遊戯王ARC-Ⅴ 夜天の来訪者   作:ドロイデン

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Episode40 夜天の生まれた日 肆幕

 某県某市・廃墟街

 

「ククク…………」

 男は不適に笑い、目の前に横たわる女たちを見ていた。

「もうすぐだ…………もうすぐ、俺は世界を統べる者になれる…………」

 男の顔には赤い模様が浮かび上がり、足元には黒い()()()()()()()()()()()がゆっくりと、しかし不気味に黒く光り回っていた。

「ふふ、はははははははははははははははははは!!」

 

 

 

 温泉街近くの国道 視点・流

 

「じゃあまだ娘達の魔力反応を探知できてないのか?」

 僕は車を運転しながら、カーナビに映るグレアムにそう聞いた。なに?飲酒運転は御法度だろって?アリア達が封時結界張ってるから、何をやっても無問題なんだよ。結界魔法って結構便利なんだよ。

『済まない、アリア達が計っておいた君の娘の魔力の波長を探してるんだが……どうにも反応を示さないんだ』

「いやお前が謝るなよ。僕のお願いを無理言って頼んでもらってるんだから」

『済まない。だが有力な情報は見つけた』

「有力な情報?」

 グレアムはまるで勿体振るようにそういう。

『あぁ、波長を探してるとき、君の今いる街から少し離れた場所に廃墟街があるのは知ってるかい?』

「あ、あぁ。確か伝染型鉱山病で街の人間が数年前に大半がその病気と併発した病で死亡、残った人間も別の街へ出ていって誰も居なくなったって所だろ?」

 そこがどうしたと思ったが、グレアムの不思議な微笑を見て顔を引き攣らせた。

「おいおい……まさか」

『そのまさかだ。ついさっき、それも一瞬程度だが管理局に登録されてない魔力反応を検知した。しかも小さいものじゃなく』

「バカでかいやつってことか…………厄介だな」

 それを聞いただけで憂鬱になる。ただでさえ緊急事態ってときに、そんな最悪な状況が重なるのはホントに勘弁してほしかった。

『ついでに、少し遠いが目撃情報もあった』

「目撃情報?」

『あぁ。数日前に何やらモンスターと、それに乗った不思議な黒マントの男が空に飛んでたそうだ。画像を転送する』

 そういってグレアムが映し出した物を見て、僕は驚愕に急ブレーキを踏みそうになった。

「じ、『地縛神』!?」

『やはり、君にもそう見えるかい』

 そう、この姿は紛れもなく遊戯王のモンスターの一つ、『地縛神 Wiraqocha Rasca』、『地縛神』カテゴリーで最強クラスの能力を持つ『地上絵のコンドル』の名を持つモンスターだった。

「まさか闇のデュエルっていうのは…………」

『恐らく地縛神を使ったデュエルの事なのだろう。君のデッキは?』

「…………残念ながら書斎の机の中だ。しかも環境がだいぶ変わってるから、通用するかも分からない」

 事実だ。大学三年の頃にデュエル現役を引退したせいもあって、デッキはあるけど回してない、調整してない、効果をある程度しか覚えてないという三連コンボ状態だ。

『はぁ…………仕方ない、これから君は反応があった場所に向かえ。デッキはロッテに転移してもらって取ってきて貰う事にしよう』

「すまん」

 親友の好意に頭が下がる思いだった。

『良いからさっさと行け。だが必ず茜を連れ戻せよ』

「おう!!」

 僕はアクセルを目一杯に踏み込み、勢いをあげて駆け抜けるのだった。

 

 

 

 廃墟街

 

「…………ここか」

 到着した俺は車を降り、目の前の風景を見る。やはり廃れた街の雰囲気は、まるで『歯車街』のようなものを醸し出している。

「流!!お待たせ!!」

 と、その時後ろからデッキケースと、何やら重たそうなジュラルミンケースを手に持ったロッテがそこに現れた。

「いや、僕も今着いた所だ。ていうかそれは?」

「いやさ、父様が必要になるかもしれないから渡しておけって」

 そういってケースを地面に置き、中を開けるとそこには丸いか丸い形をした、見たことのある機械が置かれていた。

「これって、デュエルディスク!?」

「そう。父様が『デュエルモンスターズはミッドチルダや他の管理世界でも受けること間違いないから、どうせなら魔法技術を使ったディスクを作ろう』とかなんとかで、つい最近技術部の面々とノリで作ったみたいだよ」

