『赤馬零王の目的は、四人の英雄の力を手に入れることだ』
「……って、どないしろゆうんや」
私は下宿先の岩丸宅に戻ると、宛がわれた自室へと向かった。既に夕日もかなり落ち始め、部屋の中は少し肌寒かった。
「(こんなとき……なのはちゃんやフェイトちゃんはどうするんやろうな……)」
私は今は離れてしまった親友二人のことを思い出していた。
「「いったいどういうこと(なの)」」
「いや、少し落ち着いてくれ」
高町なのはとフェイト・T・ハラオウンはアースラの一部屋で、たじたじとしている黒髪の少年……クロノ・ハラオウンに事の次第を聞こうとしていた。
「クロノくん。最初から全部説明を求めるの!!」
「わかったわかった!!だからそのエクセリオンモードにしてるレイジングハートを納めてくれ!!」
「早くして!!」
「フェイトもバルディシュをザンバーモードにしないでしまってくれ!!僕の命が持たないから!!」
まるで牙を剥いた獅子……いや魔王と死神の化身のような二人を宥めるクロノを見て、側にいたシグナム以下ヴォルケンリッター四人は心の内で合掌していた。
と、数分かけてようやく修まった二人に、息も絶え絶えなクロノが椅子に腰かける。と、さらに側にははやてが産み出したユニゾンデバイス、リインフォース・ツヴァイの姿もあった。
「つい三日前の夕方、はやての家のすぐ近くで小規模の転移魔法が確認された。その日はやては自宅でゆっくり過ごしていた……ここまではリインフォースが話してくれている」
「はいです!!けどその転移魔法はかなり魔力が抑えられていて、はやてちゃんでも近くじゃなかったら気付かない程でした」
リインの言葉になのは達二人は驚いた表情を浮かべる。通常、転移魔法は移動距離によって様々だが、基本的にはかなりの魔力を必要とする魔法だ。転移装置を使えば確かに個人で使用する魔力は殆どないが、管理外世界であり魔法技術の未発達の地球ではそんなものは存在しない。
「それで、はやてちゃんが最後に居た場所ってどこなの?」
「最後に居たのははやてちゃんの自宅から直線数十メートルくらい離れた場所で、空き地になってたです」
そういって映像を出すと、そこは確かにただ広い空き地でだった。
「そしてはやてが転移した張本人に出会った次の瞬間に、これだ」
クロノがそう言った途端、画面に黒い体に特徴的な紋章が彫られた巨人が浮かび上がった。
「これって!!」
「遊戯王のカード!?」
少女二人は驚いたように声をあげる。彼女達もはやてと同じく遊戯王の愛好者で、よく休日には一緒に対戦したりしているほどだ。
「カード名は『地縛神 Ccapac Apu』、君たちも知っての通りナスカの地上絵の巨人を現すカードだ」
「確か相手モンスターを破壊したらそのモンスターの攻撃力分のダメージを与えるモンスターだったよね」
「そうだフェイト。さらに言えばこの『Ccapac Apu』、OCG効果じゃなくてアニメに近い効果になってるみたいなんだ」
「それって、どういう?」
「それは僕が話すよ」
と、その言葉と共に現れたのは特徴的な民族衣装を纏った少年、ユーノ・スクライアだった。
「ユーノくん、いったいどういうことなの?」
「うん、まず最初に聞くけど、なのはもフェイトも『遊戯王5D´s』のアニメは見たことあるよね?」
そう聞かれた二人は互いの顔を見合わせると、コクりと頷く。
「アニメでの『地縛神』の召喚にはフィールド魔法と大量の魂の生け贄が必要だった。けど現実でそんなことはたかがOCGのカードにできることじゃない」
「うん。でもそれとアニメ効果に近いっていうのはどういうこと?」
フェイトの言葉を聞いたユーノは映像を切り替える。そこには『巨人』とグラフらしきものが映っていた。
「これは?」
「あの『Ccapac Apu』らしきものを解析したグラフなんだけど、結果は胸部に『リンカーコア』らしきものとかなり大きな魔力を溜め込んでいたんだ。しかも、『周囲に漂っていた魔力を吸収』してね」
「それって!?」
「あぁ、恐らくは『魂の代わりに周辺魔力を使っていた』んだとおもう。簡単に言えばなのはが使う『収束魔法』と似ているんだ」
収束魔法、それは周辺に漂っている魔力を自分の魔法へと集めて放つ魔法だ。だがしかし、
「でも魔力なんて普通に漂っているものなの?なのはが使う収束魔法もそうだけど、事前に大量に魔法を使っておかなきゃ、出力は上がらないよね?」
「テスタロッサ、ユーノ・スクライア、それは正確には少し違うぞ」
フェイトは首を傾げながら聞いてくるが、それに答えたのは意外にも烈火の将シグナムだった。
「少し違う?」
「まず、あれは恐らく古代ベルカの召喚魔法で呼び出されたものだ。ミッド式にも召喚魔法はあるが、これはミッド式ではないということは間違いない」
「どういうことシグナムさん?」
「そもそも召喚魔法の原理は瞬間移動と似たようなものだ。簡単に言えば、高町が翠屋に居てテスタロッサが学校に居たとしよう。高町が翠屋で召喚魔法を使い、テスタロッサを召喚すると、魔方陣にテスタロッサが現れるというものだ」
(……分かるなのは?)
