まさか半日で初回盤が売り切れるとは思わなかった!
これも買う前に二回もトイレ行ってガンプラ買ってたせいか!
と思って家で見たら初回盤だった。
何を言ってるのか解らねぇと思うが俺にm(ry
ということで
ドーモ、庵パンです。
今回は前に比べると短い感じがします。
叙勲式と帝国主催の晩餐会が終わった後にも、火威にはちょっとした苦労が待ち受けていた。
「ヒオドシ卿、おめでとう御座います!」
そう言って来たのは、ケモナー貴族のカトリ・エル・フォートだ。
こいつも来てたのか、と思う火威だが、顔には出さない。でも言葉は明け透けだった。
「貴方も来てたんですか」
「はい、勿論です。何せ今のアルヌスはイタリカ以上に亜人にとっては天国のような場所。行く機会を見す見す逃すことなど有り得ません」
周辺各国から来る多く者が、ナッシダでロゥリィに呼ばれた亜神へ参拝しに来たのに対して、このカトリが来た動機は違うらしい。
「いやぁ、でもハーピィは余り居ませんからね。フォートさんにとっては物足りなかったんじゃないですか?」
「いえ、キャットピープルやウ゛ォーリアバニーの女性達のダンスは圧巻でしたよ」
カトリは続ける。
「まさか足があんなに高く上がるなんて。お陰で足の付けねやその上まで見えそうに……」
くっ、惜しい……と、その時の状況を詰る。
こ、こいつ変態だぁー!?
特地で見る初めての変態に若干後退る。
ジゼルも「踏んでくれ」なんて変態じみた事を言うが、神様級に可愛い彼女は時によりドMという嗜好というだけで、決して変態ではないのである。
「あぁ、そうそう。私が来たのは亜人女性を愛でみに来ただけでは無くてですね……」
カトリが火威に向き直って続ける。
「以前、卿がお話しされた子作りよ……」
「おぉー、倉田。ちょっとこっち来い!」
カトリが話す前に、倉田の姿を見た火威が叫んでカトリの言葉を中断させる。
今更、栗林が近くにいると気付いたからだ。
「アルヌスで奴隷は犯罪です故。あと帝国の給金云々は反意が疑われてしまうので内密に……」
火威は、それだけを小声で伝える。本音は帝国の将兵になる気など露程にも無いので、相手がどれだけ高い条件を呑めるかを愉しんでいるのだ。
「倉田、この人が以前に言ったハーピィのプロでケモナー元老院議員のカトリ・エル・フォートさん。フォートさん、こいつが自衛隊のケモナーで猫耳娘に一家訓がある倉田・武雄です。宜しくしてやって下さい」
カトリは『ケモナー』という言葉を亜人愛好者という意味と理解する。
「えっ、三尉が言ってたケモナー貴族の方!?ホントの話しだったんですねぇ」
挨拶より先に火威に掛けてた疑いが事実であった事を確認する倉田。
こいつぁサリメルの話しも疑ってそうだ、と火威は考えた。
「初めまして。クラタさん。カトリ・エル・フォートです。確かにハーピィに関して詳しいことは自負しますが、専門家ではありませんよ」
苦笑するカトリが倉田に挨拶する。
こうして倉田にとって、特地で最初のケモナー仲間が出来たとかなんとか。
* * * *
更に火威は、この日は寝床の心配もしなくてはならなかった。
忍者屋敷は薔薇騎士団のお嬢様方と従者の宿泊先となっているし、火威が普段、寝起きしている天守閣にはキケロ夫妻が寝泊まりしている。
火威も風呂を沸かし、鶏に餌をやるために一度は帰ったが、その先の展望が見えずに暫し途方に暮れた。
前に寝泊まりしてた官舎は、一時的に貴族に貸してるし、いくら火威がレンジャー持ちで、あらゆる状況でも睡眠が取れるからと言っても、道端で寝てると事件や事故と間違われそうだ。
なのでアルヌスの街から離れた森の中で寝ることにした。
今まで気付かなかったが、今では森に棲む精霊の姿が見える。
己の精進の結果が解りやすい形で目に見えたことに、少しばかり感動した時だ。
大祭典二日のアルヌスは、初日に増して人でごった返した。
以前、火威は“その手の”友人から、日本で年に二回行われる某祭典も二日目が真の修羅場と聞いたことがある。大祭典の二日目にも同じような事が起こるのではないかと、少しばかり覚悟はしていた。
実際のところ、亜神への参拝を目的とした者の多くは、この日に亜神達に参拝できるように日にちを設定していたのだ。こうなると、火威も会場全体を廻って警備するなどというヌルい任務では済まない。
午後にもなると、アルヌスの街は都心の通勤ラッシュ時のように人で賑わう状態になってしまった。
「そこ、走らないでください! そっちは階段の上で止まらない! 後から登る人の邪魔になるでしょ!」
二日目のイベントで行われる航空自衛隊のF4ファントムのアクロバット飛行で起こるジェット音や、歓声にも負けない声を張り上げなければならなかった。
この混みようは火威の予想を上回る。だが、「人酔いで参る」などと言う軟弱なことなど言ってられない。大祭典が円滑に運営されるように、伊丹を始め他の隊員も気張っているのだ。
「もし!」
そんな時だ。火威に声を掛ける者がいる。
「なんじァ!?」
忙しくて気張っていた事もあり、そのままの勢いで返事をして振り返る火威だが、これは拙ったと思った。火威自身、今の自分がどれだけ強面なのかは知っている。
そこにはフェブロンというエムロイ信仰の総本山から、手伝いに派遣された神官団の二人の黒ゴスを着た少女が居た。
