ゲート 魔導自衛官 彼の地にて斯く戦えり   作:庵パン

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ドーモ、庵パンです。
いよいよ不定期投稿になってきました。
サブタイは‥…まぁそろそろそんな感じかなぁ……ということで、適当に付けました。
次回も適当なサブタイが思い付かなければ転移2とか。やるかも知れません。

―修正―
何か話数がエラこことになっとった……。


第五話 転移

エルベ藩国西方。

晴れた日にはテュベ山や、遥か彼方にテュバ山脈が森の隙間から見通せるロマの森。

ニンジャオンセン郷と名付けられた施設群の一角に、賢者の研究小屋がある。その小屋から出てきたエルフの美女の顔色は優れないように見えるが、彼女に限って言えば完全に本人が醸し出す気怠そうな雰囲気に寄るものだ。

「母さん、そろそろ行って良いと思うよ」

小屋からは、もう一人のエルフの美女が出てきた。先に出てきたエルフより年の頃は若く見えるが、なにせ二人とも精霊種のエルフだから一概には決めつけられない。

「いや、妾がいないとポンパル(売春宿)が回らんから……」

「そんなこと言って、母さん爆発しちゃうでしょ」

事実、特定の人物以外に欲情すると自身に掛けた爆轟の呪いが、()()()()()()()としての仕事をする最中に発動して客を驚かせた事が何度かあった。

幸い爆発の規模はサリメル一人を吹き飛ばす規模だったのだが、何度も爆発するとサリメルの売春宿には当然の事ながら不評が蔓延り客が来なくなる。というか、売春婦が爆発する恐怖の売春宿として客を遠ざけてしまった。

ニンジャオンセン郷と売春宿が別系列の組織として運営されてたことが、不幸中の幸いであった。

「し、しかしな。何時ミリッタの所から改称の知らせがあるかも解らんし」

「あー、それではサリメル様が今一度主上様の元に赴いて、そこでお伺いを立てては?」

言いながら、事務所から出てきたのはヴォ―リアバニーのルフレだ。コイツの言う通りにして、えらい目に遭った! とはサリメルの思考である。

しかし当面は売春宿に客が来そうもないし、ハンゾウの為に毛生え薬を作るにしても金が要る。

ならば暫くは諸国を放浪する傍ら、流しの料理人や仕立て屋でもやりつつミリッタの総本山まで改称の具合を聞きに行った方が良いかも知れない。

ルフレからの献策めいた諌言を聞いたサリメルは、武器や身銭と反物、そして遥か以前にハーディを神降ろした時に貰ったアイテムを持ち、再び旅に出たのである。

 

 

*  *                            *  *

 

 

大祭典が終わった時、テュカは父であるホドリュー・レイ・マルソーが生きていて、現在は大陸の北にパルミアというルルドの一氏族と行動を共にしているという話を、フレアの使徒であるグランハムから聞いていた。

ルルドはファルマート大陸では珍しい定住しないヒト種の一団なのだが、火威が仕入れた情報ではレレイのような美形が多いと聞いている。

これは以前にロンデルを訪れた時にミモザから聞いた話だ。レレイはアルハンプラ系のルルドで、九つの頃に姉のアルペジオとロンデルに辿り着いて十でカトーに弟子入りし、そして今に至るという。

パルミアというルルドの一団は現在、バーレントという北の地に居る。そのルルドと行動を共にするホドリューに会いに行くには、テュカは徒歩や馬以外の移動手段を考えなければならなかった。

北の大地、バーレントまでは片道で一ヵ月も掛かる。早く行かなければパルミアはまた移動してしまうのだ。

それに大祭典後に非常に忙しいのは自衛隊だけでない。組合が最重要と位置付けている植民村の開発も、火威が先頃から害獣を激減させたことで再開されている。

その開発の役目を担っているテュカに、長期間アルヌスを離れられると皆が困ってしまうのだ。半月か一ヵ月弱なら代役も立てられようが、責任者はあくまでもテュカなのである。

その話を聞いたと思われる子供から、「テュカにジエイタイのクルマを貸してやってくれ」なんて頼まれたりした火威だが、燃料不足の上に隊も現在は資源調査の命は出てない。

もし資源調査の命が出ていたら火威やレレイ辺りの魔法で車を浮かせて行ける可能性もあるのだが、二人とも隊や組合の仕事があってアルヌスを離れる訳には行かないのだ。

 