「ギル…………」

 まさかの別の意味で煩悩丸出しの親友に、あいつってあんなキャラだっけ?……と思いながらも渡されたそれを左手に填める。

 まさかの丁度よくそれはフィットし、碧をベースにしたそれを見て、僕は少しだけ興奮した。

「流」

「あぁ。急ごう!!」

「……………………キヒヒッ!!その必要はありませんよ」

 僕たちが進もうとした途端、後ろから僕には聞き覚えのある声が響き、すぐに後ろを振り返った。そこには、温泉で見た怪しげな男が、黒マントを被ってこちらを睨んでいた。

「てめぇはさっきの!!」

「キヒヒッ、私の名はサキュラ。地縛神の新な担い手にして、この世を混迷と共に治めるものです」

 男はそういうと不敵に笑い、僕たちは少し体を強張らせる。

「…………やっぱり、あの地縛神は」

「おやご存知でしたか。その通りですよ、私のレアスキル『具現化』、その効果は私が描いたものや触れたもの、さらには任意のものを具現化させることができるのです。例えば…………このようにね!!」

 そういって奴は一枚のカードを取り出すと、そこから黒い光と共に大きな蜥蜴が奴の背後に現れる。

「『Ccarayhua』か!!」

「ええ、そして……」

 奴は指を鳴らす。すると大蜥蜴は口を開いて巨大な舌を上へと出す。

「な!!茜!!はやて!!きらら!!」

 そこには最愛の妻と娘達が気を失って巻き付かれていた。

「てめぇ!!すぐに解放しろ!!」

「キヒヒッ!!構わないですよ…………あなたの奥様はね」

 そういうと、『Ccarayhua』は器用に茜だけを空へと放り投げ、それをロッテは驚異的な跳躍で受け止める。

「茜!!」

 僕は急いで駆け寄って彼女のことを確認する。気を失ってはいたが、脈拍も呼吸もしっかりはしていた。だが、

「…………マズいね」

 ロッテは冷や汗と共にそんな言葉を呟いた。

「どういうことだ?」

「…………リンカーコアが異様に収縮してる。しかも致死ギリギリまで」

「な!?嘘だろ!!」

 リンカーコア、それはグレアム、ロッテやアリア等の魔法を使う人間が魔力を生み出すための精製機関であり、そして普通の人間にも存在する物質だ。しかもこの世界の普通の人間は魔法文化が存在しないために、使わないでいれば三十過ぎには完全に萎れてしまう。

 それが収縮する……。グレアムの話だとリンカーコアは萎れて能力が落ちる事はあっても、自然に収縮することは 絶対にない。つまり、

「…………無理矢理魔力を奪ったのか」

 ロッテも同じ結論に至ったようで、かなり表情が青ざめてる。

「キヒヒッ。いや~旨かったぜ、三十路過ぎだってのに濃くて濃くて、まるで熟した果実みたいだったな~」

「テメェ……!!」

 僕はやつを睨み付け、ロッテはゆっくりと立ち上がる。

「…………こんなこと出来る魔導士は、管理世界広しでも一つしか存在しねぇ」

 ロッテはそういうといきなり魔方陣を展開する。

「テメェ…………『闇の書』を起動させたのか!!」

「…………!!」

 僕は驚いて奴を見入る。男は少しだけ呆けていたが、やがて笑いだした。

「キヒヒッ…………キヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!ええ、ええそうですよ!!そこの化け猫の言う通り、『闇の書』の力ですよ!!もっとも、契約者は私ではないですがね」

「なに?」

「あなたの娘さん…………はやてちゃんでしたか?闇の書は彼女を主と定めたのですよ!!私はその力を代行してるに過ぎません」

 男の言葉に僕は怒りを覚えた。

「契約……ただテメェの目的のためだけに娘に手を出しただけだろうが!!」

「キヒヒッ、知らないんですか、有史以来、人は望むものの為ならば他者など切り捨てるものなのですよ。土地が欲しいから侵略することも、快楽を求めて他者を抱くことも、利益のために他者をクビにすることもね」

「クソヤロウが……」

 俺は奴に嫌悪を隠さず、殺気を飛ばす。

「そして、有史以来、人は何かを得るには自らが力を誇示する他ならない」

 奴はそういうと左手から何やらヘビのような物が現れ、それは俺の左手に存在するものと同じ形になった。

「…………デュエルか」

「そういうことだ。もちろんあなたが負ければ、貴方のお命を頂戴致しますがね」

 男はそういうと、自分のデッキをディスクにセットする。

「流!!そんなのを受けちゃダメだ!!」

「ロッテ……」

「もうすぐグレアム達も到着する!!そうすればはやてもきららも助けられる!!」

「だけどな…………男には引けない場面があるんだ。今がそういうときなんだ!!」

 僕もデッキを取り出してディスクに填める。

「約束しろ、僕が勝てばはやてときららも解放して、はやてと『闇の書』を解約しろ」

「キヒヒッ、構いませんよ。しかし負ければ貴方のリンカーコアからも魔力を奪わせてもらいます」

 俺たちは互いに対峙し

「「デュエル!!」」

 

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