遊戯王ARC-Ⅴ 夜天の来訪者   作:ドロイデン

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Episode69 デュエルサバイバル 五幕

「はてさて、いったいどうしてくれるか……」

 とりあえず名乗ったは良いものの、目の前の榊遊矢を見て流石にため息を着きたくなってきた。何故なら奴は我が求めてるエクザミアの結晶……闇の欠片を心に宿しておったからだ。

 別段、それだけならまだ幾らでも対処のしようがあったのだが、問題はその質にあった。

(幾らなんでも闇が深すぎるわな……これは)

 どうやら榊遊矢は幾人ものデュエリストをカードに食わせてしまったらしく、闇の欠片の魔力は、予想よりもかなり禍々しい黒へと変色しておった。

 実を言うと、闇の欠片の魔力が増幅するくらいなら問題はない。魔力が増えれば増えるほどに欠片は大きくなっていき、すべて統合したときの質も格段に上がる。が、こやつの場合は予想外どころか想定外、質は確かに上がるだろうが、我が御しきれるかはそれとは別、はっきり言ってこれは、

「…………(無理だな)」

 我一人なら匙を投げるほどに至難の業だ。少なくとも、我らマテリアル三人揃っても制御に手一杯といったところだろうか……それくらいに酷い物だ。

 冒頭のように、はてさてどうしたものかという状況なのだが、どうやら相手は待ってくれないらしい。

「八神はやてぇぇぇ!!」

 闇の欠片が生み出したドラゴン……『オッドアイズ・ディストピア・ドラゴン』が我に向かって飛んできた。

「く!!デュエルも無しに一方的に攻撃するとはな、デュエリストの風上にもおけんわ!!穿て、エルシニアダガー!!」

 仕方なく魔法で迎撃するが、大型のモンスター故にダメージは少なく勢いそのまま突っ込んできた。そして右手に持っていたその大剣を振り上げてきた。

「……やれやれ」

 と、その聞き慣れた言葉と共に、ドラゴンが真横から来た炎の熱線によって吹き飛ばされた。

「遅いぞシュテル!!」 

 我は苛立ちながらそう言うと、理のマテリアルであり同志のシュテルが熱線の来た方向から現れた。

「いえいえ、王ならばこの程度のモンスターを蹴散らせると思っていたのですが、流石に想定外でした」

「ふん、言いたいことは色々とあるが、まぁそれ以上に助かったぞ」

 我がそう言うと、シュテルはまるでおかしなものを見るように此方を見てきた。

「?どうした?」

「いえ、王が素直に臣下に礼を言うとは……明日は空から『ゆりかご』が降ってきそうです」

「おのれは!?」

 全く、なぜこうも我の臣下は癖が強すぎるのだ。シュテルは開けば毒しか言わない、レヴィはレヴィで頭のネジが全部抜けておるし、アリシアは普段はまともなくせにデュエルになるとほぼ相手になにもさせず封殺するし、我はあれか、家臣に恵まれない体質なのか!!おのれぇ、許さんぞ子鴉ぅ!!(当て付け)

 だいたいなぜに降ってくるのがよりにもよって『ゆりかご』だ!!あれはどちらかと言えば()()()()()のではなく()()()()()だろうが!!

「……一人で何をやってるのかはしりませんが、どうするのです?私の砲撃がそこまで効いてない以上、このままではジリ貧なのですが」

「(分かったうえで無視するかこやつは……!!)……そうは言うが、はっきり言って我ら二人ではどうこうできる代物ではないからの……」

 事実、シュテルによって吹っ飛ばされた筈のドラゴンは、既に復活してる状況ではどうしようもない。

「少なくとも、もう少し消耗させないことには……ん?」

 どうしようかと回りを空から見ると、ちょうどいい物を見つけて笑みを浮かべた。

「シュテル、ここは一時撤退するとしよう。どうやら最適な人間が現れよったからな」

「?……あぁ、そういうことでしたか。了解です」

 シュテルも理解したようで、適当に弾幕を使い煙幕をたてると、我らはあの小僧の近くに倒れてる塵芥を拾って、共に飛行魔法で一気にフィールドを離脱する。

(さて、あとはどう回収するかの……)

 

 

 

 

 闇遊矢視点

 

