第2話 そして烏飼健一はぼっちと出会う
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始業式当日
「は?僕がJ組の担任?」
始業式当日に何言ってんのこの教頭?
ジジイ!ハゲ!ザビエル!豆腐の角に頭ぶっけて死ね!
とか口が裂けても言えないわけだが。
「し、しかしJ組の担任は◯田先生が…え?持病の糖尿が悪化して療養中?」
どうやら俺は急遽替え玉として担任をさせられるらしい。
とにかく担任は忙しい。
朝のSHRから帰りのSHRもあるし常にクラスの奴らのことを考えなくてはならない。
さらには生徒の悩みや相談問題児の世話焼きetc…
これを学年主任と同時にこなすのは結構難しいのだ。
何故そんなことがわかるかって?
昨年度も学年主任兼J組担任だったからさ!
なんだかんだでJ組も三年目だな。
1年目は雪ノ下陽乃に頭を抱えたもんだ。成績は優秀だったが。
2年目は雪ノ下雪乃の担任だった。
雪ノ下と聞いてどんなおおちゃくい奴が来るかと思ったがいたって真面目なおしとやかな生徒だった。
だが、他人と触れ合う事もせず1人孤立している事が多くそのくせ姉の背中を追っている面もあり言ってしまえば自分から漏れ出た感情は一切ない借り物の理想と自分のなりえないものを追いかけている。そうゆう生徒だ。その点姉よりタチが悪い。
そしてーーー今年も雪ノ下雪乃のいるクラスの担任だ。
まぁなるようになるさ。
そう言えば先輩が奉仕部の部員は雪ノ下雪乃だけだと言ってたな。
よく部員1人で許可とったな。
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校長のやたら長い話が終わり始業式は終了となった。
「ん〜終わった終わった!烏飼!昼にラーメンでもどうだ?」
始業式終わった瞬間ラーメンかよこの人…てゆうか毎日食いに行ってない?よくそのプロポーションたもてるね!?
「俺、今日弁当なんすけど。」
そう言って俺は弁当を取り出す。
妻の愛妻弁当です、はい。
「ちくしょぉぉぉおぉぉぉ!!!」
物凄い勢いで先輩は廊下を走っていった。おいおい、風圧で生物のおじいちゃん先生がどっか飛んでったぞ…。
ほんと誰かもらってやれよもう。
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久しぶりに外で食おうかな。
そう考えて俺は購買でコーンポタージュ(1リットル)を買いちょうどテニス部やサッカー部の練習が見えるような位置のコンクリの階段まで行く。
「ん?先客か?」
そこには階段に座りスポルトップをスズーッと吸ってる生徒がいた。
おそらく2年の生徒だな。
確か…2年F組のひ、ひ…なんだっけ?下の名前は確か八幡大菩薩だったかな?長いなおい。
去年入学式当日に事故にあった事だけは覚えてるな。名簿も見たはずだが…あーくそ思い出せない。
記憶力落ちたなぁタバコやめようかな?
そんな事で悶々としている俺に八幡大菩薩君は気付いたようだ。
「あ…烏飼先生。」
どうやら俺の事は知っているようだ。いや知ってるでしょ。
「や、こんにちは、八幡大菩薩君。」
「……なんか、すげー斜め上を行った呼び方っすね。」
八幡大菩薩君はちょっと引き気味だ。心なしか俺を見る目が死んでる。あ、俺も目は死んでるわ。
「すまない、君の名前をわすれてしまったんだ。」
「…比企谷八幡です。」
「そうそう比企谷八幡君だったね!
隣いいかい?」
「あ…はい。」
許可を取ると俺は彼の隣に座り弁当をもしゃもしゃと食う。
「君は、何をしてるんだい?」
コーンポタージュをゴキュゴキュやりながら俺は比企谷君に問うた。
「別に…特には。」
比企谷君は無気力気味に答える。
「ふーん。」
俺はこの会話の中である仮説を立てた。残りの弁当をかきこむとその仮説の答え合わせをする。
「君、友達居ないだろ?」
「は!?」
比企谷君は驚いていた。この驚き方は図星か。
「い、いやそんな事は」
「あるね。君からは昔の俺と同じ匂いがする。」
「同じ匂いって…」
「2人組を作って下さ〜い!」
「!?」
「俺が昔反吐がでるくらい嫌いだったセリフだ。君もそうだろ?」
「…確かに嫌いです。」
「だよなぁ、じゃあ一つ提案だ。」
比企谷君は疑問に満ちた表情をする。
「俺と、友達になろうぜ。」
「……………………………は………………?」
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「まぁ、乗れや」
俺はZEPHYR1100にまたがる。
「なんでバイクなんすか?」
「思いっきり走ってると嫌なこと忘れるんだ。送ってくよ。」
「………ヘルメットどうするんですか?」
「あ…忘れてた。」
結局、比企谷君には俺のフルフェイスヘルメットを貸し俺は安全第一ヘルメット(笑)を被った。
「無限の彼方へ、さぁ行くぞ!」
「どこの高性能おもちゃだよ…俺の家にいくんじゃないんですか?」
「冗談効かないなぁ。」
そう言って俺はバイクを発進させた。
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「ここですここ。」
「ういーす」
俺は比企谷家の前にバイクを止める。
「今日はありがとうございます。」
「いいって友達だろ?」
「…はい。」
「じぁあまた明日な。」
バイクを再発進させて自宅に向かう。
……………………あいつは、中学の頃の俺にそっくりだった。友達も居なく先生にも見捨てられ誰一人信じられなかった。
多分、昔の俺を比企谷君にかさねてしまったんだろう。どうにもほっとけなかった。
乾いた排気音だけが妙に大きく感じられた。
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