れいむとシロ   作:ねっぷう

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第19話 「暗黒の心」

シロ「すぐに我の前で八つ裂きにしてくれるわ!」

 

シロは9本の尾と婢妖を使い勇儀と交戦する。

勇儀は尻尾を脇腹で抱え込むように防ぎ、足で婢妖を受け止める。

 

勇儀「手下を使うとはやることは昔と変わっていないようだね!」

 

シロ「ならば我の火炎…数多の妖怪をひと吹きで消し飛ばし、都を荒野に変えた火炎を喰らうが良い!!」ボオオオ

 

シロは胸を膨らませると、勇儀に向けて特大の火柱を放射する。

 

勇儀「…おおおおおおおおお!!!」

 

ビリビリ

 

勇儀が咆哮を上げると、その咆哮で生じた衝撃波がシロの火柱と衝突する。

それはしばしのつばぜり合いをした後に爆発を起こす。

 

シロ「ちィィィ…」

 

勇儀「ははは!!」

 

シロ(この地底の者どもが我に抱く恐怖…それのおかげで我は強くなっているはず…何故だ…)

 

ガキィ

 

互いの攻撃がぶつかり合う。

シロは9本の尾を使い、勇儀は2本の腕と2本の足で応戦する。

一見互角の勝負に見えるが、それでも勇儀がわずかに優勢の形をとっていた。

ついに勇儀はシロの尾を掴んでみせ、それを抱え込んでシロごと振り回そうとする構えをとる。

 

勇儀「白面、お前さんはこんなに弱かったかよ!?あの時は凄かったじゃないか…私の攻撃を受けてもビクともせず、私らもろとも引き裂いたお前さんがさ…」

 

シロ「…」

 

今のシロは紫の張った結界だけが解除され、姿と一部の能力だけは解放された。

だがそれでも、シロの力はまだほとんど封印されている。

 

勇儀「そろそろ終わりにしようかい?」

 

勇儀の拳に妖気が集まっていく。

 

シロ「…」

 

勇儀「オラァ!!」

 

彼女の一撃がシロに向かって行く。

シロも逃げてしまおうかと思い身を横に向けた瞬間。

 

バリィ

 

勇儀「な…」

 

シロの尾のうちの一本が、意図せず勝手に勇儀の攻撃を受け止める。

普通ならばシロの尾が砕け散ってもおかしくない程の威力の攻撃だが、尾の前に拳がぴたりと止まる。

さらに、その尾に勇儀の一撃に込められた妖気が吸収されていく。

 

シロ「…」

 

そしてその吸収した妖気は勇儀に向けて反射される。

 

勇儀「な、何だと…」

 

反射された妖気の塊は勇儀に命中し、その場で爆発を起こす。

 

シロ「…貴様の負けだな」

 

勇儀「…」

 

爆発で体勢を崩した勇儀に火柱を吐きつけるシロ。

火炎を喰らった勇儀は眼下に広がる都へと落下していく。

 

シロ「くはは、やはり我の勝は明確だったな…」

 

勇儀が落下した地点に降り立つ。

 

勇儀「流石は白面の者だ…その妖術は誰にもまねできないな…」

 

シロ「…最期に一つ教えてやろう。次からは我の事はシロと呼ぶがいい…それが我の今の名だ」

 

勇儀「シロ、か…そうしよう」

 

シロ「ふん…」

 

勇儀「それとな、この旧都の中心にある地霊殿という屋敷の主がお前さんと話がしたいと言ってたなぁ」

 

シロ「ちれいでん?」

 

勇儀「ま、この旧都を中心向けて進んでいけばでっかい屋敷があるさ」

 

シロ「まだ我を恐れる気はある…それらを喰い尽くすまで暇だからな…」

 

シロは勇儀を置き去りに、旧都の中心向けて飛び立っていった。

 

 

地霊殿─

 

古明地さとり「…」

 

館の中の窓から地霊殿へ向かってくるシロをじっと見つめる少女、覚妖怪の古明地さとり。

この地霊殿は旧都の中心に位置する巨大な建物で、中庭には灼熱地獄跡に続く穴が有り、そこに蓋をするように地霊殿が立っている。

主の古明地さとりは相手の心を読むことができ、その能力を恐れて他の妖怪は全く近寄らず、逆に言葉を発せない動物が好んで棲み付くという。

 

シロ「…」

 

バリィィン

 

窓を破り館の中に侵入するシロ。

 

シロ「…我に用があるのだろう?先刻よりここに向かう我をずっと見ておったな」

 

通路の向こうの突き当りからひょこりと現れる古明地さとり。

 

さとり「確かに勇儀さんから貴方に伝えてくれといいましたが…無理やりに入ってくるとは…」

 

シロ「わざわざ足を運んでやったのだ、用は何だ?」

 

さとり「あの凶悪残忍な白面の者が博麗の巫女と一緒に居ると聞きました。私の知る白面の者はそのような人と相いる妖怪ではないハズ…そこで私は今の貴方の心の内が気になった…」

 

シロ「…くくく、我は感じていたぞ…この旧都で一際大きく我に向けられる感情の渦…『嫉妬』か」

 

さとり「…」

 

シロ「けけけ、なんで自分よりもコイツの方が圧倒的に他人から嫌われているのに、何故コイツは自分よりも周囲に受け入れられるのだ、とな…くくく…」

 

さとり「な、何を言っているのです?」

 

シロ「覚は心を読むが、逆に心を読まれるのには慣れていないようだな…それで、その嫉妬のもとに我をどうしようというのだ?我の心の内を暴いて見せるか?」

 

さとり「ええ、あの白面の者が地上で沢山の者に受け入れられるなんて有り得ない…お前は何か企んでいるはず!それを暴き公表して…」

 

ギン

 

さとりは能力を使い、シロの心を内を覗く。

だがさとりが見たシロの心は、今まで見た事もないほど冷たい暗黒の心だった。

 

嫉妬、憎悪、恨み、怒り、嫌悪、苛立ち…そして─

その心の内には如何なるモノの踏み込みすら許されない、もしこれ以上覗くならば、与えられる物は死のみ。

 

さとり「きゃあああああああああああああ!!!」

 

シロ「くはは…」

 

さとり「はぁ…はぁ…」

 

シロ「己の能力は我には通用せん…どうするのだ?」

 

さとり「ふふふ、ごめんなさい…貴方が色んな者に何故受け入れられるのか、分かりました…。貴方の心は冷たい闇の心…だけどその奥深くに、誰かからもたらされたわずかな明るい光がありました…。そして、その光が誰からもたらされたか、それは…」

 

シュオ

 

シロは自らの尾の先をさとりの喉元に近づける。

 

シロ「おっと、それ以上言うなよ。…まぁ、ソイツと一緒に居ると…退屈はしないな」

 

さとり「…シロ、貴方はそんなに悪い奴じゃないのかも…」

 

ガゴォォン

 

その時、地霊殿の外から何かを破壊したような轟音が響く。

シロとさとりが外を見ると、旧都の上空を飛行する黒く巨大な西洋風の竜が居た。

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