「くそ!!逃げられたか……」

 俺はモンスターを戻して苛立ちながら地面を蹴りつける。

 力を手に入れられると思ったのに、目の前でそれを持っていかれ、尚且つ邪魔された。これほど不快なものはあるだろうか。

「……まぁ良い、喰い足りないが、次の奴を喰らえば……」

「遊矢!!」

 と、その時聞こえてきたのは、昔からの友人にして、俺が倒さねばならない一人。

「……柚子」

「遊矢、お願いだからもとに戻って!!あの頃みたいな、いつもの遊矢に戻って!!」

「戻る……か……」

 その何にも考えていない言葉こそが、俺をここまでイラつかせるんだ。

「ふざけるな柚子……誰もが皆、昔と変わらない訳がないんだよ!!」

「遊矢……なら、私とデュエルしなさい!!私のデュエルで、貴方を元に戻してみせる!!」

「デュエル……ちっ、仕方ねぇ」

 俺は仕方なく、デュエルディスクを展開する。

 

「「デュエル!!」」

 

闇遊矢 LIFE4000

柚子 LIFE4000

 

「先行は私よ!!私は魔法カード『独奏の第1楽章』を発動!!この効果で、私はデッキから『幻奏』と名のつく、レベル4以下のモンスターを特殊召喚する。私は『幻奏の音女アリア』を特殊召喚!!」

 

『幻奏の音女アリア』 ☆4 A 1600

 

「さらに私は魔法カード『同胞の絆』を発動!!ライフを2000支払い、私はデッキから『幻奏の音女アリア』お同じレベル、種族の別名モンスターを2体特殊召喚する!!来て、『幻奏の音女タムタム』、『幻奏の音女セレナ』!!」

 

柚子 LIFE 4000 → 2000

 

『幻奏の音女タムタム』 ☆4 D 2000

『幻奏の音女セレナ』 ☆4 A 400

 

「『タムタム』が特殊召喚に成功したとき、デッキから『融合』を手札に加える。私はこの効果で、融合として扱う『置換融合』を手札に加える!!」

 

「ち、かなり回るな……」

 

 元々、柚子の『幻奏』デッキは、上手く運べばワンショットキルさえ狙える高速展開デッキ。一回戦で『融合』を使ってるところからしても、かなり厄介な代物だ。

 

「まだよ!!『セレナ』が特殊召喚に成功したとき、このターン私は通常召喚とは別に、『幻奏』モンスターを召喚できる!!さらに天使族モンスターのアドバンス召喚の際、二体分のリリース素材になる!!来て、『幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト』!!」

 

『幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト』 ☆8 A 2600

 

「『プロディジー・モーツァルト』の効果発動!!手札から天使族・光属性モンスターを特殊召喚できる!!私はこの効果で『アテナ』を特殊召喚!!」

 

「ち、『幻奏アテナ』か!!」

 

『アテナ』 ☆7 A 2600

 

「『アテナ』の効果発動!!『プロディジー・モーツァルト』をリリースして、再び『プロディジー・モーツァルト』を墓地から特殊召喚!!そして遊矢、あなたに600ポイントのダメージよ!!」

 

闇遊矢 4000 → 3400

 

「ち!!味な真似を!!」

 

「そして『プロディジー・モーツァルト』の効果を再び発動!!手札の『幻奏の音女エレジー』を特殊召喚!!さらに『アテナ』の効果!!」

 

闇遊矢 LIFE 3400 → 2800

 

『幻奏の音女エレジー』 ☆5 A 2000

 

「私はそして魔法カード『置換融合』を発動!!私は『幻奏の音女エレジー』と『幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト』を融合!!響け歌声!!流れよ旋律!!タクトの導きにより力重ねよ!!融合召喚!!今こそ舞台へ!!『幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト』!!」

 

『幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト』 ☆6 A 2400

 

闇遊矢 LIFE 2800 → 2200

 

「私はさらに魔法カード『一時休戦』を発動し、互いに一枚ドローして、互いに受けるダメージを遊矢のエンドフェイズまで無効にする。私はカードを一枚伏せてターンエンド」

 

柚子 手札0枚 LIFE2000

フィールド

『幻奏の音女アリア』

『幻奏の音女タムタム』

『幻奏の音姫マインスタイン・シューベルト』

『アテナ』

伏せカード一枚

 

「俺のターン!!」

 

 ドローカードを確認し、フィールドを確認するが、はっきり言って状況は最悪だった。

 

「(特殊召喚された『アリア』の効果で『アテナ』以外は戦闘破壊できないうえに、破壊してもダメージは『一時休戦』の効果で無効になる……だったら)……俺は手札のスケール8『竜穴の魔術師』と、スケール4『慧眼の魔術師』をペンデュラムスケールにセッティング!!」

 

『竜穴の魔術師』 ◆8

『慧眼の魔術師』 ◆4

 

