「いったい何をどうすれば、アクションフィールドがあんな様になるんだ」
零児はまるであり得ないようなものを見る目で私達二人を見てくる。
「いや~、私のせいというか……むしろ思いっきりこのイングヴァルトいう子が悪いっていうか……」
「……本当に申し訳ありません」
私は顔を引き攣らせながら、イングヴァルトは申し訳なさそうに謝る。
「全くだ、二日目最終戦だったからこそ、フィールドの補修も徹夜で終わるだろうが、そうでなければ一日順延していた可能性だってあった」
ため息をつきながら零児は机の書類に目を向ける。
「それで、私達の結果ってどういう扱いになるんや?」
「……それについてだが、今この場で、再びデュエルしてもらう」
そういうと零児は机の戸棚からポチりとスイッチを押す。すると床を開いて現れたのはいかにも古めかしい、何世代前かというレベルの装置、デュエルフィールド(初代遊戯王時代のバカでかいアレ)が現れた。
「す、すっごいレトロなもん持ち出してきたなぁ……」
「何をバカな、押しボタン式で内部バッテリー1500時間対応、たとえ停電しようがハッキングされようが使える代物だぞ」
「…………それを使う機会がなければただの鉄屑なのでは」
イングヴァルトさんの容赦ない一言に、零児は珍しく驚愕の表情を浮かべる。
「……ふん、たとえ邪魔だと言われても、男には貫きたいものがあるのさ……」
「でもデュエルディスク中心のご時世に、旧式のデュエルフィールドは流行らないと思いますよ……」
「うぐ!!」 零児 LIFE 4000 → 2800
「そもそもデュエルディスク自体にもバッテリーは内蔵されてますし」
「がは!!」 零児 LIFE 2800 → 1000
「何より維持費でかなり持っていかれますから、収支を考えたら無駄なのでは」
「……」 零児 LIFE 1000 → 0
「そういう変な趣味があるから、他の人と仲良くできないのでは」
「もうやめてイングヴァルトさん!!零児のライフはもう0や!!」
大人しい顔をしてると思いきや、私が思っても言わなかった事をなんの躊躇い無く放ち、事実を言われたせいか、零児も零児で踞ってのの字を書いてしまってる。意外に打たれ弱い……。
「……とにかく、二人はそれを使って対戦し直してくれ……勝敗判定はちゃんと公式に乗るから…………」
「おーい、いじけるな~」
私の言葉も虚しく、いじけて別室に引っ込んでしまった零児に合掌する。
「そ、それではこの試合の審判は、私、中嶋が採らせてもらいます!!互いにステージへ!!」
こちらもまた少しばかり動揺してる中嶋さんの合図のもと、私たちはデッキをフィールドに配置する。
「「デュエル!!」」
はやて LIFE4000
イングヴァルト LIFE4000
「先行は私ですね。私はフィールド魔法『竜の渓谷』を発動し、効果発動!!手札の『ドラグニティ―ファランクス』をリリースして、デッキから『ドラグニティ―ドゥクス』を手札に加え、召喚!!効果により墓地の『ファランクス』を装備!!」
『ドラグニティ―ドゥクス』 ☆4 A 1500 → 1900
「私はカードを二枚伏せてターンエンド……」
イングヴァルト 手札一枚 LIFE4000
フィールド
『ドラグニティ―ドゥクス』 A 1900
『ドラグニティ―ファランクス』 装備カード
『竜の渓谷』 フィールド魔法
伏せカード二枚
「私のターン、ドロー!!……私は手札から魔法カード『ハーピィの羽箒』を発動!!相手フィールドの魔法、罠カードを全て破壊する!!」
「カウンター罠発動!!『魔宮の賄賂』相手の発動した効果を無効にして破壊します!!そして相手は一枚ドローします」
はやて 手札 5 → 6
「伏せカードはそれやったか……なら私は手札から今引いた魔法カード『サイクロン』を発動!!イングヴァルトさんが伏せてるもう一枚のカードを破壊や!!」
「く、『閃光を吸い込むマジックミラー』が!!」
「な、なんちゅうカードを仕込んどるんや!!まぁ破壊したから別にエエけど。私は手札の『星因士 ベガ』を召喚!!」
『星因士 ベガ』 ☆4 A 1200
「『ベガ』が召喚、特殊召喚、反転召喚したときの効果で、手札から『星因士 シャム』を特殊召喚!!」
『星因士 シャム』 ☆4 A 1400
「『シャム』は召喚、特殊召喚、反転召喚された時、相手に1000のダメージを与える!!」
「く、効果ダメージ……」
イングヴァルト LIFE 4000 → 3000
「私は2体のレベル4でオーバーレイ!!エクシーズ召喚!!現れや、『輝光子パラディオス』!!」
