「ハイディ=E=S=イングヴァルト……そして、オリヴィエ=T=V=ゼーゲブレヒト……」
夜、家に戻った私は料理をしながら対戦相手と、そして今日の第一試合に『デス・ウサギPバーン』というデッキを使っていた少女達のことを考えていた。
別に大分発達しとるな~とか疚しい気持ちは一切なく、寧ろどこかで聞いたことのあるような名前にモヤモヤしていたのだ。
「見たところコスプレみたいな服装やったんやろか……、オッドアイなんてカラコンやろうし、服だってそれなりに衣装栄えするようなもんやったし……」
「……あの、主?さっきからぶつぶつとどうしたんですか?」
と、テーブルを拭き終えたリインが不思議そうに聞いてくる。
「リイン……いやなぁ、今日の第一試合は覚えとるやろ?」
「ええ、あの『デス・ウサギ』を使った少女の事ですね」
「そうや……その子と私の対戦相手の子がどうにも気になってな~」
私はそう言いながらデュエルディスクの液晶に対戦相手の少女の写真を写し出す。
「この子が?仮面のようなバイザーを着けてるようですけど……」
「そや、名前はハイディ=E=S=イングヴァルト、所属はst.ヒルデ言うところらしいんやけど……どうにも知っとるような気がして……」
「イングヴァルト……そしてオリヴィエ……ですか……」
リインもどこか引っ掛かりを覚えたのか、少し首を傾げる。と、その時、
「…………あれ?」
「ん?どうしたんやリイン?」
「いえ、気のせいだと思うんですが……この子もオッドアイズなのでは?」
「は?」
私はそんなバカなと思いながら少女の目元をじっくりと観察する。藍色のグラスごしだが、うっすらと、だが確かに目の光彩が少し違うように見えた。
「で、でもなぁ……いくらなんでもバイザーにカラコンを付けるかいな~」
「……先天的なものだとしたら?」
リインは疑問に思って聞いてくる。
「そらフェイトちゃんみたいに生まれつき金髪の子が居るんやからありえへん事はないやろうけど……せやかて生まれつきオッドアイな子なんてごっつい少ないやろ。しかもそれが同じ塾に二人もやで?」
「…………ちょっと待ってください。そのオリヴィエという女の子もオッドアイだったんですか?」
「ん?そうやったけど……」
「…………もしやその子の光彩は赤と緑だったのでは?」
「良く分かったやね~、その通りやけど……」
「………………」
私が肯定した途端、リインはまるで石像のように固まってしまい、そして
「ファァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「うわ、ビックリした!!」
「ビックリしたのは此方の台詞です!!よもや聖王と覇王の血筋がこの世界に存在するなんて……」
リインはまるであり得ないとでも言いたいように呟く。
「聖王と覇王?……なんやそれ?」
「古代ベルカの時代、まだ夜天の書が闇の書となる数百年前、ベルカの国々は長きの戦乱の時代が続きました。その中で、戦乱の時代を平定させた二人の王、それが後に聖王と呼ばれるオリヴィエ・ゼーゲブレヒトと、覇王、クラウス=G=S=イングヴァルトです」
「ちょ、ちょっと待ちや!!つまりあの二人の先祖は
私はあまりの情報に持っていた鍋蓋を落としてもうた。
「管理世界の人間なんて、そんな生温い人達じゃないですよ!!私達、旧夜天の書ヴォルケンリッター全員で聖王オリヴィエと戦って誰一人勝てなかった程ですよ!!クラウスなんて片手で一歩も動かずに私達五人纏めてフルボッコにしたんですよ!!」
「そ、それはまた……だいぶ人外な人たちやったんやな……」
「人外なんてレベルではありませんよ!!特にオリヴィエはザフィーラの事を馬代わりにするわ、ヴィータを雪原豹の群で一夜抱き枕代わりにするわ、シャマルに下手な料理を教えて私達全員を三日三晩高熱に苦しませたりするわ、シグナムは着せかえ人形にするわ、私は……私は…………」
「お、落ち着きやリイン!!と、ともかく落ち着きや!!」
まさかここまで暴走するとは思わず私は落とした蓋にも目を触れず落ち着かせる。ていうか凄いガクガク震えとるやん。
「は、覇王イングヴァルトの子孫はまま、まだしも!!オ、オオ、オリヴィエの子孫になんか出会った日には…………((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
「お、おちつきやって、ていうか台詞が絵文字になっとるで!?」
「お、落ち着いていられるわけないじゃないですか!!もしもオリヴィエの子孫がオリヴィエの記憶を保持なんかしてたら、私達は一貫の終わりなんですよ!!」
常に冷静沈着(暴走はするけど)なリインがここまで言うほどのオリヴィエという人間に恐怖を抱くのやった。
オリヴィエ……もといヴィヴィオside
「…………は!!」
「ど、どうしたんですかヴィヴィオさん?」
私は現在下宿してる家で夕食を頂きながら、何かを察したように背筋をピンとする。それに気付いたアインハルトさんが不思議そうに聞いてくる。
「なんか……、凄い勘違いされとる気がする」
「恐らく夜天の書のリインフォースさんですよ。オリヴィエさんは昔夜天の書の面々に色々とやらかしたみたいですし」
「……私、あの人に関しての記憶ないんだけどな~」
「……おい、早くしないと飯が覚めるぞ」
「はーい、岩丸さん!!」
「す、すみません…………」
「ふふふ、慌てないでいっぱい食べてね~」
私は笑顔で返事して、お茶碗のご飯を口に入れる。
(でも昔のはやてさんって……、今と殆ど顔とか髪型変わってなかったな~。てことは性格も……)
なのはママやフェイトママから聞いた情報を思い出して、出来るなら大人モードで出会いたくないな~、と少しだけ思い
(ねぇ…………クリス)
(……)ピピッ!!
今はぬいぐるみ状態で腰に下がっている私の相方にウィンクし、クリスは素早く腕を上げて同意するんだった。