 

*  *                            *  *

 

 

火威は、アルヌスの食堂で夕飯を食いながら本日の出動で気付いたことを思い返す。

栗林が使っている拳銃は、通常自衛官が携行する9ミリ拳銃ではなく、セ○ールやス○ークなど渋くて無双(つよ)いオヤジが好んで使うコルトM1911ガバメント……隊内では11.4mm拳銃と呼ばれている銃だ。

この拳銃は警察予備隊時代にアメリカから供与されたものだが、発射時の反動が大きく不評で、現在の自衛隊では9ミリ拳銃が使われている。

だが特地の怪異を相手するには9ミリ拳銃では威力が足りないので、特地派遣隊の実戦部隊の隊員には優先的にガバメントが広く使用されている。

それを、デカいが小さい栗林が難無く使って黒妖犬の頭を吹き飛ばしているのを見るに「コイツ、日本に帰還したらマジでレンジャーになるかも」と思ってしまうのだ。

制度的に女性自衛官が受けれないレンジャーの選定訓練であるが、本来なら女性自衛官が成り得ない普通科隊員になっている栗林である。

特地派遣隊が編成される前に米軍では女性レンジャーが誕生しているし、栗林はこれまでにもヒト離れした武勇を重ねてきた。頑固迷聾と言われる陸自でも何時、方針転換するか解らない。

「火威三尉、最近どうだ?」

そんな事を言いながら、外から来たのは伊丹だった。

以前ならその伊丹に敬礼を取ってしまっていた火威だが、「わざわざ敬礼なんて取らなくて良い」とフランクな言葉を前に貰っているので、会釈と「ども」なぞと言う挨拶を返す。