年齢はレレイか、彼女より少し上くらい。一人は栗毛に頬のそばかすが可愛く、もう一人は茶髪でファニーフェイスの少女だ。
「お、恐れながら聖下からの伝言に御座います。イ、イ、イ、イタミ様におかれましては、神殿に参られさせさせさせさせ……」
妙に噛みまくっている少女は、禿頭に目の上に一生物の傷を持つ火威を、死神の二つ名を持つロゥリィと何時も連るんでる伊丹と勘違いしたらしい。
確かに、今の火威はここに居る自衛官の中では最も死を運びそうな顔をしているが、火威本人は野菜王子並みのキャラ転換に努力してるし、一時期恐れられることもあった薔薇騎士団の団員からも、今現在では「コンバットおじさん」とか「ヘッドショットおじさん」の二つ名が付けられているのだ。
「いや、伊丹二尉は俺じゃないよ。伊丹二尉はね……」
火威は出来るだけ優しく、柔らかい口調で、伊丹が見回っている近くのブロックを教える。
午後を回って暫く経つと、交代の自衛官に代わってもらって火威は飯を食いに向かった。森から出てアルヌスで食べた朝飯が微妙に少なかったこともあり、昼飯は多目にしたかった。
聞けば津金一尉のブースというかサークルでは、牛丼やらカツ丼、そして親子丼を出しているという。丼ぶりものなら腹も満たせようと考えた火威は、そこへ向かう事にした。
「おぅ、らっしゃい! ……って火威か」
何処ぞの飯屋の親父か、というノリで火威を見つけた津金が呟く。
「どうです、調子は?」
「こっちの米は汁だくの丼物と相性が良いからな。結構売れてるぞ」
「あぁ、以前にジゼルさんが炊き方を工夫して日本人好みの歯応えにしてたんですっけ。こっちの米はカレーとかにも合いそうですねぇ」
「そういや、お前。冬戦教なんだって?」
「えぇ、まぁ、はい……」
以前にも述べたが、火威は周囲に過剰な期待を持たせるのも余計な仕事が舞い込むのも嫌なので、普段は階級章、部隊章、職種徽章しか付けていない。
だが火威の中では人生で最大の戦いが昨日から始まっているので、所有する徽章は全て戦闘服にも制服にも取り付けているのだ。
「以前から只者ではないと思っていたが、実際に精鋭だったとはなぁ……」
ほらっ、と言って寄越された親子丼を持って、火威は近くの街の空き地を利用して設けられた休憩のためのテーブルコーナーに向かう。
だが火威の中では人生で最大の戦いが昨日から始まっているので、所有する徽章は全て戦闘服にも制服にも取り付けているのだ。
「以前から只者ではないと思っていたが、実際に精鋭だったとはなぁ……」
ほらっ、と言って寄越された親子丼を持って、火威は近くの街の空き地を利用して設けられた休憩のためのテーブルコーナーに向かう。
汁だくの丼には箸よりスプーンが欲しい火威だが、特地でそんな物を目に出来るのは貴族の館くらいのものだ。
黙々と食べていると、速くも丼の半分以上が消えて無くなった。予想以上に美味いのと、予想より遥かに少ないのがいけない。
「た、足りん」
独りごちる火威はその時、誰かに見られているのに気付いた。
見れば、昨日の蒼いドレスの少女だ。
またしても迷子になったのかとも考えたが、この世界の成人は十五歳からであることを思い出した火威は、彼女が大人である可能性を思考の片隅に置いた。
「随分と美味そうに食べるが、それは何と言う料理じゃ?」
火威に気付かれて罰が悪いと思ったのか、それとも健啖ぶりを発揮した火威が本当に美味そうに食べて見えたのか、少女はそんな事を聞いてきた。
「親子丼だよ。近くの出店で売ってる」
「オヤコドン?面妖な名じゃな」
サリメルに似た喋り方だが、エロフとは確実に違う。
「まぁ、鶏肉に鶏の卵を掛けて作った料理だからねェ」
「そ、それでオヤコドンと言うのか」
蒼服の少女は、何やら親子丼のネーミングの由来に退いてる。
火威も親子丼のネーミングの由来を知った時に、ほんのちょっぴり退いたが、美味いものは美味いので、今は全く気にしてない。
「ニホン人は恐ろしい種族なのじゃ……」
「日本人に妥協は許されないからね」
何だか面白そうなので、ここは一つ少女を担ぐことにした。ちょっとした悪戯心とも言う。
「ハシのために幼児を虐待するのも妥協せぬためか」
「ハシ?」
「ニホン人は幼子を天秤の上に乗せて、時間までにハシで豆を運べなければ奈落に落とすんじゃろ?」
既に誰かに担がれていたらしい。そして火威は否定するどころか乗ってみることにした。このビックリウェーブに!
「あぁ、そうそう。俺なんて大変だったよ。祖父が軍人だったもんだからさ、課題が他より心理的に難しくなって剣山の上でやるんだよ」
「そ、そんな場所まであるとは」
「日本人は妥協しないからね」
グビりと唾を飲み込む少女。
「それで前の挑戦者が山に引っ掛かっててさ、思うより集中出来ないのさー」
比較的常識人の栗林が聞いていたら、ぶっ飛ばされそうな嘘を言う火威。
そんな風にして、二日目も陽は暮れていった。
BLとDVDが終わってしまいましたね……。
2期目といか3・4クール目は何時になるんでしょうか。
12巻目の初回盤で柳内たくみ書き下ろし短編小説を読みましたが、
アレはまぁおねショタっすかねぇ……?
種馬がアラック君で愛人が伊丹という流れ?
先生、解りません。教えてエムロい人。