クウラが地球に接近する戦闘力を見つけてから数日後、一つの宇宙船が地球の草原に着陸した。
「この星にカカロットがいるのだな?どれどれー?」
地球に降り立った一人の男、髪が膝下まで長く腰からは猿の尾が生えている。
男の名はラディッツ、戦闘民族サイヤ人の生き残りだ。
ラディッツは耳にかけているスカウターにスイッチを押すとこの星にある高い戦闘力を持つものを探る。
「やはり、この程度の星か、400、900程のものが1人ずついるな?どちらがカカロットだ?・・・む?戦闘力1万だと!?何者だこいつは!」
ラディッツの戦闘力は1500程度だ。
戦闘力1万などサイヤ人の中ではエリート戦士でも中々いない。
「まさか、カカロットではあるまいな・・・ひとまずこいつは後回しだ。戦闘力が低い奴から見に行くか」
そう言うと、ラディッツは空へ飛び出し戦闘力400と表記されたこの星で悟空の次に強いピッコロの元へと向かった。
一方その頃、カメハウスにて
「今日は、久し振りにみんなで集まるんだよな、悟空のやつどうしてるかなー」
カメハウスに住んでいる坊主頭の青年クリリンが呟く。
「なに、あいつのことじゃ楽しくやってるじゃろう。」
「そうよね、孫君だもの」
悟空の師である亀仙人と友人であるブルマが頷く。
そんな会話をしていると、空から筋斗雲に乗った悟空がやってくる。
方には息子の悟飯が乗っていて、がっしりと悟空にしがみついている。
「オッス!みんな、久しぶりだなぁ・・・ほら、オメェも挨拶しろ」
悟空はカメハウスに降り立つと悟飯を前に出す。
「なんだよ、悟空子守りでも始めたのか?」
クリリンが茶化すように言うが
「ちげぇよ、オラの子だ」
その言葉でその場にいる全員が驚く。
そこからは悟飯が挨拶をしたわいもない話で盛り上がっていた。
そんな平和なカメハウスに一つの悪が迫っていることにも気付かずに・・・
「400のやつはカカロットではなかった。ならば、900のやつか」
ラディッツは戦闘力を頼りに飛んでいき、悪の大魔王ピッコロに出会ったがカカロットではないとわかるとすぐに飛び出しカメハウスの方角へと向かう。
「見えてきたな、む、ゴミが大勢いるな」
カメハウスに降り立つとその場にいる者の顔を確認し、その視線は悟空に止まる。
親父のバーダックとソックリだ。
やっと、見つけだぞカカロット
「久しぶりだな、カカロット!迎えに来たぞ」
「誰だ、お前?オラ、オメェなんてしらねぇぞ」
「覚えていないのも無理はない、お前はまだ赤ん坊だったからな。俺はお前の兄、ラディッツだ」
さすがに赤ん坊の頃の記憶を思い出せというのは酷だろう。
ここは素直に自己紹介をしてやろう。
「オメェがオラの兄ちゃん・・・?」
「そうだ、俺たちサイヤ人に生えている尻尾が何よりの証拠だ。お前にも生えているだろう」
そう、サイヤ人ならば尻尾が必ず生えている。尻尾は戦闘力を大幅に上げる大猿になるために必要なものだからな。
「わりぃ、昔に取っちまった」
「な、なんだと!?貴様、サイヤ人の誇り高き尻尾を取るな!」
どういうことだ?いくら赤ん坊だったといえどサイヤ人は一度洗脳してから星に送られる。使命は頭に刷り込まれているはずだ。今頃は地球の全生物を滅ぼしていてもおかしくない。
「貴様、サイヤ人という言葉に聞き覚えはあるか?」
「サイヤ人?野菜がなんかか?」
やはり、記憶を失っているのか?
いや、だからと言ってこのまま帰るわけにはいかん。
「まあいい、俺はお前を連れ戻しに来た。今、俺は仲間と共に星の売買をしている。だが、仲間の数が少なく手こずっていてな?そういうわけでお前にも手伝ってもらう事にしたのだ」
「嫌だ、悪いことには手を貸せない!」
やはり、記憶喪失のカカロットにはスケールが大きすぎたか・・・これでは予定が大幅に狂う。
こいつがすんなり着いてくると思っていたが、この様子だと無理そうだ。
しかし、なんとしても連れて行かねば、このままノコノコと帰ったならばあいつらに殺されてしまう。
「いや、身体中の骨を折ってでも連れて行くぞ!・・・と、言いたいところだが俺も鬼ではない。お互いにたった1人の肉親だからな。時間の猶予を明日まで設ける。その間に決めろ!それまでの間そこのガキは預からせてもらう。尻尾が生えているからな、お前の息子だろう?」
「やめろ!悟飯に手を出すな!何度言われたってオラは行かねぇぞ!」
あまり、弟には酷いことをしたくはないが俺も後がない。どうにか納得してもらうしかあるまい。クソッ!フリーザさえいなければこんなことにはならなかったものを・・・
「ではな、良い返事を楽しみにしているぞ」
「うわーん!おとうさーん助けてー!」
「待て!悟飯を返せ!」
カカロットがこちらに向かってくるがやはり、まだまだ弱い、俺はカカロットの腹を蹴り飛ばす。カカロットは悶絶して蹲るが俺はそのまま空に飛び立つ。
「ご、悟飯・・・」
空からカカロットを見下ろしながら俺は荒野へと向かった。
許せ、カカロット・・・奴らを敵に回せばお前の故郷とも等しいだろうこの星が狙われる。悲しいが力のない俺にはこうする事しかできないのだ。
荒野に着くとガキを俺の宇宙船に入れる。その間、ずっと泣き続けているカカロットの息子を泣き止まそうと言葉をかける。
「すまないな、カカロットの息子よ。あいつを連れて行かなければカカロットもお前もこの星も潰されてしまう。叔父さんは力がないのだ。このようなやり方しかできなかった弱い叔父を許してくれ・・・」
「グスッ、おじさん泣いてるの?」
カカロットの息子に初めて気づいた。
俺は自分でも気づかないうちに涙を流していたようだ。弱虫ラディッツ、そう言われても仕方ないな。
「すまんな、おじさんは弱虫なんだ。大丈夫、カカロットは殺しはしない。」
「おじさん、本当は優しい人なんだね。でも、悪いことをしちゃいけないよ・・・」
「これはサイヤ人に生まれてきてしまった俺の宿命なのだ。俺にもっと力があれば別なのだが・・・」
あいつらだけでもやばいのに上にはフリーザがいる。フリーザにとっては俺はゴミも同然だ。カカロットの存在がバレてしまった今、カカロットを連れて行くしかこの星が滅びからは逃れられないのだ。
PPPPP!
甲高い音を立ててスカウターが鳴る。
スクリーンには戦闘力10000を越えるものがこちらに向かっていることがわかる。
「だ、誰なんだこいつは!まさか、カカロットの仲間か?」
カカロットに会う前に俺の存在が消えてしまうかもな・・・