リリカル次元 なのは視点
「お話し……か」
私はロッテさんのその呟きを聞きのがさなかった。
「私は…………デュエルする資格なんてない、二人を助けられなかった私なんかに、何もできることなんてない」
「違うの!!そんなこと」
「そうに決まってるだろ!!大事な人を目の前で、助けられる力があったのに何もできずに失った奴の気持ちを、アンタが分かるわけがない!!」
ロッテさんはまるで吐き出すようにそう叫ぶ。それを見ていたグレアムさんは魔法で何かを転移させる。
「…………ロッテ」
「父様…………!?」
それを見たロッテさんは絶句した。それは蒼いボディに所々傷ついた、正真正銘のデュエルディスクがそこにあった。
「なん…………どうして…………」
「ロッテ、彼らを大事に思ってるなら、その事を証明して見せてくれ…………」
「…………」
グレアムさんはそう言うが、彼女はそれでも迷っているようだった。
「……はぁ、いい加減にしなロッテ」
「アリア?」
「今のアンタを見たら、絶対流も茜も嫌悪するよ。それでもいいの?」
「でも――」
「うだうだしない!!早く準備しな!!」
アリアさんは珍しく荒れながらロッテさんの腕にデュエルディスクを着けさせる。
「ロッテさん…………」
「…………あぁもう!!分かったよ!!やれば良いんだろ!!」
ロッテさんは右手で頭をかきむしり、デッキからカードをドローする。
「「デュエル!!」」
なのは LIFE 4000
ロッテ LIFE 4000
「私が先行を貰うよ!!私はモンスターを裏守備表示でセット!!さらに永続魔法『平和の使者』!!このカードの効果で互いに攻撃力1500以上のモンスターは攻撃できない!!さらに私はカードを二枚伏せてターンエンド!!」
ロッテ 手札一枚 LIFE4000
フィールド
セットモンスター
『平和の使者』 永続魔法
伏せカード二枚
「私のターン、ドローなの!!私は速攻魔法『サイクロン』を発動!!『平和の使者』を破壊するの!!」
「ぐ…………」
「さらに私は手札の『ボルト・ヘッジホッグ』を墓地へ送って『クイック・シンクロン』を特殊召喚!!さらに魔法カード『調律』を発動して、デッキから『ジャンク・シンクロン』を手札に加えて、デッキから一枚カードを墓地へ送る!!送られたのはレベル1の『チューニング・サポーター』!!」
「だいぶ回すねぇ……(この展開だとやっぱり『アレ』が主体だな)」
「そして私は手札の『ジャンク・シンクロン』を通常召喚!!効果で墓地の『チューニング・サポーター』を特殊召喚!!さらにフィールドにチューナーが存在するため、墓地から『ボルト・ヘッジホッグ』を特殊召喚!!」
「そしてレベル3の『ジャンク・シンクロン』とレベル2の『ボルト・ヘッジホッグ』でチューニング!!シンクロ召喚!!現れるの『TG ハイパー・ライブラリアン』!!」
『TG ハイパー・ライブラリアン』 A 2400
「なのは……?」
「あう!?だ、大丈夫だよフェイトちゃん!!『フォーミュラ』はちゃんと抜いてるもん!!」
「……(ジトー」
「ほ、ホントに抜いてるの!!信じてほしいの!!」
「…………終わったらデッキ確認するからね」
「うぅ……続けるの。さらに私は手札の『レベル・スティーラー』を墓地へ送って、魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動!!デッキから『ジェット・シンクロン』を特殊召喚!!さらに墓地の『レベル・スティーラー』の効果発動!!『クイック・シンクロン』のレベルを1つ下げて特殊召喚!!私はレベル4になった『クイック・シンクロン』にレベル1の『レベル・スティーラー』をチューニング!!シンクロ召喚!!現れるの、『ジェット・ウォリアー』!!」
『ジェット・ウォリアー』 ☆5 A 2100
「罠発動!!『調律師の陰謀』!!」
「なの!?」