「怪異の異常発生はゾルザル派残党の仕業じゃないようですね。速攻で黒犬とか翼竜をぶち殺して上空から見ても、怪異使いの姿は確認出来ません」

かつて帝国の内戦でゾルザルが執った手段の一つは、怪異をアルヌスの周辺に放つというものだった。

隊でもその事を真っ先に疑ったが、火威が伊丹に話した証言から大量発生の理由は別に有ることが解っている。

今更、伊丹に報告するまでも無い筈なのだ。

「いや、そうじゃなくてクリボーのこと」

「えっ?あぁ、そっちスか」

隊内随一の戦闘狂と思われる以前の自分の部下の念願が叶ったことが、伊丹も気になるらしい。

「最近はプライベートの時間が名前で呼び合いますし、可愛い女なんですけどねェ……ほとんど毎晩キツくてキツくて。身が保つか……」

「えッ!あの栗林が!?」

「えぇ、お陰で最近は五回に一回くらいは勝てるようになりました」

「か、勝つって……」

「お突き合いですよ」

特にエロいことは無かった。

「まぁ、ほら、アレだ、火威らしくは無いかも知れないけど、キツいことが有ればたまには逃げても良いし」

それは伊丹のライフスタイルなのだが、彼がその一部でも他人に推奨することは滅多に無かった。まぁ特戦群で布教した結果のコードネームとか付いちゃってるが。

「二尉のお言葉は有難いのですが、ロゥリィ聖下に稽古付けて頂いたりジゼル猊下の介添え的なモンをして頂いてますからね。この縁を無下には出来ませんよ」

特地の神々が結んでくれた縁だ。そうと解れば伊丹も外野から口出しする訳にはいかない。

「あぁ、そういや猊下がテュカに飛龍を貸してくれるらしいですよ」

この話題は御終いとばかりに、先程知った話しに話題を変えた火威に伊丹は意外そうな顔を見せた。

「ジゼルさんが?」

「えぇ、猊下が結構義理堅くてですね……」

話しは門が閉じられてから一ヵ月程経った時まで(さかのぼ)る。アルヌスの地に居ついて神殿を作ることにしたジゼルはロゥリィにアルヌス西側斜面を分けてもらっている。

だがジゼルは土地の整地費用に頭を悩ます事となった。神殿の建設費用と合わせるまでもなく、馬鹿にならない額だったのだ。

建設準備をベルナーゴから呼び寄せた祭祀のウルドに押し付け、日本と特地の食文化の融合の結果を楽しんでいたジゼルだが金策に頭を悩ます必要が出てきたのである。

整地費用にとお布施を強請りに回るジゼルだが、その中でジゼルはテュカがバーレントに居る父親を捜しに行くことを希望しながらも探しに行けない事を知る。

そのテュカにお布施を強請れるだけの交渉材料がジゼルには既にある。

火威達がエルベ藩国に行く際に、自衛隊の装備が満載された貨物を運搬したのは飛龍のイフリなのだ。

そしてそのイフリには番いのエフリが居る。

そんな交渉材料を持ってお布施を強請ろうとしたところ、テュカに「西側斜面に埋葬された連合諸王国軍の遺体の装備や荷物はそのまま」なんて話しを聞き、再びちゃんと埋葬することを条件にお布施を貰うまでもなく整地費用や神殿の建設費用の問題が解決してしまったのである。

「ってことで、テュカと誰か一人がバーレントに行けることになったんですよ」

「あと一人って、火威じゃないの?」

「いや、なに言ってんですよ二尉。そりゃ俺がもう一人居れば出来なくないですけど、今の俺は結構忙しいんです」

事実、以前よりは怪異や害獣の数は減り、救援要請は減ったとは言っても、自衛隊に助けを求める声が八日と絶えた事はない。

「俺は伊丹二尉が行くモンだと思ってましたよ」

「げっ、ちょ辞めろよ。飛龍って空、飛ぶんだろ」

「そらまぁ、地面をダッシュする生き物じゃないっスからね。まぁ自分で飛ぶより楽ですよ。飛龍は頭が良いですし、乗ってる人間にも気遣って飛んでくれますよ」

火威の言葉を聞いて、信じられない退く伊丹。

「そんなこと言えるのは地球人類で火威だけだって」

その言葉は火威が言った言葉のどの部分を指しているのか、伊丹が龍に乗るのを頑なに拒否している事に気付いた火威には解らなかった。

そして、次の日の同じ時刻に、伊丹が恐れていた事が現実のものになろうとは、火威には解る筈も無い。

 

 

*  *                            *  *

 

 

三日後の朝、火威や倉田と栗林。またヤオを含む伊丹やテュカとの親交がある多くのアルヌス住民。また、ジゼルやモーターらアルヌスに居を移した亜神が、バーレントに向かう伊丹とテュカの見送りに街の広場に集まっていた。