「『慧眼の魔術師』のペンデュラム効果!!もう片方のペンデュラムゾーンに『魔術師』または『EM』がセッティングされてるとき、このカードを破壊してデッキから『慧眼の魔術師』以外の『魔術師』Pモンスターをセッティングする!!俺はデッキからスケール1『竜脈の魔術師』をセッティング!!」

 

『竜脈の魔術師』 ◆1

 

「さらに『竜脈の魔術師』のペンデュラム効果!!手札の『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』を墓地へ捨て、『アテナ』を破壊!!」

 

「う!!」

 

「そして『竜脈の魔術師』のペンデュラム効果!!手札の『EM シルバー・クロー』を捨て、その伏せカードを破壊!!」

 

 破壊されたカードは『光の召集』……どうやら『アテナ』の回収のために入れていたようだな。

 

「そして俺は魔法カード『金満な壺』を発動!!墓地の『シルバー・クロー』、『ペルソナ・ドラゴン』、そしてエクストラデッキの『慧眼の魔術師』をデッキへ戻して、二枚ドロー!!……俺は今引いた『EM ドクロバット・ジョーカー』を召喚!!」

 

『EM ドクロバット・ジョーカー』 ☆4 A 1800

 

「『ドクロバット・ジョーカー』の効果で、俺はデッキから『EM ペンデュラム・マジシャン』を手札に加える!!」

 

「このパターンはまさか!!」

 

「そして俺は魔法カード『一時休戦』を発動し、互いに一枚ドローする」

 

 俺の行動が意外だったのか、なぜか柚子はずっこけていた。

 

「ま、まさか『一時休戦』を引いてたなんて……」

 

「(ほしいカードが手札に無いからな)……俺は今引いた永続魔法『補給部隊』を発動!!そしてスケール1と8でペンデュラム召喚!!」

 

『EM ペンデュラム・マジシャン』 ☆4 A 1500

『オッドアイズ・ドラゴン』 ☆7 A 2500

『オッドアイズ・P・ドラゴン』 ☆7 A 2500

 

「『ペンデュラム・マジシャン』の効果で、このカードと『オッドアイズ・ドラゴン』を破壊して、デッキから『EM オッドアイズ・ライトフェニックス』と『EM オッドアイズ・ユニコーン』を手札に加える。さらに『補給部隊』の効果で一枚ドロー!!」

 

「(あれ?……なんでペンデュラムモンスターじゃない『オッドアイズ・ドラゴン』を破壊したの……?プレイングミスかしら?)」

 

「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンド」

 

闇遊矢 手札二枚 LIFE2200

フィールド

『オッドアイズ・P・ドラゴン』

『EM ドクロバット・ジョーカー』

『竜脈の魔術師』 ◆1

『竜穴の魔術師』 ◆8

『補給部隊』 永続魔法

伏せカード一枚

 

「私のターン!!」

 

「この瞬間、速攻魔法『手札断札』を発動!!互いに手札を二枚捨てて、デッキから二枚ドロー!!」

 

「う(『オネスト』と『死者蘇生』が……)……私はカードを一枚伏せて、ターンエンド」

 

柚子 手札一枚 LIFE2000

フィールド

『幻奏の音女アリア』

『幻奏の音女タムタム』

『幻奏の音姫マインスタイン・シューベルト』

伏せカード一枚

 

「遊矢、どうしてそこまで……」

 

「煩い!!柚子には関係ない!!俺は……強くならなくちゃ、誰も認めてくれないんだ!!」

 

「そんなことないわ!!権現坂も私も、遊矢が強いって知ってるのに!!」

 

「だからこそだ!!」

 

 二人は俺の事を認めてくれていた。いや、二人だけだった、認めてくれたのは。デュエルから逃げ出した最低な人間の息子、それだけで俺は弱者のレッテルを張られた。

 

 当然、俺は毎日のように苛められた。暴力や陰口、はたまたカードを奪われ、俺の心はズタボロになっていった。

 

 そしてある日、俺は聞いてしまったのだ。クラスメイトが俺だけではない、一緒にいた権現坂や柚子の事さえバカにしていることを。

 

 俺だけなら耐えられた。けど、俺の事を気遣ってくれた二人を悪く言うことだけは許せなかった。けど、俺はその事を止めることはできなかった。

 

 だが今は違う。昔のように力が無いわけじゃない。寧ろあの頃より強くなった。だからこそ、二人を悪く言う連中や、俺の父さんを侮辱する奴等に仕返ししてやると決めたんだ。

 

 それでも俺の前に立つというのなら、例え柚子であろうと倒して突き進む。そう誓ったんだ!!

