「……ぅん」
「あ、気がついた?」
ベットに横たわる女の子が目を覚ますと、近くにいたシャマルさんはクロノ君に連絡する。女の子は少しボーッとしていたが、自然に体を起こす。
「…………ここは?」
「ここはアースラっていう船の医務室だよ」
私がそう教えると女の子はこちらに目を向ける。黒く塗られたその瞳は、まるで夜空のようにも見える。そして少女は何か不自然に感じたのか両腕を持ち上げる。
「あの、私の左手に着けてた機械を知りませんか?」
「あのデュエルディスクみたいなの?なんか凄いボロボロになってたとかいってマリエルさんが修理してるけど……」
「!!すぐにそれを返してください!!」
彼女は声を荒らげてそう言うとベットから無理矢理立ち上がろうとする。慌てて私は抑えようとするが、それでも暴れる。
「お、落ち着くの!!暴れないの!!」
「放してください!!私のデュエルディスクを返しなさい!!」
「二人とも騒がしい……って何してるの!!クラールヴィント!!」
シャマルさんが通信を終えて戻ってきて、バインドを使ってなんとか取り押さえる。
「放してください!!とにかく放してください!!」
「放すのは良いけど落ち着いてね。アレに何かあるの?」
「アレには発信器が着いてるんです!!それまで修理されたら迷惑がかかるから言ってるんです!!」
「え?それって」
私はそう言うと今まで閉めていた隣のカーテンを開ける。そこにはバインドで身体中を抑えつけられた仮面の男達が束になって捕まっていた。中には焦げていたり仮面が割れてたり、はたまた体の一部が凍ってるのも何人も居た。
「この人達のこと?」
「そうです……ってなんでこんな風になっちゃってるんですか!!」
「えっと……なんか道理の通らない変なことを言ってきたから、私達でO☆HA☆NA☆SHIしたの」
「それお話ちがう!!どんなお話したら焦げたり凍ったりするのよ!!」
「えっと……肉体言語?」
「それはただの暴力!!」
彼女の突っ込みに私はそのときの事を思い出す。
この人をアースラに連れ帰ってから、デュエルディスクらしきものをマリエルさんに修理してもらって数十分位してこの人達がどこからともなくいきなり乗り込んできて、この人達は凄い偉そうな事を言ってきたから、ユーノ君にお願いしてこの人達全員を『アースラ』の魔法訓練スペースに強制転移させて、私とフェイトちゃん、クロノ君がそれぞれデバイスを構えて魔法を放っただけ。ただそれだけなの。
後に、この時の事をその場にいた仮面の人に聞くと『電撃みたいなものが襲ったと思ったら今度は身体中凍っていて……その直後に絶望的なピンク色の光が……光が……うわぁぁぁぁ!!(ガクガクブルブル』と話を良く聞けなかったらしい
「そういうわけだから、大丈夫なの」
「は、はぁ(魔王だ……この船には魔王がいる)」
「で、この人達どうするの?」
私はそう聞くと女の子は目を向けて何かを考えると、
「とりあえず、どっか狭くて厳重なところに全員纏めて突っ込んでおいてください。ご飯とか与えなくて結構なので」
「それは……どうなのシャマルさん?」
「いや、私に聞かれても……まぁだいぶ行儀の悪い人たちだったから別に良いんじゃないかしら?」
「ま、まぁそういうことでお願いします(冗談で言ったつもりなのに……」
私はとりあえずクロノ君にその事を通信で伝えると、クロノ君はなぜかため息と一緒に『僕らの船に土足で乗り込んできた報いを受ければ良い』といって仮面の人たちを再び強制転移させるのだった。
「あ、そういえば」
「はい?」
「私、高町なのは、小学五年生です。あなたは」
「あ、神月ルナっていいます。一応14歳なので年上です」
女の子……ルナさんはそう言って軽く会釈する。
「あれ?……もしかして『桃色の悪魔』の高町なのはさん?」
「ちょっと待つの!!なにその『桃色の悪魔』って!!」
「いえ、私達の世界のプロフェッサーが『もしも茶髪で白い服を着たツインテールの女の子と対したら絶対に逃げろ』ってな事を言ってたので……」
「……その話、詳しく聞かせてもらっても構わないか?」
ルナさんは突然の……私にとっては聞きなれた声に体を震わせて振り替える。そこには執務官の制服を着たクロノ君と珍しくアースラに来てるユーノ君がそこに居た。
「えっと……彼らは?」
「僕はクロノ・ハラオウン、こっちは淫獣……もといユーノ・スクライアだ」
「いきなり失礼なことを言うな!!」
相変わらず喧嘩するほど仲の良い(?)二人に私は苦笑する。
「えっと……止めなくて良いんですか?」
「大丈夫ですよ。二人とももう日常みたいになってますし」
「「誰が日常だ!!ハモるな!!」」
二人はまるで縄張り争いをする狼のように唸る。
「えっと……それで聞きたいっていうのは?」
「ん?あぁ、君が今『プロフェッサー』と言っただろ?それはつまり『赤馬零王』の事では無いのか」
「えぇ。でもどうしてそれを」
「……はっきり言おう、ここは君がいた世界とは別の世界……それもパラレルワールドの、だ」
「!!」
ルナさんは驚いて目を見開く。
「まず最初に謝っておく。君には悪いがさっきなのはにはカマをかけてもらった」
「へ?」
「この世界には『デュエルディスク』は存在しない。それどころかソリットヴィジョンも存在しない」
「ちょ!!ちょっと待って!!」
クロノ君の言葉に彼女は慌てる。
「デュエルディスクが存在しない?で、でもこの娘……なのはさんはデュエルディスクの事を知ってたわ!!」
「それはある意味当然だな。『遊戯王というアニメ』が彼女のいる世界には存在しているのだから」
「は?アニメ?アニメですって?」
ルナさんはあり得ないように呟くと、私の方を見つめる。
「クロノ君が言ってる通りですよ。この世界にはソリットヴィジョンもデュエルディスクもありませんし、『遊戯王というアニメ』も現在進行形で放送してます」
「じゃ、じゃあなんでプロフェッサーはあなた達の事を知ってるの!?」
「そこまでは分からない。が、ユーノ」
「うん。君のデュエルディスクを少し解析してもらったけど、君たちって生まれた時から『アカデミア』に居たんじゃないかな」
「?そうだけど、それがどうかしたの?」
「なら『アカデミア』が『エクシーズ次元』に侵攻したのは知ってるかい?」
「えぇ。私はそのときのオベリスクフォースの実態や赤馬零王の行いを知って逃げてきたんだから」
ルナさんはそう言うと少し表情が暗くなる。
「ということはそのオベリスクフォースが『エクシーズ次元』の人間を、まるでハンティングゲームのように狩ってはカードにしてたのも知ってるというわけか」
「ええ。でもそれがどうしたの?」
「君のデュエルディスク、さっき解析したっていったけど、普通の機械ではあり得ないものが内蔵されてたんだ」
ユーノ君がそう言うと、ある画像を展開する。私はそれを見ると少し驚いた。
それはデュエルディスクを分解した画像で、中には精密機械と一緒に、青いあるものが埋め込まれていた。
「これは…………」
「ウソでしょ、ユーノ君……」
「え?何?何なのこれは」
私とクロノ君の言葉に、何も知らないルナさんは慌てる。
「これは
『ジュエルシード』、利用禁止のロストロギアだ」