「それでは警察官に成り立ての新人君達、今日はよろしく頼むよ」
いつも煙草を吹かしてるおっちゃんが敬礼をしてる若い警官の方に挨拶する。
「いや~いつも済まないね。こうして施設を貸してもらって」
「いえいえ、私達もあなた方の協力があってこそですので」
警官側のだいぶ膨よかなおじさんがおっちゃんに向かってお世辞を言って、おっちゃんもそれに対してお世辞を返す。
「さて、時間もあまりに少ないですからね。すぐにでも始めましょうか」
「了解しました。それではまず、うちの新人のトップから参りましょうか」
そう言うと、警官のおじさんの隣に居る人がデュエルディスクをセットする。
「では…………そうだな、はやて!!」
「って、いきなりかいな!!」
ひとづかいが荒いと思いつつ、私は仕方なくフィールドへ降りる。
「ほう、見たところジュニアユースくらいの年齢だと思いますが、彼女が?」
「ええ、最近うちで特訓してる娘ですよ。実力は折り紙つきですので、充分かと」
大人二人の話に、私は内心ため息を付きたくなってきた。そこまで買い被られても困ると言うものや。
「…………」
「そんな睨み付けんといてや。イケメン顔が台無しやで」
「……俺は仕事を忠実にこなすだけだ。例え女の子だろうが手加減はしない」
「ははは、にべもないな。しゃあない、それじゃあ……」
私は騎士服を展開してディスクを向ける。フィールドはまるで『サテライト』のような建物と道路が崩壊したステージに変わる。
「「デュエル!!」」
はやて LIFE4000
新米警官 LIFE4000
「私の先行!!私はモンスターを守備表示でセット!!カードを二枚伏せてターンエンド!!」
新米警官 手札二枚 LIFE4000
場
裏守備モンスター
伏せカード二枚
「私のターン、ドロー!!」
引いたカードを確認すると、私は内心で少し引き攣りたくなった。
「……私は自分のフィールドにモンスターが居ないから『フォトン・スラッシャー』を特殊召喚」
『フォトン・スラッシャー』 ☆4 A 2100
「バトル!!私は『フォトン・スラッシャー』で守備モンスターを攻撃!!」
「戦闘によって破壊された『巨大ネズミ』の効果発動!!デッキから『ゲート・ブロッカー』を特殊召喚!!」
『ゲート・ブロッカー』 ☆4 A 100
「……私はカードを三枚伏せてターンエンド」
はやて 手札二枚 LIFE4000
場
『フォトン・スラッシャー』 A 2100
伏せカード三枚
~~~~~~~~
「はやて、なんか調子悪そうね」
凜ははやてのデュエルを見て不思議そうに呟く。するといつの間にか隣に居る男が顎に手を付けてふむ、呟く。
「恐らく手札事故だろ。あの場面、いつものはやてなら『テラナイト』モンスターを出して『パラディオス』か『セイクリッド・オメガ』からの『トレミス』をしてた筈だからな」
「なるほどね」
~~~~~~~~
「私のターン、ドロー!!リバースカード『愚かな埋葬』発動!!」
「ち!!ガセやったか!!」
「私はデッキから『レベル・スティーラー』を墓地へ送る!!さらに私は手札から『ジュッテ・ナイト』を召喚!!」
『ジュッテ・ナイト』 ☆2 A 700
「私はレベル4の『ゲート・ブロッカー』にレベル2のチューナーモンスター『ジュッテ・ナイト』をチューニング!!シンクロ召喚!!現れろ『ゴヨウ・ガーディアン』!!」
『ゴヨウ・ガーディアン』 ☆6 A 2800
「出おったな、遊戯王の禁止略奪警官!!」
「失礼なことを言うな!!検挙といえ検挙と!!それに警官である私達は禁止カードさえも使えるのだよ!!」
「職権濫用や!!そんなんやから警察の不祥事が耐えないのや!!」
私が憤慨してそう言うと、新米警官は冷や汗を流して明後日の方向を向いてしまう。一応自覚はあるみたいだった。
「ターンを続けるぞ!!さらに私は墓地の『レベル・スティーラー』の効果発動!!『ゴヨウ・ガーディアン』のレベルを1つ下げて特殊召喚!!」
『ゴヨウ・ガーディアン』 ☆6 → 5
『レベル・スティーラー』 ☆1 D 0
「さらに罠カード発動『リビングデッドの呼び声』!!墓地から『ゲート・ブロッカー』を特殊召喚!!さらに手札から『ワン・フォー・ワン』を発動!!手札の『切り込み隊長』を墓地へ送ってデッキから『ガード・オブ・フレムベル』を守備表示で特殊召喚!!」
『ゲート・ブロッカー』 ☆4 A 100
『ガード・オブ・フレムベル』 ☆1 D 2000
「私はレベル1『レベル・スティーラー』とレベル4『ゲート・ブロッカー』にレベル1チューナーモンスター『ガード・オブ・フレムベル』をチューニング!!シンクロ召喚!!現れろ『ゴヨウ・プレデター』!!」
『ゴヨウ・プレデター』 ☆6 A 2400
「『ゴヨウ』って、また略奪モンスターか!!インチキ効果も大概にせいや!!」
「だから検挙といえ検挙と!!バトルだ!!『ゴヨウ・プレデター』で『フォトン・スラッシャー』に攻撃!!」
「させへん!!罠カード発動!!『和睦の使者』!!このターン戦闘破壊も発生するダメージもされなくなる!!」
「……私はこれでターンエンド」
