ゲート 魔導自衛官 彼の地にて斯く戦えり   作:庵パン

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ドーモ、庵パンです。
大まかな設定はあるのに、外伝Ⅱのプロットが全く出来なくて困っとります。
勢い余ってゲートとは関係ない方面に突っ走りました。
って言うかゲートにモビルスーツ出したくて書きました。

でもまぁ、後々伏線に出来たら良いなァ…くらいには考えとります。


第二話 鐵の心臓

帝国の内戦が始まって三年程経った頃。

ゾルザルが新たに帝都としたテルタに向けて、アルヌスやイタリカから自衛隊のMS部隊がゾルザルを捕縛、或は倒すべく進攻し始めた。

目下、味方の戦力はRGMナンバー在り、ジオニックな連中から果てはRX系列まで機体まであるという節操の無い編成だ。

まぁ盆暮れ正月の行事は律儀に守り、クリスマスを祝う日本人らしいと言えば日本人らしいのかも知れない。

ジオニスト出蔵なんかは喜ぶだろうなぁ……と思う火威は1日ザクと言う謎のモビルスーツを当てがわれている。

自身のサブカルチャー知識が正しけれMS-05、ザクⅠ……所謂旧ザクの筈だと、火威はイタリカから発進したペガサス級戦艦の五番艦、ブランリヴェルの艦橋で考える。

汎用戦艦に乗ってるならテルタくらい直ぐだろう、という意見が有るかも知れないが、ブランリヴェルがもの凄っい鈍速なのかも知れないし、他の部隊と攻撃のタイミングを合わせてるのかも知れない。とにかく未だ着かないのである。

先程、艦のカタパルトからは第三深部偵察隊の倉田、戸塚、勝本、古田、笹川がRGM-79、Gジムコマンドで。テルタから32km離れた橋頭保からは富田と仁科はRGM-79C、ジム改、、桑原がRGM-79Nジムカスタムで出撃している。

衛生科隊員の黒川は前線には出ず、栗林はジェネレーター出力のカタログスペックならガンダム以上と言われるMS-06FZ、ザクⅡ改で、倉田達に先行して出撃している。

受領する筈の旧ザクは橋頭保で受け取るんだろう。翡翠宮防衛戦では第一空挺団がネモだのリックディアスだのと、第三世代間近のMSを使ってた。

それに比べて他の特地派遣隊員が使う機体は性能の劣る1.5以下世代を使わせてくれるものだと思う。だが旧ザクならギャ○ン専用ボルジャーノンということも有り得るかなぁ……と、心の何処かで期待する火威でもある。

「何やってんです火威三尉、早く出撃して下さい」

言って来たのはモビルスーツの発艦を知らせるシグナルを操作する甲板員だ。「まだ俺の機体無いよ」と答えざるを得ない。

ドッグ内には、敵を撃破し多少の流れ弾など戦闘に耐えられるような大型のモビルスーツは全て出撃している。

「なに言ってんです。素手でモビルスーツを撃破出来る三尉は肩書だけで充分でしょ」

そう言って甲板員が差し出したのは、一日署長のノリで『1日ザク』と書かれた(タスキ)だ。

「なッ……!? 出来るワケねェだろ!」

生身で撃破出来るのは第三世代の戦車までであって、それも素手ではない。魔導を用いている。だからリンドン派魔導士の布団叩きでも貸与されるのかと思ってたが、どうやら本気で一日ザクをやらせたいらしい。

正直、魔法少女よろしくピンク色の布団叩きも勘弁願いたかったが、色々なものを捨てて最後の決戦に挑んだのである。

「お前なら出来る。大丈夫だ。俺が保証する」

見た事の無い顔の禿頭の陸佐が出てきて言うが、どう考えても初対面の佐官に保証されても火威は頑として首を振った。

「出来るワケ無いでしょ! 相手は意味不明の敵ですよ! デスアーミーの装甲が第三MBT以下って聞いたことありませんよ!」

「いやデスアーミーだけじゃなくて奪取される運命にある二号機メカも居るから」

「もっと悪いわッ!」

ふざけたことを平然と抜かしやがる陸佐が、火威の目には森田かミンス(民主党)にも見えてきた。

「大体、三偵のヤツらジムコマにザク改善で生き残れるワケないでしょ! 誰です! MS選定抽出したヤツ!」

「スマン、俺」

「ふざけんなッ!」

胸倉掴んで壁に押し付けるが、佐官は続けた。

「いや、でも大丈夫じゃないかなぁ……? 栗林がすでに明鏡止水の本気モードだし」

なんじゃそりゃ、と思う瞬間、火威は逆に襟首掴まれてプチ・モビルスーツに放り込まれた。

「ぐえっ……。ってこれドラケンじゃねぇか!?」

「そだよ。相沢二尉のジムスナⅡに付いて来たやつ」

「ガンプラかよ!?」

「男の癖にいちいち五月蝿いヤツめ。生身じゃないんだからとっとと行って来い」

陸佐が言うと、片足だけカタパルトに乗ってるドラケンを甲板員が無理やり発艦させる。ドラケンEごと火威は、非常に不安定な格好で艦の外に放り投げられた。

 

