ゲート 魔導自衛官 彼の地にて斯く戦えり   作:庵パン

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ドーモ、庵パンです。
遂にアニメの第二期が始まりましたね。
来週はゾルザルの半殺し回でしょうか。

そしてブレスク。出来ねぇぞグーグル!?
まぁやり方が悪いんでしょうけど。PCそのものもかなり重いです....。


第十九話 禄存

火威がレクスの砦を制圧して拉致された女性を解放し、キャットピープルの母親を連れてワーウルフの集落に帰還した時には、陽は既に夕刻へと傾いていた。

到着したのは、戦力調査隊に倒された亜龍が、以前にもアルヌスと日本の何処かで見た某RPGに出てくるような乗用鳥類で集落に運ばれてきた時だ。

集落に住んでいる殆どの人間が屋外に出て、自衛隊が倒した龍を見て、そろぞれ感想を口にしている。

「すっげー、誰が亜龍倒したの?」

狼耳の子供の一人が、多くの村人が思っている事を口にする。

「あのハゲの緑の人だよ。むちゃくちゃ強そうじゃん」

そう推論したのは脇に居る十歳くらいの狼耳少女だ。

子供だけに言う事に悪意は無いが、遠慮も加減も無い。

「いや、実際はあの髪が目立たない人じゃなくて、村長の屋敷の前に居る大柄な女の人だよ」

オブラートに包んで言ってくれたのはティトだ。こちらは150歳を超えてる大の大人なのだが、火威としてはその気遣いが却って辛い。

自衛官らは、そんな評価よりも乗用鳥類に興味があった。アルヌスで見たのは、鞍が付けられていた事から、自衛隊が迎撃した連合諸王国軍が使っていたものだと推測されている。

米軍がアフガンで編成した特殊騎馬隊を倣って、特地派遣隊も乗馬経験者限定で乗用鳥類によるホースソルジャーを編成したが、乗馬経験者の少ない上に戦術的優位性も無いので、あっさり解散した。

ちなみに戦力調査隊の中では、阿蘇の外輪山で農耕馬に乗った事があった火威のみが唯一の乗馬経験者だった。

彼は特地の乗用鳥類の事を、見たまんま『チョコボ』と呼んでいる。多分、自衛隊の戦闘訓練か魔法の訓練で頭とかが疲れ、作文能力が低下してたのだろう。

その日の夜は亜龍を討伐した事と、拉致されていたキャットピープルの母親の救出を祝って宴会が開かれた。

「火威さん、ご苦労様です。やはり貴方に任せて正解だった」

相沢が改めて敬礼する。その敬礼には、この任務の労を(ねぎら)う意味があった。それに対して火威は

「いえ、軽いモンです。魔導という特殊技能の賜物です」

直立して敬礼を返す。改まった敬礼には礼を以て答えなければならないと思ったからだ。だが……

「んじゃタンスカに居るっていう娘さんの救出もやってもらいましょうか」

この相沢の言葉に、ほんの少し己の迂闊さを呪う。だが機会が有ればやろうと思っていた事なので快諾した。

「あ、直ぐじゃないですよ。アルヌスやイタリカの柳田さんとも相談してから決めますから」

予想以上に元気に動く火威が、これからタンスカまで行こうとするのを心配したのか、相沢は慌てた様子で部下の三尉を制止した。

 

  *   *                     *   *

 

その夜に亜龍の首は集落の門に掲げられた。

キャットピープルの夫は妻の無事を喜び、妻は夫の太い腕に抱かれている。暫しの独身同士の状態が続くが、何れは娘も助けなくてはいけないし、三人の息子も篝火を囲んでいる。

そんな他種族の家族を他所に、ワーウルフ達は大きな篝火を囲んで笑い、酒を酌み交わす。

自衛官達も篝火の周りに座って飯やら酒杯を口に運ぶが、任務中なので酒杯の中身はただのお茶のハズである。それでも帝国領内の中では上等なお茶らしい。

先程、火威は相沢からタンスカでの作戦に付いて説明を受けていた。

曰く、二日後にタンスカで特殊作戦群によって日本人拉致被害者の救出作戦が展開される。

情報は意図的に漏らされ、そして罠であるということが、ゾルザル軍に潜伏している『料理人』からの証言で明らかになっている。

しかし罠として用意された日本人拉致被害者が本物なのは確かなので、罠と判りながらも敢えて手を突っ込まなければならない。

火威三尉はタンスカ潜入後、キャットピープルの娘を捜索し、発見後、特戦群を援護しつつタンスカを離脱せよ。というものだ。

特殊作戦群との共同作戦に若干ながら物怖じしつつも、帝都では深部偵察隊もやった事なので、火威も腹を決めた。

現在その火威は、火威をハゲと評した狼耳少女の頭を撫でつつ、狼耳の軟らかさや産毛を堪能しながら意外に苦い茶を飲んでいた。

「火威三尉、日本なら事案が発生してますからそろそろ……」

火威は、ハっと息を飲んで解放する。

「いやぁゴメン。仔狼の産毛やら耳の感触が余りにも可愛いから……」

「などと犯人は供述しており」

「おい」

そんな会話で丸山は火威をからかう。その丸山の傍には先程からずっとニコラシカが寄り添っていた。

以前にヴィフィータに聞いた話では薔薇騎士団にはミーハーな者が居ると聞いている。彼女でないとしたら、薔薇騎士団の中に百合騎士が登場したのを目撃したと言って良い。

同性に寄り添われる丸山は丸山で、中学や高校の時に下級生、或は同級生の女子生徒からラブレターやバレンタインのプレゼントを貰ったというから、大いに同性愛気質を感じさせる。