「この効果によって、『ジェット・ウォリアー』は私がコントロールする!!そして特殊召喚時の効果によって、私は『TG ハイパー・ライブラリアン』を手札へ戻す。けど」
「うぅ……『ライブラリアン』はシンクロモンスターだからエクストラに戻る。さらに追加ドローも無くなるの……私はこれでターンエンドなの」
なのは 手札0枚 LIFE4000
フィールド
『チューニング・サポーター』 A 100
『ジェット・シンクロン』 D 0
「私のターン、スタンバイフェイズにリバースカード『神の恵み』を発動!!そしてドローしてライフを500回復!!」
ロッテ LIFE 4000 → 4500
「メインフェイズ、私はリバースモンスターオープン!!『アロマージ―ジャスミン』!!」
『アロマージ・ジャスミン』 ☆2 A 100
「さらに魔法カード『壷の中の魔術書』を発動!!デッキから互いに3枚ドローする!!さらにこの瞬間、『神の恵み』の効果で1500回復して、さらにライフが回復したことによって、『アロマージ―ジャスミン』の効果で一枚ドロー!!さらに『神の恵み』の効果でライフを500回復!!」
ロッテ LIFE 4500 → 6000 → 6500
手札 3 → 6 → 7
なのは 手札 0 → 3
「ライフ回復デッキ…………」
「まだだよ!!さらに『アロマージ―ジャスミン』の効果で植物族モンスターを通常召喚とは別に召喚できる!!私は『ローンファイア・ブロッサム』を召喚して効果発動!!このカードをリリースして、デッキから2体目の『アロマージ―ジャスミン』を守備表示で特殊召喚!!」
「このタイミングでもう1体!!」
「さらに『ジェット・シンクロン』をリリースして、『アロマージ―ベルガモット』をアドバンス召喚!!『調律師の陰謀』の効果で、フィールドを離れた『ジェット・ウォリアー』は除外される」
『アロマージ―ベルガモット』 ☆6 A 2400
「まだまだ!!さらに私は手札から永続魔法『補給部隊』と『ご隠居の猛毒薬』を発動!!効果で私はライフを1200回復して、再び『アロマージ―ジャスミン』の効果で1枚ドロー、さらに『神の恵み』効果でライフを回復!!」
ロッテ ライフ 6500 → 7700 → 8200
手札 4 → 5
「バトル!!私は『アロマージ―ベルガモット』で『チューニング・サポーター』を攻撃!!」
「うぁぁぁ!!」
なのは LIFE 4000→ 1700
「さらに攻撃表示の『アロマージ―ジャスミン』で『ジェット・シンクロン』を攻撃し、私はカードを二枚伏せてターンエンド!!」
ロッテ 手札3枚 LIFE 8200
フィールド
『アロマージ―ジャスミン』 A 100
『アロマージ―ジャスミン』 D 1900
『アロマージ―ベルガモット』 A 2400
『神の恵み』 永続罠
『補給部隊』 永続魔法
伏せカード二枚
「私のターン、ドロー!!私は手札から『ラッシュ・ウォリアー』を墓地へ送って、『クイック・シンクロン』を特殊召喚!!」
「私はそれにチェーンして『増殖するG』を墓地へ送る!!これにより私はなのは、アンタが特殊召喚するたびに一枚ドローする!!一枚ドロー!!さらに『神の恵み』の効果でライフを回復!!さらに『アロマージ―ジャスミン』の効果で二枚ドローして再び『神の恵み』の効果発動!!」
ロッテ LIFE 8200 → 8700 → 9700
手札 2 → 3 → 5
「うぅ……『ラッシュ・ウォリアー』の効果、このカードを除外して、墓地の『ジャンク・シンクロン』を手札に加えるの。そして『ジャンク・シンクロン』を通常召喚!!墓地の『チューニング・サポーター』を再び特殊召喚!!」
「これにより再びドローしてライフ回復!!」
ロッテ LIFE 9700 → 10200
手札 6 → 7
「さらに墓地からモンスターを特殊召喚したから、手札の『ドッペル・ウォリアー』も特殊召喚!!」
「さらにドローと回復!!」
ロッテ LIFE 10200 → 10700
手札 7 → 8
