Infinite Stratos ~白き龍騎士と海を掛ける少女達~ 作:夢の翼
遂に姉との再会を果たした一夏と第一艦隊、そして後から合流してきた明石は専用機持ち達に連れられIS学園の応接室へ案内された。一夏が帰還した事を知らされた山田先生が一夏達がいる応接室へと入って来たのを確認すると千冬と真耶ソファーに座りその向かい側に一夏が一人座ってその後ろに第一艦隊と明石が後ろに手を回して立っていた。それから数時間が経ち。
「これが俺の身の起きた全てだ」
その場にいた千冬達は一夏が話した内容に驚きを隠せなかった。ISによる操縦者自己守護システム、異世界への時空移動。そして深海棲艦と艦娘の戦い。誰もが信じがたい話だと思うところだがその証拠がいま一夏の後ろで立っているのだから。
「では、お前は敵であるその深海棲艦と和解し共に暮らしていると?」
「あぁ」
「だ、だが。何故倒そうとしなかったのだ?」
箒のその問いを聞いた一夏は不敵に笑う。その笑みを見た箒は一瞬動揺するが直ぐにその気持ちが消えた。
「箒、俺はさ・・・あっちの世界で皆と一緒に戦ってきて・・・そして気づいたんだ。力や強さだけでは誰も救えない、確かに箒の言う通り敵を倒す事は正しいのかもしれない」
「なら!」
「でも、正しい戦いなんてない・・・でも”正しさだけが人を救えるとは限らないんだ”俺は向こうの世界でそれを知った」
「正しさ・・・」
一夏は窓の向こうに見える警備府がある島を眺める。
「だから俺は戦うだけじゃない。話し合いと言う一つのテーブルで彼女達(深海棲艦)と話せないか、俺達や艦娘に心がある様に深海棲艦達にもその心があると考えた俺は彼女達との対話を目的とした『オペレーション・クアンタ』実行して、彼女達と分かり合えた、でも何かを成し遂げるにはそれ相応の対価が必要だった。」
「対価・・・だと?」
「・・・明石」
「はい。提督」
後ろで待機していた明石が両手を前に出すと量子化されていた白い箱を展開しそれを前にある机に置く。そしてそれを明石が開けるとそこには。
「これは……まさか!?」
「あぁ。コアナンバー001、白式のコアだ」
大きく亀裂が入り石化した白式のコアが入っていた。それを見た千冬達は更なる驚きを隠せなかった。
「まさか・・・対価と言うのは」
「白式・・・いや、白騎士が致命傷を負った俺を助ける為に・・・自分を犠牲にして俺を助けてくれた。そのおかげで俺はレ級を倒す事が出来た」
千冬はそっと白式のコアを手に取る、冷たく正に石の塊と化したコアを自分のもとへ持ってくる。すると突如、コアの亀裂部分から小さな光の粒子が溢れだした。
「な、なんだ?」
全員がその光に目を奪われていると窓の方へ光が集まって行く。そして光は徐々に人の形をとっていくと、そこには背を向けた白い騎士の女性が剣を立てて立っていた。
「っ!し、白騎士!!?」
『っ!?』
一夏の言葉を聞き千冬達と第一艦隊と明石は驚愕の表情を浮かべる。一夏はソファーから立ち上がり白騎士の背中を見つめると白騎士がゆっくりと顔を一夏へ向けた。
《これが流れているという事は……どうやら、元の世界に帰れた様ですね》
「白騎士・・・」
凛とした静かな声を出した白騎士に一夏は一歩足と動かす。目の前にいる白騎士は一夏の思考を読んだ映像記録だった。つまり本物の白騎士ではない。
「白騎士、俺は」
《彼方は自分が正しいと思った事を成した。世界の歪みを、その元凶を……最後まで彼方と共に戦えた事を誇りに思っています。彼方の翼になれて彼方の剣となれたことが何よりも……私の幸せだった》
本当にそこに居るかのように白騎士は顔を一夏へと向けるとバイザーで目元が隠れた状態で笑みを浮かべる。
《”一夏”強く生きろとは言わん。だがその分……多くの人に優しさを伝えていけ、例え人々が否定しても、世界から否定されようとも。お前には、誰の目にも見えない――――優しい力がある……》
バイザーが砕け散り光の粒子と化すとそのバイザーで隠されていた素顔が露わになる、その素顔を見て千冬はとっさに立ち上がった。同じように箒達も白騎士のその素顔を見て驚愕した。
《―――――私の分まで一夏を頼むぞ、”私”》
美しくそして優しいその笑みを見て千冬は小さく「あぁ・・・」震えながら返事をすると再び一夏の方へ顔を向ける。
《お前はいい子だ。優しくて思いやりで、女心には鈍感な・・・・それでもお前は私の―――――かけがえのない経った一人の……私の弟だ》
「千冬姉・・・っ!」
《……第一艦隊そして伊勢、日向。そこにいるのならお前達と他の奴等に言っておく。弟を……一夏を頼むぞ。》
「っ!……あぁ…!!」
第一艦隊。伊勢、日向は涙を流して白騎士へ敬礼をする。そして”等々その時が来た”。
「っ!千冬姉!!」
白騎士の姿が徐々に足下から光の粒子となって消えていく。それを見た一夏は白騎士へ叫ぶ。だがその優しい笑みは今の千冬には出来ない一人の女性の笑みだった。
《何。お前とはいつかまた会えるさ、”お前がこの空を飛び続ける限りな”》
そして最後まで笑みを浮かべたのまま白騎士は光となって消えた。白騎士を投影していた白式のコアは役目を終えたかのように千冬の手の中で砂となり空いた窓の外へ流れて行った。千冬はコアを持っていた手を強く握りしめたまま窓の外に広がる青い空を見上げた。
白い騎士の女性は自身の想いを託しあの青い空へと旅立っていった。
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