霊夢「シロ、ついてきて!」
シロ「何だ…」
霊夢「また新しく入ってきた妖怪が暴れてるわ、退治してやるからアンタも来なさい」
シロ「…まぁよいか、丁度暇だったしな」
妖怪が暴れてると知らされた霊夢とシロは、その場所である魔法の森の最も人里に近い位置に到着した。
そこには10体以上の人間サイズの大きなネズミが群れをつくり、一匹の妖怪を囲っていた。
霊夢「あの鼠みたいなのが妖怪ね…」
シロ「…旧鼠か。長く生きた鼠の変化だな…」
霊夢「生き物の変化?じゃあ虫怪の時みたいに唾が効くって事ね!」
シロ「…それは虫の変化だけだ」
旧鼠「猫ころも犬ころも美味いけど…やっぱ一番最高なのは他の化け物の肉よ…」
ミスティア「ひィ~!」
その旧鼠たちに囲われていたのは夜雀のミスティア・ローレライだった。
鼠たちは鋭い爪を日光で光らせながらジリジリと追いつめていく。
旧鼠「ふふふ、どこから食べようかな~…お前らどう思う?」
リーダー格の片耳の無い旧鼠が仲間に問う。
旧鼠「私はその足から食べたいな~」
旧鼠「俺は翼の薄皮喰いてぇなぁ~」
旧鼠の親子らしいコンビを初め、口々に食べたい部位を囁き合っている。
そしてついにリーダー格の旧鼠がミスティアの肩に爪を引っ掻ける。
ミスティア「た、助けて~!」
旧鼠「じゃあその翼から…まず引きちぎって喰っちゃろかなぁ…」グパ
リーダーが口を大きく開き、噛みつこうとした瞬間。
上から霊夢の弾幕が旧鼠たちに降りかかる。
旧鼠「な、なんだえ!?」
霊夢「おりゃっ!アンタらここらに居るんじゃ邪魔だって言われてるわよ!」
旧鼠「ボスゥ、こいつァうわさに聞く博麗とかいう奴でっせ」
霊夢「そうよ、私が博麗よ!そっちがやる気ってんなら、問答無用で退治してやるわ!」
旧鼠「くっくっく…俺らを退治なんてできるかなぁ?」
リーダーがそういうと、群れの中からリーダーの次に体の大きな2匹の鼠が出る。
すると3匹の鼠は霊夢の周りをうろうろし始め、そのスピードを上げていく。
霊夢「は、はや…」
旧鼠「はっはっは!俺らのスピードを掴んで回避することができるかな!?」
旧鼠は霊夢の周りを目にもとまらぬ速さで駆け巡り、攻撃を仕掛けていく。
霊夢「うお、あぶなッ!」
シロ「…ふん、あの程度も避けられないと言うのではあるまいな?…」
旧鼠(おい、お前ら…そろそろ一斉に行くぞ…)
バシュ
3匹の鼠はそのままのスピードで霊夢に飛びかかる。
霊夢「…」
旧鼠(もらったッ!!)
ゴドシャア
旧鼠「ぬぐえ…!?」
霊夢は飛びかかる鼠共を軽くいなすと、今度は鼠たちの腹に弾幕を撃つ。
霊夢「日頃襲い掛かってくるシロに比べたら…こんなん何でもないわ…」
旧鼠「つ、強い…」
霊夢「アンタたち人間は喰わないって言ってたわよね?じゃあおとなしく里から離れたところで暮らしてれば何もしないわ」
旧鼠「…ふん、いつか必ず復讐はしてやるからな…」
旧鼠の群れは霊夢から逃げるように森を抜け、山の方角へと走り去っていく。
これで彼らもしばらくは里の近くに来ることは無く、山で普通の妖怪として暮らしていくだろう。
シロ「…」
霊夢「ていうかアンタもあんなのに絡まれてやんの?」
ミスティア「昼間だから木陰で寝てたらいつの間にか囲まれてただけよ…」
霊夢「次そんなことになったら、アンタごと一気に吹っ飛ばすからね」
ミスティア「う…はーい…」
シロ(…もうあの程度の妖に我の助けは要らぬか…)
霊夢「早く帰りましょ…」
シロ「うむ」フワ
仕事を終えた霊夢とシロは神社へと帰っていく。
───
既に冬の気温となり、色付いていた紅葉も葉を落とし始め、一部の妖怪たちも冬眠を始めている。
その時期、突如幻想郷中に立ち込める強大な妖気。
そのただ強い妖気に、下々の妖怪は怯え、長く生きた妖怪の中でも少数の者はその妖気の主を思い出し、その妖怪を恐怖した。
その妖怪は幻想郷の端から端を一瞬にして移動して見せ、自分に向かう妖怪が有ればそれを強力な火炎で追い払い、その腕力と爪で引き裂いた。
ドン ドン
「ここは何処だよ…。何かの結界の空間の中かよ、けっ…。…アイツは何処にいる…?おめぇはわしの…」
その晩、幻想郷の空を黒雲が埋め尽くした。黒雲は月の光を隠し、既に冬季節に踏み込んでいた幻想郷を暗く染めた。
黒雲は雷を何度も落とし、林や森を焼き、妖精や小妖怪をその場所から追い立てていった。
まるで何かを誘い出すように、何かを探すように…。
旧鼠(きゅうそ)
人間の子供ほどの大きさで、動物や野菜を跡形も残さずに喰らっていくらしい。