「私はさらに墓地の『レベル・スティーラー』を、『クイック・シンクロン』のレベルを1つ下げて特殊召喚!!」
「私はさらにドローして回復!!」
ロッテ LIFE 10700 → 11200
手札 8 → 9
「私はレベル1の『レベル・スティーラー』に、レベル4になった『クイック・シンクロン』をチューニング!!シンクロ召喚!!再び現れるの、『ジェット・ウォリアー』!!」
『ジェット・ウォリアー』 ☆6 A 2100
「『ジェット・ウォリアー』の効果!!相手フィールドのカードを一枚手札に戻すの!!私は『神の恵み』を選択するの!!」
「それにチェーンして『増殖するG』の効果と、伏せておいた二枚目の『神の恵み』を発動!!処理として、私はカードドローとライフを回復!!」
ロッテ LIFE 11200 → 11700
手札 9 → 10
「さらに『ジェット・ウォリアー』のレベルを1つ下げて、『レベル・スティーラー』を特殊召喚!!」
ロッテ LIFE 12200
手札 11
「私はレベル3の『ジャンク・シンクロン』にレベル1『レベル・スティーラー』とレベル1『チューニング・サポーター』、レベル2の『ドッペル・ウォリアー』をチューニング!!シンクロ召喚!!現れるの『ジャンク・アーチャー』!!」
『ジャンク・アーチャー』 ☆7 A 2700
ロッテ LIFE12700
手札 12
「『ジャンク・アーチャー』の効果発動!!『アロマージ・ジャスミン』をターンのエンドフェイズまで除外する!!バトルなの!!『ジェット・ウォリアー』で攻撃表示の『アロマージ・ジャスミン』に――」
「永続罠、『スクリーン・オブ・レッド』発動!!維持コストとしてライフ1000支払って、相手の攻撃宣言を封じる!!」
ロッテ LIFE 11700
「ぐぅ……私はカードを一枚伏せてターンエンドなの。この瞬間、『アロマージ―ベルガモット』はフィールドに戻るの……」
なのは 手札一枚 LIFE 1700
フィールド
『ジェット・ウォリアー』 A 2100
『ジャンク・アーチャー』 A 2300
伏せカード一枚
「私のターン……ドロー!!この瞬間、『神の恵み』と『アロマージ―ジャスミン』2体の効果発動」
ロッテ LIFE 11700 → 12200 → 13200
手札 13 → 15
「……もう良いでしょ」
「?」
「私とアンタのライフの差は10倍以上、手札もこっちが圧倒的に有利で、そっちには私のモンスターを越える攻撃力のモンスターはいないうえに攻撃宣言すらできない。あきらかに私の勝ちなんだよ!!」
「…………」
「いくら足掻いたって、そんなフィールドじゃやることだって限られてるんだ、さっさとサレンダーしなよ……」
「…………それは絶対にダメなの!!」
ロッテさんの言葉に、私は違うと否定する。
「確かに、この状況はピンチなのかもしれないの。けど――
「ッ!!」
「綺麗事かもしれない、けど、少しでも、ほんの少しでも足掻くのをやめたら、何も得られなくなっちゃうの!!」
だから、と私は続ける。
「私は絶対にサレンダーはしないの。どんなことがあっても、絶対に!!」
ロッテ視点
(なんだろう…………この感覚)
あのちびちゃんのその言葉を聞いたとき、私の何かが震えたような気がした。
――私にとって、あの日常ほどに、毎日が楽しくて刺激的な日々はなかった。茜の笑顔が見たかった、流に頼ってもらえた。それだけで、使い魔としての本分を忘れてしまいそうになるくらい大切な日々だった。
けど、それは一瞬にして、そして目の前で脆く儚く砕け散った。
二人のお葬式に、私は参加できなかった。目の前で看取り、救えなかった張本人の私が行くなんて出来なかった。
はやてが目を覚ましたという話を聞いて、私は任務を投げ出して駆けつけた。彼女と話ができる、彼女を守ってあげられる、そう思った。
けど、彼女は目を覚ました代償に、今までの過去の記憶を全て失い、両足が動かなくなっていた。
