遊戯王ARC-Ⅴ 夜天の来訪者   作:ドロイデン

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Episode30 訪れる襲撃者

「収まったか、主」

 数十分ぐらい経っただろうか、私はようやく泣き止んでナハトから離れる。目元は泣きすぎてかなり赤くなっとる。

「うん……ありがとうなナハト……」

「別に構わない。それに貴様はまだ主としては脆いからな、私やリインフォース達が支えておかなければならん」

「…………やっぱり、私って頼りないんか?」

 ナハトのその言葉に私は分かっていたがかなり傷つく。

「当然だな、夜天の書の主とはいえまだまだ小娘だ。そう簡単に小学生が貫禄等持ってる物なら逆に疑うな」

「そっか……」

「…………なに精霊とお喋りしてるのよ」

「「わっ!!」」

 いきなり声が聞こえたかと思って驚いて入り口を覗くと、そこにはこの家の主である少女……遠坂凛さんがタオルを体に巻いて立っていた。

「だいぶ長風呂してるから何かあったかと思ったら……ていうかよくもまぁ精霊がお風呂入ってるってどういう状況よ」

「いやこれはその……ていうか凛さんって精霊見えるんです?」

「当然よ。実際私も『精霊のカード』を持ってるしね……ね、『レイダ』」

 そう言って凛さんが誰かに声を掛けると、大浴場の洗い場に何か大きなものが現れる。黒く大きな蛇のような龍を模した外見に、これまた大きな漆黒の翼、かなり高い天井に頭がくっつくのではないかと思ってしまった。

『…………凛、その呼び方は止めろと何度も言ったはずだが?』

「別に良いじゃない、アンタの名前かなり長ったらしいんだもの」

『そういうことでは……ん?なんだお主ら、どうやら俺の事が見えてるようだが?』

 ドラゴンが私らに気付くと大きな頭をこちらの方へ近付ける。

「れ、『レインボー・ダーク・ドラゴン』!?」

「さ、最上級モンスターの1体の精霊だと!?」

 私とナハトは思わずそう叫んでしまったのは仕方ない事だった。

 『究極宝玉神レインボー・ダーク・ドラゴン』、『遊戯王GX』という作品においてはかなり有名なモンスターで、OCGでも破壊耐性こそ無いものの火力だけ見れば『ノーマルデッキにおいて最高火力の攻撃力を持つモンスター』の一つだ。下手をすればエクストラデッキでも『青眼の究極龍』や『F・G・D』などの強力な高火力モンスターとも渡り合える能力を持ってる。

『いかにも、俺の名は『レインボー・ダーク・ドラゴン』、そこの小娘の配下であり、宝玉の神でもある』

「小娘言うな!!ていうか、宝玉の神って言っても『レインボー・ドラゴン』に尻に敷かれてるんじゃない」

『失礼なこと言うな!!俺は尻に敷かれてるということは断じてない!!』

 『レインボー・ダーク・ドラゴン』……凛さん曰く『レイダ』は面白くないように憤慨してる。

「それで、そっちの精霊さんは『ナハトヴァール』……で、良いのよね」

「そうだ、夜天の主はやての忠臣ナハトヴァールだ。呼び方はナハトで構わんぞ」

「そう……ならそうさせてもらうわナハト」

 そういうと凛さんはこちらに来てお湯に浸かる。

「そういえばはやて、いつまであそこに居るの?」

「……分からへん、でもチャンピオンシップまでには出ようと思っとる」

「…………甘いわね」

 私の言葉に凛さんは嘆息するようにそう言った。

「はやて、あなたははっきり言って『裏』に居るべき人間じゃない。あなたの本質は私たちみたいな吹きだまり集団のなかには馴染めない」

「それは…………」

「貴女の実力は確かに高い、けど私達は言わば『夜の闇』、まるで『星』や『月』みたいに光輝くあなたとはどんなに行っても交わることはないわ」

 凛さんは冷たく、まるで無関心なようにそう吐き捨てた。

「……でも、私はまた皆から……」

「…………ずっと独りでいた事の怖さ、ね」

「…………コクッ」

 私が頷くと凛さんはため息を一つ漏らす。

「確かに、ずっと独りだった奴が他人と関わろうとするとどうしてもそんな風になっちゃうのは分かるわ。けどね、そこで止まってたら、変われるものも変われなくなるわよ」

「変われる…………」

「そう、はやては『もう何も失わない強さを持ちたい』…………つまりは自分自身を変えようと思ってるからこそ、そういう風に縮こまっちゃいけないのよ」

 そして凛さんは何を思ったのか、石鹸を一つ掴んで徐に天井へと投げつける。

「アギャ!!うわぁぁぁぁぁ!!」

 そして何かにぶつかったかと思うと、それは悲鳴と共に勢いよろしく水面へと衝突し、巨大な水柱が出来上がった。

「痛た……いきなり何するんだよ!!」

 闖入者は立ち上がると、私は思わず驚いた。水色のツインテールに整った童顔、そして何よりレオタードに似た服装にマントと、私の友達と似た姿の少女がそこにいた。

「人の家に勝手に侵入しておいて何を言ってるのよ。悪いけど容赦しないわよ?」

「ふん!!たかが普通の人間に僕を倒せるわけないと思うけどね!!」

「あー…………なんやろ、この酷いデジャブ感……」

 私は私にトラウマを植え付けた殲滅者の事を思い出しながらそんなことを思った。

「おいはやて!!こいつなんとかしろ!!」

「はやて、こいつ知ってるの」

「あー……知っとると言えば知っとるし、知らんと言えば知らんわー」

「は、薄情者!!」

 彼女はそういうと憤慨して魔方陣を展開……って、

「やめんか阿呆ゥ!!」

「はぎゃ!!」

 急いで頭に手刀を浴びせて停止させる。が、既に遅しで青い電気が水の中を迸り、そして

「「「「『ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!』」」」」

 大浴場にとても大きな悲鳴が木霊し、私達全員が黒焦げになって浴槽内にぶっ倒れて溺れかけたのは別の話。

 

 

 

 

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