「うへ~、ゴミ拾いきつかった~……」
林間学校の一日目の夕方。山の中のゴミを一日中拾い続けて疲れた僕と陽介は女子たちの作るカレーを待ちながら話をしていた。
「チャリ丸ごと投げていくとかありえねーだろ。ったく、捨てた奴が拾えっての」
陽介の愚痴るとおり普通のポイ捨てレベルから大型ゴミまで幅広く物が落ちていた。
「うん、でも動いた分お腹空いたし、ご飯が美味しく食べられるよ」
「はは、そうだな。これなら多少まずくたって美味しく食べられそうだ」
陽介は口ではそう言うが明らかに女子の手料理を楽しみにしている。
「僕も誰かが作ってくれる料理なんて久しぶりだし楽しみだよ」
ひとり暮らしの時は料理をほとんどしなかったし、今と家族がいた時も僕がほとんど作っていた。前に作ってもらったのなんて僕が料理を覚える前に父さんが作ってくれて以来かもしれない。
「そうだよな、ま、里中にはあんま期待してないけど天城なんて老舗旅館の娘だし、姫路も料理できそうじゃん。スッゲーの来るぜ、きっと」
「あはは、里中さんだって出来るって言ってたし期待して良いと思うよ」
里中さんみたいなタイプが意外と料理が上手かったりすることもあると思う。美波もあれで意外と料理できるらしいし。
「これ……味見する?」
「え、ゆ、雪子がしないならしない」
「大丈夫ですよ、上手く出来てると思います。それにせっかくですから最初は明久くん達に食べてもらいたいじゃないですか」
「そ、そうだよね。毒見……じゃなくて……えとなんて言えば良いのかな?」
「生贄?」
「きっと美味しく出来てますよ。お鍋も無事ですし」
「お、来た来た!」
女子3人がまず僕たちの分のカレーを持ってきてくれる。
「お、お待たせ、えーと、その……愛情は入ってるからさ」
愛情は最高の隠し味とも言う。僕たちを思って作ってくれたというのは嬉しいことだ。
「はは、愛情は俺じゃなくて明久に対してじゃないのか? ま、でもそういう台詞ってベタだけどぐっとくるよな」
陽介が姫路さんに対してそう言うけど。
「はは、何言ってるのさ、ここは友達に対しての親愛なんだから僕に向けてだけじゃなくて陽介にも向けられているよ」
姫路さんが転校してきて陽介も含む僕たちと仲良くしている。だから陽介もちゃんと友達として仲良くなってるんだし。
「お前、相変わらず鈍いよな、ま、いいや、いただきまーす」
陽介がカレーを口にする。
「あ、陽介、行儀悪いよ、ちゃんと全員が食卓についてから……」
僕たちだけが先に食べるのも悪い、そう思い止めようとするが……
「ぐ、あ…………ぐは」
「陽介!?」
カレーを口に入れた陽介が倒れる。
「あら? 花村くん疲れてたんでしょうか?」
姫路さんが呑気に言うがそんなものじゃない。そのとき僕は気がついた。カレーから立ち上る邪悪なオーラに!
「花村も大げさだなあ。少し失敗したかもしれないけどそこまでのリアクション取ることないじゃん」
里中さんはまだこの事態に気がついてない!? 今、陽介はリアクションで倒れたんじゃなくて意識を失っている。陽介……君の死は無駄にしない、僕はこのカレーを食べないよ。僕は逃走を決意し腰を浮かせかける。
「私たちのことは良いですから吉井くんもどうぞ」
しかし回り込まれてしまった!
「い、いや、僕はあまりお腹空いてないからさ」
「さっき花村くんとお腹が空いたって話してたよね」
天城さんが僕の言葉を即座に否定する。
「どうぞ」
そして僕が食べることを期待して瞳を輝かせる姫路さん。
「……いただきます!」
大丈夫だ。これでもかつては姉さんの料理で鍛えた僕の胃だ。きっと生き残れる!
僕は勢い込んでカレーを口に含んだ。
その瞬間……僕の意識は……遠くなっていった……
生は真実、片時も夢ならず。
もとより誰もが知る……
真実とは、選び取るもの……
眼差しと意志とで、見出されるもの。
それを得てこそ、己も真実となる。
過去と未来とを結ぶ糸となる。
けれど今、客人の定めは途切れ、
未だ真実は、霧深き、森の中……
今までこ愛読ありがとうございます。これでバカと田舎とペルソナ、完結……
嘘です、ごめんなさい。まだ続きます。
昨年までは川に行ってましたけど今の明久の臨死体験はリムジンなんですよね。
では短いですが一種のネタとしての切り時なんで。
ペルソナ4未プレイの方への補足として最後のはゲームオーバー時に流れるものです。
では次回もよろしくお願いします。