デスシティのとある街角、そこにあたしたちはやってきました。先輩の先導でやってきたけどここどこかな?
「いらっしゃいませ」
「あ 二名の禁煙席で」
「かしこまりました」
ウェイトレスさんに案内されて席へと座る。うわぁ、お姫様みたいな女の子だ。でもなんか見覚えがある気が……?
「あの、先輩 ここって?」
「ああ、死武専の人がよく利用するカフェなんだ」
「そうなんですか……」
ここに来た理由はちゃんとあったんだ。それにしてもコーヒーのいい匂いがするなぁ。ここのお店はかなりいい豆使ってるのかな?
お冷を飲みながら先輩がいきなり聞いてきた。
「そういえば、ことりちゃんって今、女子寮?」
「え、女子寮ってあったんですか?」
「そっからスタートなの?!」
え、何で驚かれるの?!
「今、アパートで独り暮らししてて」
「はぁー、一人暮らしの人とか初めて聞いたよ」
普通は女の子ひとりなら女子寮なのにと先輩は続ける。うう、珍しいのかなぁ?
「そういう先輩はどうなんですか?」
「友人たちと三人暮らしだよ。僕以外の二人は武器と職人でコンビだけどね」
「そうなんですか。武器と職人って一緒に暮らすものなんですか?」
その辺は聞いてみたいなぁ。
「まあ、普通は……かな? 暗黙の了解化はさておきまして。ほら、いざって時に手元に武器なくちゃ戦えないじゃないか」
「それは確かにそうですね」
確かにそれは正論ですよね。先輩はさらに続けた。
「まあ、職人についてはゆくゆくはEATに行くんだろうし、それなりの戦闘技術はあるから気にならないとか? 僕は武器だからその辺、わからなくてさ」
「うーん、あたしは別に職人になりたい! って感じの意思があってここに来たわけじゃないからどうにも」
ここに来たのだって偶然だし、ある意味死武専に来た理由は『特技を生かしたい』ってだけだし。
「へぇ、職人にもいろいろいるんだね。僕の知ってる職人って基本的に職人であることに誇りのある人ばっかりだからさ」
先輩は苦笑いした。その顔を見てなんだか自分の事を話してもいいっていう気してきた。
「あたしはそういう理由がまだないんですよね。別にEATの人たちみたいに職人として功績を残したいわけじゃないし……」
「なんか初めて見るタイプだね。ま、正直そのくらいの心構えの人のほうが僕の職人らしいけど」
え、なんで?
「ら、らしいってなんですか?! 先輩はその、気にしないんですか? EATのクラスに行けないのとか」
「え、なんで気にする必要があるの? 僕、別に武器として大成したいわけでもなんでもないからさ」
「そ、そうなんですか」
「おまたせしました。ご注文のアップルパイとアイスティーのセットとショートケーキとアイスコーヒーのセットです」
あ、頼んでたのが来たみたい。今度のウェイトレスさんは黒髪をツインテールにした子だ。やっぱりなんか見覚えがある気が……? それに日本人かな?
コーヒーセットが先輩の方に向けられた途端、先輩はすかさず言った。
「ありがと、コーヒーセットは彼女のだから」
「すみません」
先輩は嬉しそうにティーカップに口を付ける。あれ?
「もしかして先輩コーヒー飲めないんですか」
「むしろみんななんで飲めるの?」
「お子様味覚?」
見た目だけじゃないのか! そういえば先輩って言動とかも結構子供っぽいし。呟いたことが聞こえてたみたいで先輩は不機嫌そうになる。あ
「それで結構、身長についてはもう諦めたし」
「そ、そうなんですか」
地雷だったのかなぁ?
しばらく先輩とお茶を楽しんでいると、
「あれ、アキヒサ?」
後ろから女の子の声がした。先輩は嬉しそうにその声の人に笑いかける。
「あれ、マカちゃん? めずらしいね。ソウル君は?」
「えっと、先輩 誰ですか」
薄いベージュみたいな色の髪をツインテールにした学生服姿の女の子だ。ツインテール流行ってるのかな?