 

「俺のターン……いや、ファイナルターン!!」

 

「な!!」

 

「俺は設置済みのペンデュラムスケールでペンデュラム召喚!!現れろ、俺のモンスターたち!!」

 

『EM ペンデュラム・マジシャン』 ☆4 A 1500

『EM チアモール』 ☆2 

 

「『ペンデュラム・マジシャン』の効果!!このカードを破壊して、デッキから『DTEM ヤシャドー』を手札に加える!!さらに『補給部隊』の効果でドロー!!」

 

「だ、ダークチューナー!!なに、そのモンスターは!!」

 

「俺は、『DTEM ヤシャドー』を通常召喚!!」

 

『DTEM ヤシャドー』 ☆2 A 0

 

 召喚して現れた鬼の面を着けた影のようなモンスターは、まるでうねうねとするように動き回る。

 

「『ヤシャドー』の効果発動!!フィールドのモンスターを一体を墓地へ送り、このモンスターのレベルは墓地へ送ったモンスターのレベル分アップする。俺は『オッドアイズ・P・ドラゴン』を墓地へ!!」

 

『ヤシャドー』 ☆2 → 9

 

「俺はレベル2『EM チアモール』に、レベル9『DTEM ヤシャドー』を、()()()()()()()()()()!!」

 

「マ、マイナス!!」

 

 俺の言葉に合わせるように、『ヤシャドー』は『チアモール』を包み込む。途端、『チアモール』のもがき苦しむ声が聞こえ、やがて無へと帰していく。

 

「深淵の淵より、暴虐尽くす双眼の竜、今、我が憎しみの鼓動と共に姿を現せ!!ダークシンクロ召喚!!現れろ、レベル-7!!」

 

 現れ出たのは、正しく憎しみの炎の翼を携えた黒きドラゴン。その両目は黒と紫に塗られ、全身が傷だらけの惨たらしい姿をしていた。

 

「『オッドアイズ・ディスペア・ドラゴン』!!」

 

『オッドアイズ・ディスペア・ドラゴン』 ☆-7 A 2500

 

「な、なに、そのドラゴンは!!」

 

「これが……俺の憎しみを具現化したドラゴンだ!!『ディスペア・ドラゴン』の効果発動!!自分は手札一枚とデッキトップ三枚を除外し、種族を一つ選ぶ。そして相手のデッキを五枚オープンする。その中に選択した種族が入ってていれば、その種族のモンスターをフィールド、墓地、デッキから全て除外する!!」

 

「な!!『デッキ破壊ウィルス』みたいな効果を!!」

 

「あんなものより充分に強いさ!!俺が選ぶのは、当然『天使族』!!柚子のデッキは、全て『天使族』でカテゴライズされてるんだからな!!」

 

「く……」

 

 柚子は悔しそうにデッキトップ五枚を確認し、こちらにも見せる。『神の居城―ヴァルハラ―』、『トランスターン』、『リビングデッドの呼び声』、『天界の宝札』、そして、

 

「『幻奏の音女ソロ』……天使族モンスターのため、デッキ、フィールド、墓地から全ての天使族を除外!!」

 

 フィールドの天使達は、影に呑まれもがき、助けを乞い、そして俺のモンスターの名前通り、()()()()()()()()()()()()

 

「そんね……私の……モンスター達が……」

 

「バトルだ!!『ディスペア・ドラゴン』で、柚子へダイレクトアタック!!絶望のグローバースト!!」

 

「キャァァァァァァ!!」

 

柚子 LIFE 2000 → -500




オリカ紹介

『DTEM ヤシャドー』
☆2/戦士族/闇属性/A 0/D 0
このカードはダークシンクロモンスター以外の特殊召喚の素材にできない。
フィールドのモンスターをリリースし、このモンスターのレベルをリリースしたモンスターのレベル分アップする


『オッドアイズ・ディスペア・ドラゴン』
☆-7/ドラゴン族/闇属性/A 2500/D 2000
チューナー以外のモンスター-『DT』モンスター
①このカードはダークシンクロ召喚以外で特殊召喚できない。
②このカードがフィールドにする限り1度、手札一枚とデッキからカードを三枚除外し、種族を一つ選択する。その後相手プレイヤーのデッキを五枚オープンし、その中に選択した種族のモンスターが存在したとき、相手プレイヤーのフィールド、墓地、デッキから選択した種族のモンスター全てを除外する。その後、オープンして残ったカードはデッキへ戻しシャッフルする。
③②の効果で選択した種族のモンスターが存在しなかった時、相手プレイヤーはデッキからカードを二枚ドローする
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