遊戯王ARC-Ⅴ 夜天の来訪者   作:ドロイデン

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Episode4 夜天vsエンタメ 

 美奈子さんとのデュエルから数時間後、時刻は一時をとうに過ぎた時間に、私はとある建物の前に居た。

「ここが遊勝塾か~」

 そう、榊遊矢が所属する塾がある建物だ。というのも美奈子さんからLDSに入るべきと言われたものの、やっぱり原作主人公様には会いたいわけで、こうして歩いてきたわけだ。

「しっかし、ここまでかなり歩いたな~。駅から三十分は歩いたで?」

 よくもまぁこんないろんな意味での一等地に塾を建てたと思いながら、私は塾の扉を開いた。

「ごめんくださ~い」

 中を開けてみると、そこには何故かガックリと項垂れて這いつくばる少年……特徴的な緑色の髪にマントのように羽織った学校の制服、間違いなく榊遊矢ご本人がそこにはいた。

 と、私の存在に気づいたのか、遊矢は体勢をそのままに顔をこっちに向けてくる

「……」

「…………」

「………………」

「……………………」

「…………………………失礼しました~」バタン

「ちょっと待って!!」

 私はあり得ないものを見たようにその場から立ち去ろうとするが、遊矢君はフェイトちゃん並みのスピードで追いかけてくるや私の肩を勢い良く掴む。

「ちょ!!いきなりなんやねん!?」

「どこの誰かは分からないけど、頼む!!遊勝塾に入ってくれ!!」

「痛いし唐突過ぎるわ!!ていうか意味わからんわ!!」

「頼む~!!」

「いや~~!!堪忍してな~!!」

 引っ張り引っ張り合い、互いの力が同等とでもいうのか、外の歩道からから互いに動かない。が、それは突然やった。

 もともと私は生まれつき……今はそうでもないけど……足がそこまで良くない。一年前は歩くことすら困難やった程や。それは一年の時を経ても変わらず、今でも長時間走る事なんて出来へんうえに、歩くだけでも人より数倍疲れる、さらに立ち続けるだけでもかなりの一苦労や。

 さて、長時間歩き続けた踏ん張りの効かない足に、さらに後ろから肩を掴まれて引っ張られるとどうなるかというと、

「きゃぁ!!」

「うぉ!!」

 ものの見事にぶっ倒れる。そこまでは別に良かったんや。そのタイミングで顔と顔がダイレクトアタック……正確には唇同士がぶつからなければ。

「へ?」

「あ」

 私はその時何がなんやかさっぱり分からんかったが、数秒で事の次第に気付いて顔を赤面させる。

「な…………」

「ご、ごめ……」

「何してくれてんのやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 私の絶叫と、乾いた音が傍の海に轟いた。

 

 

 

「ホントにごめん……」

 両頬に紅葉を着けながら、遊矢は謝る。この数十分近くずっと謝り続ける彼は、先程の項垂れてる時と同じような表情をしている。

「いや、まぁ、うちにも原因はあるしな……」

「ホントにごめん…………」

「あぁ、もう謝らんでええねん!!それよりも」

 私は部屋のなかを改めて見渡す。

「……ホントにここ塾なん?あんさん以外の人っ子一人も見当たらへんけど?」

「あぁ、他の皆はおやつを買いに行ってるんだ。何せ新入生が三人も入ったからね」

「なるほど、ささやかなパーティって事か」

 そういうこと、と遊矢は言うと少しだけ微笑む。

「そういえば君は?見たところ俺が通ってる学校の生徒じゃないみたいだけど」

「ん?私は八神はやて、つい数日前にこの町に越してきたんよ」

「へぇ!!じゃあもしかしてデュエルも」

「当然や。むしろそれが目的で来たんやからな」

 私はニヤリした表情を浮かべる。

「私とデュエルして欲しいんや。プロデュエリストに勝った『ペンデュラム』使いの榊遊矢くん」

「OKだ!!じゃあさっそくアクションフィールドに……」

「あ、言うの忘れてたな。私まだアクションフィールドに馴れとらんし、足に負担かけたらアカンって医者に言われとるんや」

「足に負担?怪我でもしてるのか?」

「端的に言えば、私去年まで歩けへんやったんや。それこそ車椅子やバリアフリーは当たり前で、今は歩けるけど運動とかは制限されてるのや」

 実際、昨日の岩丸さんとのアクションデュエルでも、終わったあとはかなり違和感があったし、そもそも体力もかなり限界やった。

「そっか……じゃあアクションフィールドには行くけど背景だけのモードにする?」

「それでお願いや」

 そういうと私は遊矢に連れられてアクションフィールドに入る。

「アクションフィールドを背景ランダムモードに設定して、開始をデュエル開始直後に指定……」

 遊矢がフィールドの外にある機材を操作し終え、私たちは互いにデュエルディスクを構える。

「遊矢くん」

「なんだ?」

「全力の勝負しよな」

 そういうと私は『シュベルトクロイツ』を起動させ、私の体が騎士服に様変わりする。

「あぁ勿論!!それじゃあ」

「「デュエル!!」」

 

