ゲート 魔導自衛官 彼の地にて斯く戦えり   作:庵パン

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すまんね。またサブタイのセンスなくて。
まぁ今回はおっぱいの話です。
おっぱいは父ちゃんじゃなくて子供のもんなんやで、っていう内容です。
微妙に違いますが、そんな感じです。
でもおっぱい談義は後半以降です。


第六話 おっぱいがいっぱい

サリメルとシロフの夜伽には、物音で起きてしまったリーリエが途中から参加して乱交となった。

と言っても、リーリエは心に決めた男がいるのでサリメルとのみ肌を合わせるだけだ。

実のところ、サリメルとリーリエが肌を合わせるのはアルヌスに向かう旅の最中では毎夜のことで、特に珍しいことではない。

冬が来たファルマートの夜は非常に気温が下がるので、性的な意図を持たずとも肌を合わせて体温を保持しなければならないののだ。

ちなみにシロフは大陸の大きめの町で買った抱き枕で独り寝である。寝る時は酒精を呑んでから抱き枕と粗末な掛け布団に頼って寝てるのだ。

ただ、2人の女性を連れるようになってからはサリメルをサンドイッチするようにして毎夜寝ているが。

寝てる最中に方乳を触られたり揉まれたりすることもあるサリメルだが、普段の夜が寂しい男にはそれくらいさせても良いかな、ぐらいに思っている。

ちなみに、リーリエの乳に触ろうとすると彼女は怒るのでシロフは大人しくしている。彼にとって性欲を発散させる対象はサリメルのみだ。

ともかく、なんやかんやあって乱交に発展してしまった3人だが、目が冴えて寝れなくなったしまった彼等は酒盛りを始めたのである。

日本に棲む神々にも言われているが、特地の神々も酒好きが多い。酒精に強くないサリメルも多分に漏れず酒好きなので、彼女も勿論呑む。

今のリーリエはサリメルの元でミリッタの信徒になったが、信徒としての初仕事は済ませてあるので意中にない男に純潔を奪われることはない。

ミリッタの仕事をして純潔のままというのは可笑しく感じられるが、彼女の初仕事買った相手が男でなくても良いのだ。

男でなければならないという決まりは無いので、初仕事はサリメルが買い取った。

神官が買っちゃダメという決まりも無いのである。

そんなワケで様々な抜け道を使って勧誘に成功した神官と信徒は、今現在彼女達が乗らせてもらってる荷車の主と酒盛り中である。

狭い荷車に長時間座ってるのは中々疲れるので、サリメルとリーリエは御者をしているシロフと坂を越えた先の野原で夜の酒盛りに興じるのだ。

酒は晩酌を嗜む程度のサリメルだが、二人に乗せられて結構呑んでしまった。

リーリエを見ると、この娘も結構呑んでる筈なのに平然としている。

恐らく……というか絶対に山脈で呑み慣れている。

それでも、どうにか意識を保ち続けるサリメルは衣納に穴が空いていていることに気が付いた。

そこに仕舞っていた筈のフェトランが道端をころころと転がっているのだ。

ミリエムに返す分もあるのだ。紛失したら大変である。

何処か仕舞うのに都合の良い入れ物でも無いものかと思ったら、帝都から持ってきた丁度良い入れ物があるではないか。

サリメルは購入した全てのフェトランをそこに入れ、安心してから意識を手放したのである。

 

 

*  *                            *  *

 

 

「はて、どこやったかのぅ」

サリメルが荷車の隙間という隙間を、形のよい大きめな尻を突き出しながら探していた。

「エルフの姉さん、どうしたね?」

御者のシロフとリーリエが蠢く尻を見ながら問う。

「いや、フェトランが何処にも見当たらないんじゃ」

「悪所で購入された丸薬ですか? 何処かで使われたのでは?」

「そんな筈はない。ミリエムに返す分もあったしな」

「まさか、道の何処かで落としたのでは……?」

それもサリメルは否定する。

「何処かに仕舞った筈なんじゃ。妾にとっては大事なものじゃからな」

1粒2デナリなどという、悪所の娼婦にとっては結構お高い商品だがサリメルには2足3文程度の価格である。それでもサリメルがことのほか大事に扱うのは、フェトランの効能が彼女にとって都合の良いものだからだ。

効能を一足早く知りたい方は、外伝の第二部を読んで頂きたい。本屋で売ってるGATEの外伝1でも良い。

 