『輝光子パラディオス』 ★4 A 2000
「『パラディオス』の効果!!ORUを二つ使い、相手フィールドのモンスター1体の効果を無効にして、攻撃力を0にする!!」
「そんな、私の『ドゥクス』が!!」
『ドラグニティ―ドゥクス』 A 1900 → 0
「バトルや!!『パラディオス』で『ドゥクス』を攻撃!!」
イングヴァルト LIFE 3000 → 1000
「く、そんな!!」
「私はカードを3枚伏せて、ターンエンドや」
はやて 手札一枚 LIFE4000
フィールド
『輝光子パラディオス』 A 2000
伏せカード三枚
「く、私のターン、ドロー!!……私は再び『竜の渓谷』の効果を発動!!手札の『ドラグニティアームズ―レヴァテイン』をリリースして、『ドラグニティ―レギオン』を手札に加えて、召喚!!効果で墓地の『ドラグニティ―ファランクス』を装備し、『ファランクス』を効果でフィールドへ特殊召喚!!そしてレベル3『ドラグニティ―ファランクス』にレベル2『ドラグニティ―ファランクス』をチューニング!!シンクロ召喚!!来てください、『TG ハイパー・ライブラリアン』!!」
『TG ハイパー・ライブラリアン』 ☆6 A 2400
「ここでドロー加速が来たか……」
「さらに魔法カード『死者蘇生』を発動し、墓地の『ドラグニティ―ドゥクス』を墓地から特殊召喚し、『ドゥクス』の効果で『ファランクス』を装備!!さらに『ファランクス』の効果で再びフィールドへ特殊召喚!!レベル4『ドラグニティ―ドゥクス』にレベル2チューナーモンスター『ドラグニティ―ファランクス』でチューニング!!シンクロ召喚!!来てください、『ドラグニティナイト―ヴァジュランタ』!!」
『ドラグニティナイト―ヴァジュランタ』 ☆6 A 1900
「『ヴァジュランタ』と『ライブラリアン』の効果が発動します!!まず『ヴァジュランタ』の効果で墓地のレベル3以下の『ドラグニティ』を装備できます。私は『ファランクス』を選択して装備!!さらに『ライブラリアン』の効果で一枚ドロー!!」
「(けど結局は手札一枚……『ファランクス』でもう一回シンクロ召喚しようとも手札二枚でどう乗り切るつもりや……)」
「そして『ファランクス』を三度特殊召喚し、レベル6『ドラグニティナイト―ヴァジュランタ』とレベル2チューナーモンスター『ドラグニティ―ファランクス』をチューニング!!シンクロ召喚!!来てください、『閃珖竜スターダスト』!!」
『閃珖竜スターダスト』 ☆8 A 2500
「決闘竜……(この子のデッキ……スピード展開して強力ドラゴンを呼ぶスタイルかいな……)」
「そして私は今引いた魔法カード『竜騎士の生還』を発動!!この効果で、このターン互いのモンスターは戦闘及び効果で破壊されず、互いが受けるダメージが半分になる代わりに、墓地の『ドラグニティ』と名のつくモンスター2体を特殊召喚出来ます!!」
「なんやて!!その専用魔法はつまり……!!」
「来てください、『ドラグニティ―ドゥクス』、『ドラグニティ―レギオン』!!」
『ドラグニティ―レギオン』 ☆3 A 1200
『ドラグニティ―ドゥクス』 ☆4 A 1500 → 1900
「『ドゥクス』の効果で、墓地の『ファランクス』を装備して、再び特殊召喚!!」
「……これでフィールドにはレベル4、3、2の三枚が揃った……(定石ならここで『トリシューラ』なんやろうけど、さっきから見ててエクストラは基本的に『ライブラリアン』を除いて風属性ばかりやからな……)」
「私はレベル4『ドラグニティ―ドゥクス』とレベル3『ドラグニティ―レギオン』にレベル2チューナーモンスター『ドラグニティ―ファランクス』でチューニング!!疾風轟く覇王の風よ、今守るべきものの為に立ち上がれ!!シンクロ召喚!!レベル9!!『断空竜 クラウヴィエ』!!」
『断空竜 クラウヴィエ』 ☆9 A 3000
光と共に現れたのは、鷲のような姿に、ワイバーンのような鉤爪を持った緑色のドラゴンだった。
「攻撃力……3000!!」
「『ライブラリアン』の効果で一枚ドロー!!そして『クラウヴィエ』の効果発動!!このカードが特殊召喚に成功したとき、互いの墓地から、同レベルモンスターを一枚ずつ、私のフィールドに効果を無効にして特殊召喚します。」
「な、なんやその効果は!!」
「私とはやてさんの墓地に存在するモンスターで共通するレベルを持つのは、レベル4の『ドラグニティ―ドゥクス』と『星因士 ベガ』、私はその2体を選択してフィールドに特殊召喚し、2体のモンスターでオーバーレイ!!」