そしてきらりは目を覚ます事はなかった。意識のない彼女は、まるで人形のように儚く、そして脆そうだった。
それから私は、無我夢中で二人を助けるための勉強をした。魔法技術、医療技術、必要な事は可能な限り調べた。
調べる程に、私のなかに絶望は積み重なっていた。彼女達をもとに戻す事が出来ないと、否が応でも知ることになってしまったからだ。
「――私は『アロマージ―ジャスミン』の効果で、手札の『グローアップ・バルブ』を通常召喚と別に召喚!!そして、レベル6『アロマージ―ベルガモット』にレベル1の『グローアップ・バルブ』をチューニング!!シンクロ召喚!!現れろ『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』!!」
『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』 ☆7 D 3000
「さらに私は魔法カード『サイクロン』を発動!!伏せカードを破壊する」
「この瞬間、罠発動!!『和睦の使者』このターン、モンスターの破壊と戦闘によるダメージを無効にする!!」
「さらに私はこのターンの攻撃を封印して『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』の効果発動!!手札の『アロマージ・ジャスミン』三体目を守備表示で特殊召喚!!」
「モンスターが4体……でも攻撃力は私の方が…………」
「…………私は、フィールドの『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』と効果を使った『アロマージ・ジャスミン』2体をリリースする!!」
「生け贄三体!?まさか!!」
「現れよ、『オシリスの天空竜』!!」
『オシリスの天空竜』 ☆10 A ?
「『オシリス』の攻撃力は、手札の枚数一枚×1000となる!!私の手札は12枚、よって12000の攻撃力を持つ!!さらに魔法カード『マジック・プランター』の効果を発動!!フィールドの『神の恵み』をリリースして2枚ドロー!!これにより攻撃力はさらに上がる!!」
『オシリスの天空竜』 A 13000
「私はさらに『時の女神の悪戯(アニメ効果)』を発動!!このターンと相手ターンをスキップする!!これによって攻撃を可能にする!!バトル!!『オシリスの天空竜』で『ジャンク・アーチャー』を……」
攻撃を決めようとしたとき、私はその言葉を紡ぐ事は出来なかった。
戦うと決めたはずなのに、それなのに、私の手は震えていた。
「…………ロッテさん、怖くても良いんだと思いますよ」
「怖い?」
「多分、ロッテさんは独りぼっちになるのが怖いんじゃないですか?私も同じなんです。家が忙しくて、独りぼっちの家で生活して、喜んで欲しくて料理を覚えたりして…………でも、そのせいで余計にかまってもらえなかったんです」
チビちゃんの独白に、私は元凶の奴が言ってた言葉を思い出す。
そして、同時に二人と初めて出会った日を思い出した。
あの日は大雨が降っていて、私たち二匹は段ボールに入れられ捨てられていた。
まだ仔猫だった私達を助けてくれたのは、偶々通りかかった茜、流、そして父様だった。
当時は三人で一緒に私たちの事を育ててくれて、その時から私は茜と流の事を嬉しく思った。
そして月日が流れて、私達が使い魔として父様と契約したとき、私はようやく二人と話をできると思った。もう独りになるなんてないと思った。
「…………そうか、私は……」
「でも、ロッテさんはもう一人じゃないですよ」
「……そうか、そうなんだな……」
自然と私の眼に熱いものが込み上げてきた。それを腕で拭い、彼女に向き合う。
「いけ、『オシリス』!!『ジャンク・アーチャー』に攻撃!!超電導波サンダーフォース!!」
なのは LIFE 1700 → -8000
私は確信した。彼女なら、本物の『エース』になれる、と。
次回ははやてvs流 最初で最後の親子対決となります