れいむとシロ   作:ねっぷう

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第15話 「宴会」

妖怪の山でシロと藍が戦い、オヤウカムイを打ち負かしてから、既に1か月が経っていた。

徐々に寒くなり、風が吹くようになっていた。

 

シロ「…」

 

霊夢「ちょっと!危ないわね!」

 

シロ「ちっ、今度こそ殺せたと思ったのに…」

 

霊夢「あんただってまだその身体くっついてないんでしょ!」

 

霊夢は襲い掛かって来たシロを蹴りつけるとシロは体の中心からぱっかりと割れる。

 

シロ「ちょっと粘着がついてきてくっつきかけてるのだ、下手に触るなよ」

 

シロ(…殺すに殺せなくなってきたな…。そうだ、あの霊夢を徐々に狂気に追いやりこの地を破滅させてみせよう。前にも何度もしてきた事じゃないか…っくく…)

 

モゴモゴ…

 

シロの尻尾の毛が数匹の婢妖に変わる。

 

シロ(行けよ我が分身共…あの女の頭に憑りつくのだ…)

 

婢妖(ははーッ、御方様ー!!)ビュオオ

 

婢妖達は霊夢に向かって行くが、それに気づいた霊夢によってはじき返される。

 

婢妖「ひえーっ…」

 

霊夢「コラシロ!アンタまだそんな事しようとしてんの!?」

 

シロ「…チッ」

 

霊夢「今日は宴会やるから、シロも準備手伝ってよ」

 

シロ「…宴会?」

 

霊夢「皆集まるから変な事しないでよね」

 

シロ「…」

 

 

夕方─

 

ザワザワ

 

アリス「こんにちわ霊夢。宴会なんて久しぶりじゃない」

 

霊夢「あらアリス…。まぁ最近色んなことあったからねー…」

 

アリス「もしかして、夏ごろから神社に住み着いてるって言う妖怪の事?」

 

霊夢「あら知ってるの。シロっていうのよ、どっかに居るんじゃないかしら」

 

アリス「結構有名よ」

 

博麗神社に訪れたのは、アリス・マーガトロイドという金髪の少女だった。

他にもシロが知っている連中が続々と神社にやってくる。

 

チルノ「おーっす!シロは?」

 

霊夢「どっかに居るんじゃない?探してみれば?」

 

チルノ「今日はルーミアも連れてきたんだけどなー」

 

魔理沙「よう霊夢。久しぶりだな」

 

霊夢「2か月ぶりくらいかしら?何してたのよ」

 

魔理沙「ちょっとな、こっちにもいろいろあんのよ」

 

 

そして段々と暗くなり、夜─

 

萃香「やあ霊夢、宴会なんて久しぶりじゃないか」

 

夜になり、やってきたのは伊吹萃香という頭に長い一対の角を持った少女が神社に現れる。

 

霊夢「あらいらっしゃい。ていうか、酒と御馳走は持ってきたんでしょうね?」

 

萃香「当り前さ、この通り」

 

その少女は大きな箱を持ち上げて見せた。

その中に酒と食べ物が大量に入っているのだろうか。

 

霊夢「通ってよし!」

 

萃香「もしかしてもう酔ってる?」

 

霊夢「いやいや、んなことないですよ」

 

萃香「…いいねぇ、私も早く飲まなきゃな~!!」

 

霊夢と萃香は皆が飲み、御馳走を食べる場所へ混ざっていく。

 

シロ「…」

 

 

魔理沙「それでさ霊夢、前にシロが紅魔館から戻ってきてから何かあったか?」グビ

 

霊夢「そうねぇ、妹紅って居るでしょ、あの紅白のやつ…。その妹紅がさ、20年前に寺子屋の子供たちを殺した妖怪を探してるって言ってシロを倒そうとしてさ…その誤解を解くのに苦労したって訳」

 

魔理沙「他には?」

 

霊夢「あとは…そうだ、シロってほんとは何か知ってる?」

 

魔理沙「ほんとは?この神社に祀られてる大妖怪じゃないのか?」

 

霊夢「正解はね、外の世界で沢山の国を滅ぼして回り、如何なる妖怪でもどうにもできなかった闇の大妖怪よ!」

 

魔理沙「うーん、そんな気はしてたけどそこまで大層な奴だったとはなぁ」

 

霊夢「私もびっくりしたわよぉ、それで500年前にそのシロが幻想郷にやってきたのよ。それにビビった賢者たちがシロを結界で封じて、その上にこの博麗神社を建てたって訳。まぁほんとは他にもいろんなわけが有ったんだけどね」

 