*  *                             *  *

 

 

火威のドラケンが落ちる先。テルタから12Kmの地点でジムカスタムを主とするジム部隊が、目前100mから2~4kmに布陣する敵MS部隊と撃ち合いを繰り広げていた。

「っつかデスアーミーならMFでは!?」

ヲタクとしては正しいが、今現在はどうでも良い疑問を口にする倉田のジムコマの頭部が吹き飛んだ。

「や、やられた!早く脱出っ!」

ジムというモビルスーツは機体の一部分を破壊されると、その他の部分まで次々と誘爆を起こして最終的に大爆発を起こす。

そんな都市伝説がまことしやかに広まっている。

「大丈夫だァ。倉田ッ!」

この場で一番階級が高いにも関わらず、戦闘に耐えられるとも思えないプチモビルスーツで降下というか、降って来た火威は異論を唱える。

「ジムはブロックごとに解れてるから整備しやすいし、誘爆の危険も低いんだ。(MGの)取説に書いてあった!」

「マ、マジすかっ?」

「マジで。ジムコマは知らんけどな」

戦場の真っただ中で下手に生身で出た方が危ういと倉田に伝える。サブモニターで視界は確保出来るんだし、駆動系は健在だ。固い装甲の中に居た方が安全である。

空中からショートレンジミサイルを敵部隊に向け、発射すると2~3機のデスアーミーに着弾し、2機を大破させた。

このドラケン君、流れ弾が一発でも当たったらお陀仏の紙装甲だが中々戦えるじゃぁないか。

そう思いつつ周囲を警戒して見ると、金ジムならぬ金ザクが敵集団の中で猛威を振るってるのが見えた。普通、目立つ金色なんて塗装はしないから、あれが栗林が駆る本気モードのザク改らしい。ブランリヴェルで聞いたフザケた佐官の言ってる事は本当だった。

全く意味が解らないよ、と常識人ぶる火威の前で台風の目のようになったザク頭が破壊的な瘴気を纏ってゾルザル旗下の雑兵共を叩き潰す。

これもヒプノティック ・ アームズという、強い自己暗示用いる戦闘技能を得た栗林の成せる業だ。もう、あいつ一人に任せて良いんじゃねぇかな、という気もするし、ますます嫁の貰い手が無くなりますよ、と心配になったりもする。

まぁ子供の遊び相手と弟子入り希望多数という意味では、アルヌスでも結構人気あったりするのだが。

 

ショートレンジミサイルを撃ち尽くして、武装が頼りないビームサーベル一本になった火威は、艦に戻って補給と追加の武装を借りてテルタに進軍した。

この間にもマーレスを経由した第一戦闘団のRX-75、ガンタンク、YMT-05、ヒルドルブといった長距離攻撃可能の半戦車の部隊が集結。テルタから迎撃に出てくるであろう的集団への砲撃準備を完了した。

これから始まる戦闘が終われば、いよいよ戦争も終結だと誰もが思う。

高高度からは空自の偵察機がテルタの城門を見張り、常に敵の動向を注視してる筈だった。

『あれ、隊長は?』

『桑原の陸曹長なら前に居るだろ』

聞くまでも無いような倉田の質問に答えたのは富田だ。

『やっ、すいません。火威三尉かと……』

艦からずっと行動を共にしていた尉官が指揮官だと思い込んでいたらしい。

『その三尉は違う特別任務の別編成だぞ』

『でしたねぇ……。なんでプチモビなんかに』

その時、倉田が使う無線をノイズが走る。

「ミノ粉かよっ」

今し方まで何の問題も無く使い、話していただけに警戒心も芽生える。

それは富田も同じだ。コクピットを開いて桑原に意見具申すると、即座に戦闘準備が始まる。

その時、戦車部隊の中で大きな爆発が起きた。

「げぇっ!二号機!?」

倉田が炎の中に見た蒼い機影は角二本に両肩が赤く塗装された機体の物と、全体的に丸みを帯びた機体の集団だった。RX-78BD-2、ブルーディスティニー二号機と、ここ10年の間に萌えキャラ化しつつあるステルス性能の高いMSM-04、アッガイだ。