はやて LIFE4000

遊矢 LIFE4000

 

「先行は俺だ!!俺は自分フィールドにモンスターが存在しないとき、『時読みの魔術師』をペンデュラムスケールにセッティング!!」

 

『時読みの魔術師』 ◇8 → 4

 

「さらに『EM ドクロバット・ジョーカー』を通常召喚し効果発動!!デッキからオッドアイズモンスター、『オッドアイズ・P・ドラゴン』を手札に加えてこれをセッティング!!」

 

『EM ドクロバット・ジョーカー』 A 1800

『オッドアイズ・P・ドラゴン』 ◇ 4

『時読みの魔術師』 ◇ 4 → 8

 

「俺はスケール4の『オッドアイズ・P・ドラゴン』とスケール8の『時読みの魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!!揺らせ魂のペンデュラム、天空に描け光のアーク、ペンデュラム召喚!!現れろ『EM カレイドスコーピオン』!!」

 

『EM カレイドスコーピオン』 D 2300

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンド。この時『オッドアイズ・P・ドラゴン』の効果発動!!このモンスターを破壊してデッキから『星読みの魔術師』を手札に加える」

 

遊矢 LIFE 4000 手札 2枚(うち一枚は『星読みの魔術師』)

『EM ドクロバット・ジョーカー』 A 1800

『EM カレイドスコーピオン』 D 2300

『時読みの魔術師』 ◇4

伏せカード一枚

 

「私のターン、ドロー!!私は『星因士 デネブ』を通常召喚!!効果でデッキから『星因士 ウヌク』を手札に加える」

 

『星因士 デネブ』 A1500

 

「私はカードを四枚伏せてターンエンド!!」

「四枚!?」

 

はやて LIFE 4000 手札 2枚(うち一枚は『星因士 ウヌク』)

『星因士 デネブ』 A 1500

伏せカード四枚

 

「俺のターン、ドロー!!俺は手札の『星読みの魔術師』をペンデュラムスケールにセッティング!!」

「罠カード発動!!『神星なる因士』!!『デネブ』を墓地に送ってそのカードを無効にして破壊する!!」

「そんな!!」

「ペンデュラムカードは破壊されるとエクストラデッキ行くみたいやけど無効にしたら関係あらへんのよ。ついでにペンデュラム召喚は防がせて貰うで!!さらに効果で私はデッキから一枚ドローや」

「まだだ、俺は『EM ドクロバットジョーカー』をリリースして『EM ハンマーマンモ』をアドバンス召喚!!」

 

『EM ハンマーマンモ』 A 2600

 

「?なんのつもりや?『ハンマーマンモ』は『EM』が2体以上居れば特殊召喚できるはずやろ?」

「そうじゃないさ。俺は手札から魔法カード『金満な壺』を発動!!エクストラデッキの『オッドアイズ・P・ドラゴン』、さらに『星読みの魔術師』、『EM ドクロバット・ジョーカー』をデッキに戻して2枚ドロー!!」

「なるほど、体のいいデッキ戻しにドローサーチかいな」

「そういうことだ、バトル!!俺は『EM ハンマーマンモ』でダイレクトアタック!!」

「させへんで!!リバースカードオープン『神星なる波動』!!お互いのバトルフェイズ時、私は手札から『テラナイト』モンスターを特殊召喚できる!!私は『星因士 ウヌク』を守備表示で特殊召喚!!」

 

『星因士 ウヌク』 A 1800

 

「『ウヌク』の効果発動!!このカードが召喚、特殊召喚、反転召喚に成功したとき、デッキから『テラナイト』モンスターを墓地へ送る!!」

 

《送られたカード》

『星因士 ベガ』

 

「く!!だったら『ウヌク』へ攻撃する。そしてカードを一枚伏せてターンエンド」

「エンドフェイズ時に罠カード『リビングデッドの呼び声』を発動!!墓地から『星因士 ベガ』を特殊召喚!!」

「エンドフェイズに罠カードだって!!」

 なんかお決まりみたいなことを言ってるが気にしたらあかん。

 

『星因士 ベガ』 A 1200

 

「ベガの効果発動!!このカードの召喚、特殊召喚、反転召喚に成功したとき手札から『テラナイト』モンスターを特殊召喚する!!おいでや『星因士 アルタイル』!!」

 

『星因士 アルタイル』 A 1700

 

「さらに『アルタイル』の効果発動!!このカードが召喚、特殊召喚、反転召喚に成功したとき、墓地の『テラナイト』モンスターを特殊召喚する!!『星因士 デネブ』を特殊召喚してさらに『デネブ』自身の効果でデッキから『テラナイト』モンスターを手札に加える!!」

