか……

「いけませんよ、吉井くんは今他校の生徒なんですからね。暴力事件などはいけません」

よかった、先生が止めてくれた。

「それって吉井くんがここの生徒だったら許可されたってことだよね?」

「まあ、ウチのも冗談だったから良いんだけどね」

美波はそうは言うけど許可されたら攻撃してきたに違いない。

「それでは、試合を開始してください」

「「「「試獣召喚(サモン)」」」」

僕たちの召喚獣が姿を現す。

 

Fクラス 島田美波

古典   32点

   &

ゲスト 里中千枝

古典  146点

 

「こ、今回古典だったの!?」

「あー、美波帰国子女だったっけ……」

里中さんは得意教科だったか……でも意外なのは美波、里中さんの言う通り帰国子女の美波は国語が苦手だ。でも僕の知っている美波は古典だと一桁だったはず……

 

 

 

Fクラス 姫路瑞希

古典   399点

   &

ゲスト 吉井明久

古典  71点

 

「アキ、あんた随分点数あげてるじゃない! 昔はあんたもウチと大した変わらない点数だったのに……」

「一応僕も頑張ってるからね、それより美波こそすごいじゃない、前まで一桁の常連だったのにいつの間に……」

「ま、あんたが他校で頑張っている間ウチも遊んでたわけじゃないのよ」

美波もドイツに拘ってないで日本に馴染もうとしているんだろうか。だとしたら嬉しいことだ。

「っていうか姫路さんが圧倒的じゃない? あたしらヤバくない?」

確かに、一人だけ圧倒的だ……けどここが姫路さんに頼るのはいけない気がする。

「姫路さん、この試合僕に任せてくれない?」

そう、姫路さんの転校を阻止するためには彼女の力に頼った結果ではダメだ。

「そういうことだから美波、里中さん、ここは僕が相手になるよ!」

「それならアキの相手は千枝に任せるわ」

美波も状況を知っているか、僕の提案を飲んでくれる。

「ありがとう、美波」

「お礼を言うのは早いわよ、千枝はあんたの二倍の点数あるんだからね」

そう言って顔を背ける。先生の目もあるので美波は姫路さんと軽くやりあってくれるようだ。

「それじゃ、里中さん、勝負!」

「うん、行くよ!」

僕の召喚獣が木刀を構える。里中さんの召喚獣の装備は……あれは……ヌンチャク!?

ヌンチャクを構えて拳法着をきた召喚獣だ。カンフーアクションが好きな里中さんの心を表しているのか!?

「てっきり足技なのかと思ってたけどね、またはトモエのように薙刀とか」

「うん、正確には中国のは梢子棍っていう名前でヌンチャクとはちょっと違うんだけどね。吉井くんのは向こうと同じで木刀だよね」

へえ、そうなんだ……でも僕には違いがよくわからないからヌンチャクとしておこう。

そういえばなんで点数が上がったのに装備が変わってないんだろう……テレビの中でも何故か僕と雄二の武器は見つからず、ずっと同じものを使っているし。

「吉井くんの召喚獣は前のをそのまま使っていますから」

疑問に思った僕に先生が教えてくれる。

せっかくだから金属製の武器を使いたかった……まあ、フィードバックがないだけましと思おう……

「それじゃ、いくよ、吉井くん!」

里中さんの召喚獣がヌンチャクを振り回し襲いかかってくる。

僕は木刀で防ごうとするが……

「くっ……やりにくい……」

ヌンチャクなどの多節棍は扱いにくいと聞く。よく漫画とかのギャグシーンでも振り回して自分の頭を殴ってしまうとかのシーンがあるのに里中さんは召喚獣で上手く使う。

「こういうのを使うコツはね……『考えるな、感じるんだ!』だからね」

「アキは普段から何も考えてないわよ」

こちらの勝負を見ながらも美波が口を挟む。

「否定はしない!」

確かに僕も思考よりも危険に慣れて磨かれた感覚で戦うときはある。でも流石に点数二倍の相手に何も考えずに戦えるわけではない。

里中さんの猛攻を避けながら僕は対策を考える。

「流石は吉井くんだね、ここまでの試合でこんなに回避が上手い相手はいなかったよ」

「里中さんこそ……いくらペルソナで慣れているとはいえ初めて召喚獣使うのにここまで戦えるなんて」

ここの学校の二年生でもここまで扱える生徒は少数だろう。

「う~ん、多分あたしのペルソナが物理系だからじゃないかな。雪子や花村より肉弾戦に慣れてるし」

そうか、召喚獣は400点を超えないと特殊能力は使えない。だから同じペルソナ使いでも肉弾系のスキルに慣れている方が直接戦闘には慣れているということか……

……ん? 慣れ?

僕は頭に閃くものがあって攻撃に転じる。

「甘いよ、吉井くん! ってあれ、思ったより攻撃が軽い?」

里中さんの召喚獣が木刀を受け溶ける。その瞬間ヌンチャクの動きが止まる!

「行け!」

僕はその隙を逃さず軽く打っただけですぐに引ける状態の木刀を戻し今度は渾身の力でヌンチャクの連結部分を突く。

「あ!?」

そしてヌンチャクの結合部分を破壊し、それに動揺した里中さんの召喚獣を攻撃する。

 

ゲスト 里中千枝

古典  62点

 

「そこを突かれるとヌンチャクは壊れるんだよね……」

「里中さんが慣れてない武器だったからね……それでも感覚で使えるのはすごいけど」

トドメは刺せなかったけど相手の武器を破壊して点数もこれで僕の方が上回った。

「そうだね、蹴りでも戦えるって言いたいけど……それじゃ吉井くんには勝てそうもないし……」

そう言って里中さんは両手を上げる。

「うん、降参、さすがはリーダーだね」

 




ちょっと忙しくて時間が空いてしまいました。しばらくは週一ペースになるかもです。
ということで今回は明久VS千枝をお送りしました。
次回は雄二と陽介ペアの出番です。
では次回もよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。