帝都から火威の魂を目印にして穿門法を使えば早いのだが、そうしないのはサリメルの知識不足が原因していた。

亜神というのは昇神から1000年を経過頃に真の神である正神へと陞神するという。

特地では1000年を経過しても未だに亜神であり続ける神もいるようなのだが、見習い期間がなかったサリメルは亜神各論という教学を経験してないせいでそのことを知らない。

だから肉の身を持ち続けられる期間があと900年程度しかないと思って、穿門法で今すぐに火威の近くに行けるのに帝都からアルヌスへ向かう景色を楽しんで来た。

要は亜神であるサリメルの知識不足から発生した旅なのだが、そのサリメルの視界に停まっている馬車と、そこに群がる男達、そして馬車の中から旅立つ魂を捉えた。

「こらぁ!ヌシらなにをなっておるかァー!」

驚くのは眷主が突然叫びだしたと思ったリーリエ、そして気前の良い乗客という目で見てるシロフだ。

「どうなさったのです?」

「シロフ、急げ! 賊が馬車を襲っておる!」

眷属の問いを無視して御者に叫ぶサリメル。エルフ由来の視力は昇神しても顕在である。

彼等には見えない距離でもサリメルには見えているのだ。これを聞いて事の重大性が(ようや)く判ったシロフが馬に鞭を入れる。

本当は怖くて仕方ないのだが、戦いの経験がある魔導士が2人の居る上に内1人は神だ。

「死ぬが良い! ブルァ!」

魔導の範囲に入るとサリメルが叫び、逃げる賊の1人を爆殺する。

普段と比べれば非常に情け容赦ない。シロフはこのスケベエルフに逆らわないことを心に決めた。

金髪の女は眠りの精霊を使役して残りの賊を眠りに誘い足を止める。

なぜエルフが必(ず)殺(す)魔法でヒト種の女が精霊魔法を使うのか。興味はあるが積み荷にあった縄で賊らを縛るサリメルには妙な恐ろしさを感じて聞けなかった。

「シロフ、この縄買い取るが良いか?」

「……えっ、そりゃもう、どうぞ」

使う前に聞いて欲しかった気もするが、損するものではないからサリメルに購入してもらう。

まれに使うこともあるシロフの私物で、売り物ではないから値段など決めてないのだが、シロフは旅商人であり買う相手がいるのだ。

だから買った値段の2割増しで売ることにした。

斯くして馬車を襲っていた盗賊を一網打尽(1人爆殺したが)にしたサリメルとリーリエは、襲われていた馬車が旅装していた旅馬車であることと、その中に夫婦と見られる男女の遺体を見つけた。

夫の方はヒト種だが、妻はワーウルフの女だ。そしてその遺体が庇うように女の乳児に覆いかぶさっているのを発見した。

リーリエは乗ってる人間がいれば逃げれるように馬車を外して精霊魔法を放っていたが、そのハーフウルフの子供は眠り続けている。

両親が殺害されるという事件が起きてるのに眠っていられるとは、普通の赤ん坊より遥かに神経が太いようだ。

しかし乳児である。既に帝国とアルヌスの国境地帯に入っているが、一刻も早く子供に与える栄養を確保しなければならない。

「すまんなシロフ、ここで別れじゃ」

そう言ってサリメルはハーディの神性を得た自らの髪の束を取りだした。

「えぇっ、ここでお別れって……」

言いかける彼の目の前で、サリメルが虚空にアルヌスへの門を開いた。聞いてはいたが、シロフがその目で穿門法を見るのは初めてである。

しかしイタリカをフォルマル家に代わって何処ぞの貴族が支配しているおかげで、アルヌス・イタリカ間の治安は良くない。現にこの夫婦だって子供を残して賊に殺害されてしまったのだ。

「待ってください。俺もアルヌスまで行きますよ!」

そこで傭兵でも雇わなければ、恐ろしくてとても他の町や村へ行けたものではない。

 

 

*  *                             *  *

 

 

 

