バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第八話

里中さん達に場所を聞いて僕はジュネスにやってきた。

ここは昨日もテレビのCMでやっていたところだよね。

食材の確保も大事だけど荷物が軽いうちに色々と品揃えを確かめないと。

例えばマンガとかゲームとか男子高校生にとって必需品の保健体育の参考書とか……

しばらく見て回ったあと食料品の買い出しに移ることにした。

「あれ、吉井?」

そこにはエプロンをつけた花村くんがいた。

「花村くん、ここでバイトしてるの?」

「あー、まあ、バイトって言えばバイトだけど……ま、良いか、どうせみんな知っていることだし……ここ親父が店長やってるんだ」

へえ、店長の息子か。

「働かないと小遣いすらもらえないんだよ。ところで吉井はなんか買い物?」

花村くんも家での立場低いのかな? お父さんより下っていうことは一番下のような感じがする。

「うん、夕飯の買物しようと思ってね」

今日は何にしようかな……

「花村くん、今日のセール品とかって何かな?」

「ああ、そうだな、それならもうすぐタイムセールが始まるけど……今日は魚だったかな、お前、お使いじゃなくて何作るかも選んでるの?」

「うん、実家では僕が家事やってたしね。居候としてそのくらいはやらないと」

花村くんも立場が低いってことは家事をやってるんだろう。

「おっと、あんまり話してられないんだった、それじゃ、吉井、また明日な」

「うん、またね」

花村くんと別れて買い物を続けることにした。

 

 

「うん、結構良い買い物できたかな」

お金に困ったときCDやゲームを売る店がないのはちょっと困るかもしれないけど新品ということならジュネスの品揃えは結構充実している。

Prrrr Prrrr

「ん、電話かな」

携帯電話を取り出すとそこには僕の天敵の名前が表示されていた。

「もしもし」

「もしもし、吉井?」

島田美波、僕を殴ることが趣味と公言する胸が薄いけどスレンダーなスタイルの女の子だ。

「なんか急にあんたを殴らないといけない気がしたんだけど」

電話で良かった……これが直接会ってたら命の危機だった……

「き、気のせいだよ、それでどうしたの?」

「あ、そうだった、坂本に聞いたんだけど、転校ってどういうこと?」

そういえば雄二とムッツリー二、秀吉の3人にしか言ってなかったっけ。

「うん、ちょっと家庭のじじょ……」

「バカだから転校させられたって聞いたけど本当?」

あのバカよけいな情報まで話したの!?

「う、うん、実は……」

どうせ雄二がばらすならと僕は正直に事情を話すことにした。

「ふーん、でも吉井、ウチに黙っていなくなることないじゃない」

ちょっと拗ねたような口調で言う。それはそうか、友達なのに彼女に黙って転校しちゃったんだ。

「ごめんごめん、でもちょっと教えるのを忘れてただけなんだ」

「でも坂本たちには教えてたわよね」

雄二たちはたまたま春休みに遊んだからその時に言っただけなんだけど……どうしよう、これは僕が全面的に悪い。土下座しようにも電話越しで伝わるかなあ……

「許して欲しい?」

「うん、なんなら土下座するけど島田さんには見えないんだよね」

「そうね、見えないことされるより許して欲しければ……」

そこで島田さんの言葉が詰まる。電波状態が悪いのかな?

「そ、そうね、今回は友達甲斐がなかったということで今度から私のこと美波って呼びなさい」

「へ?」

「い、いくらあんたがバカでも名前で呼ぶ相手のことは忘れないでしょ。その代わりわ、私も今度からあんたのことアキって呼ぶから」

なるほど、親しい友達相手なら伝え忘れることはなくなる。その第一歩としての名前の呼び方を変えるということか。

「あはは、それでいいなら今度からそう呼ぶよ」

「そ、それじゃ、戻ってくるときとかちゃんと連絡するのよ」

「うん、それじゃまたね」

僕の言葉を最後まで聞かずに電話が切れてしまった。言われてみれば失敗したなあ……雄二たちにしか伝えてなかったから僕の転校はあまり知られてないってことか。前もって知られていれば実は僕のことを気になっていた女の子から声かけられたかもしれないのに……まあ、僕はモテないからそんなことはないだろうけどね。

 

 

「ただいまー」

「おかえりなさい。あっ、お買い物行ってきたの?」

「うん、朝に言った通り今日から僕が夜はつくるから」

「うん、楽しみ!」

「ところで菜々子ちゃんって食べれないものとかある?」

しまった、朝のうちから聞いておくべきだった。食べれないものとか食べたいもののリクエストとか……

「菜々子なんでも食べれるよ」

好き嫌いとかないんだ、子供は野菜が嫌いな子も多いけど、それなら僕も作りがいがある。

「あ……でもお父さんいつ帰ってくるかわからない……」

そっか、事件があったから叔父さんは忙しいかもしれない。

「そうだね、それなら叔父さんの分はレンジで暖めれば良いようにしておくよ」

そのあと僕の作った料理は菜々子ちゃんには好評だった。

 

 

夕食後、僕と菜々子ちゃんがテレビを眺めているとニュースで今日の事件が流れる。

映っていたのは通学路、間違いないみたい。被害者は地元のテレビ局のアナウンサー山野真由美さん、事件の捜査にあたっているのは稲葉警察署。

「いなばけーさつ! お父さんの働いているところだ!」

それを聞いて菜々子ちゃんも驚く。やっぱり叔父さんはこの事件捜査してるんだ。殺人事件となると忙しいんだろうなあ……でも菜々子ちゃんは心配そうだなあ。

「大丈夫だよ。さっき叔父さんを見たけど仕事頑張ってたから」

「うん、お父さん、お仕事だから仕方ないよ」

テレビのニュースは続く。遺体がテレビのアンテナに引っかかっていてなぜそのような状態になったのかは不明らしい。

う~ん……クラスの処刑でもそこまでのは見たことないなあ。

「あ、ジュネスだ!」

考えてるうちにテレビはCMに変わっていた。

『エブリディ・ヤングライフ!ジュネス!』

「エブリディ・ヤングライフ!ジュネス!」

菜々子ちゃんは合わせて歌っている、そして僕を期待する目で見る。なら僕はそれに答えないといけない。

「エブリディ・ヤングライフ!ジュネス!」

とりあえずいっしょに歌う。

「おぼえた? 菜々子ね、一番うまいんだよ」

ということは学校とかでも流行ってるのかな、ジュネスってすごいな。

「ねえ、ところでこれ英語だよね? どういう意味なの?」

「え!?」

菜々子ちゃんに期待された目で見られている……ど、どうしよう、わからない……

だけど嘘を教えるわけにもいかないし……

「あ、明日まで待って、調べておくから」

「高校生でもわからないくらい難しいんだ。大丈夫だよ、わからなくても菜々子ジュネス好きだから」

とりあえず僕がバカだからわからないとは思わないでくれたみたい……これは今後菜々子ちゃんに質問された時に分かるくらいには勉強した方が良いかも……




ようやく次回日付が変わりますね。
ということで電話越しですが今回はバカテスキャラも登場、アンチの方も結構いらっしゃるようですが私は美波好きですよ。素直になれないで自爆するあたりが特に。
まあ、出した意図としてはさっさと『アキ』と『美波』と呼び合う関係にして今後登場させるにあたって会話の違和感を消そうと思ってなんですけどね。一巻初期で呼び方は変わっているから『吉井』『島田さん』だと書いててしっくりこないんですよね。
では次回もよろしくお願いします。
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