「こいつら何時の間に!?」

ミノフスキー粒子を撒いたところで視覚は誤魔化されることは無い。だがまぁ、細かいことは気にしないで欲しい。

戦闘準備に入っていた彼等の行動は素早かった。もはや萌えキャラでもゆるキャラとも言えず、ただ自分や味方を害する脅威となっているアッガイを攻撃し、ブルーディスティニーを捕捉する。

『オラ!こっちぁ既に生本番かッ!』

捨て台詞を吐きながらガン○ムハンマーを振り回して乱入してきたのは火威のドラケンだ。だが悲しい哉、ミノフスキーの影響で無線は効かない。あと今更伏字を使うのをご容赦頂きたい。

二号機は腹部有線ミサイルランチャーと100mmマシンガンを撃ち込むが、回転させたガ○ダムハンマーに遮られて何一つ効果的な攻撃は出来なかった。

その間にもジムコマンドやカスタムのビームガンやブルパックマシンガン、ジムライフルが奪取された二号機に向けられる。

射線から逃れ、後方へ退避しようとバーニア噴射し空へ逃れようとした二号機、と、その足首に絡みつく○ンダムハンマーのチェーン。

「おぉ、凄ぇ……。ハンマーの新しい使い方だ!」

言ったのは勝本だったか戸塚だったのか。日本人のオトコノコなら結構多くが知っている○○ンムハンマーの初めて見る使い道に驚嘆の声を上げた。

「死っねアゴバス・シュターゼン!」

出力の低いドラケンのビームサーベルでコクピットを焼くのも可哀想なので、ジムの諸兄の集中砲火を喰らい、二号機は爆発。木端微塵となったのである。

 

*  *                             *  *

 

 

テルタへと続く大地にある敵の守備は、途轍も無く厚いものだった。

それでも味方の被害が最低限に抑えられたのは、プラチナブロンズをメインカラーに塗装された、現地人協力者のAMX-004R、キュベレレイを始めとする伊丹二尉の部隊の戦果が原因している。

「地上でファンネルって使えたんスね」

第一戦闘団の戦車部隊で、ヒルムドルブを操縦していた出蔵が初めて気付いたような声を出す。

「そこは作品次第で変わって……っていうか出蔵、お前さっき二号機にやられなかったっけ?」

「へ? 何のことスか?」

高校の先輩後輩が意味不明な会話をしてる間にも、超感覚保有者専用機のファンネルと、伊丹二尉のRGM-89De、いわゆるジェガン……めいた黒い機体が撃ち込んだビームバズーカで帝国軍の戦力を次々と抉り削っていく。

敵が折角モビルスーツとミノ粉を用意したのに、これ程までに自衛隊無双をやろうとは……。敵が若干可哀想になったり、運用のし方が拙いから仕方ないよね、と思ったりする火威だ。

それともアイツらモビルファイターだっけ? と、牧歌的に緩い気分で戦争している火威のドラケンに、消魂(けたたま)しい轟音が鳴り響いた。

ドラケンの位置からでは前のヤツが邪魔で見えないので、近くのヒルムドルブに一度飛び乗ってから再度バーニアジャンプする。

そこで火威は奪取される運命にある二号機がもう一機あることと、麺つゆとコーラ程に技術差があるゾルザル派帝国軍が何故人型機動兵器を運用できるのかを知った。

「ゲェ!? サイサリス!」

見た目、ちょっと太めのイメージがあるRX-78GP02A,試作ガンダ○二号機と、体高大きめのJDG-00X、悪魔なガ○○ムを見たのだ。モビルスーツを建造出来るとは思えないゾルザル派帝国軍で、これ程までに機動兵器を運用できるのは此奴が居るからだろう。デスアーミーはこの敵が量産していたのだろうが、他にもバリエーションがあるにも関わらずデスアーミー一択のところを見ると余程の拘りらしい。

大きめの悪魔ンダムは栗林の金ザクに石破ぶっば拳で撃破してもらうとして、サイサリスの方は火威らのような通常戦力で斃すしか無い。

が、サイサリスは真っ先にドラケンに斬り掛かってきた。

斃せそうな敵から斃そうと思ったのか、寸での所で斬撃をかわした火威がスウェーと逆噴射を駆使して間合いを取ろうとする。それに対し、サイサリスは執拗に追撃し、距離を離さない。