「アキヒサが誰かと一緒にいるとか珍しい」
先輩に誰ですかという感じ視線を向けたら先輩は慌てて紹介を始めた。
「あー、えっと、こちら同期のEATクラスのマカ=アルバーン、魔鎌職人、今、確か八十個目くらいだっけ?」
ね? と先輩が笑いかけたらマカ先輩は呆れたような表情をした。え? 何で? と言うより何の個数?
「本当になんでアキヒサはNOTにいるのか不思議だよね。うん、正解 アキヒサ、この子は?」
「この子は僕の職人の宮野ことりちゃん、今期の新入生だよ」
マカ先輩の表情がいきなり変わった。凄い驚いてる?!
「職人?! 『職人いらず』とか『職人泣かせの武器』とか言われたアキヒサに職人?!」
「どうとでも言うがいいさ、この子が僕の職人なのは事実だしー」
ずずーとアイスティーをすする先輩、行儀悪いですよ? それを注意するより先にマカ先輩に肩をがしっと掴まれた。
「ほんっとうの本当に職人なの?」
「あ、はい!」
あたしがそう言ったらマカ先輩の顔が凄くうれしそうになった。
「うわぁ、よかったね。アキヒサ、今度みんなでお祝いしよう」
「僕に職人がいないのって、みんなに職人見つかったらお祝いされるレベルだったの?!」
先輩も驚いてる?! あたしとしてもびっくりですけどね?!
「どんだけ有名だったと思ってるの? それこそ死武専で伝説と化してるよ」
「え……?」
先輩が呆然とした。で、伝説って……え?
「やっぱりアキヒサ知らなかったんだ」
「ちょっと魂の波長が特殊だからってそんな大げさな」
「うん、でもここまで職人見つからなかったんだからしょうがないよ」
「あ、あの……本当にあたしが職人なんかでよかったんですか?」
先輩は凄いってことだけはよくわかったんだけど、でも……
「いや、僕 普通だよ? そりゃまあ特殊かもしれないけどさ。まったく1000人とやって波長が合わなかったくらい別にいいじゃないか。たった一人合った職人は別の武器の職人だったし」
「せ、千人……」
そんなに合わなかったんだ。あたしなんか6人かそこらでひーこら言ってたのに先輩は1000人、ますますあたしが職人でよかったのかと。
「うん、まあこんなやつだけど仲良くしてよ」
マカ先輩があたしに笑いかける。うん、この人もいい人だね! そこに今度はウェイターさんがやってきた。黒髪に黒眼鏡、かっこいい人だなぁ。でもやっぱり見覚えがある気が……
「ご注文の品お持ちしました」
「あれ?」
「あ、ごめん勝手に頼んだ。嫌いじゃないでしょ。ここのカップケーキ」
「う」
マカ先輩が詰まった。先輩何時の間に頼んでたんですか?
「奢りだけど」
「いただきます」
「召し上がれ」
それからしばらくマカ先輩も交えて雑談してから家路につく。先輩が心配だからっていうことで送ってくれることになった。
「それで先輩、なんで寮暮らしか聞いたんですか?」
「あー、寮暮らしなら二人暮らし提案しようと思ったんだけど」
「え?」
いきなり何で?
「ほら、僕の同居人が武器と職人のコンビだって話はしたでしょ。だから居場所がなくって……」
「そういえばそんなこと言ってましたよね」
あー、先輩と二人暮らしかぁ。楽しそうではあるんだけどなぁ。でも、あの家じゃなぁ。
「いや、ことりちゃんが迷惑なら断ってくれて構わないよ?」
「いえ、構いませんよ。ただ……家が凄いんですけどね」
「??」
とりあえずあたしの一人暮らし先に来てもらってから考えてもらおう!
忘れられていたであろう完全誰得話、超久しぶりの更新です。
いや、NOT! 読んでいたら久々にネタが浮かびました。完全に亀より遅い更新ですが読んでいただけたら幸いです。
なお、この話には鬼神騒動は一切登場しません。ただひたすらに『殺伐物騒? だけどウキウキライフ!』を合言葉に話を進めていきます。多分話はどちらもアニメ基準?の予定です。
ところでですけど活動報告に書かれた頭翅さん、エスパーか何かですか?