既にイフリーとエフリーがジゼルの手で鞍や頭絡(もくし)やら旅装を付けられ、伊丹とテュカが来るのを待っている。

昨日、アルヌスにこだましていた男の叫びは、どうやら伊丹のものだったらしい。

飛龍に乗る訓練をさせられていた彼が、渾身の力で叫んでいたのだろう。

タンスカから帰還する際のヘリでは大丈夫だったから、特定の条件でのみ発動する高所恐怖症と推察される。

それでも特戦群なのだから、空挺訓練の恐怖をも乗り越えれる何かがあることが解る。

そんな恐怖を乗り越えた上官が目の前に居るのだから、それを見習って火威も東京に巣くうオークの恐怖を乗り越えなければならないと考える。

今は暫定嫁も居るのだし、情けない姿は見せられないのだ。

その時、まず姿を現したのは伊丹だった。

兜跋とは違う完全特地産の竜甲鎧で身を固めて居心地悪そうにしている。

そうでよね。最初は着慣れませんよね……と、火威はどれだけ思ったことか。

翼竜の鱗の採取販売事業は、とっくの昔に終わっている。

この鎧は伊丹の為に組合の子供達が鱗を確保し、仕立ててくれたのだろう。

火威はそう予想し、実際その通りなのだが、子供達達から伊丹の人気が高い事が伺える。

火威も人気が有ることは有るのだが、ホットケーキで取引めいた事をしているから純粋な人気とは言い難い。

伊丹が特戦群の武器曹から員数外の武器が入った紙袋を受け取り、何やら話しているとテュカがロゥリィとレレイを伴ってやって来た。

こちらは伊丹と違って髪をお下げにしてバンダナを巻き、下はホットバンツにジーンズ。そして長いブーツという出で立ちだ。

「テュカは鎧を着ないの?」

栗林がむき出しの足を眩しそうに見ながら問い掛ける。その理由は火威が思いも寄らぬものだった。

「身体を覆っちゃうと精霊魔法を使うのに不便なの。だから胴着だけ」

その言葉は事実だろうから、火威はこれまで戦闘に精霊魔法を使う際にかなり弱めていたことになる。

その状態でゾルザル派帝国軍や怪異に大きな出血を強いているのであるから、我ながら驚きだ。

まぁ、人には向き不向きというものがある。全体的には打たれ強い火威の精神もピンボイントで責められると瞬く間に精神が崩壊する豆腐マインドだから、精神精霊の使役には全く自信が無い。

伊丹がフルフェイスの兜と身長の二倍程あり、真ん中でジョイントになっていて二つに分解できる竜槍を、テュカが鏑矢(かぶらや)をモーターから貰い、二人は飛龍に乗ってアルヌスを飛び立って行った。

発つ前にテュカが伊丹にベン・ゾジアの精神精霊を召喚して使役していた。あの精神精霊の使役は火威が特に苦手とするところだ。実際に使ったことはないから解らないが、精神に作用する精霊魔法は、精々で眠りの精霊を自分に使って熟睡する程度である。

 

 

*  *                            *  *

 

 

ジゼルは思う。

最近のヒオドシは蟲獣を吹き飛ばした時よりも大分腑抜けていて、自身が恋してしまった人物と同一の人物か疑わしいくらいに違っている。

先程、テュカがイタミに使ったベン・ゾジアを使えば或は……とは思うが、今のヒオドシは他の女の者だ。それにジゼルは精霊魔法が使えない。

冷たい目で見下すヒオドシに踏まれるのは、諦めなくてはならないのである。

自身が付けた首輪にチェーンを付けてキツく引っ張られ、その上踏まれるのは妄想だけで我慢しなくてはならない。

否、片手で数える程度とは言え、ヒオドシとはそれ以上の事をしているのだから満足しなければならない。

あの時のヒオドシの愛は本物だったと思い、それを心に秘め、陞神後も大切に記憶に取っておこうと思う。

そんな時に眷属の翼竜がジゼルの元に来た。

「んだと?」

翼竜の言葉など誰にも解らないのでジゼルが一人ごちるような形になってしまたが、アルヌスに分社したハーディの神殿、ジぜラに急ぐ。この地で神官としての仕事をウルド達に言い付けなくてはならない。暫しの間、アルヌスを空ける必要が出てきたのだ。

 

 

*  *                            *  *

 

 