牽制してサイサリスの動きを阻もうにも、下手に撃てば同士撃ちになる。

だがドラケンもプチとは言えサイクロプスの強襲を迎え出た戦歴のある機動兵器だ。後方に飛び、射撃を受けない様に乱雑な軌道を機体に取らせた。

そしてドラケンを追撃しようとサイサリスも、バーニアでその重厚な巨体を空に飛ばせる。操縦者の頭は良くないようだ。

即座に味方が飛び上がったサイサリスの背後に銃口、砲口を向ける。そして起きるマズルフラッシュと、二号機の両肩のバインダーが開くはほぼ同時だった。

「なにゃ!?」

GP02が太いながらも高機動を確保できるのは、この装備があるからだ。

「こっち来ンなデブッ!」

ショートレンジミサイルを放つが、サイサリスの大型シールドで防がれた。そしてビームサーベルを抜刀して向かって来る。

そのまま繰り出される斬撃を空中で(かわ)すと、回避運動を取った拍子に○○○ムハンマーのチェーンがサイサリスの角に引っかかってしまう。そして引っかかったチェーンを取る間も無いまま、サイサリスはそのまま空中を帝都の方角まで凄まじい勢いで飛んで行ってしまった。

 

こいつアホがッ!気付いてねぇのか! などと考えるドラケンの中の火威だが、サイサリスの操縦者はモビルスーツを操縦出来るのが不思議な帝国の将兵だ。当然外の異常に気付ける筈も無い。

帝都上空に来たサイサリスは機体背部の右肩に設けられた基部から、シールド裏に設置されたバレル部分をドッキングさせて帝都に照準を向ける。

「なんだと!?」

サイサリスの核弾頭は戦術核という触れ込みだが、その実戦略核レベルの破壊力を持っている。そんな物が帝都に放たれたら特地の大地に大穴が空き、向う数百年生き物が住めない放射能が撒き散らかされる事となる。

だが、どういうお約束だか知らないが、操縦者はゾルザルめいた声で言ってくれた。

『ウラ・ビアンカよ! 俺は帰ってきた!』

その時、黄色の影がドラケンやサイサリスよりも高い場所に来た。放たれた浴びせ蹴りはサイサリスは勿論、鎖で繋がれたドラケンごと大地に叩きつける。

強かに地面に叩きつけられると普通の機動兵器なら爆発・飛散だが、龍玉よろしくサイサリスもドラケンもそれでバウンドしてしまった。

そこを金色の影……金ザクが高トルクパックでも装備しているかのような速さで追い討ちし、豪雨のような鉄拳を見舞う。一撃でも当てれば()()ごと戦闘不能にさせる拳だが、それを無数み見舞う事で倒れさせない。

「ザ、ザクの……神様…じゃまいか……」

サイサリスと一緒に大地をバウンドして伸びるてしまった火威が見たのは、鉄拳の嵐に巻き込まれて次第に浮かび上がるサイサリスだ。

そしてそれを成す金ザクは、ザクの神様というよりザクの鬼神様であった。右の(かいな)が一際力を入れてサイサリスを打ち上げると、金ザクも跳び上がる。

そして○め○め波と似た技を練った。

何が似てるかって言うと、天然自然の中からエネルギーを得るという設定とか、概念とかが。

ザクの神様ってイデ○ンガン使えたっけ? そんな火威の思考を余所に、栗林の駆る金ザクが放った石○天○拳は二号機は疎か、テルタに座す悪魔ンダムも消し飛ばしたのである。

 

 

*  *                               *  *

 

 

「本当にすまないと思っている」

という夢を見たんだよ、に続く言葉はジゼルへの謝罪だった。

「オレは?」とジゼルに聞かれる事を予想でもしていたらしい。

夕飯の食堂で最初は出蔵にのみ話していたが、そこにジゼルが来て暫しの間一緒に話しを来ていたのだ。

「まぁほら、今はジゼル猊下がヒロインの回だし、アルヌスに居たんじゃないですかね」

「火威先輩、メタい。メタいよ」

ジゼルの頭には当然のようにクエスチョンが現れる、が、元が細かい事を余り気にしない女だ。今の話しを聞いて疑問に思ったことは直ぐに聞いてくる。

「ニホンにはそんな鉄の巨人がいるのに、こっち(ファルマート)には連れてきて無いのか?」

「いや、居ないッスよ。今のところ作ってもないです」

「なんだよそれ」

些か残念そうな口ぶりのジゼルの声を聞きながら出蔵は思う。

この先輩、相当やばいな。早く何とかしないと、日本と再開通したら真っ先に精神精神病院とか然るべき施設に連れて行かないと。

そう心に強く思いながらも、次の日の同じ時間には隊の各種仕事に忙殺されて忘れてしまう出蔵である。




本気でモビルスーツ戦する気無しなので、戦闘は思いっきり適当です。
真面目にMS戦闘するのは、何時かまた別に書きます。気が向けば。
そしてブルーレイやDVDも残すところ後1巻になりました。
二期というか、第三、第四クールのお知らせは未だなんでしょうかッ!?

ところでジム改とジムカスタムってなんで同じ機体じゃないんですかね?

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