ダンジョンに転生者達がいるのは間違っているだろうか   作:真庭猟犬

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ダンまち二次創作。時にカオス、時にギャグったりシリアスしたりします。


ダンジョンにて出会う正体不明とロキファミリア

「うっげぇ……。ここで【怪物の宴(モンスター・パーティー)】かよ」

 

 

特殊な折りたたみできる剣とボウガンを構えつつ悪態を吐く。周囲360度全てが異形の化物で埋め尽くされ、天井も壁も今いる場所の真上と真横だけしか見えていない。

 

 

「ま、いいや。どうせ鼠と共に喰う(・・)か否か、だ。【ラットスワーム】」

 

 

得物を懐にしまい、足で地面を踏むとやや大振りの鼠の群れが現れる。その目は異常な食欲と狂気に満ちている。ま、今の俺が言えた事ではないな。

 

 

「さてさて、悪食トイコウカ」

 

 

自分の体から皮膚の裂傷の音や骨が鳴る音を聞きながら発した声、そして今の俺は周囲のモンスターよりも悍ましい化物だろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひい、ふう、みい…あれだけの数でドロップアイテムが3つか。しけてるとかのレベルを通り越してるな」

 

 

大量の魔石を特殊な袋に詰めてからアイテムを数えるとたったの3つ。まあ、未開拓っぽい場所のモンスターのドロップアイテムだからそこそこ高い値段で売れるだろ。

 

 

「まずは上に『ピシッ』ん?」

 

 

どこかが罅割れる音。そして全身を襲う強烈な悪寒に何故か脳内に流れるBGM。これってまさか――

 

 

『ヤラないか?』

 

「ギャアアアアアアアア!!!??」

 

 

何か腐った女が好きなアレがモンスター化した奴が出た!? とりあえずやるべき行動は…

 

 

「逃げるんだよォ!」

 

 

全力疾走で逃走だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんとか逃げれた……。こきゅ、つら…」

 

 

広い場所で両手両膝を地に着き、安堵の息を吐こうとして吐けなかった。捕まったらロクにならないアレからの逃亡の成功による安堵と男としての恐怖が入り混じっていて一時的発狂を起こしている気分だ。

 

 

「とりあえず、ここがどこら辺か聞けるのを、お?」

 

 

なんとか呼吸を整え、歩くと仮面に付属されているレンズ越しにテントが見えた。どうやら野営のようだ。

 

 

「とりあえず、テントの外で寝るとかパシリでもいいからダンジョンから出るまで同行させてもらうよう頼むか。正直焼夷ボルトとかが足りねえし」

 

 

 

 

 

 

 

 

「って事なんだが、同行はできるか? 単独(ソロ)でトラウマに会ったらダンジョンから出られないんだが…」

 

「団長達に聞いてみます」

 

 

野営していたのは【ロキ・ファミリア】だった。場所が丘のような場所だったのでスキルを使って移動すると、外に出ていた団員がギョッとしていたが仮面を外してエンブレムを見せ、事情を話したら今の状況となった。

 

 

「あ、魔石の配分はそっちが多目でテントは入んなくても平気だから」

 

「は、はあ…」

 

 

さて、鯨油(オリジナル爆弾の材料として持ち込んでいた)で爆弾作っておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

交渉の結果、キャンプの防衛への参加を条件に野営地の端の端にテントを建てさせてもらえるのとダンジョンを出るまで同行させてもらえる事になった。矮小のファミリア所属とはいえ、レベル6だからもしもの事態に少しでも対応しやすくするためだろう。

 

 

「フィン団長以外は初めてなので自己紹介させてもらう。俺は【インドラ・ファミリア】所属、【正体不明(アンノウン)】アーマン・フェルミオン。口に出すのを本能的に拒否する存在から逃げてる内に迷った阿呆だ」

 

「何だそりゃ」

 

「あ、今の質問はなしな。思い出すだけで発狂しそうでな」

 

「え? 何それ怖いッス」

 

 

