「高校教師に…俺はなる!!」
そう叫んで俺は親の反対を押し切って東京の大学に行き、比較的教員採用試験の採用率の高い関東圏で見事合格。
千葉市立総武高等学校に赴任した。
赴任するなり俺は国際教養科の三年J組に配属された。
当時のJ組は雪ノ下陽乃を中心に問題児が多かったがなんとか俺はクラス全員を国公立or名門私立or海外の名門大学に送り出し翌年の学年でなんと学年主任を任された。
その年に年配の先生方が多く退職されたのが大きな要因でもあるが昨年の実績も認められたのだろう。
だがいいのか23歳の学年主任なんて…。
「…………………………と…
こんなもんか。」
もう2年目なので慣れたが、学年主任というのもなかなか忙しい。
仕事の大半は書類整理だしパソコンとにらめっこする時間も長い。
時々授業にも行くが最早それ自体が息抜きである。
因みに教科は社会全般。倫理 政経 日本史 世界史 地理 現社なんでもござれ。
高校の頃は社会だけはぶっちぎりだったからなのだが何せそれ以外の教科が壊滅的だったのだ。
県内有数の底辺校に通っていたが二ヶ月本気で勉強し奇跡的に国公立大学に合格したので知識はスッカスカである。
「……さってとそろそろ帰りますか。」
今日は春休み最終日。明日からは生徒達が登校してくる。今日はクラス編成の最終確認だ。
「おっ、まだいたのか烏飼。」
「あ、先輩。」
この人は平塚静先輩だ。赴任当時からとても世話になっている。
もっともタメ口で会話するのは2人の時であり普段は上司と部下の関係だ。
ただ、先輩に敬語を使われるのはなんか落ち着かない。
「あ、タバコください。」
「まったく君は、もらいタバコばかりじゃないか。」
そう言いつつ渋々とはち切れんばかりの胸ポケットからセブンスターを取り出す。
「アークロイヤル白売ってるとこ少ないんですよ。」
一本貰うとガスライターで火をつける。
ガスライターはタバコの味に一番影響を与えないので好んで使っているのだ。
「こんな遅くまで仕事とは大したものだな。関心関心。」
「やだなぁ、先輩だってこんな時間に居るじゃないですか。」
「……いや、ちょっとな。」
「ああ、例の部活ですか。許可降りたんですか?」
「それが…顧問が2人以上居ないと認められないらしくてな。」
「それじゃあ俺やりますよ。面白そうだし。」
「本当か!?ありがとう!」
先輩は俺の肩をガシッと掴む。
この人は時々目が怖い。
そのうち喰われそうだ…物理的にも性的にも。
「では早速書類を提出しに行こう!
君は仕事はできるし、優しいし、顔も悪くないし、本当にいい男だなっ!私のタイプだ!」
「先輩それ口説いているんですか?気持ちは嬉しいんですが俺既婚者ですよ?」
「それさえなければなぁっ!」
先輩は悔しそうに壁を殴る。
本当誰か貰ってやれよもう。
俺が既婚者というネタ(?)は赴任当初からのお決まりの常套句である。
俺は大学を出たと同時に大学一年生から付き合っていた6歳年上の女性と結婚している。因みに先輩とは同じ高校の同級生であり昔から絡みがあったらしい。
披露宴で酔っ払って暴れ出した教師がいたとかいないとか。
「…まぁラーメンくらいならいつでも付き合いますよ。」
撫で付けたオールバックの髪をわしわしやりながら俺なりの慰めの言葉を先輩に投げかける。
「ううっ、ありがとぉ……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キュルルッドッドッドッドッ…
慣れた手つきで俺はカワサキZEPHYR1100のエンジンをスタートさせる。
乾いたヨシムラ管の音が響く
徹底的にチューンを施し130馬力を実現したものである。
もちろんリミッターは外している。
カラーは王道の火の玉だ。
妻の影響で乗り始めたバイクだが中々いいもんだ。
ヘルメットを被りお気に入りの革ジャンを羽織り俺ーーーー烏飼健一はバイクを発進させた。
読んでくださりありがとうございます!
不定期更新になりますが何卒よろしくお願いします