デスシティのとある住宅街のアパートにあたしの家がある。先輩をそこへ案内した。まあ、正しくは先輩に住所を言って逆に案内してもらったんだけど。迷子になりかかるとは思わなかったなぁ。
「じゃーん、ここがあたしの家です」
先輩がアパートを眺めてからあたしの方を見て言った。その顔はちょっとうれしそうだ。なんでだろう?
「へぇ、結構いい場所だね。学園にも近めだし」
「でしょう。ただ一つだけ問題があって……」
本当にこれさえなければ最高だったんだけどなぁ。そんなことを考えながら鍵を探す。あ、あった。
「問題?」
「えっと、中に入ってからお話ししますね」
「う、うん……」
とりあえず先輩を案内して家の中へと入った。えっと、お茶とかなかったかな? キッチンを探していると先輩の声がした。
「割と普通だと思うけどなぁ」
「あー、今のところはです。今のところは」
うん、本当に今のところはなんだよなぁ。そんなことを考えているといきなり爆音が響いた。あ、もうそんな時間なんだ。ちょっとだけ耳を塞ぐ、最初だけはこうしておかないと耳が痛くなっちゃうんだよなぁ。
「おわっ」
「きちゃった」
先輩がちょっと耳を押さえてからどうにか離して、音に慣れたくらいで話しかけてきた。先輩って順応能力高いんですね。
「えっと、ことりちゃん。これは?」
「えっと、このアパートかなり格安で借りれたんですよね。これと引き換えに」
本当に安かったんだよなぁ。このアパート、それで入ってみたらこれ、トラブルあるかもって言われたから覚悟してたけどこういうのになるとは思わなかったよ。しかも結構激しいヘビィメタルな感じの曲だし。時々怒鳴り声聞こえるし。
「………そっか、かなり酷いねこれは。てか、妙に見覚えのある魂だなぁこんちくしょー」
「先輩?!」
ぶつぶつ言いながら先輩は立ち上がってドアの取っ手の方に向かった。あれ?!
先輩に声をかけると先輩は笑顔で言う。笑顔がすごく怖いですよ先輩。
「上の階の人に文句言いに行こうか」
「え、いやトラブルになったら困りますし」
こんなヘビメタみたいな感じの音楽聞いているんだし、絶対にこう、なんかいかつい顔をしてる人じゃないのかな。下手にトラブルになりたくないし。そう思ってると先輩はにやっと笑っていった。ちょっとかっこいい……じゃなくって。
「大丈夫だよ。絶対にね」
「えええ?!」
先輩はそのまま上の階へと言ってしまった。あたしも慌ててついていく。すると先輩はいきなりインターホンを押した。そして、向こう側から聞き覚えのある声がする。
「はーい、どちら様ですか?」
扉から顔を覗かせたのは淡いベージュみたいな色の髪に緑の目、やっぱりマカ先輩だった。まさか、マカ先輩があのヘビメタを?
「やほー、マカちゃん」
「あれ、アキヒサ?」
マカ先輩驚いている。そうですよね、さっき別れたと思ってた先輩がいきなり家尋ねてきたんですもんね。
「さっきぶりー、それからちょっとあがらせてー」
サクッと言って先輩はすぐに中へと入っていった。ええ?! それでいいんですか? 普通来た理由とか聞かないですか。
「まあいいけど、ってことりもいたんだ」
あ、ようやくマカ先輩があたしに気が付いてくれた。マカ先輩に掛ける言葉がなくってつい本心を口に出してしまった。
「上の部屋マカ先輩だったんですか」
「上の部屋? まあいいや、あがってあがって」
マカ先輩に促されて中に入ると、先輩はソファでくつろいでいたらしい白い髪をしたなんか目つきの悪い男の子に話しかけていた。誰だろう?
「やほー、ソウル君」
「ん? アキヒサじゃねーか」
どうやら先輩の知り合いみたいだ。先輩って顔が広いっていうかなんていうか。EATの人とも知り合いだし。あれ? もしかして、この人マカ先輩の武器?
「久しぶりー、確か魂学の授業以来?」
「そうだったような。うん?」
白髪の男の子が首を傾げた。覚えてないのかな? 先輩はさっさと話題を切り替えた。
「ところでだけどさー、爆音で音楽聴くのやめてくれない? あとマカちゃんとの痴話喧嘩」
「ち、痴話喧嘩?!」
それは関係ないのでは? それはまあ、喧嘩する声とか聞こえてますけど。たまにその人降ってきますけど。
「いや、それはついででいいから爆音で聞くのやめてよ。下の階にまで響いてるよ?」
「ん、そうか?」
白髪の男の子はまた首を傾げた。やっぱり、気が付いてなかったんだ。先輩は真剣な顔でその人に告げる。
「うん、下の階に住んでるの僕の職人だからさ。それにもう少ししたら、こっちに引っ越す予定だから自分の生活環境のためにも自粛を要請したいんだけど」
「え、職人?!」
「……みんなその反応なんだ」
先輩、うん、そうですよね。1000人は本当に衝撃でしたよ。死武専の伝説かぁ、ちょっと気になるかも、七不思議みたいなものとかあったりして。そんな感じでちょっと現実逃避しているとマカ先輩が肩にポンと手を乗せた。どうかしたのかな?
「えっと、なんかごめん。ことり」
「いえ、あたしは……かなりうるさいなぁって思ってただけですから」
うん、そういうことにしておこう。そうじゃないと拗れるかもだし。あたしがそう言ったらマカ先輩はさらに頭を下げてきた。あれ?!
「ほんっとうにごめん」
「ただ、たまにあっちの先輩が窓の外落ちていくのを見るんですけど大丈夫ですか?」
いきなりマカ先輩がぴしっと固まった。あれ? マカ先輩はあたしの肩をがしっと掴んで言った。
「あ、それは大丈夫だよ。うん、大丈夫」
「そ、そうですか」
これは聞いてはいけない地雷だったみたい。マカ先輩、怖いです。
その後、あたしと先輩はマカ先輩の料理をごちそうになった。すごく美味しかった。流石二人暮らしで自炊してる人だよ。一人暮らし二週間のあたしが作るとこうならないからなぁ。料理って結構大変なんだよね。お母さんは凄い、この一週間で学んだよ。
課題に追われてたんだよこんちくしょー。
いきなり暴言で失礼します。昨日に更新する予定がこんなことになりました。謹んでお詫び申し上げます。
課題自体は普通に終わったんですよ? なのに何で頭痛に襲われるんでしょうか? そんなわけでして四話です。ソウルのヘビメタは完ぺきな妄想です。彼の場合どっちかっていうとクラシックですよね。すみません