その丸山も、高校の先輩や自衛隊体育学校の同期から告白された時は慌てたらしい。

百合は見てて楽しいが、薔薇は見てても楽しくない上に生産性の無さ(百合もそうだが)を感じる火威としては、リアルの百合が目前で展開されている事に、少し心拍数の高鳴りを感じながら特別に感じる事は無い。

例えるなら、小学校高学年の時に、兄の部屋に侵入してエロ漫画を盗み見た時のような不思議な高揚感である。

しかし丸山に寄りそうニコラシカが勢い余って「亜龍を斃したマルヤマ様になら、この身を奉げても」なぞと言うものだから、火威はついつい

「いや、ちょっ…! ニコラシカさんは薔薇騎士団だろっ。百合騎士じゃないだろ!?」

思わず言ってしまったのである。

「ん? 嫌だなぁヒオドシ殿、殿方の嫉妬はみっともないですよ」

ニコラシカは戦功的な意味で言ったのだが

「や、俺にだってちゃんとアルヌスに居るし」

恋愛的な意味に取ってしまったのである。

「まぁ、まだこっちが一方的に想ってるだけなんだけどさ……」

「…………え?」

「へ?」

暫し固まる三人であった。

 

 

   *   *                       *   *

 

 

自ら内堀を埋めてしまった火威は、外堀を埋められるのも早かった。

レクスの砦を攻略してる最中に、出蔵、日下部、丸山とティトは出蔵の恋仲となったアリメルの話で盛り上がり、その話の中でティトがアリメルと歳の離れた姉弟である事や、火威の好みのタイプの女性の話が出たのである。

歳の離れた姉弟は、世田谷の有名な三世代家族を知る日本人にとっては、有り得る話だと思われている。実際には百歳程離れているのだが。

「で、出蔵、おめぇぇぇ~~ッ!」

その話の中で、出蔵によって火威の好みがバラされた。ちなみに出蔵は特地に来た当初、褐色巨乳エルフが好みだと言っていたが、現在に至っては「好きになった人が好み」だそうだ。

「そうすると、火威三尉の好みとして真っ先に思い付くのは……志乃とか?」

それ誰や、と思ったが、続けられる丸山の言葉で了解を得る。

「体育学校で同期の栗林ですよ」

当然、丸山に告白した人物は別である。

「しかし栗ボーって体育学校でもモテたんじゃないの?」

そんな疑問を持つが、栗林は自分と同等以上の強さの相手じゃないと付き合わないそうだ。彼女のデートコースは、漏れなくジムや道場を通る。そこでの「お突き合い」に勝つと、大変なご褒美が貰えるらしいが、依然として貰えた者は居ないと言う。

「あ、でも志乃は最近、同じ三偵の富田二曹に…」

「と、ちょい、ちょい、駄目だぞそれは」

富田は現在、薔薇騎士団のボーゼスと婚約中である。この戦争が終わったらボーゼスと結婚するらしいが、何処の死亡フラグかと心配になるのは火威だけではない。

ニコラシカも自らの上役の結婚が気になるのか、口を挟んできたが

「えっ? ヒオドシ殿もトミタ殿の事が」

「いや違うから」

やっぱり腐ってやがったと確信を得られるのだった。

「まぁ富田二曹がボーゼスさんと結婚するのはほぼ決まってますからね。あとは火威三尉なら志乃に勝てそうですが……」

「いや、待て」

嘗て火威はイタリカ防衛戦で、連合諸王国軍の敗残兵だった盗賊団相手に、ロゥリィ聖下と絶妙な連携を取る栗林を目撃している。あの動きは白兵戦のプロフェッショナルの動きであり、一挙手一投足が一々理に適っている。火威は自身の白兵戦を、勢いに任せた直情的なものだと分析しているから、栗林に勝利するつもりなら今より一層白兵の訓練もしなくてはならない。

「あぁ、志乃ならハゲでも気にしないと思いますし、何より『爆乳』ですよ」

「よし頑張る!」

些か気になる言葉はあったが、より精進する事が決定付けられた。

最近の火威は魔導の訓練ばかりしていたが、決まった賢者に教えを享けているワケでは無い上に、半ば素養があるだけにリンドン派では基本とされる物質浮遊の魔法を飛ばして様々な魔法を覚えていたのだ。

レレイのように爆轟を封じた漏斗を敵に飛ばしていたら、朝に遭遇した亜龍も簡単に斃せただろう。出蔵なんかに話したら

「ちょっ、それファンネr――」

「訳すな! 英訳してはいけない!」

それだけの魔法の習得よりも、体術の訓練に重きを置いた火威は後に知る事となる。

基本的な魔法だけに、覚えるのも楽であったと。




今週はかなり短めです。次回も書ける時間が限られてしまうので、短めになるかも?
タンスカは何回かに分けで書けると良いんですが、書いてる本人の能力じゃ難しいかも……。

ともかく、
今週もご感想、ご意見ありましたら、何卒忌憚なくお願いします。
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