その日の火威は日頃の習慣から予定よりもかなり早く起きてしまったが、2度寝したら今度は昼過ぎに起きてしまった。

穴と棒を使わないでも妻である栗林志乃とは夜伽が出来るのだし、昨夜放っておいた詫びに今夜は抱かせてもらおうと考える。

あの爆乳は家宝だ。下の方は困ったことになっているが、上の方は歳を取っても垂れないし弛まないだろう。

小さくて爆乳なんて反則である。チートと言っても良い。

だがそんなチート妻を火威は迎えるのだ。世間は嫉妬するだろう。

いや、世の男共は是非とも嫉妬しておいてくれッ。

そんな性格の悪さを発揮することを考えつつ、火威は街の食堂で遅めの昼飯を食べていた。

「先輩、どしたンす?」

声をかけて来たのは高校の後輩である出倉だ。

火威は起きてから彼と結婚して同居するダークエルフとハイエルフの混血児であるアリメルの元を訪れ、結婚祝いと出産祝いを兼ねた1シンク金貨を渡している。

レディの話聴き代としてせしめた一部だが、特地派遣隊が日本から切り離されてしまい、本来払われるべき出倉の給料が引き出せないので現金という洒落気のない祝儀が一番助かると考えたからだ。

折角なら祝儀袋にでも入れたかったが、富田とボーゼスの結婚式の時にPXのが完売したので剥き身の金貨である。

「まぁ、ちょっとな。日本に帰ってからのことを考えて……」

「あっ!」

突然声をあげる出倉、何かと思ってみれば……

「先程はシンク金貨を有難う御座います! 先輩も御結婚されたのにこちらからは何も贈らずで……」

どうも昼飯を食いにアリメルの元に帰ったらしい。アリメルは出倉と結婚するに当たって自炊で色々な料理を作れるようになったそうだから、火威も羨ましい限りだ。

栗林も自炊は出来るが、料理のバリエーションは限られる。

「ぐぎぎ……」

「どしたンす?」

「いや、なんでもない」

ただの火威の心の声である。

考えてみれば貧乳を気にしていたアリメルもダークエルフの女性の中での話であって、出産した今ではごく一般的概念で言う巨乳だ。

出倉は見事に特地に来た最初期に話していた巨乳ダークエルフと結婚し、子供まで設けたのだ。

これは、世の男共が羨ましがって良い。

火威はまさか自分がその犠牲者第1号になるとは思わなかったが、「まぁ、そういうこともあるよね」と諦感で幕を締めた。

坂の下の忍者屋敷に帰ると栗林は筋トレしていた。暇を持て余して筋トレ以外にすることがないのである。

先日言った通りに下半身を鍛えるようなスクワットは抜かし、ダンベルを小指に吊るしている。どうやらそうして握力を鍛えてるらしい。

以前は妻が強くなることに脅威を感じていたが、もはや一撃で殺られるレベルであって色々手遅れだ。ならば子供達家族を守る為に増々精進してもらいたい。

精進のし過ぎで神になられるのは困るが。

「あ、半蔵さん。おかえりなさい」

志乃が新婚夫婦の妻らしく可愛らしく微笑んで出迎える。この笑顔を見ると、やはり妻選びの選択肢は間違っていなかったと思う。冬場に半袖で首にタオルを巻くのは非常に季節違いな気がするが、今すぐにでもこの可愛らしい妻を抱きたいと思わせてくれる。

「ただいま。志乃さん、今から上に行ってエッチしない?」

この火威半蔵、変化球は苦手である。まだ陽の高い内から妻を閨に誘うのにも一直線であった。火威はそう言いながら、筋トレで暖まっている妻の肩を抱いた。

「えっ、ま、待って。まだ汗臭いから」

栗林も年頃の女性らしく、体臭に関しては敏感である。汗をかいた状態のまま夫に抱かれるとなると恥ずかしいらしい。

「俺は気にしないが……」

「私が気にするんです!」

まぁそうですよね…と、火威は妻が濡れタオルで汗を拭くのを待つことにした。

昼間から夫婦でもって閨に篭ることに反対はないようだ。飛火野の両親はそれで3人の子を作った。

「おぉ、昼間からお熱いのぅ」

その時、嫌でも聞き覚えのある声・喋り方が聞こえる。

もしやと思い、声のした方角を見れば……

「ゲェ! サリメル!?」

案の定と言えば、案の定過ぎた。

 

 

*  *                             *  *

 

 