「シンクロとエクシーズの混合デッキやと!?レベル調整が難しいはずやのに!?」
「疾風煌めく覇王の光よ、今、戦乱の世を統治せよ!!エクシーズ召喚!!ランク4!!『断空竜 アスティオン』!!」
『断空竜 アスティオン』 A 2000
エクシーズ召喚されたのは、ドラゴンというよりは豹のようなモンスターで、両足の爪と、獰猛な牙が特徴的なモンスターだった。
「『アスティオン』の効果発動!!ORUを一つ使い、相手フィールドのカードを一枚墓地へ送り、そのカードの種類によって効果が発揮します。私は『輝光子パラディオス』を選択して墓地へ送ります」
「く、戦闘、効果破壊耐性も
「モンスターカードだったとき、相手の手札を確認して、送ったモンスターより攻撃力の低いモンスター全てを除外させてもらいます」
「ふ、残念やけど手札のカードは魔法カード『貪欲な壺』、よって手札にモンスターはいないで」
「…………なるほど、ではバトルフェイズに入ります。私は『断空竜 アスティオン』でダイレクトアタック!!」
「させへん!!罠カードオープン『リビングデッドの呼び声』!!墓地より復活せや『星因士 シャム』!!」
『星因士 シャム』 ☆4 A 1400
「特殊召喚時に『シャム』ほ効果で1000ポイントのダメージや!!」
「ですが『竜騎士の生還』の効果で受けるダメージは互いに半分!!よって受けるダメージは500です。うぅ!!」
イングヴァルト LIFE 1000 → 500
「……バトル続行!!『アスティオン』でシャムに攻撃!!」
「そっちが使った『竜騎士の生還』の効果で『シャム』は破壊されず、受けるダメージは半分や!!」
はやて LIFE 4000 → 3700
「『クラウヴィエ』で『シャム』を攻撃!!」
「ぐぁぁぁ!!」
はやて LIFE 3700 → 2900
「『閃珖竜スターダスト』で攻撃!!」
「うぁぁぁぁ!!」
はやて LIFE 2900 → 2350
「『ライブラリアン』で攻撃!!」
「ウグァァァ!!」
はやて LIFE 2350 → 1850
「私はカードを一枚伏せて、ターンエンドです」
イングヴァルト 手札0枚 LIFE 500
フィールド
『TG ハイパー・ライブラリアン』 A 2400
『閃珖竜スターダスト』 A 2500
『断空竜 クラウヴィエ』 A 3000
『断空竜 アスティオン』 A 2000
『竜の渓谷』 フィールド魔法
「く……なんちゅうデッキや……もしリビングデッドが無かったら一瞬にしてライフ全部消えとったで……」
「はやてさんのデッキの対策は、高速で物量を展開すれば良いですからね」
「……なんや、まるで私のデッキを知っとるみたいな言い方やな……」
「ええ、
イングヴァルトさんは当然とでも言うように言ってきた。
「…………知っとるって……私はつい最近までイングヴァルトさんの事を知らなかったんやで?」
「…………それは当然です。何故なら私は、
イングヴァルトさんの言葉に、私は衝撃を覚えた。
「未来……やと……?そんなバカな話……」
「ならオリヴィエも呼びましょうか?彼女は
「………………は?」
まさか、いやあり得ないというレベルの衝撃が私を襲った。
「なのはちゃんの…………娘?」
「ええ、娘ですよ。それがなにか?」
「…………てことは……なのはちゃんが聖王の一族なんか?」
「………………はい?」
イングヴァルトさんは訳が分からないように首を傾げてくる。
「い、いや……オリヴィエって人が古代ベルカ時代の聖王なんやろ?てことはその血筋を持ってる娘の母親がなのはちゃんいうことは……なのはちゃんが聖王の血を……」
「…………ええと、勘違いしてるかもしれませんけど、オリヴィエさんはなのはさんの義理の娘ですから、なのはさん自体が聖王の血を引いてる訳ではありませんよ?」
余りの情報過多によって暴走しかけていた頭に、イングヴァルトさんの言葉が飛んでくる。
「……義理?」
「はい、オリヴィエさんは高町なのはさんの養子ですよ」
「……色々思うことはあるけど、とりあえず、未来のなのはちゃん何やっとるんや……」
もう呆れながら親友の事を罵倒した。ていうかなのはちゃんに無理なことなんて無いんやないか、もしかしたら。
「と、とにかく私のターンやね。ドロー!!」
「(絶対に考えるのを止めましたね……)」
