遊戯王ARC-Ⅴ 夜天の来訪者   作:ドロイデン

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今回はリリなの次元です。デュエルはありませんのでご容赦ください。


Episode13 鉄槌と執務官と司書

「どうだクロノ、ユーノ」

 はやてが消えてから約2週間が経った今日、八神ヴィータこと、ヴォルケンリッター鉄槌の騎士ヴィータはアースラの食堂で昼食中の同僚二人にそう聞いた。

「管理外世界に関しては、残念ながら魔力反応が全くない、色々と調べているんだがな……」

「無限書庫の方にも全く、ただ一つだけ分かったことがある」

 ユーノはそういうと手元のディスプレイに映像を呼び出す。それはリインが映像で記録した、『地縛神』を呼び出した男の姿だった。

「この男の人が着ている服装なんだけど、どうやら第104管理外世界に住んでる、一部の集落の民族衣装だったようだ」

「第104……どんな星なんだ?」

 ヴィータは少し不機嫌にそう聞いた。

「第104管理外世界通称『エンシェミオン』、魔法文化AA+の魔法世界みたいだな。ミッドやベルカの祖先とも言われる独自の魔法体系を持っていて、特に召喚魔法や移動魔法はミッド及びベルカはこれを解析し応用したものである……か」

「すげぇな。今見た限りじゃ、良く私たちが募集してたときに引っ掛からなかったな……」

「それは多分、距離の問題だよ」

 ヴィータの率直な言葉に、ユーノは苦笑しながらそう言った。

「管理外世界っていっても、それ自体の場所は様々だからね。『地球』と『エンシェミオン』に関しては光年単位の距離があるそうだから、正規じゃないルートたと、往復だけでおそらく一週間は掛かると思うよ?」

「そういうことか。で、そのエンシェミオンとかいう世界のどこの民族なんだ?」

「うん。ちょっと待って……はい、これ」

 ユーノは指を動かすと、映像が別のものに切り替わる。

「この民族衣装を着るのはエンシェミオンの住人のなかでも最古の召喚術を扱うアプラ族で、今の族長は『コカ・リフィート・アプラ』っていう青年みたいだ」

 ユーノが映し出したのは映像に映っていた衣装に似たものを纏った一人の青年だった。

「その『アプラ族』ってなんだ?」

「情報だと、アプラ族はエンシェミオンの王族に使えていた、主に精霊や聖獣などを召喚し使役することを中心として侵略から守っていた一族だそうだ」

「役割は違うけど、簡単に言えば私らみたいなもんかよ……」

「そうだ。中でもその一族は地球にも所縁があるらしくて、一部の民は四千年以上も前にエジプトや南米とか赤道付近に住んでいた事もあるらしい」

「エジプト?赤道方面?」

 そこでヴィータは何かを考えるように映像を見つめる。

「…………なぁ、エジプトってなんか有名なのあったよな?」

「?そりゃエジプトといったらピラミッドやスフィンクスがあったけど……ピラミッド?」

「そうか!!」

 クロノは大声を上げながら立ち上がる。辺りにいた面々が驚いてそちらを見ている。

「落ち着けクロノ!!」

「落ち着いて居られるか!!ようやく事件の事が少しだけ分かったんだ!!」

「ど、どういうことだい!?」

 クロノの言葉にユーノは慌てて聞き返す。

「良いか、おそらくだがこの事件の繋がりとなるのは『遊戯王』という世界が関係しているんだ」

「遊戯王が?そんなわけがあるか、第一そんなのが関係するなら、はやてじゃなくてもなのはやフェイトだって候補に入るだろ?」

 ヴィータは呆れながら言うが、クロノの顔は真剣そのものだ。

「ヴィータも知ってると思うけど、遊戯王のカードは元々エジプトや遺跡の伝承からカード化したものだ」

「確かにそうだ、けど、それとどう繋がりがあるんだよ」

「初代遊戯王『武藤遊戯』の時代の物語やカードは古代エジプトを起点としている。『青眼の白龍』や『ブラック・マジシャン』のカードが遺跡の壁画に描かれたようにね」

「(なぁユーノ、こいつホントに管理局員か?どう見てもただのオタクにしか見えないが)」

「(そう言わない。このクロ介も大変なんだから)」

 ヴィータがそう念話でユーノに聞くが、彼は少しだけ冷や汗を流して誤魔化す。

「そして、今回大事なのは場所なんだ」

「場所?古代エジプトか……って待てよ、そこって確か」

「あ、アプラ族が住んでたって言われてるのも古代エジプト!!」

 ヴィータの言葉を聞くと、ユーノも漸く分かったように立ち上がる。

「そうだ。アプラ族は四千年前の古代エジプトなどの赤道付近の国に居たことがある。今回の『地縛神』のカード、あれも確か南米の赤道付近の国『ペルー』の『ナスカの地上絵』だ」

「でもさ、それだけで繋がっているっての、ちょっと無理がねぇか?」

 ヴィータの意見ももっともだ。だが、

「なら聞くが、紀元前の世界にあんな巨大な建造物や彫像が何個もできると思うか?」

「いや、物理的には可能だろ?」

「確かに物理的にはな。だが、当時のエジプトはかなりの数の戦争があった、男は皆毎日のように兵役で持っていかれて死んでいく中、王が一人亡くなったからといって墓を誰が作る?」

「それは…………」

 ヴィータは言葉を濁す。昔の日本のように女子供を働かせるという手段も無いことはないだろうが、ただでさえ赤道直下の砂漠に覆われた土地でそんなことを全員が全員出来るかと聞かれれば間違いなくNOだ。

「それに『ナスカの地上絵』に関しても、誰がどうして、どうやって作ったといわれる程の物だ。が、それにアプラ族が関わっているとなれば話は別だ」

「そうか、アプラ族は召喚術を生業としている民族、もし彼らがそこにいたとすれば……」

「『ナスカの地上絵』自体がアプラ族が呼び出した召喚獣って事になる!!」

 ユーノの興奮した声にクロノはコクりと頷く。

「そしてリインが言ってた『近くなかったら気付かれない程の魔力の小さな転移魔法』も、移動魔法をも得意とする彼らなら、ミッドやベルカのオリジナルなだけに消費が少ない方法がある筈だ」

「シグナムが召喚魔法がベルカに近いって言ってたのも、そう言われれば筋が通るしな」

「そうとなれば早速データを集めないと!!おいクロ介、少し手伝え!!」

「黙れ淫獣フェレットもどき…………って服を引っ張るな伸びるだろ!!」

「時間が惜しいんだ!!すぐにやるぞ!?」

「だからって襟を引っ張るな!!」

(ユーノのやつ、絶対今までのクロノの無茶を清算させる気だな……)

 ヴィータはやれやれと思いつつ、妙にテンションの高いユーノに引きずられるクロノに対して合掌するのだった。

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