「昼間からセクロスとは、我が眷属も好き者よのぅ」

妙な怒気を感じた火威は素直に聞く。

「サリさん、なにか怒ったます?」

「そりゃそうじゃ。妾が幾ら迫っても抱こうとしなかったものをシノは自ら抱こうとするのじゃからな」

「夫婦なんですから不思議は何もないんですが……」

火威と栗林が氷雪山脈後の任務後に休暇を取るのはサリメルも知ってるハズ。文句を言われる所以は何もないのだ。

「というかサリメルさん、凄い早く来ましたね。ロマの森で一息付けてから来るかと思いましたが」

栗林もサリメルは何時か来るものと予想していたようだ。火威同様ここまで早く来るとは思わなかったようだが。

「シノ、恐らくヌシのためじゃ。以前にハンゾーと夜伽したろ」

これを聞いて火威は戦慄を覚える。サリメルと火威が一心同体状態なら、ナニをナニに突っ込むナニがこの女に筒抜けである。

帝都でカトリの愛人とナニをしたのもバレてるのだと思ったのだ。

「えぇ、どうやら山脈の精霊が憑りついてるんじゃないかって火威さんは言ってますけど……」

「その通りじゃろう。プロテスは人間や動物の筋肉を好んで憑り付き、強化していくからな」

「どうすれば良いでしょうか?」

「プロテスの棲む場所を離れれば自然と消えていく。完全に消えるまで60日から80日かかるが……シノの場合はそうじゃな。 ………100日以上は覚悟せなばならぬかも知れん」

栗林に種付けするのは3ヶ月以上お預けになるようだ。しかしここで火威が口を開く。

「あー、サリさん。ここに来た用件てそれだけスか?」

「そんなワケないじゃろうー」

怒りは収まったようだが、他にも用事かあるらしいことをサリメルは仄めかす。

「セクロス! ……じゃなくてこのワーウルフの仔を見てみろ」

セクロスが口癖になっているなら難儀なことである。しかしサリメルの他にリーリエが居て、彼女は懐にワーウルフのようなヒトの子のような赤ん坊を抱いている。

恐らくヒトとワーウルフの混血児だが、一目すれば非常に可愛い生き物だ。犬の仔の動物的可愛さとヒトの赤ん坊に対する保護欲が掻き立てられる。

耳はピンと立った犬耳というか狼耳で、産毛に包まれて如何にも柔らかそうだ。

「こ、この生き物は……!」

リーリエと挨拶を交わし、彼女が抱いている子供の頭を撫でて産毛に包まれた狼耳の柔らかを堪能しようと手を回した。

その時、その赤ん坊が目を覚ますなり、この世の終わりが来たような大絶叫で泣き始めたのである。

 

 

*  *                             *  *

 

 

ここ最近の火威は若干であるものの、万能感に溺れていた節がある。

妻には頭は上がらないが、日本に帰還したら南の島県知事のヅラを魔導で以て白日の下に曝すテロすら計画していたのだ。

それどころか、やりようによっては世界征服すら出来るんじゃないかと考えていたほどだ。

だが世界の指導者を目標する前に、一人の幼女によって嫌と言う程の現実を教えられた。

人間(ヒト)は見た目が9割」

この言葉を使い始めたのは銀座世界の誰だったかは判らないが、火威半蔵は余り信じたくなかった。

現に特地で龍人出身の神とエロフ出身の神に見初められ、その想いは感じつつも自分の想い人である同僚で亜神か鬼神疑惑のある女と結婚が前提の同棲を始めたのだ。

だが、考えて見れば彼女達は他の女とは好みが違うし、見た目より実力を重視する合理的なところがある。

目が覚めた乳児は両親とは違う人間しか居ないことに驚いて泣いたのかも知れないが、明らかに火威の893顔を見て泣き始めた。

ヴィジュアルの問題であることを教えられたのだ。

そんなヴィジュアルの人間が世界征服などをして、人々は支持してくれるだろうか?

いや、見た目の話しかしないに違いない。

「もう駄目だぁ…。お終いだぁ……」

「なに今更ショック受けてるんですか」

隅で小さくなる火威を見て栗林が呆れたように言う。実際、旦那が今更過ぎる現実を知ったことに呆れているのだ。

サリメルはこの子供に飲ませる乳を求め、一気にアルヌスに来たのだという。

「シノ、ちょっと母乳を飲ませてやってくれぬか」

「まだ出ませんよ!」

子供を産まないと母乳は出ないのである。

「サリさんは出ないンすか?」

以前、ロマの森のニンジャ温泉郷の宿には温泉上がりの冷たい飲み物のメニューに「直飲み」というのあるのを火威は確認している。あれは変態エロフサリメルが風呂上がりの客に授乳するサービスではないかと思うのだ。

