れいむとシロ   作:ねっぷう

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第23話 「雷獣」

翌朝、やはり山の一部や周囲の林、魔法の森の一部などが雷によって焼かれていた。

空にはいまだ黒雲が分厚く張っており、太陽の光を遮り幻想郷は異常なほど寒くなっていた。

 

霊夢「やはりこれは異変として捉えた方がいいのかしら…?」

 

魔理沙「そうだろ、雨は降らずに雷だけが落ちまくるって有り得ないだろ」

 

シロ「…妖怪の仕業だな。それもとても強力な」

 

 

ゴオオオオ

 

妖怪は幻想郷の端から端を一瞬で駆け抜ける。

そのルートは霧の湖を上を飛びぬけ紅魔館を飛び越え妖怪の山にまで及んだ。

 

早苗「…この妖気は何でしょうか…?」

 

諏訪子「これは…」

 

神奈子「私らも知っているな、これは…雷獣…」

 

諏訪子「長飛丸か。だけどなんで長飛丸が幻想郷に?」

 

神奈子「詳しくは知らんが、彼奴も私らと同じように外で力を失ったのだろう」

 

早苗「な、『長飛丸』ってなんですか?妖怪なんですか?」

 

神奈子と諏訪子が長飛丸という名を発し、それを気にかけた早苗が尋ねる。

 

神奈子「長飛丸…それはな…」

 

黒雲を呼び雷を落とし火炎を吐き、山から山の間を一跳びで駆け抜ける。

その身体は金色の毛が覆い、髪を自在に操る強力な妖怪。

 

諏訪子「居たねぇ、八百年前の戦いでも勇ましかった…」

 

 

藍「お帰りいただこう、今紫さまは眠っていらっしゃる。邪魔するわけにはいかないのでな」

 

霊夢「じゃあアンタでもいいわよ、この黒雲と雷を放つ妖怪についてアンタは何か知ってるの?」

 

藍「残念だが私も詳しくは知らない…が、心当たりがある」

 

魔理沙「それはなんなんだよ?」

 

藍「…字伏」

 

霊夢「字伏?じゃあそいつを探し出してぶっちめればいいって事ね!」

 

シロ「…」

 

魔理沙「どうした?シロ」

 

シロ「…字伏、か…」

 

 

霊夢「そうね、また夜になればその字伏って奴は森を焼きにくるはずだから…それまでが勝負ね」

 

魔理沙「…二手に分かれるか。そっちの方が効率がいい」

 

霊夢「二手よりも三手の方が良いわね…」

 

魔理沙「うん?だって霊夢とシロは一緒じゃないとダメじゃんか」

 

シロ「…」

 

霊夢「え…そ、そうね…じゃあ私は妖怪の山に行くから魔理沙はその辺のふもとをお願い」

 

魔理沙「よっしゃ!」ギュオ

 

魔理沙は右に曲がり、そのまま目の前にそびえる妖怪の山のふもとに向かっていく。

霊夢とシロは手がかりを得るために天狗たちに会うことにした。

 

 

椛「あざふせ…?」

 

霊夢「ええ、雷を落として炎を吐くわ。この黒雲を呼び出した奴よ」

 

椛「雷を火炎て…うーん」

 

文「あやや、どうかしましたか?」ヒュ

 

霊夢とシロが椛と話している間に射命丸文が空から降りて来る。

どうやら山の天狗たちも突然の妖怪の襲来に慌ただしい様子。

 

霊夢「ん、だからこの異変の犯人の妖怪について…」

 

文「ああ、長飛丸ですね」

 

霊夢「長飛丸…?ちょっとちょっと、字伏だの長飛丸だのよくわからないんだけど」

 

文「あの長飛丸は様々な呼び名を持っていますからねぇ、彼について混乱するのも理解できます。その長飛丸がこの妖怪の山に身を潜めているから私たちもドタバタしてるんですよ…彼を刺激してしまえばこの山を焼かれるか、私たちが彼に倒されるかの状況なんですから」

 

霊夢「…その長飛丸はこの妖怪の山に居るのね…」

 