「……私は手札から『星因士 アルゴラ』を召喚!!このモンスターが召喚、特殊召喚、反転召喚に成功したとき、デッキから『テラナイト』と名のつくモンスター2体まで特殊召喚する!!この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、ターンのエンド時に墓地へと送られる!!私は『星因士 ウヌク』と『星因士 アルタイル』を選択!!」
『星因士 アルゴラ』 ☆4 A 500
『星因士 ウヌク』 ☆4 A 1800
『星因士 アルタイル』 ☆4 A 1700
「『ウヌク』の効果で、デッキから『デネブ』を墓地へ送り、『アルタイル』の効果で、今送られた『デネブ』を特殊召喚!!『デネブ』の効果で、デッキから『アルタイル』を手札に加える!!」
『星因士 デネブ』 ☆4 A 1500
「私は、フィールドの全モンスターでオーバーレイ!!夜天の時を越え、今、我が絆の証をここに示せ!!エクシーズ召喚!!ランク4『夜天の滅輝士 ナハトヴァール』!!」
『夜天の滅輝士 ナハトヴァール』 ★4 A 2500
「このタイミングで……『ナハトヴァール』ですか!?」
「『ナハトヴァール』がORUが5つ以上あるとき、ORUを一つ使い、相手フィールドのモンスター全ての効果を無効にする!!石化の槍、ミストルティン!!」
その言葉に従って、イングヴァルトさんのフィールドのモンスターが白色の石像へと変化してしまう。
「く!!(ですがフィールドに伏せられているのは、『疾風のバリア―エアーフォース』、これを使えば『ナハトヴァール』はエクストラに戻ります……)」
「さらにリバースカード、オープン!!『トラップスタン』!!このターン、このカード以外の罠カードは発動できない!!」
「そんな!!」
「バトルや!!『ナハトヴァール』で『アスティオン』を攻撃!!デアボリック…………エミッション!!」
「うぁぁぁぁぁ!!」
イングヴァルト LIFE 500 → 0
「っと、大丈夫、イングヴァルトさん」
私は少しふらついてるイングヴァルトさんに駆け寄ると、突然彼女の服装が変わり始めた。
今まで白と緑の戦闘服というイメージだったそれが、まるでお嬢様学校のような半袖とロングスカートに変わり、身長も、さっきより数十センチ低くなってる。何より胸も小さくなっとる。
「ふう……疲れました……」
「えっと……大丈夫なんか?やけに身長とか体格とか変わってしもうたけど?」
「いえ、元々さっきのは変身魔法の応用で……肉体を一時的に戦闘用に引き伸ばしているんです」
「そ、そんな魔法を使っとったんか……」
今日は驚くことが多いと少し思った。
「ええ。オリヴィエさんも、デュエルや魔法戦の時は変身魔法で私のように身長を変えてるんです」
「ふーん、どうして?」
私がそうきくと、周りを少しだけ確認し、
(……私は兎も角、オリヴィエさんはまだ四年生ですから……)
(………………え?)
小声で言ってきたそれに、少しだけ私は硬直した。
(………………ちょっと待ちや、え、四年生?魔法とはいえ、あそこまでボッキュボンな体型の女の子が、中身は小学四年生?)
(…………そうですが?)
(…………神は理不尽や!!)
成長途中とはいえ、まさか年下の子に、しかも友人の娘に体型的に負けるという事実に、私は少なからず世界を恨んだ。
オリカ紹介
『竜騎士の生還』 通常魔法
自分の墓地から、『ドラグニティ』と名のついたレベル4以下のモンスターを2体特殊召喚する。このカードが発動したターン、お互いのモンスターは戦闘及び効果で破壊されず、互いに受けるダメージは半分になる。
『断空竜 クラウヴィエ』
☆9/風/ドラゴン/A3000/D1500
風属性チューナー+チューナー以外の風属性モンスター1体以上
①このカードが特殊召喚に成功したとき、互いの墓地の同レベルモンスターを選択し、効果を無効にして自分フィールドに特殊召喚する。
②このカードが破壊されたとき、自分フィールドのモンスター1体を選択する。このカード以外の風属性モンスター1体を除外し、選択したモンスターの攻撃力はは除外したモンスターの攻撃力分アップする
『断空竜 アスティオン』
★4/風/ドラゴン/A2000/D2000
1ターンに一度、ORUを一つ使い、相手フィールドのカードを一枚墓地へ送る。そして送られたカードの種類によって、以下の効果を発動する。
・モンスター……相手の手札を確認し、墓地へ送ったモンスターより攻撃力の低いモンスター全てを除外する。
・魔法……お互いにカードを一枚引き、手札を一枚除外する。
・罠……お互いの魔法、罠ゾーンのカードを全て除外し、除外したカード一枚につき、互いにデッキからカードを墓地へ送る。