遊戯王ARC-Ⅴ 夜天の来訪者   作:ドロイデン

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Episode19 壊れた夜天

 リインフォースside

 

「……降りてきませんね」

 私はリビングのテーブルでため息を付きながらお茶を啜る。

 あのシュテルとのデュエルのから数日が経ち、主はまるで無気力になったように眼から光が消えてしまった。私や隼、ユートがどんなに言葉をかけてもなんの反応もせず、最近では主の魔力を感じとることさえ出来なくなるほど弱々しいものになってしまった。

 さらには部屋を出ることさえなくなり、まるで引きこもりのような生活になってしまっている。

「……どうにかできれば良いのですが」

「こればっかりははやて自身の心の問題だ。あそこまで圧倒的に叩き潰されれば尚更だ」

 ユートは煎餅をかじりながらそう呟く。

「……そういえば隼はどこへ行った」

「アイツなら少し一人で行動したいとかで外に出ている」

「そうか……」

「……」

「……」

 あまりにも会話が続かず、私達二人の間に重たい沈黙と掛け時計の針の音、そして降り頻る外の雨音だけが部屋の中を谺する。

「……止まないな」

「……そうだな」

 その時、私は主の部屋から異変を感じた。それは微細だった魔力が突然として少し大きくなったような……。

「……まさか!!」

 私は慌てて立ち上がり主の部屋へ走り出す。そしてドアを開けると、そこには主はやては居なかった。ただ窓が大きく開かれ、強風にカーテンが揺れている。

「どうしたリインフォース!!」

 着いてきたユートが何事かと聞き返す。

「主が……消えてしまった……」

 

 

 

 はやてside

 

 降り頻る大雨に身体を濡らす。大空を飛んでるから尚更やった。

「私は…………強くなりたい」

 その思いだけがただ心の中を埋め尽くす。その度にシュテルのモンスター『ルシフェリア・シュタルク・ドラゴン』の禍々しい姿と、それから放たれる紅き閃光がフラッシュバックする。

『当代の夜天の主とはいえこの程度ですか』

 シュテルが放ったあの言葉が脳の奥に反芻する。

「私は……どうしたらええんやろ……」

 雨はさらに激しさを増していく。いつの間にか私は街外れの廃鉱に着いていた。制限された魔力ではここまでが精一杯だった。

「…………」

 私は雨宿りと思って廃鉱の中に入る。じめじめした空気に私の心はさらに重くなる。

「おりょ?こんなところに何のようだい」

 すると奥から一人の男性が姿を現す。黒いスーツを着込み、眼鏡を掛け、煙草を吹かすその姿はどこかマフィアのような姿に見えた。

「…………」

「…………訳ありってか、しかしどうやってここまで来た?一応色んなトラップやら何やらを仕掛けておいたから、知ってる人間以外が通ればただじゃ済まないはずだぜ」

「…………飛んできた」

「は?」

 男性は一瞬呆けたが、すぐに豪快に笑い始める。

「そうかそうか、そういうことにしておいてやるよ」

 そういうと男は懐から缶コーヒーを取り出して私に渡す。

「…………どうも」

「別に構わねぇよ。……ところでお嬢ちゃんはデュエルするかい?」

「…………してるよ」

「なら好都合だ。雨も酷くなってきたからここも少し冷えてくる、ちょっとこっちに来な」

 男性はそういうと鉱道の奥へと消えていく。私もそれに釣られて立ち上がり着いていく。

 10分ほど歩いたか、だいぶ進むと奥から一際大きな光が照らし出される。そしてそこに出ると、私はかなり驚いた。

 スタジアムのような大広間、人数は疎らだが存在する観客、そして中央では二人の人が相対するデュエルフィールド。

「ここは?」

「いわゆるアングラーデュエルってやつさ。元々炭鉱だったのを改造して作ったもんでな、アクションデュエル完備、アンティデュエル制、ダメージを実体化させて命のぎりぎりでデュエルするのさ」

 男はそういうと新たな煙草に火をつける。

「……ここのデュエリストは強いんか?」

「当然だな。ここにいる連中は表には出ねぇが強者ばっかりだ。中には非公式だがプロチャンプに戦って勝ったことのあるやつだって居やがる」

 そういうと男は煙草の煙を上に吐き出す。

「ちなみにここは時たまに警察の新人連中のデュエル訓練場にもなってる。いわば公式に認められた場所なんだよ。マップには載せてねぇがな」

 そう言って豪快に笑う。

「……なぁ、私もここでデュエルしても構わへんの?」

「ここは来るもの拒まずだ。ただしリミットレギュレーションなんて物は存在しない、『八幡鴉』やら『プトレマイオス』なんて使うやつなんて当たり前、中にはコピーカードの『エグゾディア』パーツ三積みなんて強者まで居やがるからな。それでも良かったら参加しな、受付はしておいてやるからよ」

「……分かった」

 そういうと私はちょうど対決の終わったフィールドへと足を進める。周りはかなりざわめくが、反対側から一人の大男がフィールド出てくる。

「お嬢ちゃん、ここはガキの遊び場じゃねぇんだぜ?」

「……知っとるよ、私は強くなりたいんや」

「けっ、どうなっても知れねぇぞ!!」

 そういうと男はデュエルディスクを構える。私もそれを構えて相対する。

(私は強くなる……私に足りないのは実戦経験、闇やろうがなんやろうが、強くなるためになんでも利用したる!!)

「「デュエル!!」」

 私は再び火を灯した心でカードを引く。そして私に対して歓声が浴びるのは数十分と掛からなかった。

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