教会の前に座り込む顔を赤くした2人の男女、一人は不良と思われる赤い髪をした中学の制服を着た男子、もう1人はデートの為に気合を入れました! と言わんばかりの私服を着ている女子、傍から見ればデート中の2人が2人きりになるために誰もいない教会へと足を運び言葉を交わせず、唯々、この時間が愛おしいとばかりの雰囲気だろう。
例え2人がまだ付き合ってすらいないという事を除けば。
さて、衛宮士郎が織斑千冬を連れて来てから、どれほど立っただろうか、衛宮士郎は少し横にいる織斑千冬を見る。
「(綺麗だ)」
素直にそう言える。何時も中学の制服着ている所しか見た事が無いため、私服姿はより新鮮に見える、そして学校では凛としており、孤高の存在と思われているのに今はなぜか可愛く咲く花のようである。
衛宮士郎は学校と今の激しいギャップに顔をさらに赤らめ、顔を反らす。
一方織斑千冬は先ほどの衛宮士郎の言葉が頭の中にぐるぐると回っていた。
先ほどの質問から、「大切なモノを取っただけだ」という答え、それはつい自惚れしてしまう妄想に捕らわれてしまう、織斑千冬はほんの少し、達人級でなければわからない程の視線を衛宮士郎に向ける、と
「(目が合った!?)」
なぜか目が合った。そして超越した視力は衛宮士郎の顔が赤くなるのを見届け、反らされた。
衛宮士郎が自分の事を見て、顔を赤くした。そして反らされたという現実はまるで少女漫画のようだな、と考える。
すると、ふと気が付く。
「(そうなると、私と衛宮が……ッ!?)」
織斑千冬は自分でも冷めていると知っている。しかし実は彼女の部屋にあるタンスの服の下の隠れている少女漫画があるという事は誰にも知られてはいけない秘密なのだ。
こんな自分だけど何時か、好きになってくれる人が! と少し夢を見ている乙女な部分があるのだ。
と言っても、今回の事で秘密裏に漫画は全て売り払い、彼女の部屋には木刀、家具、机、模擬刀、ベッド、20キロダンベル×2、本棚、バーンマシン、クーラー、パワーウエイトベスト10キロ、電気ストーブという当たり前の部屋しか無くなった。
そのことを思い出し、織斑千冬は落ち込んだ。やはり自分の事を好きになって貰う事など出来ないなと考えてしまった。
「なぁ、織斑」
「ナッなんだ」
「明日、家に来てくれないか?」
「ふぇ!!?」
お誘いがあった。なぜか行き成り異性の家に行くという織斑千冬にとっては高レベル過ぎる言葉だった。例えるのならばドラ○エⅢの女勇者オリムラチフユが光の玉無しで魔王ゾ○マならぬ、魔王(?)シーロウへ戦うようなモノだろう。
倒せないことはないが難しい。行きたいが恥ずかしい
「ダメか?」
「い、いいいや。大丈夫だ、問題ない」
「そうか、じゃあ今日は帰ろう。送っていくよ織斑」
「い、いいいや大丈夫、大丈夫だ。問題ない」
「なにがさ。もう暗くなっているし、女の子を一人で歩くのはマズイだろ?」
「お、おおおお女の子!!?」
衛宮士郎の的確な言葉にどんどんと織斑千冬のHPは削られていく。それと同時に心臓がバックバクと激しく動き、顔は真っ赤だ。
「? 織斑、もしかして熱あるんじゃないか?」
「いや無い! 夕日のせいだ!」
「そうか?」
織斑千冬の顔は衛宮士郎が見る限り真っ赤で、とても夕日のせいとは思えないし、そもそも夕日自体すでに沈んでいる。心配になった衛宮士郎はどうするかと考え、
そっと、織斑千冬に近づく、そしてゆっくりと織斑千冬の額に自分の額をくっつけて、熱を測った。
ちなみに、急に衛宮士郎がおでこぴったんこしたおかげで、目をつぶる衛宮士郎の顔がよく見えた。あと少しで唇がくっつきそうな位近い衛宮士郎に織斑千冬の頭の中ではすでにショート寸前だった。
「ムッ……熱は少しあるな、織斑、早く帰ろう」
「ふぁ、ファイ……」
衛宮士郎は織斑千冬をなぜか横抱き(通称お姫様抱っこ)され、新都の街を歩いた。それはもうサラリーマン、パパラッチ、アルバイター、フリーター、OL、パパラッチに見られ、激写される中織斑千冬は既に横抱きされた時点でショートし
めのまえが まっしろ に なっていた。
思いがけない事を言われてみたい言葉、されたい行動を連続でされた織斑千冬はショートする頭の中で疑問が1つだけ浮かんでいた。
「衛宮、なんでお前は私を助けるんだ?」
言葉にすると現状は理解してはいないが心の中は落ち着きを取り戻していく。織斑千冬にとって衛宮士郎は周りの同期から『お手伝いさん』やら『シェフエミヤ』やら『スパナ』などしか思いつかず、衛宮士郎自身の事など知らなかった。
だが、あの日に涙を見られたときからなぜか織斑千冬の頭には衛宮士郎の事を思い出すようになった。学校でもふと気が付けば衛宮士郎を見ることが多いと思う。
しかし、衛宮士郎はどう思っているのか、先ほどの質問の訳は? 堕ちようとする私を何故助けたのか。疑問がどんどんと沸いてくる。
「俺は、俺の夢は『正義の味方』になることだ」
「正義の、味方?」
「ああ、皆を助け、笑顔になる存在に俺はなりたい」
「だから、私を助けたと?」
織斑千冬の心がすっと冷めていく。
夢の為に私を助けたのか、それだけなのだなと気が付いたのだ
「俺はさ、『正義の味方』になりたい。けれどそのために犠牲になる人を無くしたい、誰かが犠牲になるくらいなら、俺がその犠牲となりたい。そう考えている」
「それは……」
危ない思考だ。自己犠牲してでも他の誰かを助けたいと考える衛宮士郎に織斑千冬は怖れを抱く、それと同時にわかった。
衛宮士郎という存在はとても純粋だったのだろう、しかし水に墨汁を入れる様に、透明だった心は『何か』によって染められているのだとわかる。その『何か』は分からないが、今の衛宮士郎は危険すぎる。
織斑千冬はぎゅっと、自分の胸に手を当て、目をつぶる。
それはまるで、何かを誓う様に……
居候編、一応中間?位だと思います。
なぜかどんどんともうs、げふんげふん。
んん、アイディアが浮かび長くなっています。
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