バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第七十七話

林間学校2日目、午前中で解散になったから僕達は川にやってきた。

「俺らしか来てねーみたいだな」

陽介がはしゃいでるけどなんか完二の元気が無い。

「完二、どうかしたの?」

「や、昨日の晩、なんかカーッとなって明久先輩と一緒にテント飛び出した気がするんスけど……夢だったのかなあ……起きたら先輩らのテントにいたし」

「あ、僕もそんな気がするんだけど起きたらテントにいたんだよね。完二と同じ夢見たのかなあ?」

「ゆ、ゆめゆめ、夢だって!」

「そ、そうですよ、昨夜明久くんと巽くんが来て気絶させたなんてことは無いですから」

里中さんと姫路さんが僕達がテントに来てないという。やっぱり夢だったんだね。

「ま、とりあえず泳ごうぜ!」

空気を変えるように陽介が声を張り上げる。そうだ、水着を見るために僕達は来たんだった!

「先輩、マジ泳ぐんスか? オレぁダリぃしパスで」

「え? 完二泳がないの? せっかくなのに」

「あたしらも泳がないよ? あんたらだけで泳げば良いじゃん」

しまった、完二に続いて里中さんたちまで泳ぎを拒否してしまう!?

「そ、そうですよね、泳ぐために準備もしてませんし」

そう言って姫路さんは自分の腹部に視線を向ける。くっ……このままでは女子の水着を見るという僕達の計画が!?

しかし陽介は僕に向かって『俺に任せろ』とアイコンタクトを向ける。

「そういえば貸しがあったよな?」

「え? 待ってよ、うちらもパスパス」

陽介の言葉に里中さんは焦ったように言う。

「貸しはまあ……そうだけど」

貸しって何かあったのかな?

「二人運ぶのは辛かったな……しかも男が俺だけだからってテントから追い出されたし」

え!? なに、陽介になにがあったの!?

「そ、そうだ、水着持って来て無いし。いや、残念だったなあ」

しかしこの雰囲気はいけそうだ、頑張れ陽介!

「そ、そうですよね、水着無いですもんね」

「うん」

姫路さんと天城さんも里中さんに同調するが……

「あーそう、三途の川で泳がされそうになったのに川遊びには付き合えないと?」

「い、いや水着ないからさ……あはは……」

「そ、そうそう、裸で泳ぐわけにいかないからね」

陽介の言葉に女子達は押されている。そして陽介はトドメとばかりににやりと笑い。

「じゃーん、なんとここにありましたー!」

陽介は切り札とばかりに3人分の水着を取り出す。

「ちょ、なんでそんなの!?」

「というかなんでサイズ知ってるんですか!?」

「土屋に聞いた」

そう、ムッツリ商会からの情報だ。サイズも完璧なはずだ!

「うわ、引くわー」

「でもここまで周到にされたら……」

「断れません……よね、負い目もありますし」

3人は諦めの表情を浮かべる。

「陽介、GJ」

僕は陽介と喜びを分かち合う。

「吉井君も絡んでいたの!?」

「一昨日の買出し、二人で動いていたのはそういう事だったんですね」

女子の視線が少し痛いけどこれも水着のため、我慢しよう。

「覗きに来ないでよ」

「あはは、ムッツリーニじゃあるまいし、そんなことしないよ」

僕はその言葉に誘惑に駆られそうになる。

「覗きに来たら美波と玲さんに報告するからね」

「絶対に覗きなんてしないよ」

人としてそんな犯罪行為は絶対にしちゃいけないよね。

「結局完二は泳がないの?」

「え? ああ、オレは水着持ってきてねえし」

僕と陽介は水着に着替えようとしたところで完二に声をかけるがそう答えられる。

「ま、仕方ねえよ。俺達はさっさと着替えようぜ」

 

 

男の着替えなんてすぐ終わるので僕と陽介は水着をはいて女子3人を待つことにした。

「二人とも準備は良い? シミュレーションを怠ると命に関わるよ」

「楽しみなのはわかるけど大げさだろ」

陽介はなにを甘い事を、あの3人の水着なんてムッツリーニがいれば即死コースだというのに。

「ほら、じゃ入るわよ」

「あ、あの、どうでしょうか?」

「私達だけだとちょっと恥かしいね」

危ない!? 僕はとっさに後ろを向く。

「ええ!? 明久くん、なんで視線を逸らすんですか!?」

「いやー3人ともなかなか良い感じじゃね? ちょっとガキっぽいけど」

「……」

陽介は完二に話しかけるけど完二は赤くなって返事をしない。

「3人とも似合ってるよ」

僕は鼻血を堪えながらもなんとか声を出す。

「だよな、昨日の物体Xの分も少しは報われただろ、まあ命の代償ってほどでは無いかもだけどよ」

「ちょ、花村先輩」

「やっぱ、俺の見立てがよかったかな」

「よ、陽介、それ以上は……」

「あまり……調子に乗るなー!」

「「なんで僕(オレ)達までー!?」」

調子にのって喋る陽介と一緒に僕と完二も川に蹴り落とされる。

「つ、つめてー!? 落とすことねーだろ!?」

「よ、陽介は自業自得だよ!? なんで僕と完二まで!?」

「そ、そうだ、オレらなんもしてねーだろ!?」

「なんつーか、連帯責任?」

川の水は冷たく、僕達は寒さに震える。しかしそれだけではなく……

「うぇぇー……昨日からなんか胃の調子がおかしい……おうぇぇぇ」

「「ってモロキンーーーー!?」」

昨日のカレーの影響で川上でモロキンが……

「あーあたしら入らなくてよかった」

「そ、そうですね、明久くん達には申し訳ありませんがこれは入れませんね」

「そういうことで、私達は着替えてくるから」

「「「納得いかねー!?」」」

こうして僕達の林間学校は幕を閉じた。




林間学校編のラスト、しかしこの作品での陽介はとことん貧乏くじを引かされてますね。
そして物体Xのダメージはモロキンが一番大きかった。
では次回から新章です。次回もよろしくお願いします。
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