問題児たちと光暗の翼が異世界から来るそうですよ? 作:鴉紋to零
「で、呼び出されたはいいけど何で誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とか言うものを説明する人間が現れるもんじゃねえのか?」
十六夜は苛立たしく
「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」
久遠さんは少し不機嫌そうに
「…………………。この状況に落ち着きすぎているのもどうかと思うけど」
春日部さんは無関心に言った
「同感だ」
唐突に十六夜がため息をついたのち、呟いた
「仕方がねえな。こうなったらそこに隠れている奴にでも聞くか?」
「なんだ、貴方も気づいてたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?光輝とやるとき以外は」
十六夜が少し悔しそうに言う
僕は躊躇いなくありのままの真実を伝えた
「僕の見える距離を想定してなかったのが敗因だね」
「見えない場所でも勘で当ててくるだろ、お前は」
「まあ、そうかな」
十六夜は、もう一度大きくため息を話を別の人に振った
「そっちの猫を抱いている奴も気づいていたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でも分かる」
「…………へえ?面白いなお前」
十六夜は笑みを浮かべ、否、笑みを顔に張り付けて笑う
目は魂の窓と言う言葉がよく分かる、十六夜は笑みこそ浮かべていたが、目は笑っていなかった
冷ややかな視線を一点に向けているのは女性陣も同じのようだ
僕を除く三人の冷ややかな視線を受けた本人は降参と言わんばかりに手を挙げて茂みから出てきた
「や、やだなあ。御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?
ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。
そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「………」
「あっは、取りつくシマもないですね♪というより、最後の方、無視しないでください!」
それは無理な話だ。好き好んで値踏みをされたがる物が何処にいるのだ
流石にこれを直接伝えるわけにもいかないので、少し言葉をオブラートにした
「そういう風に見るのを止めてくれれば無視はしないでおこう」
黒ウサギは一瞬笑顔をひきつらせ、言葉を発しようとした、その時
「えい」
「フギャ!」
いつの間にか黒ウサギの隣に移動していた春日部さんが、黒ウサギのウサ耳を引っ張っていた
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでは黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」
「好奇心の成せる技」
「自由にも程があります!」
黒ウサギは春日部さんの魔の手から逃亡、しかし、すぐそこには新たな脅威が潜んでいた
「へえ?このウサ耳って本物なのか?」
「……………。じゃあ私も」
十六夜が右ウサ耳を、久遠さんが左ウサ耳を引っ張る
その時、黒ウサギがこちらを全力で見つめてきた
その眼は助けてと言っていた
このまま放っておいてもよいのだが、少し後味が悪い
だから僕は一言注意した、微量な笑み付きで
「十六夜、久遠さん。少しおいたが過ぎるよ?」
この言葉に十六夜は、冷や汗をダラダラと滴ながら黒ウサギの耳を放した
「お、お嬢様。そろそろ止めにしようぜ?」
さすが十六夜だ。よくわかっている
「大丈夫よ、これくらい」
久遠さんのその言葉を聞いた僕は、行動を開始した
僕は思い描く
一つは洋弓
もう一つは体の毛穴さえ通るほど細く、光に等しいほどに実態を持たない矢
「なら、お仕置きだね♪」
僕は心なしか弾んだ声で死刑宣告をした