(にゃはは……ちょっと厳しいかも?)
(情けねぇな……そういう私も結構うろ覚えなんだけど)
フェイトの言葉になのはは苦笑いで応え、横に居たヴィータは半分呆れていた。
「そしてミッド式とベルカ式の違いは、召喚の過程だ。ミッド式はマーキングしたものを呼び出す、が、古代ベルカ式は召喚するものと術者が契約して、契約したものを召喚する」
「えっと……それのどこが違うのかさっぱり分からないの」
なのはは既に頭から煙が上がっており、プスプスと音がしていた。
「簡単だ。ミッド式はマーキングしたものしか呼び出せない、だが古代ベルカ式は契約したものとその眷族さえも呼び出せるのだ。つまりミッドとベルカの召喚師が同じものを召喚する場合…………分かりやすくするために大型のドラゴンにしておくが、ミッド式はそのドラゴン本体だけ、ベルカ式はそのドラゴンの群れの全てを好きなタイミングで召喚する事ができるのだ」
シグナムの言葉が終わると、彼女はフェイトの方に向いた。
「そしてテスタロッサ、お前はさっき魔力が普通に漂っているのか、と聞いたな?」
「うん」
「その答えは半分当たっていて半分違っている。ユーノ・スクライア、頼んだ」
「いきなりバトンタッチしますね」
シグナムはユーノに代わると部屋の隅へと移動する。
「魔力っていうのはリンカーコアから供給されるエネルギーだっていうことは知ってると思うけど、その性質は覚えてる?」
「えっと、確か魔力は放出することはできても貯めることはできない、だったよね」
フェイトは少し緊張ぎみに答えると、ユーノは笑って頷く。
「そう。そしてリンカーコアは一応誰にでも存在はしているんだ。僕ら魔導師はもちろん、極端なことを言えば魔力適正が無い人間にもね」
「え?どういうこと?それじゃお姉ちゃん達にもリンカーコアが存在してるの?」
今まで頭から煙を上げてたなのはが聞いてくる。
「そうだよ。よく小さい子でスポーツ優秀な子や、頭が凄く良い子とかがいるけど、それは遺伝子だけじゃなくてリンカーコアの影響も少なからずあるんだ。だから街の中には溢れるほどじゃないけど魔力は漂ってるんだ」
「へぇ……じゃあもしかしてその『Ccapac Apu』は街にあった魔力を奪ったってこと!?」
「そうだよ。現に街で人が次々に倒れる事件すら起きてるくらいだからね。だいぶ持っていってるみたいだよ」
というのも、なのはの兄や姉、友人のアリサとすずかもはやてが居なくなった日の夕方ごろに意識を失って入院している。さらには学校さえも臨時休校になる始末で、当然ながら翠屋も臨時休業、スーパーマーケットやコンビニはなんとか開いているものの、それでも入店するお客さんの数は目に見えて少なかった。
「二人とも、まるで悪夢でも見てるみたいにうなされてた」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんもずいぶん呻き声上げてたし、他の入院してる人もそうだった」
倒れて眠ってる家族や友人達を思いだし、なのはとフェイトは悲しげな表情を浮かべる。
「クロノくん、どうにかしてはやてちゃんのところに行くことは出来ないの?」
「僕も何とかしたいんだけど、管理外世界だから主だった介入はできないし、そもそもどこに居るのかさえも分からないから……なんともしようがないんだ」
「そうなんだ……」
「落ち込まないでフェイト、なのは、全部無能な真っ黒クロ介が悪いんだから」
「おい待て、何を勝手に人のせいにしているんだ、この淫獣フェレット擬き!!」
「誰がフェレット擬きだ!!一発シバくぞ!!」
「上等だ!!もっとも模擬戦用の部屋が修理中だからな、久々に遊戯王で決着を着けてやる」
「へぇ?クロノが僕の『ナチュル』デッキに勝てると思ってるのかな?三下な『氷結界』の分際で?勝率38戦11勝27敗のクロノが?」
「よし分かった。そんなに『MID』をやりたいか、安心しろ、すぐに許可を取ってやる」
「「ガルルルル!!!!」」
「「二人ともいい加減にして」」
二人のにらみ合いを少女二人が引き離すが、まるで天敵同士の戦いのような声が暫く響くのだった。
一応決まっているリリカルキャラのデッキは
はやて『テラナイト』(他思案中)
なのは『星屑ジャンド』
フェイト『エレキ』
ユーノ『ナチュル』
クロノ『氷結界』
シグナム『六武衆』
ヴィータ『磁石エクシーズ』
シャマル『キュアバーン』
ザフィーラ『BK』
また、オリカも募集してます。コメントで送っていただければ幸いです