今の俺は凄い顔をしてるだろう。過度な実力主義者のベーテ(さっき疑問を投げたのもこいつ)が目を逸らしたんだもの。ロキファミリアの面々も殆どが目を見開いたり驚愕しているが、ラウルにいたってはガタブルと震えてた。

 

 

「と、とにかく今のはそっちの目的とは一切関係ないとして、やることを纏めようか」

 

「そうだね。僕たちは『冒険者依頼(クエスト)』をこなしておくために二組の少数精鋭で51階層にある『カドモス』の泉から泉水を採取する。アーマンはリヴェリアと共にキャンプの防衛を頼む」

 

「OK」

 

「パーティは一班にアイズ、ティオナ、ティオネ、レフィーヤ。二班は僕、ガレス、ベート、ラウルだ」

 

「えっ、自分もッスか!?」

 

 

フィンの決定にギョッとするラウル。原作でもロキファミリア内で名前ありのキャラ内では最弱だからな。

 

 

「そりゃ前衛と後衛に遊撃者が二組ずついるとして、俺とリヴェリアは拠点の防衛だからこの場いるいる面々でなら必然だろうが」

 

「い、言い返せない……」

 

「わっ、私じゃなくてリヴェリア様が「お前は私の跡を継ぐのだ。代わりに入れ」で、ですが……」

 

「自信の無さを自覚するのはいいが、ネガティブ思考に嵌り続けると成長の妨げになるぞ。昔の俺のようにな」

 

 

叱咤のつもりで言ったが、ロキファミリアの面々は『えっ』と言いたげにこっちを見る。あれ? 言葉ミスったか?

 

 

「アーマンにそんな時期があったの?」

 

「まあな。俺がアーマン・フェルミオンじゃなかった頃の話だがな。少し過去話としようか。この世界では荒唐無稽で戯言にも劣る異世界の話を」

 

 

語るのは俺の過去。思い出にすがり、過去の遺産にすがるしかなかった最後の純粋な人間の話。

 

 

「人々の技術によって作り出された兵器とそれを利用した戦争によって文明が滅び、絶望のエピローグだけを紡ぐ世界。海は重油と腐敗した血肉でドス黒く染まり、大地と空気は生物に悪影響をきたす薬品や物質で穢れ、太陽は稀にしか出ないせいで気温は常に低く、かつて生物だったゾンビ、人によって作りだされた生物兵器が跋扈していた。そんな世界で唯一餓死や病死以外の死と隣り合わせにならない場所で最後の人間の生き残りがいた。その生き残りは目の前で家族を、友人を、恩師を化物に殺された。そして、死にたくない一心でがむしゃらに逃げた。傷を負っても体に害を及ぼす穢れた空気によって衰弱していこうとも走る事を止めなかった。偶然死しか存在しない環境から身を守れる施設に潜り込めたが、体は内外ともに傷だらけ、生き残れたとしても食料も水もない場所で只死を待つしかなかった。日にちが経つにつれ体は痩せこけ、皮膚は治療できない故に化膿で痛みが強くなっていく。最終的に生き残りは餓死するが、死ぬ直前、ある人外に拾われ、新たな肉体と名前、力を貰って生きている。これが俺の過去だ」

 

 

長々と話して乾いた喉を潤すために薄い食塩水を飲む。周りの反応は沈黙が殆ど、僅かな数名が泣いているものだった。

 

 

「それが君の過去か」

 

「ああ。気分が沈む暗い話をして悪かった」

 

「君の過去と強さの一因を知れたのはよかったさ」

 

「それでも悪いことをしたしな。ちょっとお詫びとして俺がやっちゃった失敗談を語ろう」

 

 

本当は黒歴史物だが、雰囲気を変えるためには致し方ないと割り切って面白おかしく失敗談を話した。結果としては暗い雰囲気は晴れたが、ベートとサポーター数名が呼吸困難となったためガレスから拳骨を貰ってしまった。




アーマンがいた世界は永い後日談のネクロニカに近い世界です。
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