魔理沙「それも聞かせてもらおうか」

 

霊夢「うーん」

 

萃香「何だいアンタ、私のいれた酒が飲めないってのかい?」

 

魔理沙「…なんだァ、誰かが萃香怒らしたのか?」

 

霊夢「アレって…」

 

シロ「…」

 

萃香「ちょっと、何とか言ったらどうだい?新入りさんよ」

 

シロ「…」

 

萃香「…へえ、この鬼の私に喧嘩売るなんて言い度胸じゃないの」

 

シロ「ここの鬼という粕は随分とピーピーうるさいな」

 

魔理沙「あーあ、言ったぞアイツ」

 

霊夢「ちょっと!喧嘩するなら遠くでやりなさいよ!」

 

萃香「ほう、言うねお前さん…ちょっと向こう行こうかい?」

 

シロ「ふん、我は別にここでもかまわんのだぞ?」

 

萃香「ここじゃ他の連中の酒が不味くなっちまう、誰も居ないとこで喧嘩しようや…」

 

シロ「調子に乗るなよ粕妖怪め…貴様がこの白面の者に立ち向かうというのか…?」

 

萃香「!」

 

アリス「はく…何?」

 

ルーミア「白面の者…あの…」

 

ザワ…

 

シロが白面の者という名を口にした瞬間、一部の連中にざわめきが起こる。

外の世界出身の妖怪ならば誰もがその名を聞くだけで震えがくるだろう。

 

萃香「そうかい、アンタァあの白面の者かい!よくも昔は私らの仲間を殺してくれたねぇ」

 

シロ「我を憎むか?」

 

萃香「…いや、憎まないよ。憎しみは何も実らせないからねぇ。なぁ霊夢」

 

霊夢「?」

 

萃香は霊夢を探るようにじっと見つめる。

そして安心したように口を開く。

 

萃香「…大丈夫みたいだね。もし白面がこの幻想郷を滅ぼそうとしてるならもうとっくに幻想郷は滅んでいるはずだし、幻想郷のトップでもある霊夢が白面の術にかかっていないという事は、とりあえず白面には幻想郷をどうこうしようという気は無いって事だね」

 

シロ「ふん、我は自分以外の何物の存在も許さぬ。我が滅ぼしたいのはこの地の妖共全てよ…」

 

萃香「あはは、お前さんがそう思ってるなら、何故今私たちは生きてここにいるんだい?」

 

シロ「…ふん、嫌な奴だな」

 

萃香「そうかい?真に嫌な奴には言われたくないね」

 

霊夢「コラコラアンタ達、喧嘩する気ないならさっさと飲みなさいな」

 

萃香「ま、相手の本質は目を見りゃわかるよ」

 

シロ「目…」

 

シロ(憎しみは何も実らせない、か…。ふん、くだらぬ)

 

萃香「時に白面、お前さんはもしかして酒を飲んだ事ないのかい?」

 

シロ「…ない」

 

萃香「酒を飲んだことないなんてかわいそうな奴だね、ほれ、飲んでみなよ」

 

萃香は酒瓶をシロに渡す。

だがシロはそれをじっと見た後、すぐに萃香にそれを返す。

 

シロ「要らぬ。我は喰いたいものが喰えれば満足よ」

 

萃香「そうか、なら一緒に朝まで美味いものでも食おうや」

 

シロ「…」

 

 

そのまま騒ぎ続けた面々のほとんどは疲れてその場で寝入っており、空はうっすらと青みがかっている。

今起きているのはシロとアリスという少女だけである。

 

霊夢「…」クカー

 

アリス「貴方、シロさんだっけ?」

 

シロ「…」

 

アリス「私は一足先に帰るから、霊夢と魔理沙によろしくね」

 

シロ「ふん」フワ

 

シロはそのまま姿を消してしまう。

 

アリス「さようなら」

 

アリスは頭を下げると静かに神社を出ていった。

アリスが居なくなったのを確認するとシロはすっと姿を現し、眠っている萃香に近寄り、すぐそばにあったまだ開けられていない酒瓶を一つ掴むと神社の影へ飛んでいく。

 

シロ「…」

 

そして爪で瓶を開けるとそれを一口、口に流し込む。

 

シロ「…ふん、やはり不味いな。こんなものを一晩中飲んでいられる奴らの気が知れん」

 

シロは瓶のふたを閉めると、それを持ってまたどこかに移動する。

 

 

フワ

 

萃香「…?」

 

萃香が目を覚ますと、横には空になった瓶が置かれていた。

 

 

シロはだんだん明るみを増す空を、神社の上からじっと眺めていた。

 

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