7/26 火 雨
「どうした、明久? 明日から夏休みだってのになんか暗いな」
一学期の最後の日、放課後になってから陽介が話しかけてくる。
「成績がね……これを報告するのが憂鬱で……」
「あーそういえばテスト自信がないとか言ってたもんね。駄目だったんだ」
里中さんも会話に入ってくる。僕はその言葉に頷く。
「もしかして……補習?」
天城さんが僕に問いかけてくる。
「いや、補修はギリギリで免れたよ。モロキンだったら補習だったと思うけど……」
「あー、柏木はその辺適当だしな」
一番点数低かったのは文月の試験召喚戦争でほとんど使われない倫理、モロキンから柏木先生に引き継がれた教科だ。他は一応勉強したし一時期の熱心な授業態度のおかげでお情けをかけてもらった。
「雄二たちの方はクラス全体が補修らしいな」
「あそこは試召戦争で授業潰れたし仕方ないよ」
霧島さんの方は成績優秀なAクラスだから補習はないみたいだけど……
「坂本くんが補習出るなら翔子も学校に行って夏期講習受けるらしいね」
そこら辺は霧島さんらしい。
「ま、それはともかく今日は終日雨らしいから一応マヨナカテレビはチェックしようぜ。警察が犯人を追っているらしいから必要はないと思うけどな」
陽介の言葉に頷きその日は家に帰ることにした。
叔父さんは犯人確保のため忙しいらしく姉さんにも今日は成績を報告してないまま深夜、マヨナカテレビの映る少し前の時間。
Prrrr Prrrr
電話が鳴る。相手は雄二か。
「もしもし」
『明久か? そっちは雨だよな?』
「マヨナカテレビのこと? 一応見るけど犯人は警察が追ってるしそこまで気にすることないんじゃない?」
『まだ気になることがあってな。俺達の補習が始まるのは8月に入ってからだ。なにか事件が起こるなら今月中なら動きやすい』
雄二は心配性だなあ。もう犯人が捕まりそうなんだしそこまで心配することはないのに……
『それじゃ、またあとで電話する』
まあ、僕も気にはなるし一応確認はするけど……雄二は気にしすぎだと思うけどなあ。
雄二の電話が切れた後、12時になりマヨナカテレビの時間になる。僕はテレビに目を向ける。
何も映るわけがないとおも……
「って映ったーー!?」
しかも鮮明な画像。
『……』
死んだ魚のような眼をした少年が映る。
『みんな、僕のこと見てるつもりなんだろ? みんな、僕のこと知ってるつもりなんだろ?』
今までのマヨナカテレビに映った人と違いぼそぼそと喋る。
『……それなら、捕まえてごらんよ』
それだけ言ってマヨナカテレビは終わる。
Prrrr Prrrr
雄二かと思った陽介からだ。
『おい、今の見たか!?』
「う、うん、まさか映るとはね……」
『ああ、それより今の誰だ? 俺、知らねえよ。ニュースや特番で見かけたか?』
陽介に言われて気付く。
「僕も見たことないよ。今までの法則と違う」
『ああ、それにゾンビみたいにテンション低かったよな』
「うん、死んだ魚みたいな目でぼそぼそ話してたよね」
陽介と話していると……
『ヨースケ! ヨースーケ!』
電話の向こうからクマの声が聞こえてくる。
『……っと、わかった、うるせーな! 悪い、クマに代わる』
陽介の後ろでクマが電話を替わるように騒いでいたらしい。相手がクマに替わる。
『アキヒサ、クマクマー! 初めて噂のマヨナカテレビを見たクマよ』
「あ、そういえばクマは見るのは初めてだったっけ。何か分かった?」
『うん、やっぱこれ、さっきの子の抑圧されている気持ちにあっちの世界が共鳴して起きてる現象クマね。誰かがサツエイとかしてるわけじゃないことがハッキリスッキリしたクマ』
「へー、そうなんだ」
よくわからないけど向こうの世界の仕業ということがわかった。
『だけどさっきの子、おそらくもうあっちの世界に入ってるクマ』
「うん、画像が鮮明だから僕もそうだと思ったけど……」
今までだと画像が鮮明になるのは本体がテレビに入ってからだし今回もそうなんだろう。
「とりあえず明日雄二達も交えて話し合おうか」
クマの説明聞いても僕だけだと分からないし。
『うん、そうクマね。それじゃ、明日ジュネスで会おうクマ』
電話が切れるのを確認し改めて雄二に電話をかける。
『明久か、今まで陽介と話し合ってたのか? ということはなにか映ったんだな?』
おそらく向こうからも僕や陽介に電話をかけていたんだろう。そしてそこからマヨナカテレビが映ったことを予想したんだろうけど……犯人が警察に追われているのに映ったこと自体は予想していたみたいだ。
「うん、しかもいきなり鮮明な映像で……」
僕は映った内容とクマや陽介との会話内容を雄二に話す。
『いつものぼんやりしたのを飛ばしていきなり鮮明な画像? そして今回は報道すらされてない相手か。しかもクマの話の内容からすると映ったのはそいつのシャドウなんだな?』
「うん、抑圧されたのを向こうの世界に共鳴とか言ってたから多分シャドウだと思う、不気味だったし」
『どういうことだ……シャドウが出たということはテレビに入る力があるとは考えづらい……報道されてないのは模倣犯に対する犯人の報復か……』
雄二が電話の向こうで何かブツブツと呟いて考え始める。
「どうしたの?」
『あ、ああ、すまん。ちょっと予想外だったからな。とにかく明日話し合うんだな? 翔子とムッツリーニには俺から伝えておく』
そう言って雄二は電話を切る。僕は美波や里中さん達に連絡して今日は休むことにした。
大変お待たせしました。97話アップです。相変わらず忙しい日々ですが少しは落ち着いたのでまた執筆を再開します。P4Gも止まっていたのを久しぶりに進めることができましたし、間が空くと今どのコミュを上げようとしていたのか忘れて困りました。
ということで事件発生です。そして次は多分間章が入る予定。
次回こそはあまり間を置かずにアップできる……と良いなあ。
では次回もよろしくお願いします。