新米警官 手札0枚
場
『ゴヨウ・ガーディアン』 A 2800
『ゴヨウ・プレデター』 A 2400
『リビングデッドの呼び声(あるだけ状態)』
伏せカード無し
「私のターン、ドロー!!私は伏せカード『手札抹殺』を発動!!互いに手札全部棄ててその枚数分ドローする。私は三枚棄てて三枚ドロー!!」
「……私の手札は無いので、棄てもドローもしない……」
〈はやて 棄てたカード〉
『星因士 ベガ』
『フォトン・スラッシャー』×2
「(来た!!)さらに私は魔法カード『痛み分け』発動!!フィールドの『フォトン・スラッシャー』をリリースして、相手はモンスター1体をリリースする!!」
「ち、私は『ゴヨウ・プレデター』をリリースする……」
「そしてリバースカードオープン!!魔法カード『夜天の宝札』!!自分のフィールドにモンスターが存在しないとき、墓地の闇属性、または光属性のカードを二枚除外して三枚ドロー!!」
〈除外したカード〉
『フォトン・スラッシャー』×2
~~~~~~~~~
「はぁ~そういうことか」
「?どういうこと」
男が分かったように言うと、凜はたまらずにそう聞いた。
「さっき墓地へ送ったカードに『フォトン・スラッシャー』が二枚もあった」
「へ?つまり?」
「はやての初期の手札は『フォトン・スラッシャー』三枚、『夜天の宝札』、『和睦の使者』、そして『手札抹殺』だってことだ」
「うわ……それは」
凜は思わずため息をついた。『フォトン・スラッシャー』は通常召喚はできない、そしてフィールドにモンスターが居ない時にしか特殊召喚できない。そんなモンスターが三体も手札にあれば最悪だろう。
「幸いは『手札抹殺』と『夜天の宝札』、そしてさっき引いた『痛み分け』があった事だな。その三枚のお陰でなんとか……」
「でも、それは結局は結果論でしょ。引けなかったら前のターンにでも負けてた」
「だか、それを引けた。つまりはそういうことだよ」
男はそう言って豪快に笑った。それを凜は少し不機嫌になりながら、デュエルの行く末を見守るのだった。
~~~~~~~~~
「私は手札から『星因士 アルタイル』を召喚!!効果で墓地の『星因士 ベガ』を特殊召喚!!さらに『ベガ』の効果発動!!手札から『星因士 アルゴル』を特殊召喚!!そして『アルゴル』の効果発動!!デッキから『星因士 ウヌク』と『星因士 デネブ』を特殊召喚!!さらに『ウヌク』と『デネブ』の効果発動!!『ウヌク』の効果で『ベガ』を墓地へ、『アルタイル』を手札に加える」
『星因士 アルタイル』 ☆4 A 1700
『星因士 ベガ』 ☆4 A 1500
『星因士 アルゴラ』 ☆4 A 500
『星因士 ウヌク』 ☆4 A 1800
『星因士 デネブ』 ☆4 A 1200
「い、一気に5体のモンスターだと!!」
「私は5体のモンスターでオーバーレイ!!悲しみの闇を振り払い、夜天の主に馳せ参じよ!!エクシーズ召喚!!現れや『夜天の滅騎士 ナハトヴァール』!!」
『夜天の滅騎士 ナハトヴァール』 ★4 A 2500
「エクシーズモンスターだと!!だ、だが攻撃力は『ゴヨウ・ガーディアン』の方が上だ!!」
「良いこと教えたる。そういうのをフラグって言うんやよ!!『ナハトヴァール』の効果発動!!ORUが5つ以上あるとき、相手フィールドのモンスター効果を全て無効にする!!」
「く……」
「バトル!!『ナハトヴァール』で『ゴヨウ・ガーディアン』に攻撃!!この時、さらにORUを使うことでダメージステップの時にバトルするモンスターの攻撃力を加える!!」
「『ゴヨウ・ガーディアン』の攻撃力は2800、つまりは」
「まだや!!さらに手札から『オネスト』の効果発動!!ダメージフェイズに攻撃してる自分の光属性モンスターの攻撃力をバトルする相手モンスターの数値アップする!!」
「な、何だと!!」
『ナハトヴァール』 A 2500 → 5300 → 8100
「こ、攻撃力……は、8100ゥ!!」
「いけ『ナハトヴァール』!!デアボリック・エミッション!!」
「な、なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
新米警官 LIFE 4000 → -1600
「ふー、なんとか勝った……」
「くそ……まさかこんな女の子相手に負けるとは……」
「二人ともお疲れさん!!」
私達が一息付いてると、おっちゃんがフィールドに降りてきていた。
「とりあえずよく良くやった。が、二人ともこれが『アクションデュエル』だって事忘れてたろ」
「「あ……」」
私と警官さんはそろって言葉を漏らす。そういえば思いっきり忘れていた。
「まぁ別に良いけどよ。とりあえず、新米君はあれだ、状況を冷静に確認することだな、そうすればはやてのライフを少なからず削れてただろうしな」
「はい……」
そう言われて警官さんはシュンと落ち込んでいる。
「ま、とりあえず上官に扱かれてきな」
おっちゃんがそう言うと、警官さんはとぼとぼと観客席へと行くのだった。
私も少しだけホッとしつつ、フィールドから観客席へと向かうのだった。