昨日の投稿を目標にしてましたが、間に合いませんでした。
本気出しゃやれると思ったけど、本気出んかったよ…。
で、サリメルの過去話は本日は三節目からですので、事前に告知しておきます。
※4月25日、庵パンの確認不足が祟ったのでサロメをシエラに変更。
光の精霊魔法で不視化されている栗林は、サリメル、そしてフォルマル領でサリメルに保護されたというルフレと、賊に拉致・監禁されているシエラ嬢の救出に向かっている。
エルベ藩国の豪商の娘であるシエラ嬢は、過去にアルヌスでの大敗を喫したエルベで、弱小が故に招集を受けなかった貴族との見合いをしていた。
エルベ藩国の勢力が帝国の属国としてアルヌスを攻めた当時は、まだ小さく、戦力らしい戦力を持たずに藩国内に留め置かれた貴族の屋敷と、日本製の珍しい品々を取り扱うイタリカとの貿易で財を成した商人の邸宅は、森を挟んで非常に近場に有った。
その帰りに、彼女を乗せる馬車が馬や御者ごと拉致されたのである。
彼女の実家である豪商の邸宅は、火が着いたような大騒ぎとなった。
これまでシエラが外泊する時には、侍女や執事、その他にも私兵を付き添わせるが、半ば近いだけに起きた油断だった。
被害の状況だけを見れば無肢竜の被害と区別つかない。だが未明に、一緒に拉致された御者のギサがサリメルの研究小屋まで逃げ込んで来たので、この一件が明らかになったのである。
完全にエルベ藩国内の国内問題なので、サリメルの宿に泊まっている自衛官達は、事態の推移を
にも関わらず自衛官が動いているのは、サリメルの言葉が大いに影響している。
「やりおったのは場所がら、妾の知る者かも知れぬな」
無肢竜被害で追い出された村々の一部の者が、サリメルの保護下に入るのを良しとせず、盗賊化したかも知れないと言うのだ。その言葉はシュワルツの森近くから報告を受けて来たエルベの将兵の耳にも入ったいた。
「ハンゾウ、ヌシなら賊らを殺さずに捕らえられるか?」
あと、妾のことはサリメルで良い……と付け足しながら、朝方に叩き起こされた禿頭の自衛官に尋ねる。
その言葉が聞こえたのか、エルベの将兵らは表向き表情は変えずとも、心の中では一様に舌打ちする。盗賊鎮圧に、実に面倒な方法を提案される心配をしたのだ。
後に自衛官らが聞いた話しでは、このサリメルという亜人である精霊エルフは、種族の他の者と違って極めて世俗的で他種族に大いに干渉しようとするようだ。
他の精霊エルフが厭世的なのか仙人的なのかは知らないが、アルヌスに居るテュカの話しでは精霊種エルフというのは、外界からの干渉を嫌って住家である森に結界を張るらしい。彼女が暮らしていたコアンの森では、稀にコダ村などのヒトが迷い込んで来ていて、それを保護したり帰れるように誘導してたらしいから、入れなくなる結界とは違うようだ。
そして、今はアルヌスで多種多様な種族と暮らしてるテュカも、他の精霊エルフから見れば結構な変わり者とも言える。
昨夜のイレギュラーな事態はあったが、たっぷりと寝た火威も今ばかりは冴えている。食べた料理かお茶に何かが盛ってあったのか、はたまたサリメルの色香の影響か、気絶同様の寝方をした火威は実に淫乱な夢を見て、叩き起こされなければ中学以来の大惨事になっていたので、むしろ感謝しているくらいだ。
「精霊魔法を使える者があと二名も居れば……。ですが我々が動けば越権行為になってしまいます。エルベ藩国の主権を侵害してしまうんですよ。デュラン陛下に許可取らないと」
エルベ藩国の王、デュランは現在グラス半島の帰属を巡り、シーミストと睨み合っている。
「ぐぬぬ……。わざわざ忙しくしてるデュランに会って暇は無さそうなんじゃがなぁ」
ギサは自力で賊の元から逃げてきた訳ではない。500スワニを身代金とした脅迫状を届けさせるメッセンジャーとして使われたのである。
シエラが拉致されたのが昨日。その日の内にギサをメッセンジャーに仕立てているのだから、相手にも余裕が無いのかも知れないということをサリメルは想定していた。
「この辺りはエギーユ公の領地じゃったか? 無肢竜対策の陣頭指揮も確か彼奴よな?」
* * * *
「自衛隊は余り非殺傷兵器を持って無いから、自分や味方が拙くなったら撃ち殺しますけど、良いですね」
「うむ、己が身が一番大事じゃ」
エギーユと交渉し、自衛官が作戦参入することに承諾を得たあと、野外無線機でアルヌス駐屯地にお伺いを立てたところ「エルベ藩国の面子を立てる作戦の場合のみにOK」という答えが返ってきている。
火威はついでにサリメルにも手伝わせる事にした。不殺での制圧はサリメルが言い出しっぺなんだから、多いに手伝えと言うことだ。