「まだ俺のターンだよな?」

 メタい話だが、このループさこそがテラナイトの持ち味なので仕方がない。

 

《加えたカード》

『星因士 ベガ』

 

「これで効果は終了や」

「えっと……ターンエンドです。はい」

 流石にループし過ぎたか、かなり声が投げ槍になっているな~。

 

遊矢 LIFE 4000 手札 一枚

場 

『EM ハンマーマンモ』 A 2600

『EM カレイドスコーピオン』 D 2300

伏せカード一枚

 

「私のターン、ドロー!!私は『星因士 ベガ』を通常召喚して効果発動や!!手札の『星因士 シャム』を特殊召喚して、さらに『シャム』の効果発動!!このカードが召喚、特殊召喚、反転召喚されたとき、相手に1000ポイントのダメージを与えるで!!」

「く!!」

 

遊矢 LIFE 4000 → 3000

 

「さて、といきなりやけど遊矢くん、悪いけどこのターンで勝たせて貰うで!!」

「なに!?」

「私はフィールドに存在するレベル4の『デネブ』、『アルタイル』、『ベガ』2体、『シャム』でオーバーレイ!!5体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築……エクシーズ召喚!!」

 5体の星の戦士が光へと変わり、空中に現れた渦に呑み込まれると、そこから1本の大槍が現れる。

「英霊より生まれしその武具よ、今汝の力をもって全てを貫け!!ランク4、『No.86 H.C. ロンゴミアント』!!」

 

『No.86 H.C. ロンゴミアント』 ★4 A 1500 

 

「エクシーズモンスター!!けど攻撃力1500じゃ俺の『EM ハンマーマンモ』には勝てない!!」

「残念ながらこのターンで終いや。『ロンゴミアント』はORUの数一つにつき一つの効果を得る。一つでこのカードは戦闘で破壊されない」

「戦闘破壊されないだって!?」

「二つでさらに攻守は1500ポイントアップする」

 

『ロンゴミアント』 A 1500 → 3000

 

「攻撃力3000!?」

「3つ目でさらにこのモンスターは『このモンスター』の効果しか受け付けない。せやから『奈落の落とし穴』とかそういうのも受け付けない」

「く!!(けど俺の場のモンスターを戦闘で破壊してもダメージは400。このターンは防げる)」

「4つ目で相手はモンスターを召喚、特殊召喚できない。そして5つ目やけど、相手フィールドのカード全てをノーコストで破壊する」

「そんな!!」

「『ロンゴミアント』の効果発動!!全てのカードを焼き尽くせ!!」

 遊矢の場にあった全てのカードが破壊尽くされ、フィールドは文字どおり焼け野原に変わった。

「バトルや!!『ロンゴミアント』でダイレクトアタック!!」

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

遊矢 LIFE 3000 → 0

 

「大丈夫?」

「あ、あぁ。うん」

 騎士服を解除して私が駆け寄ると、遊矢くんは驚いた表情をしながら立ち上がる。

「でも凄かったよ。まさかライフを1ターンで0にされるなんて。しかもエクシーズ召喚も使いこなしてるし」

「ありがと~な。でもそういえば遊矢くん、なんでエクストラデッキにカードがあらへんの?」

「え?」

 遊矢は驚いたように聞き返す。

「いや悪気はないんよ。ただその『EM』を中心としたデッキやろ?せやったらペンデュラム召喚で出しやすいチューナー入れて『シンクロ召喚』するなり、私みたいに同レベルモンスター召喚して『エクシーズ召喚』するなりできるやろ?」

「それは……まぁそうだけど……」

「別に遊矢くんのデッキやから文句言うつもりはあらへんよ。ただエクストラデッキに少なくともカードを容れておけば、相手が不用意に警戒してくれるから逆に自分がやり易いようにできることもあるんや」

 実際、私がエクストラデッキに容れてるカードも、万が一の時にしか使わないようなカードが何枚か容れてある。そうしておけばエクストラデッキ対決になっても、相手を揺さぶる事ができる。

「けど……エクストラデッキ用のモンスターってかなり高いし……ペンデュラムカードはそもそも俺が持ってるのだけだしな…………」

「そんなことを言ってる暇はあらへんよ。LDSの親会社の『レオコーポレーション』はトップクラスのカード開発グループらしいから、下手したらペンデュラムカードもLDSが作って売り出す事になるかもしれん。そうなったらペンデュラムモンスターだけで太刀打ちはしづらくなるんや」

「そっか……そうだよな……」

 遊矢くんはそういうと右手を差し出してくる。

「ありがとなはやて。俺、頑張ってみるよ」

「そうかい……なら良かったわ。これからもよろしくやね」

「ああ!!……ってこれから?」

 遊矢は不思議そうに首を傾げる。

「ん?私も遊勝塾に入るんよ?」

 私はさも当然のように言葉を返した。

「え、え、えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

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