文「ええ、私たちも捜索中ですが、何せ彼は山と山との間を一瞬で飛びぬける驚異のスピードの持ち主ですからね、そう簡単に見つからな…」

 

霊夢「そう、だったらシロ!早く探しに…」

 

シロ「…」

 

霊夢「どうしたの?そんな嫌そうな顔しちゃって」

 

シロ「少しな…我にとってその妖怪は好ましくない…」

 

霊夢「何言ってんのよ、無敵の大妖怪が何ビビってんの!」

 

シロ「違うのだ、何かが来る…その妖怪に会えば、我が一番嫌う物が来るやも知れぬのだ…」

 

 

そのころ、妖怪の山の麓。

二手に分かれ、麓の探索に行った魔理沙の前に居るのは…

 

魔理沙「参ったな、霊夢が字伏と戦って、私にはその手下しか回ってこないと思ってたのに、まさか本物といきなり出くわしちまうなんて…」

 

「おめぇ、人間にしちゃやるようだな…ここに来てからわしに喧嘩売った人間はお前が初めてよ…」

 

魔理沙「参ったなぁ…」

 

魔理沙の前におわすのは黄金の毛並みを持った獣の妖怪。

彼は額の周りに電気を走らせながら、名乗った。

 

「わしは『とら』っていう妖怪よ…お前に聞こう、この地に…蒼月潮ってやつは居るか?」

 




一応シロも正式に幻想郷の住民となったのでシロのプロフィールを。

名前:シロ
種族:妖怪
能力:陰を司る程度の能力
異名:邪悪の化身、白面外道
食性:気
危険度:極高
人間友好度:皆無
主な生息地:博麗神社

博麗神社周辺を棲み家とする邪悪な大妖怪。500年前に幻想郷にたどり着いたがその強大すぎる力がゆえに賢者たちに封印されていた。
真っ白い肌に白い髪、赤い目に白い顔の9本の長い尻尾を持つ獣の妖怪。

性格は非常に凶悪残忍で、自分以外の何者の存在も許さない。もし立ち向かう者が居るならばその圧倒的な力でその者を瞬時に消し飛ばすだろう。
だけど最近はいろいろあって気も満足に喰えていないし結界の力で自由に動けないのもあって少し丸くなってきているようだ。

・陰を司る程度の能力
陰そのものの存在であるため負の感情、負のエネルギーを力の源とし、他者の感じる恐怖、絶望、憎悪と言った感情を喰いより強く大きくなっていく。
また、それらの負の力を宿した攻撃はほとんど効かない。
なのでまず国を一つ滅ぼし、その国の住民の感情を喰って強くなり、次の国を滅ぼして感情を喰い強くなり…という悪循環に陥ってしまう。そうなればまさに無敵となり、だれも向かう事はできなくなってしまう。
逆に、感情を持たぬ武器による攻撃を恐れる(だがただの武器では何の役にも立たないし、シロにとって脅威である武器を使ってもその使い手が負の感情を持っていれば効果が無い)。

他に9本の尾にはそれぞれ一本ずつ違った能力が宿っている。
今のところ判明しているのは
一本目:十数体の婢妖を生み出す能力(現在は力を封じている結界によってこれしか出せない)
二本目:外からのあらゆる力を反射する能力(反射するタイミングを自在に変えることもできる)
のみである。

他には強力な火炎(一般的な炎とは性質が異なり、ものを燃やすこともできるが大体はその驚異的な威力で跡形もなく消え去ってしまう)を吐いたり、自分が付けた傷ならば自在に治癒させられる(本人は滅多に使わないが)。

食性について、シロは妖怪の中でも感情を喰うタイプになる。先述した通り他者の負の感情(自分に対するもの以外でも喰える)を喰い、無限に強くなっていく。
昔に国王の妃を喰い殺して化けた事もあるので、一応人間も食えるよう。
最近は魚とせんべいがマイブーム食品らしい。

当然ながら危険度は極高く、無暗に周囲に近づかないほうがいいだろう。あまり力を持たない妖怪やただの人間であればすぐに殺されてしまうだろう。
人間友好度は皆無(むしろ人間を嫌い、憎み殺意を向けている)。


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