そのことを伝えると、始めから予定していたようで快諾した。危うく栗林が見ている前で抱き付かれそうにすらなった。
「スゴく面倒臭そうっすねぇ……」
「逆に考えてみろ。やってみりゃ意外と簡単かもって」
そう言う火威自身は、魔法を使った非殺傷攻撃法を幾つか持っている。それに対して出蔵が持つ相手を殺さずに制圧できる装備は、閃光発音筒しかない。
「お前は何回かソレを投げて、周囲を警戒してくれ。あとは俺がやるから」
そんなことを言う火威に出蔵が訝しげな目を向ける。
「先輩がやると全滅させちゃうんじゃないですか?」
「いやいや、大丈夫。“死ぬ程”痛いで済ますから」
痛さの余りに死んでしまう事もあるんじゃないのか……。そんな話を過去に生きて来た中で聞いた事があるような気がする出蔵は、簡単ながらもかなりの部分で自衛隊の装備と魔法に頼った作戦を不安に思うのだった。
* * * *
ベルナーゴ神殿からの招請状が来た時点で、サリメルが故郷を旅出てから千年経っている。
その後、地下の神殿でハーディーの姿(というか精神体)を見た時から、些か記憶が無い。神官に聞くと、サリメルの身体に
サリメルには無かった趣味を持つ神だが、この瞬間にその趣味に興味を持ってしまった。
ハーディーの神官曰く、その時に蓄えた栄養は、サリメルが男を誘うのに便利なよう、特定の部位に付けられたらしい。
確かに今までに比べて胸は大きく突き出ているし、股の間が妙に湿っぽい。
これまで男しか身体を売る対象にしていなかったが、同性と言うのも有りだと思い始めるサリメルだ。しかも土産に神秘的な光を放つ金糸の髪の束までくれた。聞けばハーディーが憑依した時に伸びた髪を切り、紐で括って纏めたのだと言う。
その後、更に魅力的になった身体で導士になった自分の元に学びに来る童子に、長きに渡って培った娼婦の技を掛ける事を夢想し、学都への帰路に着いたサリメルは、途中で出会った若者に早速、新たに手に入れた女の武器を使う。
新しい玩具で遊びたい稚児の心にも似てるが、言うまでも無くこの時に使ったのはサリメル自身の身体である。
会ったばかりの相手の子を孕むほど時間を掛けて番ったが、その様子を盗み見ていた通りすがりの青少年を誘う程の余裕はあった。
ちなみに、その時に出来た子供もしっかりと成人し、学都の賢者として後進を教えている。
学都に戻ったサリメルは、その後暫く教えを請いに来た学徒を師事し、尚且つ誘惑し抱かれていたが、ある日自身が改宗したミリッタの神殿から呼び出しが掛かる。
何かと思えば、当時亜神の使徒を持たなかったミリッタが、信徒であるサリメルを神官にして大陸各地を旅させよと言うのだ。
その頃、この世界に国ごと異世界から転移してきたヒト種を始め、全ての種族から昇神していた使徒が旅をするのは、不老不死の身でないと大陸各地を放浪するのが危険な為だ。
ただの妖精種エルフにも拘わらず、サリメルに白羽の矢が立ったのは彼女が千年以上の時を生き、尚且つ百人近い子供を産み育てて立派に成人させるという生命力の高さを買われたからだ。
学都の生活は楽しく、後進への師事(性的なものを含む)にも満足していたサリメルであったが、三十年程悩んでも使徒が現れないので神殿からの使命を受けて旅に出たのである。
使徒として旅している最中に気付いたが、最近はまた見た事も無い種族が増えている。
姿形は自分達エルフと余り変わらないのだが、個人それぞれの美醜の差が激しい理不尽な命運の種族だ。
単体だと善良な者が多いが、集団になると困った事をしでかす性格は他の種族にもあった。しかしこの新手の種族だと、その性格が一層濃くなる。
異世界から国ごと来たのか、一時に大量に来たのか、瞬く間に領地を拡げた彼等は帝国を名乗り、他方への侵略戦争に明け暮れ始めた。
とは言え、彼等の軍の大部隊でも、サリメルにとっては小さな虫にも等しい。余程油断をしなければ、遅れを取る事も無い。
そして三百年程前、旅の中で同族のハイエルフの男に出会った。
彼はサリメルが知る故郷のエルフ達より才智に富み、細身に見えて逞しく、そして何より世界を知っていた。サリメルは瞬く間に彼に惹かれていった。
後に十二英雄の一人と呼ばれる彼と再び出会って恋に落ち、その娘を産んだのは十年後の事だ。
その娘の父親である精霊種エルフが大変な好色家だと知ったのも、ちょうど同じ頃である。
なんか……
書いてみるとスゴク短いのですよっ?
サブタイは、まぁそんな映画もあったなと…………。
そして!
お気に入り指定が280個ッ!
皆様、有難う御座います!!