火威は先日、栗林から「何故自分に惚れたのか」という事を聞かれていた。更にはお互いの家族が何人居るのかも話し合っている。

「そりゃぁお前……。“志乃”って日本の春が似合う名前に惚れたんだよ」

それよりも前に爆乳に惚れたのだが……というか爆乳の方が惚れた理由に大きく含まれるのだが嘘は言って無い。肝心な所を言ってないだけだ。

「家族は兄貴と姉貴と両親の五人。あと実家には大型犬が一頭」

と言いながら、つい数ヶ月前から風力発電で充電出来るようになった携帯電話で、姉の結婚式の時の写真を見せる。

「って、これ。本当に義兄さんですかっ。全然似てませんよ!?」

「いや、大きく違うのは髪の毛と傷の有る無しだけだろ。昔の写真ではほぼ同じ顔だったし」

「全然違う人じゃっ?」

確かに、火威が示し栗林が見る写真には和製○ュー・ド○ウとでも言ってよいイケメンが移っている。だが生え際が後退しているあたり、やはり火威と同じ家系の人間らしい。

「まぁ兄貴はシュー・ドロウに似てるとか親戚でも言われてるけど……。でも最近はコユーザにも似てる事に気付いたよ」

それを聞いて栗林も思わず噴き出す。確かに歳を取って顔に無駄肉が付けば、某落語家に似るかも知れない。

そして切り替えた写真の美人を示して、姉だと言う火威。栗林が見るその人は確かに美人だ。母親も、姉の歳の取り方が解るような穏やかな顔立ちである。

父親は兄に輪を掛けて禿げているが、火威家の中で一番禿げてるのは火威・半蔵その人である。なにせ眉から上の毛が一本も無いのだから。

栗林の家族は母親が居るという事を、三偵が箱根から特地に戻る際のテレビ放送が、何度も日本の番組で放送されていたから火威も知っている。

驚きだったのは、日本人拉致被害者を救出してタンスカから脱出する際に栗林の妹に会っていたということである。

「あれ、栗林の妹だったのか……!!」

「菜々美、ちゃんと仕事してました?」

正直言うと、タンスカから帰還する際は伊丹との雑談に夢中だったのと、眠気でよく覚えていない。

「あぁ、うん。ちゃんと仕事はしてたんじゃないかなぁ……」

誤魔化すように言うが、栗林は納得したようだった。

「そうですか……。あの子、何時も空回りするから心配してたんですよ」

「えっ、そうなん……。まぁ大丈夫。空回りでも進むことは進むから」

ほんの少しづつだけど、と小声で付けたす。タンスカで任務を果たすまでの自分が、正にその通りだったからだ。

そんな二人が、今日はアルヌスから一番近いアボルムの街を連れ添って歩く。

伊丹とテュカがバーレントに向かった今日は、久し振りの正真正銘の休みとあってアボルムの街まで遊びに来たのだ。

アボルムにはアルヌスでは見ないような品々も一応は有るが、それらの中で目立つものは互いが居るから、じっくりと見る事も出来ない。

その中の最たるものはサリメルなんかが居たら真っ先に提供しそうだが、幸いにしてあのエロフはエルベの森の中である。

そんな中、火威は腕時計を見る。

「志乃……さん、そろそろ時間」

「もう、そんなになります?」

親しき仲にも礼儀有り、と言うことで「さん」付けで呼んでいるが、その実、照れ臭いだけである。

「確かにここに長くいるのも……」

火威と栗林は、特地で顔が知られてる訳でも無いのにアボルムに来て早々、驚きと歓喜で迎えられた。

帝都から広まった亜神クリバヤシの噂が、アボルムまで届いていたらしい。

アルヌスから来た背の低いヒト種の女性と、栗林を特定する情報は大間かであった。

にも関わらず、それでも特定に至ったのは火威が原因していた。

私用の移動手段に隊の車など、テュカが父親捜しをする以上に使えない。故に火威が兜跋を着用した上で、物体移動の魔法を使ってアボルムまで来たのである。

禿げて目の上に傷があるジエイカンの名声というか、悪名は思ったより広範囲に広まっていて、翡翠宮や内戦の最終決戦の場となったフォルマル領、そして火威達が銀座事件と呼ぶギンザ戦役を知る帝国軍の士官が、その容赦無い人間離れした戦い振りから「復讐の邪神」だとか「パラパンの使徒」だとか呼び始め、その噂が帝都からイタリカ、そしてアボルムまで広まってしまっていたのだ。

「いや、その人……って言うか人間が居ればファルマートの人だから。絶対に俺じゃないから!」と、何度繰り返したことだろうか。

お陰で折角のアルヌス以外のデートにも関わらず、気軽にショッピングも楽しめなかった。

「ですがアレはちょっと」

「だが早くしないと空手バカが始まってしまうぞ」

ぐぐっ……っと、究極の選択でも迫られるかのように呻く。

だが栗林は顔を上げて言い放った。

「そ、それじゃ街から離れた所まで行ってそこから!」

言うが早いが、アルヌス側の街の外まで走り出す栗林。

「っと、ちょと待て志乃さん!」

火威も栗林の背を追って走り出す。

これが恋人というヤツかぁ……などと考え、自分なりのリア充ライフを送る火威。

彼等はアボルムに来る際、栗林をお姫様抱っこして空を高速移動している。

見た目以上に重かった栗林だが、お突き合い以外での思わぬスキンシップに、我が世の春を感じる火威であった。

 




最後はリアタイでは無く録画でした。

って、これで何の話をしているのか解る人は居ないと思います。連想出来た人もほぼいないと思います。
二期ありますかねぇ……。モブサイコ。ありそうな終わり方ですが、ゲートでも3・4クール目が欲しいですねぇ。
両制作委員会の方々には頑張って頂きたいところです。

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