「妾は出せんよ。今は亜神じゃぞ」

するとあれは詐欺? 日本でいう景品表示法違反である。

「直飲みじゃろ? あれは畜乳を直飲みするメニューじゃ」

「無茶苦茶危険なヤツじゃねーか!」

食中毒で温泉郷の評判を落とすこと間違い無い。だが他人の心を読んだっぽいサリメルと火威の会話なので、余人には話が分からなかった。

「ならばミューはどうじゃ? あやつなら子を産んだこともあるし、出るのではないか?」

龍人とヒトのハリョである彼女はロゼナクランツの侵攻で子供と夫を亡くし、現在坂の下の忍者屋敷で同居している。

元はマリエスでメイドをやっていた彼女だが、今は忍者ハウスのお手伝いさん的な立場であり、またアルヌスの保育所の保母さんとして働いているのだ。

「あぁ、なら聞いてきます」

犬系亜人やワーウルフは葱の類を食べても中毒症状を起こさないのだから栄養価の問題はないのだろう。だがミューが子供を亡くした時、子供は児童と呼べる歳だったそうだから未だに母乳が出るのかは疑問だ。

実際、保育所でミューに聞いてみたところ「まだ出るか……」との回答を得た。それでも少しは出るらしく、保育所の屋内で彼女はハーフワーウルフの女児に授乳させることが出来たのである。

 

 

*  *                             *  *

 

 

以前アルヌスにワーウルフの妻がいる商人が出入りしていたことがある。木彫りの聖下像がPXに並んだのはその頃だ。

火威はアルヌスの国境地帯で襲われ殺害されたのはその夫婦かと思ったが、妻の毛の色は黒っぽかった。

だがリーリエが抱いていたハーフウルフの毛の色はハスキー犬のように黒と白が混ざっている。結局買えなかった聖下像だが、特地産の像を日本人に売るのが彼等の教唆あってのことだとすると他人だと思いたい。

やはり何らかの関わりがある人間が犠牲になると寝覚め悪いものである。

サリメルに捕縛された賊共はアルヌスの治安維持と神殿関係の仕事をしてるロゥリィに引き渡してから火威は坂の下に帰る。

先程、火威が抱くと直ぐに泣いてしまう混血ワーウルフの子は、妻である栗林志乃の豊満な胸に抱かれている。

母乳は出ないが、やはりおっぱいがある所が落ち着くらしい。男なら解る。

それはさて置きおっぱいの話だが、やはりミューは懸念通り余り母乳は出せなかった。

「どうします?」

子供は多く相応の経産婦も住んでるアルヌスだが、多くの子供はそれなりに成長しているので母親から母乳を貰うのは難しい。

また、女性も多く住んでいるのだが乳児や幼児が居る女性は多くない。

「乳児を育ててる女子はおらんか?」

サリメルの質問に、同僚の嫁さんが火威と栗林の脳理を過る。ただ火威が思うに、志乃から頭を下げようとは思わないだうなぁ……と、30cmほど下に頭がある妻を見た。

アレは明らかに志乃の横恋慕が原因だ。とはいえ何時かはこの遺恨を清算する必要があると考える。ちなみに火威は、ロゼナクランツの一件を片付けて帰還したその日の内に、同僚である富田から深く感謝されている。

「あぁ、そうだ。今は仕事中だと思うんですけど、ちょっと心当たりがありまして……」

おくるみで巻いた乳児の身体を冷やさないように注意しながら、門を作る為に確保された山頂付近にある自衛隊の作業区画に向かう。

「どこに向かうんですか?」

栗林の質問も最もである。栗林のようなWACもいるが、特地派遣隊…もとより自衛隊は基本的に男所帯だ。

すると火威はこう答えた。

「志乃さんも知ってるヒトの所だよ」

彼らが向かった先に居たのは、黒い長髪のWACだ。彼女は幹部自衛官として下位の者達から報告を受け、指示する立場にいた。

「ズ、ズットモー!!」

火威と栗林が面識のあるWACを見て、発作でも起こしたように叫び声を上げたのはサリメルだった。




893顔の主人公が人妻に母乳を要求したら事案発生ですが、その辺りは上手く書けませなんだ。
ちなみに賊に殺害された人と人狼妻はトラウト・ローレンツさんとは別人です。
生き残った賊が聖下によってハーディの下に送られたかは不明です。
アルヌスの牢屋でストレスで健康を害しましたが

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